古明地さとりは覚り妖怪である   作:鹿尾菜

29 / 248
depth.19人間とさとり妖怪 下

 

 

 

先手を取ったのは向こうだった。手負いの妖怪と舐めているのか霊力系の弾幕を大量に投与して来た。

普通の妖怪相手ならまずやらないような手だ。少なくとも弾幕は別の攻撃と組み合わせて使うのが基本…やっぱりなめられてる。

後ろに飛びのいて初撃を回避。次に来る弾幕を左右に避ける。

 

ある程度弾幕を躱し続けると唐突に攻撃がやんだ。

なかなか当たらないことにイラついたのでしょうか。相手の顔には青筋がいくつか浮いている。

 

何か叫んでいるようですが聞く気にならない。今の私はかなり怒っているのだ。

 

能力は使わないが手加減など一切しない。

さらに発射された弾幕を躱す為空に飛び上がる。

 

それを追いかけるように弾幕が鞭のように追いかける。無誘導の弾幕じゃそう簡単に当たるわけありませんよ。

 

相手はルーミアさんとこいしとも戦っている為か疲労がたまっているのだろう。

だんだんと余裕がなくなって来ている。

 

ようやく術者が隙を見せる。その瞬間を狙って急降下。相手の懐に突っ込む。

 

弾き飛ばされた術者がキレたのか腰につけていた妖刀を抜こうとする。

ですが無駄です。

 

腰に伸ばした手が空を切っているのに気づいて初めて動揺を見せる。

 

「探し物はこれですか?」

 

懐に突っ込んだ際に妖刀を回収しておいた。勿論こんなもの私は使うわけないのでその場で思いっきり力をかける。妖刀とはいえ所詮は刀。

あっさりと真っ二つに割れた。

 

なにやら怒り狂って叫んでいるようですが何言ってるのか理解できない…いや、理解する気が無いのでしょうね。

 

「反撃と行きますか…」

妖力で強化した足で地面を思いっきり蹴る。

体が一瞬音を置き去りにして術者の元へ迫る。

 

お腹に狙いを定めて強引に殴りつける。

 

何か固いものに当たったような音がした後今度はガラスの割れる音が響き術者が後ろに吹っ飛ぶ。

とっさの判断で結界を張ったようです。

ですがタイミングが合わず守りきれなかったようですね。

 

また何か喚いていますが無視。

 

再び接近し今度は二段蹴り。相手の顎を正確に狙う。

だが相手もそこまで鈍では無かった。

直ぐにお札と結界を利用し攻撃を防御して来た。

 

さらに攻撃を続行。

相手の脇を突こうと攻撃をすれば撃ち出された誘導弾幕が邪魔をし右に弾かれる。

逆に今度は向こうからの蹴り上げ。

後ろに体をそらし間一髪で回避、同時に大型の弾幕がゼロ距離で発射される。身体をひねって回避。

懐から刀を引き出す。鞘を弾き飛ばし思いっきり斬りかかる。

ガッと何かが剣を受け止める。

見ればそれはお札だった。

だがお札から霊力が剣のように伸びて刀を形成している。

 

刀とお札が打ち合い、霊力の乱れが特殊な光を生む。

互角な戦いが出来ているようで少しずつこちらが押されている。

く…やはり接近戦は辛いです。

 

相手が回し蹴りのフォームに入る。防御しようと腕をクロスさせた。だが、予想された方向とは別のところから衝撃が来る。

フェイントか!心が読めていれば分かったのに…

そこまでダメージは受けなかったが蹴りで刀を弾かれた。

 

 

同時にお札が複数枚周りにばら撒かれる。

それらが私の周りに舞い散り…爆発四散。

爆風を利用し相手との距離をとるが、お札の中に組み込まれていたであろう別の術式で形成された鋭い針が迫ってくる。

咄嗟に体を捻り被弾面積を最小限に抑える。

 

コートごと身体が引き裂かれ、吹き出た血が裂けた服を染めていく。だがそんなことよりさらに深刻な事態が発生した。

 

「あ…まずっ…」

 

コートで隠していたサードアイが裂け目から外に飛び出てしまった。

同時に周囲の声が一斉に私の中に侵入してくる。

酷い考えばかりで一瞬心が折れそうになる。正直折れたほうが楽かもしれない。

 

ふと見れば、あの術者の姿がない。

あたりを見回す。もう隠す場所の無くなったサードアイもフルで活用する。

 

後ろ?

蹴り…⁉︎くそっ!

緊急回避を試みるがそれより早くお腹に衝撃が走る。

内臓が押しつぶされそうになり少し遅れて体が後ろに弾き飛ばされる。

 

「お姉ちゃん!」

こいしがこっちに駆け寄って来ようとするがそれを手で止める。

ルーミアさんまで来ようとしないでください。あなたは動けないでしょ!

