XYサトシinアローラ物語   作:トマト嫌い8マン

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最近ニコニコでサトシのエース紹介動画を見つけて、あっ、この人俺と同じこと考えてる!ってなった作者です。

ドラゴンクローでインファイト防ぎきるワルビアルパネェ。
欲を言えばジュカインのダークライ崩しのシーンもほしかったなぁ


努力してきた結果

「よく頑張ったな、ガラガラ」

「やったな、ゴウカザル!」

 

それぞれ労いの言葉をかけてポケモンをボールに戻す。トレーニングの様子を見ていたマオたちはともかく、リーリエとスイレン、ククイ博士はゴウカザルの圧倒的な実力に驚かされた。カキのポケモンの力は知っている。だからこそこんなにもあっさりと倒されてしまったことに衝撃を受けた。

 

「嘘!?」

「カキのポケモンがこんなに簡単に・・・」

 

 

 

「次だ。頼むぞ、リザードン!」

 

オレンジの身体に尻尾の炎。祖父のパートナーでもあり、かつての島キングの相棒として数々の戦いを経験したリザードン。歳をとり、戦線から引いていた彼ではあったが、今回はカキにバトルしたいという意思を示したという。その相手は、

 

「リザードン、君に決めた!」

 

現れたポケモンは天に向かって大きく吠えた。それだけで空気だけでなく大地までも震えるかのようだった。カキのリザードンの表情がさらに険しくなる。経験からもわかるのだ。目の前にいるこの同族は、若くはあれど数多くの修羅場をくぐり抜けてきた猛者であると。見て見たくなった。この若き同族の実力を。

 

「かえんほうしゃ!」

「こっちもかえんほうしゃだ!」

 

大きく口を開き放たれたカキのリザードンのかえんほうしゃを、サトシのリザードンは同等の炎を吐くことで防いだ。ぶつかり合った炎は、フィールドの中央で巨大な火柱となった。驚愕するカキとリザードンを見据えるサトシのリザードンにはまだまだ余力が感じられた。その証拠にあれだけの威力の炎を放った後だというのに、涼しい顔をしている。

 

「飛べ、リザードン!」

「こっちもだ!」

 

大きな羽を広げ、両者は戦いの舞台を空へ移した。歳をとってなお、毎日のようにカキとともに配達をしてきたリザードン。その彼が空中で遅れをとることはないと、カキは考えた。

 

「かみなりパンチ!」

「受けて立つぜ、ドラゴンテール!」

 

電撃をまとった拳を握り、カキのリザードンは素早くサトシのリザードンへ接近し、背後からその拳を叩きつけようとした。しかしその攻撃は身体を捻り繰り出された尾による攻撃に阻まれ、両者一旦距離をとった。

 

「あの状態から防ぎきるとはな」

「空中戦でも、俺のリザードンは負けないぜ」

「ふっ、面白い。ドラゴンクロー!」

 

鋭い爪にエネルギーを纏わせ、カキのリザードンが接近する。連続で振るわれる攻撃をサトシのリザードンは身体を捻るように飛ぶことで躱す。リザードンの飛ぶスピードに自信を持っていたカキはその様子に驚かされる。

 

「きりさく!」

 

大ぶりの一撃を躱したリザードンにサトシが指示を出す。ガラ空きになっていた胴体が、鋭く伸びた爪により切り裂かれる。強力な一撃を叩き込まれたリザードンは姿勢を崩したがなんとか墜落せずに済んだ。歳の影響か、カキのリザードンは疲れた様子だった。それに比べてサトシのリザードンは息一つ乱れていなかった。体力の差もあるが、攻撃を躱す際に必要最低限の力で動いていたこともあり、ほとんど疲れていなかったのだ。

 

「くっ、これ以上長引くのは厳しいか。なら、一か八かだ!リザードン、フレアドライブ!」

 

