詳しくはキャプションに書いてあります。
この友達以上恋人未満の関係でイチャイチャを!(1)
「『エクスプロージョン』ッ!」
その声と同時に、平原に一筋の閃光が走り抜ける。あとはどーんって爆発した。以上。
うん、一言で言うとめっちゃうるさい。何で朝からこんなことに付き合わなきゃいけないんだ。
「ふへっ……今日の爆裂魔法はどうでしたか?」
「んー、まあまあ。60点」
「ぐっ、何だか最近のカズマの採点は厳しい気がします」
「いや、お前はやっぱモンスター相手にしてるときが一番すごいからな。ただ平原にぶっぱなしてクレーター作るだけだと迫力に欠ける」
「なるほど……なら明日は強いモンスターを討伐しに行きましょう! 久しぶりに見せてあげますよ、カズマがびっくりするような爆裂魔法を!」
そんな地面に寝そべりながら言われても全然カッコよくないんだが。
……何ていうか、どうして俺とめぐみんじゃこうも色気のない展開にしかならないのだろうか。
せっかく二人きりなのに一年前と何一つ変わってないんだけど。
「いや、面倒だしいいよそんなの」
「おい、爆裂魔法をそんなの扱いするのは止めてもらおうか」
「はいはい、悪かったよ。立てるか?」
「いえ、無理です。お願いしていいですか?」
「おう」
倒れているめぐみんの身体を抱えて、とりあえず座らせる。
「あー、ほら。顔に土ついてるぞ」
「んっ……あ、ありがとうございます……」
土を取るために頬に触れると、めぐみんはくすぐったそうに目を細める。何だか猫みたいだ。
ていうか、座らせたのはいいけどふらふらしていて今にも後ろにそのまま倒れそうなんだけど。
あ、いいこと思いついた。
「よいしょ」
「ひゃっ! カ、カズマ!? いきなり何してるんですか!?」
「いや、めぐみんが今にも後ろに倒れそうだったから、俺が支えてやろうと思って」
俺はめぐみんの後ろに座って、座椅子替わりになってあげることにした。めぐみんは俺が足を広げて座っているので股座の間にすっぽり収まっている状態だ。
「な、何だか今日のカズマは変です! そ、それに恥ずかしいんで腰に手を回すのはやめてくれませんか」
「そんなに嫌か?」
「い、嫌じゃないですけど、その、急にそんなことされたら困ります」
おお、めぐみんがこんなしおらしい反応するなんて珍しいな。
「まあたまにはいいじゃん。おぶって帰るの面倒だし歩けるようになるまではこのままな。近くにモンスターもいないし大丈夫だろ」
「なっ!? このままずっと抱きしめられてろと言うんですか!」
「そうそう。いつも付き合ってやってるんだしたまには俺にも付き合ってくれよ。おー、よしよし」
「きゅ、急に頭を撫でるのはやめてもらおうか! ちょっ、ほ、ほんとに、や、やめ、やめろぉ……」
撫で続けると、次第にめぐみんの声音が蕩けていく。顔を見てみると、赤くなった頬をだらしなく緩ませていた。
……何ていうか、思ったより可愛いな。いつもはめぐみんにやられてばっかで気づかなかったけど、こいつもしかして攻められると弱いのか?
