この素晴らしい世界にもっと祝福を!   作:部屋長

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この友達以上恋人未満の関係でイチャイチャを!(2)

 

 めぐみんと一悶着あってから少しして。めぐみんが無駄に積極的だったこともあって、俺は完全に疲弊していた。

 だけど、このままロリっ子にやられっぱなしはさすがに情けない。勝負はここから俺のターンだ。

 

「んじゃ、帰るか」

「そうですね。まだ動けそうにないので、いつものお願いしてもいいですか?」

「おんぶは疲れるから嫌だぞ。だからドレインタッチな」

「あ、どうも。……あれ?」

 

 俺がドレインタッチを終えると、不思議そうな顔をして首を傾げるめぐみん。

 ふっ、俺の反撃はもう始まってるんだ。傍から見ればただの地味な嫌がらせにしか見えないけど。

 

「普段は普通に歩くことができるんですが、何だか今日は立ってるだけでふらふらしますね」

「そうか? まあ一応歩けるならそれでもいいだろ。帰ろうぜ」

「……? は、はぁ、そうですね」

 

 めぐみんが訝しげな視線を向けてきたが気にしない。なるべく悟られないようにしなくては。

 街に着く頃には、めぐみんは疲労からか少しだけ息が荒くなっていた。

 

「カ、カズマ、歩くのが少し早いんですが」

「ん? そうか? これでもめぐみんに合わせてるつもりなんだけどな」

「そうは言っても、今日はなぜかいつもより力が入らないので……」

 

 よしよし、いい感じにへばってくれて良かった。ならチャンスは今しかないな。

 

「じゃあ手、こっちに出してくれないか?」

「はい? こ、こうですか?」

「そうそう。んで、これで少しは楽になるだろ」

 

 そう言い、俺はめぐみんの手をぎゅっと握ってやった。

 これが単純すぎるけど俺の考えていた計画だ。普段より弱めにドレインタッチをしたから、めぐみんが途中で疲れるのは分かってたしな。それで、その疲れためぐみんに対してさり気なく手を繋いでやるという完璧な流れだ。

 これにはさすがのめぐみんも頬をうっすらと赤らめる。繋いだ手に力を入れたり入れなかったりと落ち着かない様子だ。

 

「は、はい……そうですけど……。でも、その、街のみんなに見られてしまいます……」

「別に今さら見られてもどうってことないだろ」

「……確かにそうですね。でも私は、その、手を繋ぐだけだとまだ安定しないので……」

 

 少しだけ恥ずかしそうに呟きながら、めぐみんは手を繋いだまま俺の腕にぎゅっと抱きついてくる。

 

「い、いや、どう考えてもこれのが疲れるだろ。歩きづらいし」

「そうですか? 私はこの方が好きですけど。カズマとこんなにくっついていられるのは嬉しいですし」

「そ、そうか。いや、まぁ、お前がいいならいいんだけどよ」

 

 何でこいつは毎回俺の想像の斜め上をいくのだろうか。腕に抱きつかれるのはさすがに恥ずかしいんだけど。

 周りからの視線がやけに刺さるが、別に俺は悪いことしてないから気にしない。……大丈夫だよな?

 

「ふふ、こういうカズマもちょっといいですね」

「は? どういう意味だ?」

「いえ、まさかカズマから手を繋いでくれるとは思っていなかったので」

「そりゃこういうのは普通男からするもんだろ」

「肝心なときにヘタレなのによくそんなこと言えますね」

「おっ? お前今の状況でよくそんなこと言えたな」

「ちょっ、ドレインタッチをするのはずるいですよ! 歩けなくなってしまいますから! え、いや、あっ、本当に、やめっ、やめろぉ!」

 

 めぐみんが歩けなくなるギリギリまで体力を奪い取ってやった。

 

××××××

 

 めぐみんと色々とわちゃわちゃしてから帰宅後。帰宅途中でめぐみんとふざけすぎたせいで更に疲れてしまった。

 俺の腕に抱きつくというより、しがみついてたって表現のが正しかったなあれは。途中からドキドキより苦痛のが上回ったぞ。

 