 

とか思っていたら木の幹に体を叩きつけられる。

鈍い痛みを堪えて立ち上がろうとするがそれより先に彼が思いっきり接近。なにをしようとしているのかを読むが体が反応する前に再び蹴りを入れられる。

 

「ほう…まさかさとり妖怪だったとは」

見上げれば術者が勝ち誇ったような下賤な笑みを浮かべてこちらを見下ろしていた。

 

「……何か文句でも?ああ、妖怪なら全部に文句があるようでしたねすいません」

 

「安い挑発には乗らんぞ」

 

上手く注意をそらせるかと思ったのですが…

そう思っていたのもつかの間、再び体が木に叩きつけられる。

地面にずり落ちそうになった体が何かに引っかかる。

 

「……左腕がっ!」

 

見れば左腕の傷口から下が結界により木に固定されていた。これでは動けない。

 

「そこでみていろ。化け物の退治は大事なものを消される苦しみを味わらせてからだ」

 

心まで同じことを考えて…最悪の人です…

いや、最低なのは元からか…

 

少し離れたところにいる二人にアイコンタクトを取る。

 

こいしは…動けないルーミアさんを庇って魔術結界を張っている。でも魔力がもう残ってないですから長くは持ちこたえられなさそうです。

 

助けに行こうとするが結界で木と固定された左腕のせいで体が動かない。

 

「く…こいし!」

 

さっきので吹き飛ばされた刀を探す。

 

刀は運良く私の足元に転がっていた。右足を使って刀の柄を弾く。

空中に舞った刀をまだ動く右手で掴む。そのまま持ち方を変えて刃の向きを調整する。

 

「…間に合って!」

結界で木に打ち付けられた左腕に刀を刺す。

痺れるような痛みが腕全体に走る。だがそれもすぐに収まった。

それ以降は左腕の感覚が無くなる。

 

刀を強引に引っ張り結界で固定された部分を切り離す。鮮血が飛び散り私の服を汚していくがそんなものに構っている暇はない。

 

悲鳴をあげる体を無理やり奮い立たせ術者に向けて突っ込む。ちょうどこいしが張っていた結界が壊されたところだった。妖力を展開した右手を握りしめ思いっきり殴りかかる。

 

 

「こいしに手を出すなあ‼︎」

 

何かが触れた感覚はあったが、手応えはない。どうやら躱されたみたいだ。

 

体の勢いを殺すことができずオーバーシュート。術者に背後を取られてしまう。

 

「腕だけでなく体ごと固定するべきだったな」

 

その声の直後、私に向けて巨大な弾幕が放たれる。どう見ても人間が使えるようなものではない。

現に彼も体の血管が浮き出て破裂している。

 

咄嗟に刀を放り投げる。

刃の先が弾幕に触れた瞬間、轟音とともに弾幕が炸裂。刀は粉砕してしまう。

 

 

「ゲホッ…!」

爆風で私の体が地面に叩きつけらる。肺が圧迫され呼吸困難に陥る。

だが休んでいる暇はない。

サードアイが素早く次の攻撃を読み警告を放つ。

 

「想起『テリブルスーヴニール』!」

身体を倒したままスペルを発動する。

昔、都で使った時のとは威力も精度も格段に上がっている。

当然このような弾幕に慣れていない術者は回避に専念。あっさりと術にハマる。

 

一見回避できるように見えて実は追い詰められている…スペルカードの恐ろしいところです。

 

仕上げのレーザーを撃ち込む。

あっさりと被弾し断末魔が響く。

 

「やったの⁉︎」

 

「いいえ、まだです」

 

一瞬こいしが期待してしまうがサードアイは正確に彼の思考を読み続けている。

 

それを読み取っていくたびに気持ち悪くなりそうなほどの嫌悪が私の脳内に流れる。

 

ズタボロで瀕死の状態にもかかわらず動いてくる。

 

「貴様らあああ!」

だいぶご立腹ですね。まあ格下と侮っていた相手に大事な妖刀を壊されここまで追い詰められればそうなるか…

 

あーもう…さっきのスペルで意識を刈り取ることができればよかったのに…それに相手が術者じゃ心を読んでトラウマというわけにもいきませんし…安易にあれは出来ないからなあ…

 

術者の腕に大型の術式が形成される。

サードアイがあの術式の内容を見て警報を鳴らす。

 

術者が何か叫んでいるようだがその声は術式から発せられる轟音でかき消される。

 

唐突に轟音の中から金色の鎖が出現した。

 

思わず回避しようとしたがそう言えばと思い直して振り返る。

ちょうどあの鎖の通過ルートにルーミアさんとこいしがいたのだ。

安易に回避することはできない。

 

 

 

「ダメええええええ‼︎」

 

誰の叫びだっただろうか…

 

