XYサトシinアローラ物語   作:トマト嫌い8マン

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カプ・コケコ、試練見にきてましたね〜

どんだけサトシ大好きフリスキー?


行くぜ、ゼンリョク大冒険!!

「四番目のサプライズは、俺とお前で一対一の勝負だ!内容はケンタロスレース。ケンタロスには乗れるか?」

「あぁ。俺、ゲットしたケンタロスもそうだけど、ポニータとか、サイホーンとか。旅の途中で他にもいろいろなポケモンに乗せてもらったことあるし、レースだって挑戦したこともあるんだ」

「ほぉ。だが俺も、運び屋の仕事で様々なポケモンに乗ってきた。これなら、いい勝負ができそうだな」

 

 

他の4人とポケモンたちが見守る中、サトシとカキのケンタロスレースが始まった。二人とも経験が多いだけあって、完璧に乗りこなせている。実力は拮抗し、結果として引き分けという形で終わった。

 

 

「なかなかいい走りだったぜ」

「カキこそ、流石だな。ありがとな、ケンタロス」

 

 

ケンタロスから降りたサトシは、自分を乗せてくれたケンタロスをねぎらいながら撫でた。ケンタロスは気持ちよさそうに目を細め、「ブモォー」と一言鳴いた。それから、カキの乗っていたケンタロスとともに、彼らの住んでいるケンタロスハウスへ戻っていった。

 

 

「アローラ、サトシ、いい勝負だったぜ!」

「ククイ博士、イワンコ!」

 

 

レースを終えた彼らのもとに、イワンコを抱えたククイ博士がやってきた。

 

 

「5番目のサプライズは俺だ。サトシ、ポケモンバトルで勝負だ」

「えっ、バトル!?しかもククイ博士と?やったぜ!最高のサプライズです!」

 

 

今までのバトルも楽しかったが、やっぱりサトシの一番はポケモンバトルだった。しかも先生でもある博士との闘いともなれば、サトシが興奮するのも無理はない。今すぐにでも始めようとしたサトシ。しかし、

 

 

「その前に、」

 

 

と、マオが待ったをかけた。

 

 

「アイナ食堂の看板娘、マオちゃんが腕を振るった料理で、ランチタイムだよ~」

「ランチ?」

 

 

ぐー

 

 

 

 

 

 

ちょうどサトシのおなかが空腹を訴えた瞬間だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「おっ待たせ〜!」

 

 

サトシたちの前に並べられた料理。今まで見たことない品々に、サトシは興味津々だった。ピカチュウたちも、リーリエ考案・マオの手作りのポケモンフーズにご機嫌だった。

 

 

「うまいぜ!」

「マオの家のお店、アイナ食堂はね、美味しくて大人気なんだよ」

「そうなのか?すごいな、マオ」

「そうかな?でもあたしもまだまだだよ。リーリエのレシピ通りに作っただけだし」

「わたくしはほんの少し材料を加えるように言っただけで、マオが考えたレシピですよ」

「リーリエの言う通りだよ。自分からレシピを考えようとするなんてさ。こんなに美味しく作れるんだ。マオは本当にすごいよ。なっ、ピカチュウ?」

「ピカッチュウ」

「サトシ・・・うん、ありがとう!」

 

 

サトシが丁度お皿を空っぽにした時!

 

 

「ケーコー!」

 

 

声が響いた。その声に、サトシはハッと顔を上げた。

 

 

「この声・・・」

 

 

辺りを見渡しながら立ち上がったサトシ。その目の前に一つの影が現れた。至近距離でその影と見つめあったサトシは、驚いて後ずさった。

 

 

「うわっ!」

「メレメレ島の守り神、カプ・コケコです」

「あたし初めて見た」

「私も・・・」

 

 

驚き動きが止まる一同。突然の遭遇にはもう慣れっこだったサトシはいち早く衝撃から回復し、カプ・コケコの前に進んだ。

 

