長くなりそうなんで分けます。
陽乃さんが関わると話が長くなる。でもしょうがないよね。八陽物語だもん。
では第12話どうぞ!!
人生最後に食べたいものは何か。
カレー、肉じゃが、寿司、
いづれも否。
オムライスこそは人生最後に食べたい。それも小町お手製の。
オムライス。
それは小町が初めて作った料理だ。
俺が小五に上がったばかりの頃。ある日小町が「ご飯作りたい」と突然言い出してきた事がきっかけだった。
ちょうどその日は両親が仕事に行っており、家には俺と小町しかいなかった。
小五の俺と小三の妹。年齢で言うと十歳の俺と八歳の妹。
大体のご飯作りには包丁を使う。両親不在のなかで子どもが包丁という刃物を使うのは危険極まりない。
当時の俺はカレーライスを一人で作れる腕前はあったため、包丁はある程度使えた。だが、小町は両親が過保護だったために、キッチンにすら入れてもらえなかった。
そんな料理をしたことのない小町がご飯を作りたい、と駄々をこねるもんだから可愛くて仕方なく親に電話をかけ相談したところ、包丁さえ使わせなければオーケーと言われた。
包丁を使わない料理で、さらに小町一人で作れる料理となるとかなり限られてくる。
十歳の俺が悩んだ末に思い付いたのはオムライスだった。
極論にすれば、オムライスとはケチャップライスを卵で包んだものだ。至極簡単な風に聞こえるかもしれないが、いざ作ってみると、ある工程でほとんどの人が
現に小町も「ご飯包めないよ〜」と涙目になりながらもフライパンから目を離さずに、卵で包み込もうと頑張っていた。
その日の夕食は小町が初めて作ったオムライスとなったわけだが、あの日の小町が作ってくれたオムライスは今でも鮮明に覚えている。
食卓に並ぶ四つのオムライス。
母ちゃんに親父に小町に、そして俺にと。それぞれの手元にあるオムライスには『おかあさん』『おとうさん』『こまち』『おにいちゃん』とケチャップで書かれてあった。これには俺や親父、母ちゃんまでもが
見た目は、上手く卵で包めなかったにしてもケチャップ文字によって上方修正され、肝心の味はというと、美味しいの一言に尽きた。母ちゃんが作るオムライスの味とはまた違う特別な味。俺はおふくろの味より小町が作った妹の味の方が好きだと感じた。
……なんか卑猥に聞こえる。
あれから六年の歳月が流れ、今じゃあ小町はオムライスなんぞ慣れた手つきで作っている。
俺はソファでくつろぎながら、キッチンで料理をする小町を眺めていた。
それにしても、エプロンはいいものだな。
裸エプロンがいいなんて言い出すのはオッサンだけで、むしろ、制服にエプロンこそ至高だと思う。
心が温まっていくのを感じて、不覚にもにへらっと笑ってしまった。
「あ、あのさ、八幡くん……」
「な、なにかね?」
しまった。右隣に陽乃さんが座っていること忘れてた。気持ち悪い笑顔になっていたかもしれない。思わず返事が上ずって気持ち悪さが桁違いに増す。負の相乗効果が発動していた。
「ほ、本当によかったの? 夕食、ご馳走になっちゃって……」
小町が叫び声をあげた一件。幸いにも近所迷惑とならなかった。
小町と陽乃さん。二人は初対面にも関わらず持ち前のコミュ力でお互いに名前を呼び合いなどし、すぐさま仲良くなっていた。その流れで事情(陽乃さんが家の前にいる理由)を知った小町は俺がお酒を飲めないことを気にして陽乃さんを比企谷家へと招待し、そして今に至る。
「まぁ小町がいいって言ってるんで大丈夫ですよ。でも陽乃さんの方こそよかったんですか? 埋め合わせのこと」
「え? ああ、うん。いいんだ、もう約束のことは……。今は小町ちゃんと仲良くならないと!」
「もう十分、小町と仲良いじゃないですか……」