それは誰にもわからない。気がつけば私はこいしを庇うように抱きしめていた。

同時にこいしが貼り直した結界の上にもう一枚結界を追加させ展開、守りの陣に入る。正直あれを防げるとは思っていない。でも、こいしは見殺しにできない。勿論私だって死にたくはない。最後まで抵抗はさせてもらう。

結界の外側に弾幕を展開させ乱射。鎖の迎撃を行う。

 

何発かは当たったようだがあれが衰える気配はない。

避難する時間すらないのだからあれを壊せる程度の量の弾幕など最初から撃てるわけないのだが…

 

おそらく来るであろう衝撃に耐えるために私はこいしを強く抱きしめた。

 

 

 

バッ……

 

 

 

 

だがいくら待っても衝撃は来ない。

嫌な予感がして目を開ける。

 

 

「ル、ルーミアさん…?」

 

目の前にはルーミアさんが倒れていた。身体中から黄色に光る火花が散っている。

それだけで全てを理解してしまった…彼女が、あの大怪我の状態から私たちを庇ってくれたの?

術者はルーミアさんが攻撃してくれたのか体の上半分が綺麗に消失し地面に赤い水たまりを作っていた。この場に静寂が訪れる。

でも状況が最悪なのには変わりない。それを理解した私は直ぐにルーミアさんに駆け寄って容態を見ようと右手を伸ばす。

 

「あぐっ⁉︎」

 

触れようとした瞬間右手に激痛が走り思わじ手を引っ込めてしまう。

右手の先から煙が出る。

 

「お姉ちゃん!こ…これ完全封印用の…」

完全封印…相手から力を奪い続け存在そのものをこの世から封印する強力な封印だ。一度行われれば二度と封印が解けることはない。魂自体が封印される為、輪廻転生や魂の移動なども出来ないと言う恐ろしいものだ。

 

それが今、ルーミアさんの体を蝕んでいる。

 

「ルーミアさん!しっかりして!」

私の呼びかけにかすかに体が動いた。まだ意識はあるみたいです。

 

「う…さとりか…いやー参ったわ…撃ち込んでから回避しようと……思ったら体がうなく…動かなかったわ……」

 

あんな傷で無茶するからじゃないですか!後傷に触るから喋っちゃダメ!

 

「無理ないでください。今どうにかこれを解除しますから!」

 

「……どうして、そこまで……するの?」

妖力をまとめ上げて封印を施している術式に流し込む。う…結構力を吸われますね。

 

思い出したかのようにルーミアさんが訪ねて来た。

 

「どうしてでしょうね……お節介といえばお節介ですし…お人好しと言えばお人好しなのでしょうね。ただ、このまま放っておいたらダメな気がして…」

 

私自身も何を言ってるのかわからなくなってくる。

それもそのはず、あまり深くまで考えて行動はしないから…強いて言えばただの偽善かもしれないですけどなにもしないよりは数倍増し。

そんな考えからなのでしょうかね。

 

「あはは……妖怪らしくないね…まるで人間みたい…」

 

「……」

 

人間みたい…ですか。妖怪としての心構えなんてものも無く人間として生きることすら出来ない中途半端な私達にはちょうどいい言葉かもしれませんね。

まあその中途半端な中にしか私達の生きる道が無いと言うのもまた事実なのですけどね。

 

急にルーミアさんから力が抜ける。

 

「…ルーミアさん?」

 

反応がない。まさか……

 

「どうしよう姉ちゃん!」

こいしも異常に気づいた。

 

「ルーミアさん!しっかりしてください!」

必死に呼びかけるがもう反応することすらできないのだろうか……

こいしも封印を破壊しようと妖力を流し込むが全く効果がない。

 

ここまで強い封印は流石にどうしようもない。私達じゃ食らった瞬間にこの世からおさらばするような強力なものだ。流石にルーミアさんクラスの妖怪だと直ぐに倒すのは無理だったのでしょうか。それでもこれだけの威力……

私の妖力で進行を妨害しようとしても全然効き目がない。このままでは完全に封印されて消えちゃいます。

 

「なんとかして封印を騙せれば…」

出来ないこともないのですがこれをやってしまえばルーミアさんはもう全てを忘れてしまう。それにすでに封印された部分はも

う戻せない。今残ってる僅かな妖力で生きて行くしかないのだ。

それはとても残酷なこと、力のない者を弱肉強食の世界に放り込むのと同じ…と言うかその言葉通りなんですけどね。

 

「まあ…迷ってる暇はないです。想起……」

 

