XYサトシinアローラ物語   作:トマト嫌い8マン

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なんだかんだ言いましても、こっちだと未だにモクロー仲間になってなかったですね


新しい仲間、よロトしく!

朝の少し早めの時間に、サトシとリーリエは博士の研究室へ呼ばれていた。サトシの手に、赤いものが乗せられる。

 

 

「博士、これって」

「ポケモン図鑑だ。これから起動するところだ。少し待ってな」

「待つ、と言いますと、何を待つのですか?」

「そろそろ来る頃だな」

 

 

その博士のつぶやきとともに、研究室内の電源が瞬き、コンセントのソケットからロトムが飛び出してきた。

 

 

「ロトム?」

「確か、様々な家電に入り込むことでフォルムチェンジするポケモンですよね」

「そう。このロトムが入るのが、その図鑑だ」

「えっ、この図鑑に?」

 

 

そう言っていると、ロトムが勢いよく図鑑に入っていった。ロトムの顔のようなものが図鑑に現れ、起動が始まった。

 

 

『アローラ、ユーザーサトシ、よロトしく!』

「おぉ、喋った!」

「図鑑には、ロトムのための言語機能まで付いているのですね」

「そういうことだ。ロトム、これからサトシをサポートしてやってくれ」

『了解ロト!』

 

 

その後、簡単な自己紹介と機能の確認、そしてロトムのサトシ的行動によるピカチュウからの電撃攻撃などを経て、サトシとリーリエは一緒にスクールへ向かった。ピカチュウはリーリエに気を使っているのか、サトシよりも少し前をロトム図鑑と一緒に歩いていた。

 

 

「そういえば、リーリエと一緒に登校するのは今日が初めてだな」

「そうでしたね。サトシがスクールに来てから、まだ三日目ですし」

「いろいろあったから、なんだかそんなに短い気がしないな〜」

「ふふっ、それだけサトシも学校を楽しんでるということですね」

「そうだな」

 

昨夜と違って楽しげなリーリエを見て、サトシな少し安心していた。何があったのかは自分にはわからない。けどすぐに話してくれと言えるほどお互いのことを知っているわけでもない。今の自分ではまだ何もできない。だけど少しでも元気づけられたらいいと思っていた。何が彼女を元気にしたのかはわからないけど、素直に良かったと思った。

 

 

 

 

 

少女は自分の隣を見る。前を歩く相棒たちを見つめるひとみは優しく、昨日の夜、スカル団と戦った時に見えた激しさは、今は鳴りを潜めているのか見えなかった。ただ変わらないのは、そこには一切の曇りがないということ。まっすぐなその瞳を見ていると、不思議と力が湧いてくる気がした。そして、不思議と温かい気持ちにもなれた。それが何かも、なぜかもわからないけれど、不快な気持ちにはならなかった。

 

「どうしたんだ?」

 

彼が問いかける。少し彼のことを見すぎていたのだろうか。疑問と少しばかりの心配が表情に見て取れた。くすり、と笑って首を振る。

 

「なんでもありません。行きましょう、サトシ」

 

そうして少女は一歩踏み出す。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「アローラ!」

「みなさん、アローラです」

 

 

二人が教室に到着すると、既に他のみんなは集まっていた。カキも今日は仕事がなかったようで、マーマネと話していた。二人に一番最初に反応したのは、やはりマオだった。

 

 

「二人とも、アローラ!今日は一緒だったんだね」

「はい」

「ククイ博士に呼ばれたんだ。みんなにも紹介するよ」

「何何?新しいポケモンをゲットしたの?」

「少し違いますよ、マオ」

 

 

みんなにも紹介、という言葉を聞いて、彼らの元へ他のメンバーも集まってきた。それを確認したサトシは、教室に入る前に後ろに隠した彼に前に出るように促した。

 

 

『アローラ!ボクロトム、よロトしく!』

「博士からもらった、ポケモン図鑑にロトムが入ってるんだ」

「へぇ〜、話せるんだ」

「驚いたな。ロトムが図鑑に入っているなんて」

「君、どういうプログラムでできてるの?少し調べさせてくれないかな?」

『え、遠慮するロト』

 

 

電気タイプに詳しく、自身も機械やプログラムに通じているマーマネが、少し悪い笑顔でロトムによっていた。このロトム図鑑、自己学習能力を持っているため、自動でデータをアップデートできる。が、余計なことまで覚えてしまうため、オーキド校長のポケモンギャグまで学習してしまい、サトシたちに呆れられてしまった。

 

 

「それじゃあ、今日の授業はフィールドワークにしよう」

「えっ本当?あたしフィールドワーク大好き!」

「いいな」

「うん」

「えー、僕歩き回るの苦手なのに〜」

「まぁまぁ、これも勉強ですから」

 

 

「フィールドワークかぁ。新しいポケモンに会えるかな、ピカチュウ」

「ピカピーカ!」

『僕にお任せロト。この辺りで野生のポケモンに出会う確率、83%ロト!』

「よーし!ピカチュウ、ロトム、行っくぞー!」

 

 

新しいポケモンに会えるかもしれない。それだけでサトシは盛り上がっていた。すごい勢いで走り出してしまうサトシに追いつくのに苦労したと、彼のクラスメートたちはのちに語る。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ポケモンスクールの裏の森、サトシたち一同はポケモンを探して歩いていた。まだ新しいポケモンをゲットしていないサトシは、どんなポケモンに会えるのかと、期待に胸を膨らませていた。

 

 