それを聞いて陽乃さんは自分の顎に手をやり悩ましげに
「うーん、ちょっと違うんだよねー。もっとこう小町ちゃんの親密度を上げるみたいな?」
「なに人の妹を恋愛ゲームのように攻略しようとしてるんですか。小町は渡しませんよ絶対」
第一、小町の攻略難易度はMAXだ。というより小町の周りを攻略しなければ小町に近づけない。普通は逆なんだろうが、こと比企谷家に限っては別だ。親父の妹に対する
……あ、でもあれだ。そもそも陽乃さん女の子じゃん。
「シスコン」と、陽乃さんは一言洩らしてキッチンの方へ行ってしまった。
「シスコンじゃねぇし……」
俺は彼女の後ろ姿を見ながら一人ごちた。
けどまぁ、仮に相手が
「ねぇー小町ちゃん、私にも何か手伝えることあるかな?」
「すみません陽乃さん。もう作り終わっちゃいました」
「ううん、気にしないで。──あ、オムライスだ! 小町ちゃん、料理上手いね!」
「そ、そんな事ないですよ〜。簡単なものしか作れませんし」
「もう、そんな謙遜なんかしなくてもいいのに。オムライスだって結構難しいのよ。ご飯の量次第で見栄えが悪くなっちゃうから」
「たしかにご飯が多かったりすると、卵で上手く巻けないですよね」
「逆にご飯が少なかったりすると、卵が余るのよね〜。だからさ、こんな綺麗にふんわりと作れる小町ちゃんは凄いよ」
親密度を上げるためにお世辞を言ったという感じはなく、陽乃さんは自分の経験に基づいて小町を褒めているようだった。
「えへへーそうですかぁ? 陽乃さんにそう言ってもらえて、小町、うれしいです」
「きゃーっ! 小町ちゃんってばほんとかわいー!」
純粋な褒め言葉に照れた様子で微笑む小町。そのあまりの可愛さに、陽乃さんが豊かな胸元に小町を抱き寄せた。
「ほふぁああ……⁉︎」
腑抜けた変な叫び声は、くぐもって聞こえてくる。
「ねぇー八幡くん。小町ちゃん可愛いから貰ってもいい?」
言いながら、小町の頭をぐりぐりと撫で始める。
小町はなんの抵抗もしないで、陽乃さんの胸の谷間に顔を埋めて、「うへへ……最高やでぇ……」と堪能していた。
……なんてうらやまゲフンゲフン。
「おいこら小町、あっさり攻略されてんじゃねぇよ。あと陽乃さん、小町は俺の妹です。誰にも渡しません」
俺はソファから立ち上がり二人に向かって言い放った。俺の言葉に反応して陽乃さんがゆっくり顔をこちらへ向け、唇をとがらせる。
「えーいいじゃん。私もこんな可愛い妹ほしいもん。ほら小町ちゃん、私のことお義姉ちゃんって呼んで良いんだよ?」
「小町やめろ、絶対呼ぶんじゃ──」
「うへへぇ……お義姉ちゃん……」
静止の声をかけるが、時すでに遅し。
陽乃さんによって脱力しきった小町はもう口に出していた。
「もー、ほんと小町ちゃん可愛いなー!」
小町の返答に、喜色満面で陽乃さんは更に強く抱きしめる。
その余波で、小町がくぐもった声で「ぐへへぇ……たまらんのぉぉ……」とか言い始めた。やべぇ。
これはマズイ。人生最大のピンチかもしれない。このままだと本当に小町を陽乃さんに盗られる。なんとしてでも小町から陽乃さんを引き剝がさないと。
「ちょっと陽乃さん、もうその辺にしてください。小町の作ったオムライスが冷めちゃいます」
俺は言ってから気づく。これ温め直せば? と言われたらお仕舞いなことを。
だがそれは杞憂に終わった。
「ありゃ、それはいけない。小町ちゃんが作ってくれたんだから温かいうちに食べないとね」
そう言って陽乃さんは小町を解放した。
解放された小町はぷひーと息を吐いた後、「うへへぇ……あの弾力は楽園やでぇ……」と何やら出身がぶれる喋り方で、しっかりと陽乃さんの楽園間違えた胸元を満喫していらっしゃった。
どうしたら元の天使に戻るのかしら?