切り裂かれたコートの隙間からサードアイがルーミアさんを見つめる。覚悟を決めて再びルーミアさんの額に手を乗せる。

その瞬間、手が焼け付くような痛みが走り思わず顔をしかめる。覚悟が揺らぎそうになる。

それでも私は能力を施行させる。

ルーミアさんの記憶が呼び起こされ、直後から封印の術式に吸い込まれて行く。

私と出会った時のもの、食事した時のもの、雪の中で遊んだりしたもの、こいしの相手をしてくれていたときのもの…

それら全ての記憶が封印されて消えて行く。記憶は新しいものの方が封印術相手には良い。

私達との記憶が…消えて行く。

「お姉ちゃん?な、何をしてるの?」

ルーミアさんの心から記憶が消えていくことに気づいたこいしが私の肩を揺らす。

 

「封印が完了したと騙すために記憶をごまかして封印してるのよ…肉体が消失しないようにするにはこれしか方法がなかった……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でもそれって……」

私はお姉ちゃんが取った方法に絶句していた。

そんなことをしたらルーミアさんに地獄を見せるのと大して変わらないじゃん!

 

「わかってるわ……」

 

ならなんでこんな残酷なことをと言いそうになって…やめた。

 

お姉ちゃんは…泣いていた。

今まで一度も泣いているところなんて見たことなかった……

同時に一瞬だけ…お姉ちゃんの心が伝わる。

私が生まれる前からずっと親しい仲だったルーミアさんを…こんな形でしか助けられない悔しさが滲み出ていた。

 

処置が終わったのかルーミアさんの身体の変化が止まる。

 

同時にお姉ちゃんがかざしていた右手がボロボロと崩れて消えていく。

「み、右手が…」

 

「ああ、封印の力に争い続けたせいですね…」

 

お姉ちゃん…両手が使えなくなっちゃった…どうしよう。私がもっとしっかりして入ればこんなことには…

 

「こいし……」

 

 

 

不意に私を温かいものが包み込む。

伏せていた顔を上げると両腕の無くなったお姉ちゃんが、それでも私のことを抱きしめてくれていた。

 

「お、お姉ちゃん…」

 

抱きしめられ触れ合ってるところから優しいぬくもりが伝わって来る。

 

「あなたは悪くないわ……ごめんね……しっかり守れるようにするから…」

 

心が読めなくても…その言葉に嘘偽りはない。それが嬉しくもあり同時に切なさを感じた。

 

 

 

 

 

 

「さとり!こいし!」

 

こいしを抱きしめていると後ろから見知った声が聞こえた。振り向くとお燐が血で真っ赤になりながらこっちに駆け寄って来た。

 

「お燐!どうしたのその血!」

 

「大丈夫です!返り血ですから!」

 

本当だ。返り血だ…白狼天狗の……

もっと深くまで読もうとするが、お燐自身が混乱していてうまく読めない。

「お燐、落ち着いて。妖怪の里で何かあったの?」

 

サードアイでお燐の考えを読む。

なにがあったのかを瞬時に理解する。

 

同じく心を読んでいたこいしが青ざめる。

 

陰陽師に武士総勢40人…人間の里にはいなかったメンツですね。

まさか最初から妖怪の山狙い?

 

「そんな…すぐに行かなきゃ…」

 

「待って、相手の詳細情報を…」

 

お燐の記憶を探っていくと最初に思い起こされたのは神紋。

伊勢神宮に賀茂別雷神社、稲荷神社まで…ものすごい顔ぶれですね。

これは…何があったのでしょう?一斉討伐?なんのために…

 

まあそんなことはどうでもいい。こんな状態では今すぐ逃げ出したい事態であるのには変わりないです。例えるならこちら側は紫電改やP-51、Ta-152が大量にあるのに対し向こうは数は少ないが悪くてF-5E良くてF-15C、Su-37といった具合だ。絶望的なのがお分かりだろう。そんなところに私が言っても本当に意味があるのかどうかわからない。

萃香さん達が完全に追い詰められていなければすぐに逃げ出していたことでしょう。

 

 

お燐が見た光景によれば何故か鬼は四天王含め半数が動けないでいたのだ。

 

原因を考えるに…毒。前世記憶に頼れば酒呑童子や茨木は毒入りの酒を飲まされ不意を打たれたはず…なら毒の可能性大か…

 

見捨てて逃げる…なんて選択肢は取れませんね。まあ隠してはいたかったですけど…他人の命と比べれば安いものだ。

 

「こいし、ルーミアさんを運べる?」

 

流石に置き去りにはできない。

 

「まだ足の感覚が鈍いけど大丈夫」

あまり無理をして欲しくはないがこの場合は仕方ない。

 

「お燐、それ…まだ動くわよね」

 

「ええ、まだ使ってないですから」

なら大丈夫。行けるかどうかは運次第ですけど…

 

どちらにせよ逃げると言う選択肢は絶ったわけですから今更成功確率なんて気にするべきでもないですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はさとり妖怪だ…

 

