君の名はルパン   作:JALBAS

1 / 7
朝起きると、三葉はある男と体が入れ替わっています。しかも、その男とは年が全然離れています・・・更に、時間軸がずれています。本来は、その相手は瀧くんなのですが、このお話でのお相手は、世紀の大泥棒、ルパン三世です!




《 第一話 》

朝、目が覚めて、直ぐに体の異変に気付く・・・・何か、体が妙に軽い・・・・それと、胸のあたりが何か重い・・・・・・

目を開け、起き上がると・・・・なんだあ?俺の部屋じゃねえぞ・・・しかも・・・・これは、女の部屋じゃねえのか?・・・・昨夜は、夜這いなんてやってねえぞ・・・

と、胸のあたりを触ると、妙な感触が・・・おっほ~・・・き・・気持ちいい・・・でも、まだまだお子様だな、俺の相手じゃ・・・・・

「何しとんね?お姉ちゃん?自分の胸が、そんなに珍しいん?」

気が付くと、右手の襖が開いていて、そこにひとりの幼女が立っていた。

「お・・・お姉ちゃん?」

俺は、自分を指さして聞く。

「他に誰がおんねん!ご・は・ん!」

そう叫んで、幼女は乱暴に襖を閉めて、下に降りて行った。

お・・・俺がお姉ちゃん?何を言ってるんだ、あの幼女は?こんなおじさんをつかまえて・・・・・・

と、その時、目の前にある姿見に、俺の姿が映った

「な・・・なんだあ?」

お・・・女になってる・・・それも・・・高校生くらいじゃねえのか?ま・・・まさか、変装したまま眠っちまったか?

俺は、顔の皮をひっぱる・・・・

「いって~!」

自分の顔だ・・・胸だって、さっき触って、ちゃんと感触があった・・・・て、ことは・・・・ほ・・・本当に女になってる?

「お姉ちゃん、おそいっ!」

「おお・・・わりい、わりい・・・」

状況が分からないので、とりあえず壁に掛かってた制服を着て、下に降りた。しばらくは、この女を演じてみっか!その内、何か分かるだろう。

食卓に着くと、さっきの妹と、もうひとり婆さんが居る・・・・この家は、女だけの3人家族か?それも、父親と母親は居ないのか・・・・

朝飯を食べていると、テレビからニュースが流れてくる。

『1200年に一度という彗星の来訪が、いよいよ一月後に迫っています・・・・』

彗星?一月後?・・・・変だな?そんな話、知らねえぞ?

俺は、テレビの画面を見る。そこには“ティアマト彗星、1ヶ月後には肉眼でも”の文字が・・・・ティアマト?・・・待てよ、この言葉、どっかで・・・・・

「お姉ちゃん!はよう食べんと、学校遅れるよ!」

「あ・・ああ・・・わりい、わりい・・・」

「・・・何か、さっきら、言葉遣い変やよ・・・・」

いっけねえ・・・今は、女の子だった・・・・・

 

とりあえず、今は女子高生なので、学校に向かう。部屋にあった持ち物等から、今の俺は、“宮水三葉”という女の子になっている事は分かった。しかし、ここは日本のどの辺だ~?随分と田舎に飛ばされたもんだ・・・・

途中で妹と別れ、しばらくひとりで歩いていると・・・

「三葉ーっ!」

何か、後ろから、呼ぶ声がした。振り向くと、自転車に2人乗りした男女が、こっちに向かって来る。

「おはよう!三葉!」

「ああ、おはよう!」

一応、挨拶を返しておく。この娘の友達か?でも、名前がわかんねえな・・・・

「あら?三葉、その頭・・・どうしたん?」

女の方が、俺の髪を見て聞いて来る。何か、おかしいのか?長いから、部屋に置いてあった組紐で纏めただけだが・・・・

「いつもみたいに結ってないやん!」

「それじゃ、まるで侍みたいやな!」

侍?よせやい、五ェ門じゃあるまいし・・・・まあ、髪くらい、とぼけておけばいいか?