 

「また会えてよかったよ。Zリングのお礼、ちゃんと言えてなかったしな。ありがとう」

 

 

突然、カプ・コケコが姿を消し、サトシの帽子を奪って森へと飛んで行った。慌てて追いかける一同。ここで彼らはサトシの身体能力の高さに驚かされた。サトシはとにかく速い。それだけでなく、障害物を当たり前のように軽々とクリアして、空を飛ぶカプ・コケコについて行っていた。彼らの中では最も日頃から鍛えているカキでさえ、見失わないようにするので精一杯だ。

 

 

「サトシ、速すぎだよぉ。ぜぇ、ぜぇ」

「マーマネは俺が見ておくから、カキたちはサトシを見失わないように頼むよ」

「わたくしも手伝います」

「オッケー!とは言っても、全然追いつけない」

「なんなんだ?あいつのデタラメな速さは」

「ゲッコウガと同じくらいかな?」

「えー?まっさかぁ?スイレン、それは言い過ぎだよ」

「そうかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いいえ、そのまさかです。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

森の少し開けた場所、そこでカプ・コケコはサトシを迎えた。帽子をあっさりと返したことにサトシは驚いだが、カプ・コケコが戦闘態勢に入ったのを見てさらに驚いた。

 

 

「バトルしよう、ってことか?」

 

 

ようやく追いついたカキたちの耳にも、そのサトシの問いは聞こえた。

 

 

「次のサプライズは、俺じゃなくてカプ・コケコか」

「わたくし、本で読んだことがあります。カプ・コケコは好奇心旺盛で、昔からトレーナーたちにバトルやアローラ相撲を挑んでいたそうです」

 

 

サトシの顔が笑顔になった。しかしそれはカキたちの初めて見る笑顔だった。今までの、ただ楽しいという明るい笑顔ではなく、どこか好戦的な笑顔。どこか子供っぽさのあった今までのサトシと違い、大人びた表情をしていた。

 

 

「よーし、行くぜ!ピカチュウ!」

「ピーカ!」

 

 

サトシとピカチュウ対カプ・コケコ。戦いの火蓋が切って落とされた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「コー!」

 

 

周囲に電撃が走り、サトシたちとカプ・コケコの対峙するフィールドが電気であふれた。

 

 

「これって、シトロンもよく使ってた・・・」

「エレキフィールドだね!」

「サトシ、エレキフィールドの中では、電気タイプの技の威力が上がるはずです!」

「あぁ。俺たちにとってはラッキーだ!行くぜ、カプ・コケコ!」

 

 

戦闘態勢に入ったピカチュウを見たカプ・コケコは猛スピードで突進してきた。

 

 

「ピカチュウ、でんこうせっか!」

「ピカ!」

 

 

それに対してサトシはピカチュウにでんこうせっかを指示した。普通のピカチュウのスピードをはるかに上回る勢いで、ピカチュウとカプ・コケコと激突した。が、パワーで押し負けてしまい、吹き飛ばされた。

 

 

「っ、速いだけじゃない。ピカチュウ、大丈夫か?」

「ピカ。っ、ピィカァ!?」

 

 

ピカチュウが体勢を立て直すと、そこへカプ・コケコがワイルドボルトで追い打ちをかけてきた。

 

 

「躱して10万ボルト!」

「ピッカァ!」

 

 

何とかそれを躱すピカチュウ。カプ・コケコが技を解いたそのすきに、自分の代名詞ともいえる得意技、10万ボルトを浴びせる。カロスリーグでも猛威を振るったその技が直撃したのを見て、サトシはガッツポーズをとった。・・・が、

 

 

「なっ、全然効いてない!?」

「力の差がありすぎる。これが守り神、カプ・コケコ・・・」

 

 

相棒の攻撃が聞かなかったのを見て呆然とするサトシ。そんなサトシに向かってカプ・コケコが突っ込んでいった。思わず身構えるサトシ。しかしカプ・コケコはサトシの前で止まり、そっと彼の左腕のZリングに触れた。まばゆい光を放ち始めるZクリスタル。