さとり妖怪という存在は、心が読めるが故に人間…はたまた同じ妖怪からも妬み嫌われてきた。

心が読める。ただその一点だけで……

 

ではなぜさとり妖怪がここまで周りから妬み嫌われてしまうのか。

相手の心が読める…ただそれだけ。ただそれだけで高度な知性は信用することをやめる。

だって情報の全てが相手に筒抜けになるのだ。仕方ないといえば仕方ない。

じゃあこちら側の情報も全て提示してしまえばいい。という簡単なものでもない。

たとえこちら側が情報を提示しても知性はそれが本物であるのかどうか?こちら側を騙そうとしているのではないかと分かりもしないのに…いえ、わからないからこそ探ってしまう。その先にある答えなど今も昔も…最悪出会った時と全く変わらないというのに…

 

人間も妖怪も秘密を持ってある程度の距離感を保ちつつ関係を作っていくもので私たちのような存在はまず知性そのものが否定をする。

その私達の善悪に関わらずだ。

 

まあ言ってしまえば私たちは存在自体が完全に否定されるものなのだ。

私達は人間どころか妖怪カテゴリーの中でさえその存在を否定され続けている…そういう存在……

 

だからこそ親しい仲の結束は人一倍強い。

 

私が絶望的な状況下でも萃香さん達を助けに行こうと考えたのもそれが原因かもしれない。

あるいは、人間の心が寂しがっているだけなのかもしれない。

私もこいしも完全に妖怪ではない。

どこかで引かれなければならないはずの妖怪と人間の線引きができない存在。

かたや人間としての魂を持つ者、かたや妖怪と人間のハーフ。

どっちつかずの宙ぶらりん。悪いわけではないですけどその分脆い。

 

人間は一人で生きていけるほど強くはない。かと言って妖怪の輪に入ろうにも種族ゆえ存在自体が否定される。だからと言って近づいていかなければ結局孤独感に心を潰される。

 

 

ジレンマもいいところです。

 

だから私は能力を封印し、人としての心で接し続けた。

他人を騙しているようで良心はズタズタになってしまうが、知ったことじゃない。

それに大切な家族に不自由をさせるわけにもいかない。

 

だからこそ私達の存在を許しあえる人たちを助けようとしたのかもしれない。

 

 

気づけは私は妖怪と人間の合間に立っていた。

 

両腕は再生が追いつかずそのまま。滲んだ血で斑点模様になった服からサードアイが躍り出ている。

 

突然の私の登場に、両者共に唖然としている。まあそれはそうだ。さとり妖怪などこう言ったところに来れるはず無いのだから。

 

 

私の周りをふわふわと浮いているサードアイがすべての思考を読み取っていく。

 

膨大な量の情報が頭の中に流れて来る。全くもって煩い。そのほとんどがさとり妖怪に対する軽蔑、差別、忌避、嫉妬、どれもマイナスなものばかり。全て『嫌われ』として処理してしまいたい情報だ。

 

ただその中にも今回の件に関する重要な事実や相手の弱点が含まれていてその都度吐き気を催すような心を読み取っていかなければならない。

こいしが体験したらさぞ耐えられないでしょう。私も耐えきれそうにないですけど…

 

 

 

大江山、毒入りの酒、潜入、卑怯な手口…

 

なるほど、大体は理解しました。

大江山で退治できなかった酒呑童子と茨木もろともここに妖怪を……

 

他にも各地の里を襲ってきたようですね。さすが妖怪退治のプロと思いきや理由は複雑怪奇…簡単にまとめると政治的なアドバンテージを求めて…だそうだ。

 

意味がわからない。いえ、わかることにはわかるのですが…

 

 

同じ人間として悲しくなります。

 

 

 

 

あの中で現在動けるのは白狼天狗…鴉天狗や鬼と言った主戦力は早々に無力化して行ったようだ。手際がいい…

 

 

さて、私の知る、この場で共闘できそうな人は…犬走親子くらいでしょうかね。文さんは居ないようですし…

 

人間が動かぬよう威嚇しながらサードアイで探していく。

 

早めに発見。かなり前の方にいるようですね。

まあ負傷者の多いこの状況じゃ前に出ないと巻き込んでしまうから仕方ないでしょうけど…

 

 

 

「……想起『二重結界』」

 

目の前にいる神主…っぽい格好の人から結界を想起する。

 

それを私の後ろ…負傷した鬼や天狗との間に展開し、人間たちの追撃を出来なくさせる。同時に、普段白狼天狗どうしで行うハンドサインを治ったばかりの右手で柳君に指示を出す。

 

こちらがハンドサインを送ってきたことに驚いたようですけど、メッセージを見て直ぐに行動を開始してくれた。

 

後ろで驚きと困惑の感情が広がる。

自分たちが嫌っていた相手に助けられたのだ…まあ、そうなるでしょう。

私は別に嫌ってるからどうとかってわけじゃないですから…

 

