ポケットモンスターSPECIAL 新約 ブラック2ホワイト2編 作:ナタタク
「テッシード、ジャイロボール!!」
「くぅ…冷凍ビームで受け止めろ!」
先ほどまでの鈍重さが嘘みたいに、高速回転しながら突っ込んでくるテッシードをミジュマルが冷凍ビームをぶつけることでその勢いを少しでも弱めようとする。
だが、動きの鈍いポケモンであればあるほどスピードと攻撃力が増すジャイロボールの前では焼け石に水で、腹部に強烈な一撃を受ける。
「くそ…!鋼タイプの威力を半減させる水タイプでもこれだけ重い一撃が…!」
「確かにタイプの相性も大事だろうけどよ、技の効果や特性とかでほかにもやりようがあるんだよ!」
強烈な一撃で、動きが鈍くなったミジュマルに向けてさらにダメ押しの10万ボルトが襲う。
効果抜群の電気をたっぷりと浴びてしまい、その影響でミジュマルの体にしびれが発生する。
仮にテッシードが特攻の高い種族であった場合、これで敗北が決まっていたかもしれない。
「どうした?この程度でバテてんじゃあねえだろーな?」
「バテてないよ…。知ってるだろう?ミジュマルの特性を…」
大きなダメージを負ったミジュマルが青いオーラをまとい、じっとテッシードを見ている。
「おっしゃああ!!ここで漁夫の利ってなぁ!!」
対峙する2人に対して、空気の読めないとあるスキンヘッドのトレーナーがジュゴンで割って入り、2体をオーロラビームで倒そうとしている。
「「邪魔(だ)!!」」
ミジュマルの激流によってパワーアップした水鉄砲とテッシードのジャイロボールでジュゴンが挟み込まれ、一撃でKOとなる。
そして、戦闘不能となったジュゴンを無視して、ミジュマルとテッシードが冷凍ビームや10万ボルトなどで技の応酬を演じる。
10数分が経過し、周囲にいるトレーナーの多くが敗北によってその場を後にする中で、ボロボロになったミジュマルとテッシードが対峙する。
「(動きが弱まった今なら…!)ミジュマル、水鉄砲!!」
ラクツの指示を受けたミジュマルがテッシードに水鉄砲を放つ。
ジャイロボールを放つための力が尽きたテッシードは甘んじてそれを受けることになるが、持ち前の防御力で持ちこたえる。
「そんなもので!!テッシード、10万ボルト!!」
「冷凍ビーム!!」
10万ボルトよりも先に、冷凍ビームがはなたれ、水鉄砲で全身が水浸しとなっているテッシードの全身が凍っていく。
「なに!?しま…!!」
ラクツのたくらみに気づいたヒュウだが、もう遅かった。
氷漬けになったテッシードは途端に息苦しくなっていき、そのまま窒息で戦闘不能となった。
ヒュウがボールのビームを氷漬けのテッシードに当てると、氷が砕けてテッシード自身のみがボールに戻っていった。
「くそ…テッシードの呼吸の弱点をつかまれるなんてな」
テッシードは全身を棘と鋼で包まれたポケモンで、口や鼻がない。
そのため、呼吸は棘からの光合成によって補っている。
サボテンの場合は体全体で光合成することができるが、テッシードは鋼で身を覆ったために棘だけでしか光合成ができなくなった。
だから、このように氷漬けとなって光合成ができなくなると、このように自滅してしまう。
最も、ナットレイに進化すると頭部に3本のツタができて、そこでも光合成できるようになり、氷漬けになってもそのツタと進化によるパワーアップで自ら氷を砕くことができるようになるため、先ほどの戦術では時間稼ぎにしかならなくなるが。
「ヒュウ…」
「何も言うなよ、ラクツ。話はあとで聞く、つっただろ」
そういって、せなかを思いっきり手のひらでたたいた後でヒュウは退場する。
勝利はしたものの、まだトレーナーは何人か残っており、ミジュマルも消耗が激しい。
「あとは…短期決戦で…!!」
次に襲い掛かってくるダグトリオを水鉄砲で倒したミジュマルに今度はエレブーが襲い掛かっていた。
「ヒュウ…君?でいいんだっけ?」
「まあな…。まさか、同じく行方不明になってたあんたまで一緒にいるなんてな」
空いている席に座り、ラクツのバトルを観戦する。
「ったく、心配させやがって…」
憎まれ口をたたきつつも、表情は怒っているようには見えず、それを見たファイツは一安心した。
しかし、ヒュウを見たことでファイツはあることを思い出す。
「トレーナーズスクールのみんなは…?」
「みんな無事。国際警察が追い払ってくれた。なんでピンポイントでトレーナーズスクールを襲ったのかはわからねーけどな…。ちっ、あのクズ野郎どもが…」
しゃべっているヒュウの両拳に強く力が入っている。
クズ野郎ども、と形容するほどにプラズマ団を憎んでいるのを見ると、とてもあのトレーナーズスクールのことだけでプラズマ団に怒りを抱いているとは思えなかった。
それ以前に、より大きな出来事が彼のプラズマ団への憎悪を生み出しているようにファイツには見えた。
「よし…これで最後だ!!水鉄砲!!」
草結びで両腕と両足の動きを封じられたエレブーに向けて、ミジュマルが最後の水鉄砲を放つ。
激流でパワーアップした水鉄砲の一撃を受けたエレブーが戦闘不能となり、同時にホミカによる演奏も終了する。
「よぉ、あんたが生き残りか…」
ステージから飛び降り、マイクを手にしたままホミカがラクツの前に立つ。
「ええ…そのようで…」
「面白いバトルを見せてくれたじゃねーか!」
そういって、ホミカは回復の薬とピーピーマックスをラクツに向けて投げる。
それらを受け取ると、それでミジュマルの治療を行う。
「今回はあんたが一番あたしのハートを燃え上がらせた!だから…1VS1のジム戦をしようぜ!!」
指をさして宣戦布告すると同時に、再びバンドメンバーが演奏をはじめ、客席からは歓声が広がる。
ホミカもぶら下げているベースを演奏し、更に会場を盛り上がらせる。
「さあ、バトル開始だぁ!!」
演奏しながら、ボールを蹴り飛ばす。
そのボールからペンドラーが飛び出した。
(ペンドラー…!?厄介な!)