 

 

「もしかして、これを使えってことなのか?」

 

 

サトシの疑問に答えるように、カプ・コケコはピカチュウの前で止まった。

 

 

「いきなりZ技を使うのか?」

「サトシ、大丈夫かな」

 

 

後ろに来ていたカキやマオの不安げな声が聞こえる。Zリングをしばらく見つめていたサトシはピカチュウを見た。後ろを向いていた相棒がうなずくのが見えた。

 

 

「よーし。どうすればいいのかさっぱりだけど、やろうぜ!ピカチュウ!」

「ピカ!」

 

 

目の前のカプ・コケコが腕を動かし始めた。無意識のうちに、サトシとピカチュウはその動きを真似するかのように、同時に動き出した。そして腕を交差するようにポーズを決めると、Zリングからあふれた光がピカチュウの体に注ぎ込まれた。

 

 

「行っけぇ、ピカチュウ!」

「ピーカ!」

「これが、俺たちの、全っ力だぁ!」

 

 

二人の動きがシンクロし、巨大な電撃のやりが放たれた。

 

 

「電気タイプのZ技!?」

「スパーキングギガボルトだ」

 

 

放たれた電撃はまっすぐにカプ・コケコへ向かい直撃した。その際に生じた爆発による爆風がサトシたちだけではなく、後ろにいたカキたちをも吹き飛ばしそうになった。煙が晴れて、サトシたちが目を開けると、

 

 

「なんて威力だ・・・」

「わたくし、こんな電気技、見たことありません」

「僕もだよ・・・」

 

エレキフィールドによって威力が上がっていたピカチュウのZ技、スパーキングギガボルトが引き起こした爆発は、森の一部をきれいに消し去っていた。残されたのは大きいクレーター、そして両腕をくっつけ、顔状になり身を守ったカプ・コケコだった。

 

 

「これが・・・Z技?でも、この感じって・・・」

 

 

驚いているみんなをよそに、サトシは戸惑っているようだった。Z技を放った感覚、それにどこか覚えがあるように思ったからだ。そんなサトシの様子を見たカプ・コケコは声を上げ、どこかへ飛び去って行った。それを見たマオたちはサトシたちのほうへ駆け寄った。

 

 

「サトシ!大丈夫?」

「あ、あぁ」

「びっくりしました。これが、サトシたちの全力なんですね」

「へへっ、ありがとな」

「あっ、Zリングが」

「ん?」

 

 

スイレンの声にサトシが左腕のZリングを見ると、そこにあったデンキZにひびが入り、砕け散った。

 

 

「Z技を使うには、まだ早かったということだな。試練も突破していないわけだし、仕方がないだろう」

 

 

唯一サトシと同じくZリングを持ったカキがその理由を解説した。その言葉で、サトシは決意した。

 

 

「俺、島めぐりに挑戦する!試練を受けて、今度こそ、Z技を使いこなせるようになりたい」

 

 

その言葉に、マオたちは笑顔を浮かべた。

 

 

「なるほどね。でんこうせっかのような決断だな」

「いいね。あたしたちも応援するよ!ね、みんな」

「うん!」

「もちろんです」

「電気タイプには詳しんだよね~、僕とトゲデマル」

「いいぜ。俺も、お前の完全なZ技が見てみたいしな」

 

 

彼らの言葉を受けたサトシは、新しい目標と旅に胸を躍らせながら、

 

 

「ありがとう、みんな」

 

 

と、笑顔で返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

学校まで戻る道、先に歩くみんなからは見えていなかったが、サトシはゲッコウガの入っているボールを取り出し、眺めていた。少しばかり、考え込んでいるような表情で。




ピカチュウのでんこうせっかすごかったなー

モクローもゲットしてまだまだなのにあの活躍はすごいと思う

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