「なるほど、心を読んで技を再現するとは…噂には聞いていたが流石だな」

 

それまで黙っていた神主が声をかけて来る。それは純粋な褒めであった。

噂とは…あ、そういう噂ですか。

 

なんとも…ひどい噂ですね。まあそれが一般的なさとり妖怪への常識なのでしょうけど…

 

 

 

 

 

 

40人程いてもその半分は鬼や天狗との戦闘で疲弊し戦闘続行は不可能。あの状態からでも半数を無力化するとは…さすが鬼と天狗…

それにしても…天狗と鬼以外の種族が見当たりませんね。

 

特に河童が参戦していたら戦況はもっと楽になったでしょうけど、変に天狗がプライド持ったせいで河童は参加してませんし…

 

いえ、この人達がここまで来た主な原因は大江山の件だってことを考えれば他の種族を巻き込みたくないっていう感情が働いたのかもしれませんね。

 

どちらにせよ今ある戦力でしか戦えないわけですからどうこう言っても意味ないんですけどね。

 

 

「出来ればお引き取り願いたいのですが…」

 

「応じるとでも思ってるのか?」

 

「思ってませんよ。ですけど穏便に済ませられたらよかったのですが…仕方ないです」

 

交渉決裂。攻撃が来るのを先読みして空に飛び上がる。

 

 

予想通り周辺にいた20人近くから一斉に弾幕が発射される。まあ私を倒して結界を破壊しないと他の妖怪には手を出せませんからね。

私が想起した結界は相当頑丈なもの。直接壊そうとするのはお勧めできませんしね。それを知ってか知らずか…私に攻撃する人はいても結界を壊そうとするものはいない。

 

数人は空に飛び上がって迎撃を行おうとしてくる。

それでも妖怪と違って人間が空を飛ぶのは結構大変。弾幕で攻撃しながら飛ぶなんてものは博麗の巫女でない限り難しいわけで…当然、残った選択肢である近接戦闘を仕掛けようと追いかけてくるだけです。

 

 

 

地上から上がる大量の弾幕。それらをひたすらに避け続ける。

いくつかはスレスレを通って闇夜に消えて行く。

高度を上げつつ右にバンク。肩より下の左腕が無いため左右のバランスが取りづらい。

すぐに反撃をしたいがまだ情報を回収していない。なるべく相手の術や技を思い起こさせたい。ルーミアさんの封印に関する情報があればそれをもらっていきたいのですがそのためには心の隙をついて想起するしかない。その心の隙もこうして焦らして行くしか今の所方法はない。

だからもう少しだけ…耐えてくださいね。

妖力が回せず回復できない左腕をさする。

乾いた血の感触と乾いてない血が手のひらにつく感覚で怪我の深刻さを理解する。

 

 

 

四方八方から迫り来る弾幕とお札。回避できないよう周囲を囲うように配置したようです。

接触まで数秒。とっさにレーザー弾幕を発射し前方の弾幕を迎撃する。

爆発、視界不良。

爆炎に飛び込んで一気に抜ける。

 

腕や足のところに煙や炎がまとわりついている。服に引火しなくてよかった…

 

 

すぐに左に旋回しながら高度を上げる。次第に弾幕の量が濃くなってきた。

焦ってきてますね。そろそろ想起を始めますか。

回避に専念する為に意識をほぼ離していたサードアイに再び光が戻る。

 

相変わらずの弾幕ですけどこれくらい距離を取っておけば想起には問題はない。

 

相変わらず負の考えばかりが入って来ますね。

おっと、今はそんなことどうでもよくて…封印解除の方法を…

 

……知らない人が多いです。もうちょっと深く記憶を探れば出てくるのでしょうか。ですがそれをやるのはこの場では困難…

 

実際…陰陽術の封印を神主達が知っているとは思えませんが、希望があるとしたらこれしかない。

 

 

 

目の前に弾幕が突如現れる。集中し過ぎて気づくのが遅れた。

とっさに体を上に持ち上げクルピット。

世界が逆さまになり体が急制動をもろに受け悲鳴をあげる。

 

弾幕通過を確認し、急加速、下から上がってくる弾幕に対応する。

さっきから攻撃が激しくなって来た。どうやら散っていた他の人たちが戻って来たようです。

なるほど、10人程が…そんなに分散してたのですか。

 

 

「……⁉︎」

不意に後ろから殺気。

無意識が体を左にそらす。

私の本来左腕がある位置に、月明かりを浴びて鈍く輝く棒が突き出る。

後ろを振り返ると先ほど浮かび上がって追いかけて来ていた巫女が刀を私に突き出したところだった。

 

何もない空間を蹴飛ばして距離を取る。

 

「急に危ないじゃないですか」

 

「黙りなさい。この妖怪」

 

「あのー…この山の妖怪が貴方達に何か危害を加えたりしました?」

 

少なくともここの住人にはしていない気がする。まあ食事や怖れのために人間を襲うことはありますけど…え、まさかそれだけで?