「ほ、本当に今日のカズマはどうしてしまったんですか? 何だか心配です」
「いや、最近お前にしてやられてばっかりだったからたまには俺も反撃しようかなと」
「私はカズマみたいに身体に触ったりなんてしていないのですが」
「いや、気づいてないだけで意外とあるからな? 距離感とかやけに近いし」
そもそも好きだって言われてるのに何の進展もしてないのが一番おかしいんだよな。まぁ俺から何もしないのが悪いってのも薄々気づいてはいたけど。
「そ、それでも今までこんなことされたことはないですし、こういうことはもっと落ち着いたときのが嬉しいんですけど……」
「あー、まぁ一理あるな。じゃあこういうのはどうだ? どっちが先に我慢できなくなるかってゲーム」
「はい? 何ですかそのセンスのない名前のゲームは」
「センスのなさだけはお前に言われたくねぇよ」
刀にちゅんちゅん丸って名づける奴にセンス云々について言われたくない。そもそもお前の名前が既に変だろうに。
まぁ、今回は黙っておいてやろう。ここで反論するといつも通りになっちゃうし。
「簡単に言っちまえばあれだ。俺とめぐみんで今みたいにいつもとは違うことをして、どっちが先に我慢できなくなるか勝負するってことだ」
「堂々と言ったつもりでしょうけど、途中で声が裏返ってましたよ。変なことする気満々じゃないですか」
「う、うるせぇ! お前が普段から俺に平然と好きとか言ってくるせいでどうすればいいか分からねーんだよ!」
「……はぁ。まぁいいですよ。カズマにはいつもお世話になってますし、たまには私からも遊んであげます」
何で年下にこんな仕方ないなーって顔されてるんだ俺は。よし、意地でもこいつのこの余裕そうな顔をどうにかしてやる。
「えっと、ゲーム名はともかくとして、要は私がカズマのことをメロメロにすればいいんですよね?」
「そういうことになるな」
「ではさっそくいいですか? ゲームはもう始まってるんですよね?」
「お、おう。何でもこいよ」
言うと、めぐみんはのそのそと動いて身体ごとこちらに向けきて、紅い瞳で俺の顔をじっと見つめてきた。
「な、何だよ。今さら見つめられるくらいじゃ俺は動揺なんてしないぞ」
「いえ、そうではなくてですね」
めぐみんは何ともないような表情で、首に両手を回してきてぎゅっと抱きしめてくる。
そして、ふふっと嬉しそうな声を漏らして。
「んっ……まずはこのくらいで終わらせといてあげますよ」
その妙に大人びた声音と、頬に触れた柔らかい感触に、俺はさっそくやられて……やられてはいない。日頃からサキュバスサービスで鍛えてる俺に取ってこのくらいは余裕だ。
「ハッ、こ、このくらいどうってことないぞ! 頬にキスくらいなら今までだってされたことあるし!」
「……は? え、ちょっと、どういうことですか! 一体どこの誰ですか、人の男に勝手に手を出した女は!」
「ちょ、ゆ、揺らすな! 秘密だ秘密!」
「なっ!? そこで隠すってことは私の知っている女ということですね!?」
どんだけ慌ててんだこいつは。それこそ頬にキスされただけなのにな。
ていうか、これはチャンスなんじゃ……?
「お、どうしためぐみん。俺が他の女に取られるのが我慢できないならもっと色々してきてもいいんだぞ?」
「この男、自分がモテていると勘違いして調子に乗っています! でも、確かに今回でカズマを私の虜にしてしまえば今後そういうことも……な、ならチャンスは今しか……」
めぐみんは小声でぶつぶつ言ったかと思うと、唐突にとろんと蕩けたような表情で甘えるように抱きついてくる。
「ふふ、カズマぁ……」
「な、何だよ。耳元で喋られるとくすぐったいんだけど」
「ふふ、そういう勝負なんですからしょうがないですよ。もっとぎゅってしてあげましょうか?」
「いや、その貧相な身体で抱きつかれても正直何とも……ご、ごめんな……」
ぽんぽんと頭を撫でてやると、めぐみんは抱きつくのをやめてむすっとした表情で見つめてくる。
「……好きな人に勇気を出して抱きついたんですよ? そんなひどいこと言われたらさすがの私も傷つきます」
「ぐ……」
「あ……好きです、大好きです……」
「や、やめろって。俺が好きって言葉に反応したからって連呼するなよ。どう考えたってそれは最終手段だろ……」
今の俺の顔はおそらく真っ赤になっているだろう。好きなんて言葉は聞き慣れてないからこればかりはしょうがない。
そんな俺を見て、めぐみんは頬を朱に染めて俺に顔を近づけてくる。
「カズマ……」
「め、めぐみん……?」
こ、こいつ正気か? え、ちょ、本当にそんなことされたら外なのに完全に理性飛ぶぞ?
それでもめぐみんは俺に顔を近づけてくる。自然とめぐみんの艶のある唇に目が引き寄せられた。
ほ、本当に、俺はめぐみんと──。
「ふふ、今回はここでお預けです」
「は……?」
「カズマが我慢できないって言うならしてあげても構いませんけどね。こんなに動揺したカズマを見るのは久々でしたので楽しかったですよ」
私の方が一枚上手ですねと言わんばかりに、めぐみんがくすりと微笑む。
こ、こいつ……! ロリっ子相手に完全に手玉に取られてしまった。恥ずかし過ぎてめぐみんの顔見れないんだけど……。
ち、畜生。絶対俺からだって反撃してやるからな……!
あけましておめでとうございます。めぐみん√もひたすらイチャイチャするだけなので可愛く書けるように頑張ります!
とりあえずこれからはアイリス√とめぐみん√を同時進行で書き進めようと思います。ある程度書き終えたら他のヒロインも書き始める予定です。
ではでは今回もお読みいただきありがとうございました!