「さあ、最高のステージにしてやろうじゃねーか、ペンドラー!!毒針ぃ!!」
ペンドラーがタイヤのように丸くなり、猛スピードで回転しながら背中から出てくる毒針を次々と発射する。
「まずい…水鉄砲!!」
毒針のスピードを見て、ミジュマルの足では回避できないと判断すると、水鉄砲で毒針を撃ち落としていく。
だが、ペンドラーは水鉄砲をそのまま受け止めながら突撃し、そのまま至近距離から毒針を打ち込みながら体当たりする。
「そんなヘナチョコ攻撃で、ペンドラーの突撃は止められねーぞ!!」
ホミカの戦術は毒とペンドラーのスピードを生かした突撃だ。
ひとたび毒を受けたら、どんどん体力が奪われていき、次第にペンドラーの突撃に対応できなくなっていく。
現に、ミジュマルはこの突撃によるダメージだけでなく、毒針のせいで毒状態にもなってしまっている。
ミジュマルの体力を考えて、10分以上戦闘が続いたら、詰みとなってしまう。
「ミジュマル、冷凍ビーム!!」
せめて氷漬けにして、動きを止めようとたくらむが、ペンドラーは飛び跳ねたり急激な方向転換を繰り返しながら回転を続け、冷凍ビームを回避していく。
「くそ…なんて変態機動を…!」
「賞賛の言葉として受け取っておくぜぇ!ペンドラー、ベノムショック!!」
回転するペンドラーがジャンプをし、体を元に戻して紫色の毒の液体を発射する。
「避けろ、ミジュマル!」
体に刺さった毒針を抜いたミジュマルは水鉄砲を真下に撃ち、自身を打ち上げてベノムショックを回避する。
だが、羽や翼のないミジュマルでは空中で身動きを取ることができない。
「そんなところで!!ペンドラー、ハードローラーだッ!!」
まるで某吸血鬼の質量攻撃と同じイントネーションで命令し、ペンドラーは再び体を丸めて回転する。
フィールドにできているわずかな段差を利用して飛んでいき、上空を舞うミジュマルに激突しようとする。
「ミジュマル!上へ水鉄砲!!」
ラクツの命令を受けたミジュマルが真上に水鉄砲を放ち、天井にそれが当たる。
「何をわからない動きを!!」
地面に向けて発射したときは至近距離であったため、真上へ飛ぶことができたが、今のミジュマルと天井にはある程度高低差がある。
同じような効果を発揮することができず、ハードローラーを受けて床に落下する。
天井に当たった水がそのまま真下に落ちていく。
「このままとどめをさせ、ペンドラー!!」
もはや策は必要ないと、ペンドラーがハードローラーを続行し、正面からミジュマルに迫る。
転倒していたミジュマルはゆっくり起き上がり、じっとペンドラーを見ていた。
「これで終わりだぁ!!」
「いや、終わりなのは…あなただ!」
「何!?あ…!!」
足元を見たホミカはハッとして、ラクツの狙いに気付く。
足元にはこれまでの水タイプの攻撃、そしてミジュマルの水鉄砲によって水が溜まっており、水たまりができている。
そして、ミジュマルの前にも大きな水たまりがある。
「水たまりに向けて冷凍ビームだ!」
冷凍ビームが水たまりに命中し、凍り付いていく。
そして、スキーのジャンプ台のような形の氷が出来上がる。
「く…とまれぇ、ペンドラー!」
「無駄だ!ここまでスピードが上がったペンドラーは急停止するには遅すぎる!」
ペンドラーがそのまま氷のジャンプ台に到達してしまい、そのままミジュマルの上を飛んでいく。
そして、そのまま壁に激突してしまい、元に戻ると同時に目を回して倒れてしまう。
「まさか…ペンドラーのスピードを利用して、テッシードの時のような自滅を…!?」
「相手を利用することも戦術の一つ。僕にバトルを教えてくれた人の教えだ」
ラクツ
出会ったポケモン(図鑑入手以降) 26匹
入手したポケモン 3匹
バッジ数 1
現在の使用ポケモン
・ミジュマル レベル18
技 水鉄砲 冷凍ビーム 草結び 燕返し
・ルカリオ レベル45(拘束により、能力はレベル15相当に低下)
技 波動弾(?) サイコキネシス インファイト(使用不能) シャドーボール(使用不能)
ファイツ
出会ったポケモン(図鑑入手以降)21匹
入手したポケモン 2匹
タマゲタケ レベル16
技 しびれ粉 キノコの胞子 メガドレイン がまん
ゾロア レベル26(親はN?)
技 だまし討ち 守る ひっかく 追い討ち