 

妖怪を手当たり次第に消そうとするその理由に呆気にとられる。

その一瞬が命取り。

再び銀の刃が目の前に迫ってくる。

反応が遅れる。なんとか回避できたがその直後に体が真下に吹き飛ばされる。

躱されることを予想して踵落としを背中にやってきたのだ。

背骨が折れそうなんですけど…もうちょっと手加減してください。

落とされる。

すぐに体制を立て直し地面に降り立つ。

 

そこに何十枚ものお札が飛んでくる。

これでは飛び上がることもできない。しばらくは地上戦ですか…なるべく結界方向から意識をそらさせないと…

 

結界を隔てた向こう側では負傷者の撤退が行われている。あまり彼女たちの方に攻撃を向けさせるわけにはいきませんしね。

って…茨木さん、右手を失うのは軽症じゃ済みませんから…早く下がって適切な治療を受けてください。呪詛が進行してるからって諦めちゃダメです。

 

 

そんなことを考えていたらいつの間にか抜刀した二人の神主さんが襲いかかって来た。

 

二人がかりとは…ちょっとずるいです。

 

すぐに心を読み、振りかざされた刀の射線から体をそらす。

同時に右足で二人の刀を思いっきり蹴飛ばす。

 

急にとてつもない力で押されて刀が手から抜けおちる。だからもうちょっとちゃんと持たないと……心を読まなくても構え方が下手だってわかっちゃいますよ。柳くんに剣術の指導をお願いしましょうか?

 

そんなどうでもいいこと考えている余裕が私にもあったのだなと変に自覚。

 

 

流石に牽制くらいはするべきでしたね。反撃してこないのを反撃できないと勘違いしちゃってます。

 

 

応戦弾幕を発射。個別誘導。

なるべく痛くならないように弾幕ごっこ用の非殺傷系にしてあるがそんなことは知る余地も無い人間達は一斉に弾幕から逃げようとする。

 

攻撃対象じゃなかった十数人が一斉に接近戦をかけて来ようとする。

一斉に接近できれば思考を読まれても対処する時間が無いとでも考えているのでしょうね。実際さとり妖怪の戦闘面での弱さでもありますし間違ってはいません。

 

小想起した型の結界を展開し突っ込んでくる三人の顔面にぶつける。

片腕が使えなくても戦い方は色々あるんですよ。

 

三人が倒れたのをきっかけに接近戦をしようとしていた人たちの動きが鈍る。

そうですね、じゃあこちらから攻めてみましょう。

 

下半身に力を流し地面を思いっきり蹴飛ばす。蹴飛ばされたところの土が固まりになって吹き飛ぶ。

当然私の体は躊躇している彼らの元へすっ飛んでいく。

 

まずは一人目。左足を軸にした回し蹴りで吹っ飛ばす。無力化完了。周りが対処に走る前にすぐ近くにいたもう一人に肘打ち。

 

真後ろから攻撃して来ようとした巫女に後ろ蹴り。

 

だが四人目に移ろうとしたところで左足の力がカクンと抜けた。

バランスが崩れ体が崩れ落ちる。

 

見ると太もものところにお札が一枚貼られていた。

 

サードアイが右からの攻撃を感知して知らせる。ですが間に合わない。

結界を張って耐えようとするが攻撃の威力が強かった。

直撃は免れたものの衝撃波で吹き飛ばされる。

 

 

身体を立たせようとするが左足に貼られたお札が妖力を断ち切ってしまいうまく動かない。

私があたふたしている合間にリーダーと思われる男が近寄ってくる。

陰陽師のようです。先程の神主達とはまた服装も装備も違いますね。

 

「哀れなものだな」

 

「……?」

 

急に心の中に同情が広がる。なんか急に優しくなりましたけどなんでしょうかねこれ。

 

「おとなしく結界を解除すれば命だけは助けてやろうと言ったらどうする?」

 

「そのような条件は解除した後に始末されるオチがつくのですがね」

 

「嘘を言ってるように思えるか?それに貴様の力は使い勝手が良さそうだ」

全て本心から…うん、普通なら惹かれる条件でしょうね。

 

「確かにいい条件でしょうね」

 

結界の反対側で不安と怒りとなんかよくわからない負の感情が爆発する。それらがドロドロと混ざり合ってワタシの足に絡みつく。ちょっとみなさん短気すぎですよ。

 

「私は少なくとも生ゴミとして処理するレベルの条件ですが」

 

「なぜだ?後ろにいるやつらは皆お前を排除する側の輩だろ?我々はそのようなことはしない」

 