「あっ!」
唐突に陽乃さんは何か思い出したように声を上げた。
「ねぇ小町ちゃん。オムライスの上にケチャップがかかってないようだけど、小町ちゃんのお家ではオムライスにケチャップをかけない感じ?」
「いえ、そんな事はないですよ?」
「じゃあさ、私があの三つのオムライスにケチャップかけてもいいかな?」
「いいですよー。どんどんやっちゃってください」
陽乃さんの横顔が今から悪戯をしようとする子どもに見えるのは俺の気のせいだろうか。なんか嫌な予感がする。
が、陽乃さんの目の前ににいる小町はそれを助長するような言い方で了承した。
了承を受け取った陽乃さんは、ケチャップの入ったボトルを片手に縦横斜めと動かして、オムライスの上に何やら書いている。
俺がいる場所からは何を書いているかまでは見えない。まぁでも、いくら陽乃さんといえどケチャップ文字で悪戯なんかできないはずだ。
や、でもなぁ……陽乃さんだしなー。昨日の生徒会室の事もあるし、あの自然すぎる流れには舌を巻いたもんだ。あれは来るとわかっていても止められない。ハートブレイクショットかっつーの。
「よし、できた」
そうこう考えているうちに陽乃さんは書き終わったようだ。俺はダイニングテーブルの方へと席を移り、オムライスを待つ。
「ちょっとお兄ちゃん、座ってないでテーブル拭いて」
「はい……」
てへっ♪ 小町に怒られちゃった☆
台布巾を取りにキッチンへ行くと、ちらっとだがオムライスが見えた。
俺はそれを見て安心した。何せオムライスの上に『こまち』と書かれてある。他の二つは陽乃さんの体があって隠れて見えないが、きっと残りの方のオムライスも同じく名前で『はるの』『はちまん』とでも書いてあるんだろう。
俺がテーブルを拭き終える頃には、小町はいつもご飯を食べている定位置についていた。俺もそれに見習って小町の向かい側の椅子に腰を下ろす。
「はい、小町ちゃん」
「ありがとうございますー」
陽乃さんがオムライスの乗る皿を渡し、それを笑顔で受け取る小町。
普通逆だろ。
「はい、八幡くん」
「どうもっす」
まぁ、俺もなんだけどね。
陽乃さんの手から自分の手へと渡るオムライスの乗る皿を手元のテーブルに置く。
待ちに待った夕食。それも小町が作ったオムライスだ。俺は早く食べたい、とオムライスに目を落としていた。
──刹那、オムライスの上に書かれている異彩を放つ四文字に俺は言葉を失ってしまった。
これは一体どういことなんですかね。
「「いただきまーす」」
真向かいで手を合わせ声を合わせる彼女たちは仲のいい姉妹を連想させた。文字通り、連想させるだけで実際のところ彼女たちは姉妹でもなんでもない。
とりあえず俺はケチャップで異彩を放つ四文字を書いた張本人に文句を言うことにした。年上だろうが関係ない。文句言ってやる文句っ!