「早く会いたいなぁ、新しいポケモン!なんだかこの辺りは出るような気がするんだよなぁ」

「サトシは、どんなポケモンをゲットしたいとかあるの?」

「んー、まだわからないや」

「タイプ相性は考えておいたほうがいいと思いますよ。島巡りをするにしても、バランスのいいパーティのほうが臨機応変に対応できますし」

「俺やマーマネのように、一つのタイプにこだわるのもアリだと思うがな。対策を立てておけば、どんなタイプとも戦える」

「まぁまぁ、こういうのは本人が決めることだし」

「あっ、いた」

 

 

サトシたちがどんなポケモンをゲットするかの議論で盛り上がっていると、スイレンがポツリとつぶやいた。その方向を見るとピカチュウに似ているポケモンがいた。

 

 

「ピカチュウ、じゃないよね?」

「あれはミミッキュです。わたくし、本で読んだことがあります。確かあのポケモンは、」

 

 

『おっと、そこから先は僕にお任せロト!ミミッキュ、ばけのかわポケモン。ゴースト・フェアリータイプ。ピカチュウそっくりの布切れをかぶっていること以外は、正体不明の謎多きポケモン。中身を見ようとした学者は、ショック死したと言われている』

 

 

「よーし、ピカチュウ!ミミッキュをゲットしようぜ!」

「ピッカッチュウ!」

 

 

サトシの肩に乗っていたピカチュウが飛び出した。サトシの初ゲット成功に向けて気合いを入れる。

 

 

「ピカチュウ、アイアンテールだ!」

「ピカ!チュー、ピッカァ!」

 

 

サトシの指示を受けて、ピカチュウがアイアンテールをミミッキュに向けて放つ。フェアリータイプも持つミミッキュにはアイアンテールは効くはず。実際ミミッキュの頭付近に直撃したら、ミミッキュの頭がガクッと下がった。ケケッ、と不気味な笑いが響く。

 

 

「アイアンテールが効いてない!?」

「サトシ!ミミッキュは特性ばけのかわで、一度だけ攻撃を無効化できるんです!」

「そうなのか?」

 

 

サトシとピカチュウが驚き動きが止まる。その隙にミミッキュはじゃれつくでピカチュウを吹き飛ばした。さらに畳み掛けるようにシャドークローが決まる。

 

 

「強いっ、なら接近戦はやめだ!ピカチュウ、エレキボール!」

「ピカピカピカ、チュピィ!」

 

 

尾から放たれたエレキボールを、ミミッキュはピカチュウの尻尾そっくりなもので打ち返した。体制を整えてなんとか交わすピカチュウ。

 

 

「大丈夫か?」

「ピカピカ!」

「よぉし、お次は」

 

 

「ちょっと待ったー!」

 

 

突然バトルを中断させるかのように、声が響いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

突然響いた声に驚いているサトシたちの前に、4つの影が立ち塞がった。

 

 

「なんだお前たちは?」

 

 

「なんなんだお前たちは、と聞かれたら」

「聞かせてあげよう、我らの名を」

「花顔柳腰羞月閉花。儚きこの世に咲く一輪の悪の花!ムサシ」

「飛竜乗雲英姿颯爽。切なきこの世に一矢報いる悪の使徒!コジロウ」

「一蓮托生連帯責任。親しき仲にも小判輝く悪の星!ニャースで、ニャース」

「「ロケット団、参上!」」

「なのニャ!」

「ソーナンス!」

 

 

ビシッ、と新しくかなり長ったらしい口上とともにポーズを決めたのは、我らがお馴染みロケット団だった。

 

 

『ロケット団?宇宙にでも飛んでいくロト?』

「やな感じ〜!なーんて、飛ばないわよ!」

「ロケット団というのはだ、超有名な悪の組織の名だ!」

「そんなことも知らないなんて、困ったポケモン図鑑だニャ〜」

『!!!データなし。喋るニャースを発見。新種のポケモンの可能性あり!』

 

 

そんなやり取りを眺めながらも、サトシを除く一行はポカーンとしていた。

 

 

「悪の組織?」

「聞いたことないけど」

「俺も」

「わたくしもです」

「スカル団みたいなのかな?」

「あいつら、人のポケモンを奪う悪い奴らなんだ」

 

 

その言葉に皆自身のポケモンをかばうように動いた。

 

 

「お前たちのポケモンは、全員俺たちロケット団がもらう」

「ついでにミミッキュもね。あの子見つけたのは、あたしたちが先なんだから!」

 

 

ロケット団からはニャースが飛び出し、ピカチュウを狙った。サトシの指示で、ピカチュウは冷静に対応、宙にいるニャース目掛けてエレキボールを放った。空中での方向転換は、ニャースにはできない。直撃するはずだった。そこへ、シャドーボールが飛んできて、ピカチュウの攻撃を弾いた。ニャースを守るように立ったそのポケモンは、

 

 

「ミミッキュ!おかげで助かったのニャ!」

 

 

どうやらピカチュウを憎んでいるらしいミミッキュは、ロケット団に手を貸すことに決めたようだった。ここからが本当のバトル、とはならなかった。突然現れたキテルグマに、ロケット団の二人がさらわれてしまったのだ。それを追ってニャース、ソーナンス、ミミッキュも退散していった。

 

 

「行っちゃったね」

「なんだったんだろう?」

「結局、ゲットできなかったな」

「大丈夫ですよ、サトシ。アローラ地方には、まだまだたくさんポケモンがいますもの」

「へへっ、そうだよな。よーし、ピカチュウ。ロトム。次のポケモンを探そう!」

 

 

初ゲットとはならなかったものの、ミミッキュという新しいポケモンに出会えたサトシ。次のポケモンは誰なのか、ゲットできるのか。期待に胸を膨らませながら、仲間とともに、さらに森を探検し始めた。

 




サトシハーレムってタグつけた方がいいかな?

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