「いやあ、時間が無かったんで、うひひひひひひ・・・」

「な・・なんやの?その下品な笑い方・・・・」

あちゃ~!また、やっちまった・・・・

 

その後の会話で、男の方が“テッシー”、女の方が“早耶香”と呼ばれていた。俺も、そう呼んでおけばいいだろう・・・・

『 ――― そしてなによりも!』

突然、拡声器の野太い声が耳に飛び込んで来る。声のする方を見ると、町営駐車場の敷地内で、誰かが演説をしている。その男の上半身に、“現職・宮水としき”のたすきが掛かっている。更に、後ろには横断幕も掲げている。どうやら、町長選の演説のようだ・・・・宮水?・・・この娘と同じ苗字だな・・・・

「おう、宮水。」

その時、前に居て演説を見ていた高校生の男が、声をかけてきた。

「町長と土建屋は、仲がいいね、その子供たちも癒着しとるな。それ、親のいいつけでつるんどるの?」

その男の隣の女が言う。何やら、嫌味を言ってるみたいだが、意味が良く分かんねえな?ん?土建屋?

俺は、演説している男の横を見る。“勅使河原建設”と書かれたワゴン車の前に、同じ作業服を着た数人がいる。その連中は、“宮水としき応援団”と書かれたたすきをしている。

勅使河原 ― てしがわら ― てし ― テッシー・・・そうか!あの連中、この娘とテッシーの親か・・・・ん?この娘、父親は健在じゃねえか・・・・じゃあ、何で一緒に暮らして無いんだ?

 ―――― その時、演説をしている、宮水としきと目が合った・・・・だが、その目は、親が娘を見る目とは思えない、異様な殺気が感じられた・・・・何だ?この男は・・・・・

 

俺は、学校なんかまともに行った事がねえ。だから、初めての学園生活は、楽しいことばかり・・・・・なんてことは全然ねえ!・・・退屈だ、早く終わんねえかな~っ・・・・

「宮水さん!」

何て呆けてたら、指されちまった・・・・

「この問題、解いてみなさい!」

何だよ・・・ペナルティか?仕方ねえな・・・・・

俺は、前に出て、ものの数秒で黒板に回答を書く。

「せ・・正解です・・・宜しい・・・・戻りなさい・・・・」

俺は、済ました顔で席に戻る。周りからは、驚嘆の声があがっている・・・・

学校の問題なんて物は、最初から答えが用意されている。そんな物は、謎でも何でもねえ・・・・俺に問題を出すなら、答えを誰も知らない謎を持って来い!

「す・・すごいやない、三葉!」

席に戻ると、早耶香が感心して言ってくる。

「まあ、それ程でも・・あるかな?ふひひひひひひひ!」

「宮水さん!」

いっけね~、またやっちまった・・・・笑い声だけは、注意しないとな・・・・

 

夜は、八畳ほどの作業部屋で組紐作りをやった・・・・そんなの、やったこたあねえが、目の前で婆さんが同じ事をやっている。それを目で追い、真似て手を動かす。かちんかちんと、重り玉がぶつかり合い、糸が組まれていく・・・・慣れてくると、もうお手本が無くてもできるようになる・・・ふほほ、面白れえ!学校なんかより、こっちの方が何倍も面白れえや!

「お姉ちゃん?何、にやにやしてん?」

「ん?・・・ああ、何でもない、何でもない・・・・」

組紐作業が終わり、道具を片付けに裏手の宝物庫の方へ行く。何やら、入り組んだ構造になっており、適当に歩いていたら迷ってしまった。ふと、先が見えない長い廊下を見つけ、興味本位で奥まで進んでみる。すると、奥に扉が見えてくる。近づいてみると、大きな南京錠が掛けられて扉は閉ざされており、更に注連縄が掛けられている。

・・・・・何だ?この扉は?・・・この奥に、何があるんだ?・・・・・

「そこは、まだ、お前には早い。」

気が付くと、真後ろに婆さんが居た・・・・何だ?この婆さん、いつの間に・・・全く、気配を感じなかったような・・・・

「時が来たら話す・・・今は、忘れなや・・・」

そう言って、婆さんは行ってしまった。

 

 

 

「ん・・・んんっ・・・・・」

な・・・どこ?ここ・・・・・・

私は、見たこともない、部屋のベッドで目が覚める。もしかして・・・・これも夢?