「陽乃さん、なん──」
「八幡くん」
──で俺だけ他の二つと違って名前じゃないんですかっ! と続けようとしたのを陽乃さんに遮られた。
「オムライス食べないの? 冷めちゃうわよ」
「お兄ちゃん、もしかしてオムライスやだった?」
陽乃さんに続いて小町も口を開く。
眉を八の字にして心配そうに訊ねる小町を余所に陽乃さんはニコニコとこちらをじっと見ている。
「いや全然。むしろ小町が作ったオムライスとか大好きだから。死ぬ前に食べたいと思うぐらい超大好きだから」
「なら、なんで食べないのさ」
「そうだよ八幡くん。小町ちゃんの作ったオムライス、こんなに美味しいのに……なんで食べないの?」
「ねぇちょっとー陽乃さん? なに、自分は何もやってませんみたいに装ってるんですか。あなたの所為でしょう」
「えー、私、八幡くんには何もやってないよ?」
今、この人『には』って言ったよ『には』って……。絶対わかっててやってるわ。
「確かに俺にはやってませんね。でもオムライスにはやってるじゃないですか!」
俺は自分のオムライスに指差して言う。証拠はここにあるのだ。
しかし、それでも陽乃さんは小首を傾げて
「私はただオムライスにケチャップでみんなの名前書いただけだよ?」
「だったら、なんで小町と陽乃さんのは名前なのに、俺だけ『シスコン』なんですか⁉︎ しかも無駄に達筆だし……」
「無駄とは失礼な」
「とにかく! なんで俺だけ『シスコン』なんですか⁉︎ これじゃあ、俺の名前がシスコンみたいじゃないですか。俺にはちゃんと親から授けられた『八幡』っていう立派な……り、立派な、な、名前があるんですよ?」
「お兄ちゃん、そこはもっと自信を持って言おうよ」
小町は呆れた様子で言ってくるが、八月八日に産まれたから『
「小町ちゃんの言う通り自信持って言おうよ八幡くん! 私は『八幡』って名前、いいと思うよ!」
「は、陽乃さんっ……」
やばい、なんか泣けそう。初めてだ、俺の名前を変とか思わないでくれた人は……。嬉しくてオムライスの上の字のことなんかちっぽけでどうでもよ──
「犬みたいで可愛いじゃない♪」
──くはねぇわ、むしろ問題大アリだったわ! この人、忠犬ハチ公のこと考えたわ絶対。もう、目がそう言ってるもん。 俺のオムライスだけでなく名前まで忠犬ハチ公だと弄るとは。前から思ってたけど、上げてから落とすとかホント陽乃さんいい性格してるわマジで。
◇
場所が変わって自室。
俺は今、あるものを探していた。
夕食中、オムライス事件(俺命名)の真相をさらに陽乃に問い詰めようとした俺を待っていたのは小町の『明日のお弁当にトマト丸々一個いれるから』という死の宣告であった。その一言で事件は有耶無耶にされ、明日の未来は絶望に染まった。
いくら愛妹弁当だろうと、トマトは嫌いだ。トマトを食べ物という概念に入れてはいけないと思うぐらいに嫌いだ。あの口に含んだ時のぐちゅぐちゅ感さえなければ、まだ我慢して食える。それなのに『丸々一個』ってのはしんどいものがある。
だから、明日の弁当のことを考えないようにオムライスを口に頬張っていたら、陽乃さんが俺に話を振ってきた。
『奉仕部で何か依頼あった?』
そういうわけで、材木座の依頼に興味を持った陽乃さんが読みたいと言い出してきたので、俺は夕食後、自分の部屋で小説の原稿を探していた。
俺の部屋はベッド、勉強机、クローゼットに本棚と至ってシンプルなものだ。
俺が今探しているのは、今日渡されたラノベの原稿とはまた違うものだ。それは材木座が初めて俺に渡してきた小説の原稿だ。あれがかなり面白くて、ぜひ陽乃さんにも読んでもらいたい。
一通り探してはみたものの、なかなか見つからない。もちろんベッドの下も探した。何もなかった。
とりあえず、もう一度、一番怪しそうな机の中を調べてみる。もしかしたら奥底に埋まってるかもしれないからな。
結果的に言うと小説の原稿はあった。多少、
だが、目的のものの他にも見つけてしまったモノがある。
「……これ、どうしようか」
俺の手には二冊のノートがある。