「おーい、帰ったぞー……あれ? 何で誰もいないんだ?」

「確かダクネスは家の用事があると言っていましたよ。アクアは多分どこかで遊んでいるでしょうね」

「へー、そうなのか。ララティーナも大変だな」

「本人にそれ言ったら怒られますよ」

「お、そうだな」

 

 帰宅後の何気ないめぐみんと俺の会話なんだが、こいつ今玄関でぶっ倒れるんだよな。

 

「おい、そんなとこで寝てたら汚れるぞ」

「カズマのせいじゃないですか。もう歩けませんので連れてってください」

 

 むーっと頬を少し膨らませて、いじけたように呟くめぐみん。いや、俺が悪いみたいに言ってるけど、お前が俺のことヘタレって言わなきゃ良かっただけだからな。

 ……あ、でもそれなら試したいこともあったしちょうどいいな。レベルも大分上がって筋力もそれなりに上がったはずだし多分余裕で出来るだろ。

 

「よいしょっ」

「ひぁっ!? え、な、ななな、何をしてるんですか!?」

「え、何ってそりゃ分かるだろ。お姫様抱っこだよ」

 

 うん、意外といけるもんだな。めぐみんが軽いからってのもあるだろうけど。

 

「あ、まださっきのゲームは続いてたんですね。そうじゃなきゃカズマはこんなことしてきませんし」

「でもこれは中々良いんじゃないか? めぐみんがして欲しいならいつでもしてやっていいんだぞ?」

「いえ、カズマにこういうことは似合わないので別に大丈夫です」

 

 このまま床に落としていいかなこいつ。いや、似合わないのは俺も知ってるけど。

 ……まぁ、普通にしてるつもりだけど顔真っ赤にしてるめぐみんが見れたしいいか。何でそんなに熱っぽい視線向けて来てるんですかね。期待されても困るんだけど。

 とりあえずソファーまでめぐみんを連れていき座らせる。隣に座ると、めぐみんは俺の肩に頭を乗せてきた。

 

「ち、近いんだけど。少しだけ離れてくれないか?」

「え、嫌ですけど。私はもう動けませんので、今日はカズマから離れませんから」

「じゃあドレインタッチしてやるからさ」

「いえ、それも大丈夫です。あれ? カズマ、どうしたんですか? もしかして恥ずかしいんですか?」

 

 顔は見えないが、からかうような声音で言ってくるのできっと腹立つ表情をしているんだろう。

 

「そりゃ多少はな。お前は恥ずかしくないのか?」

「さぁ、どうでしょうね。自分でもよく分かりません」

 

 どういうことだよ……と呆れていると、めぐみんは「でも」と付け足す。

 

「カズマとこうしていられるのは、幸せだってことは分かります」

「うぐ……」

「……私は、カズマとずっとこうしていたいです」

 

 嬉しさが混じった穏やかな声音でそう言うと、めぐみんはぎゅっと俺の手を握ってくる。

 

「お前、ほんとやりたい放題だな……」

「いや、本当ならもっとしたいくらいですよ? でも、どこかのヘタレさんが言葉では中々伝えてくれないので、普段は我慢ばかりなんですけど」

「ヘタレで悪かったな」

「いえ、そういうところも好きですからいいんですけどね」

 

 そう言い、めぐみんはくすりと笑みを浮かべる。その表情に思わず見惚れてしまい、俺はすぐに顔を逸らした。

 めぐみんの手が熱いのか、俺の手が熱いのかはよく分からなかった。

 気づけば、繋がれた手は指を絡めるように繋ぐようになっていて。

 

「あ……、ふふ……カズマ、カズマ……」

 

 何かもう、めぐみん相手にこういうことを仕掛けても勝てる気がしないな……。

 ……可愛すぎだろ、ほんとに。

 




もう早い所だと明日には2期の放送ですね。楽しみすぎて書かずにはいられませんでした。
アニメがどこまで進むかは分かりませんが、私はめぐみんが可愛ければもう満足です……(๑´ω`๑)

ではでは今回もお読みいただきありがとうございました!

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