ふと、体にも違和感を感じる。喉が妙に重い、視線を体に落としてみると・・・・胸が・・・無い?・・・逆に下半身には・・・・何かある?ええ~~っ?

そ・・それに・・・この格好何?ランニングにサルマタって・・・何で、こんなオジンくさい格好で寝てるの?

起き上がって、鏡を探す・・・・ようやく見つけて、覗き込む・・・・・

「ええ~っ?」

な・・何なの?この顔・・・頭は刈り上げで、ひょろ長い顔で・・・しかも、完全におじさん!・・・・どうせなら、もっと恰好いいイケメンに・・・・・

って、そうじゃなくて!何で、私が男に?・・・・・ん?・・・そういえば・・・この顔、どっかで見た事あるような・・・・

「おい!ルパン!」

突然、そう叫んで、髭面の帽子を深く被った男が、部屋に入って来た。

ルパン?・・・そ・・そうだ、この顔・・・新聞で何度も見た!ルパン・・・ルパン三世!

え~っ?わ・・私、ルパンになってるの?

「何呆けてるんだ!銭形だよ!急いでずらかるぞ!」

髭面の男がそう言うと、外から、パトカーのサイレンが聞こえてくる。

え?私が今、ルパンってことは・・・逮捕されちゃう?

「おい!何やってんだ、早くしろ!」

「う・・・うん!」

私は、慌てて服を着て、その男に付いて行く。裏口から出て、階段を駆け降り、裏の路地に停めてある車に乗り込む・・・・って・・・私、車の運転なんて、できないけど・・・・

「おい、何やってんだ!早く出せ!」

「え・・・えっと・・どうやって、動かせばええの?」

「はあ?何言ってんだ?お前・・・・」

「ルパ~ン!」

その時、背後から大声が聞こえる。狭い路地に、パトカーが突っ込んで来る。

「やべえ!銭形だ!」

そのパトカーは真っ直ぐこっちに、全く減速せずに突っ込んで来る。でも、私は、動かし方が分からないので硬直している。

「もう駄目だ!飛び降りろ!」

そう言って、髭面男は、車を飛び出す・・・・でも、私は、動けなかった・・・・

轟音と共に、パトカーは私の乗った車に衝突・・・・その衝撃で、私は車の外に放り出された・・・・・

「ルパ~ン!逮捕だあっ!」

茶色いコートを着た男が、パトカーから飛び出して来て、私を捕らえる。

私は、後ろ手に手錠を掛けられてしまう・・・・・

「はっはっはっ、とうとう逮捕したぞ!ルパ~ン!」

あ~ん・・・わ・・私、ルパンじゃ無いんですけど・・・・・

 

ルパンとなった三葉が、銭形に連行されていくのを、遠くのビルの屋上から、次元が首を傾げながら眺めていた。

「どうなってやがんだ?・・・変だぞ、ルパンの奴・・・・」

 

私は、拘束着に着替えさせられ、体の自由を封じられた状態で、独房に入れられていた。

すると、独房の扉にある小さな窓が開き、さっき、私を逮捕した男が顔を出す。

「ルパン、逃げようとしても無駄だぞ!わしが、徹夜で監視しているからな!」

「だ・・だから、私はルパンや無いって、言ってるでしょ!」

「馬鹿め!そんな古臭い手で、わしが騙せると思うか!」

そう言って、男は窓を閉めて行ってしまう。

え~ん!何なの?この夢・・・・お願いだから、早く覚めて~っ!

 






勢いで書いてしまいました。
三葉の入れ替わりの相手は、“同い年の東京のイケメン男性”のルールすらぶち壊してしまいました・・・・・・
でも、できるだけ、他の人が考えないような入れ替わりじゃないと面白くないし、自分が熟知しているアニメじゃないと、細かいセリフ回しやストーリー構成ができないので・・・・・
さて、ルパンになるやいなや、いきなり銭形警部に逮捕されてしまった、三葉の運命や如何に・・・・・

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。