その言葉に一瞬何かが切れる音がした。

わかってもいないくせに何適当言ってるのでしょうかねこの馬鹿は…

 

「ごちゃごちゃうるさいですね。耳障りなんですよ。排除されて元々、それでも私を心の底から大切に思ってくれている人がいるのですからあなたの条件なんか魅力に感じないんですよ。いい加減わかって欲しいものですこのロリコン」

 

ロリコンの意味は分からなかったようですが貶されていると言うことはわかったようです。

一瞬にして心が切り替わる。

 

「……おとなしく従っておけばいいものを」

 

 

 

絡みついていた負の感情が一斉に消失し、私が軽くなる。

 

 

相手は私に心底失望したようですけどまだ能力に希望を見出そうとしている。……へえ、人格を壊してただの操り人形にですか。気持ち悪…

 

 

 

乾いた炸裂音が喧騒な山肌に響き渡る。

突然の音に周囲が困惑する。それとは相対的に私と目の前の男は全く動じない。

と思いきや男の体が崩れ落ちるように地面に倒れた。

 

「……間に合ったみたいね」

 

私のつぶやきに答えるかのように再び炸裂音。今度は少し遠くにいた巫女の右肩に大穴が開く。

 

甲高い悲鳴が上がり人間たちの合間に動揺が広がる。

 

そっとサードアイで後ろを確認する。

 

後方650メートルの位置で、高速回転する思考が一つ。お燐、そこまで深く考えなくても良いんですよ。そんなに考えてしまったら逆に手元がぶれますよ。

 

お燐が持つSG550はこの百年の合間に相当手を加えている。

お燐の要望もあって命中精度の高いのをいいことに長距離狙撃を行うためのものに改造したのだ。

まあ実際に使うとなると前のままじゃ使いづらいですからね。

 

想定交戦距離がもともと300メートル、スコープをつければ600メートルまで行けるので、自動装填機能を撤廃し部品同士の隙間を詰め命中精度をさらに高めるくらいしか改造はしていないけど…

後は手動操作で薬莢を排出するためにレバーをつけたり長距離で照準を合わせやすいように照準器を別のものにしたりしたくらいですかね。

弾は相変わらず残っていたものだけですので15発だけ。これが撃ち尽くしたら先端につけた銃剣で戦うくらいしか出来ない無用の産物ですけどね。

 

 

「今ならまだこの人も助かると思いますけど…どうします?」

そう言って倒れている男に目線を向ける。

 

 

…返事はない。こうなったらとことんやってやるですか…熱心なのはいいですけど引き際も考えてくださいよ。

 

 

お燐が慌てて他の人に狙いを定めようとしますがそれを手で制する。

 

 

無闇矢鱈と攻撃をするのは愚行です。特に得体の知れない攻撃を続けてはしまっては相手の余裕を奪い過ぎてしまいます。もしそうなっては向こうは、正確な判断など下せなくなります。それだけはせめて避けたいです。

 

お札や弾幕が展開され全ての照準が私に向く。

まあすでに正確な判断はくだせてないようですけど…どうみても半数以上が脱落しているのだからもういい加減撤退してもいいと思うのですが…

あ、そんなことしたらまた攻めてこられてしまいますね。

ですが変に倒して憎悪を燃やされては困ります。

憎悪は時に文明すら破壊しかねないとてつもなく恐ろしい感情。そんなものを相手に作らせてしまっては余計にひどいことになる。やはり撤退して欲しいですね。ルビコン川は渡ってしまってますがギリギリ間に合いますよ。

 

 

回避しようにも妖力の断ち切られた片足では逃げさすこともできない。だからと言って結界を張る時間的余裕もないですし空に飛び上ろうにももう間に合いそうにない。ちょっと悠長にし過ぎましたかね。

回避を取ろうとしない私を見て結界の内側にいる天狗や鬼達の合間に絶望が広がる。

確かにここで私が負ければ次は彼らが標的になりますしね。

 

 

 

ちょっと柳君、いくらこっちに来たいからって結界を壊そうとしないでください。

 

大丈夫、私は自己犠牲で相手を悲しませるような事はしないですから……

 

私に向かって弾幕やお札が放たれる。すごい数ですね。あれで、鬼や天狗と戦ってきて疲弊しているなんて到底思えません。

お燐が後ろで銃を発砲しようとしましたが再び私がハンドサインで止める。

焦っちゃダメですよ。

 

 

もう弾幕を避けることはできない。まあ避ける必要も無いのでしょうけど…

あの中の何発が当たり何発が致命傷になるのか…私はゼロに賭けますが…どうしましょうかね。

 

瞳を閉じて数を数える。命が尽きるまでのカウントダウンにならなきゃいいですけど…

 

 

 

 

 

 

 





【挿絵表示】


お燐のイメージ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。