一つは黒いノートで、もう一つは青いノート。その二冊の表紙にはそれぞれこう書かれてある。
『神界日記』『政府報告書』と。
「…………」
中二感しか
自分には何か秘められた力があってそれがある日突然目覚めて世界の存亡をかけた戦いに巻き込まれるんじゃないかと布団の中で想像し、
「俺は何も見ていない、俺は何も見ていない、俺は何も見ていない、俺は……」
そう何度も繰り返し、暗示をかけるように俺は二冊のノートを机の中の奥底へ押し込んだ。
「よし」
目的のものをゲットできたのでリビングへ戻るとしよう。その頃には先に陽乃さんに渡しといたラノベの原稿もある程度は読み終えているだろう。
俺もまだ読んでない。
先程まで『トマト』のことで暗くなった心も、今は光が射したように明るくなっていた。
次はどんな物語だろうな、と思いを馳せて部屋を出た。
「おかえりー」
リビングへ戻ると、制服からラフな恰好へと変わっている小町はそう言って手に持っていたコーヒーを俺に渡してきた。
「おー、サンキュ」
「これから読むんでしょ? だから。あとこれ、お義姉ちゃんにも渡してきて!」
小町はもう一つコーヒーを俺に渡してくる。さすがに片手でコーヒーカップ二つはきついので、小説の原稿を脇に挟み両手で持った。
本を読む時のお供はやっぱりコーヒーだよな。それがわかってるとか流石俺の妹。
そんな妹にさっきから気になっていたことを聞いてみる。
「なぁ小町。陽乃さんのこと無理してお義姉ちゃんなんて呼ばなくてもいいんだぞ?」
「無理なんかしてないよ。小町がそう呼びたいから呼んでるだけ。だって、お兄ちゃんのこと友達って言ってくれる人だよ? それにお兄ちゃんあの事故に遭ってからも頻繁に遊んでるって聞いたし」
「別に、頻繁にあの人と遊んでるわけじゃねぇよ。ていうか、遊んでないし」
だいたいアレを『遊び』とは呼ばない。荷物持ちだとか訓練と言った方がしっくりとくる。
「とにかく! 今も関係が続いてるんだから、小町の未来のお義姉ちゃんになるかもしれないでしょー? だから、そうなった時のために陽乃さんのことお義姉ちゃんと呼んでるのだ!」
小町はビシッと立てた人差し指を目の前に突き立て、ニヤニヤとは笑った。
「アホかお前」
両手が塞がってなかったら、その指曲げてやりたい。
「まぁ、そういうことだから後は若いお二人さんで仲良くしてくださいな。小町はお邪魔にならないように部屋で勉強してきまーす」
言いたいだけ言って微笑む小町はドアの前まで行き、くるっと振り返った。
「お兄ちゃんとお義姉ちゃんの仲を深めさせようと気を利かせる妹。……今の小町的にポイント高い?」
「どうせ気を利かせるんなら、俺の明日の弁当に気を利かせてくんね? トマトを入れないとか」
「それは、ダーメっ♪」
「……さいですか」
舌をぺろっと出して否定する小町にキュンときてしまったのは俺だけの秘密。
『妹だけど愛さえあれば関係ないよねっ』
そんなフレーズがふと頭に浮かんだ俺はダメだ。主に頭が。
「それじゃあ、お兄ちゃん頑張ってね〜」
そう言って小町は自室へ向かっていった。
俺はそれを見送ると、ため息が零れた。
「未来のお義姉ちゃん、ね……」
誰にも聞こえないように小さく呟く。
さっきまでのやりとりが聞こえてただろう陽乃さんはどう思ってるだろうか。
俺と陽乃さんの関係は『友達』だ。今現在の話でだが。この先、この関係が発展するか衰退するかなんて知る由もない。
もちろん衰退なんかしないでほしい。
でもそれ以上に、今の俺と陽乃さんの『友達』という関係が発展してほしくないと思っている自分が存在する。
何故かは、わからない。
考えれば考えるほど、その答えが暗闇に
「今、考えても仕方ないか……」
多分その時になったらわかることだろう、と俺はそう結論付けた。
次回で材木座編は終わり。
かなり長い。
妄想を膨らませると、ついどうでもいい事まで書いてしまう。
次回はアレだ。八幡と陽乃さんが材木座の小説を読むところです。
9月中に更新できるんでよろしくお願いします。
読者が増えると嬉しいです。