最後に全力の力で炎を見に纏い、一旦上昇したリザードンは突撃した。躱されたら終わりかもしれないが、賭けるしかなかった。サトシのリザードンは避ける気配もなく、その場で飛び続けていた。フレアドライブがリザードンに当たり、そのまま地面に向かって降下していく。

 

「そのまま地面に叩きつけろ!」

 

しかしサトシに焦りはなかった。他のみんなが気づいていない中、彼だけは気づいていた。彼のリザードンの両腕が敵の翼を捉えることに成功していることに。避けなかったのは情けをかけたわけでも、油断していたわけでもない。この技を決めるためにあえて受け止めたのだ。

 

「リザードン、ちきゅうなげ!」

「なにっ!?」

 

後ろに押されていた勢いのまま、サトシのリザードンはその身を逸らし、体制を変え、そのまま勢いよく回転を始めた。土壇場での切り返しに戸惑い、カキも彼のリザードンも反応できなかった。フレアドライブの炎もそのままに、螺旋状の炎の塊が地面めがけて落ちていく。落下の勢いそのままに、地面に叩きつけられる。

 

大きな土煙が上がった後、そこには目を回すカキのリザードンと、雄叫びをあげるサトシのリザードンがいた。現役ではないとはいえ、決して弱くはなかった。元島キングの相棒の実力は伊達ではない。しかし歳というハンデを差し引いて見ても、サトシのリザードンの強さは並外れだった。

 

あの激しい戦闘で全くの無傷。パワー、スピードともに今までに見たポケモンたちの中でもトップクラスなのは間違いなかった。ゲッコウガやゴウカザルにも驚かされたが、それを凌駕する何かがリザードンにはあった。

 

「これが、サトシのポケモンの力、なのか」

 

言葉を失うマオたち。サトシのバトルは何度か見る機会はあったものの、今回のそれはただただ圧巻の一言だった。顔を見合わせるサトシとリザードンの間には、強い絆、想像もつかない信頼が見られる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「最後はこいつだ。バクガメス、行くぞ!」

「ガメース!」

 

出て早々、口から炎を吐き、気合いを入れるバクガメス。自分と同じほのおタイプのポケモンたちの激しい戦闘に燃えていたようだ。

 

「バクガメス、気合入ってるね」

「そりゃもうウズウズしてたんじゃないの?」

「あれ?そういえばサトシの最後のポケモンって」

「確か、くさタイプの」

 

「ジュカイン、君に決めた!」

 

サトシの投げたボールから現れたジュカインは、リザードンやゴウカザルのように声を上げず、口に枝を咥え、クールに佇んでいた。しかしその目はしっかりと相手を見据えていた。

 

「バクガメス、相性がいいとはいえ、油断はするなよ!かえんほうしゃ!」

 

カキのリザードンをも超える大きさのかえんほうしゃがジュカインめがけて打ち出された。効果抜群のその技を喰らえば流石のジュカインも厳しいだろうとマオたちがどうするのか見るが、ジュカインは動じる様子が一切なかった。

 

「リーフブレード!」

「ジュラ!ジュッカァ!」

 

両腕の刃に力を込めたジュカインはそのまま真正面から炎へと振り下ろした。アローラ組が驚愕する中炎は裂かれ、無傷のジュカインがそこに立っていた。

 

「うそ、炎を切っちゃった!?」

「こんなことができるなんて、私初めて知りました」

「いやいや、誰でもできるわけではないと思うぞ」

 

こういうバトルを見るのは確かに勉強にもなるが、いかんせんこれを当たり前だと思うようになったら困るな、と内心博士が思ってしまうほど、サトシのポケモンたちは規格外が多かった。

 

「りゅうせいぐん!」

「ガーメース!」

 

空に打ち上げられたエネルギーの塊は弾け、フィールドを包むその技は並みのポケモンには回避不可能。ゲッコウガと戦った時と比べても一つ一つの大きさもやや上がっている。

 

「こうそくいどうだ!」

「ジュカ」

 

スピードを上げて躱し続けるジュカイン。その背中に徐々に光が集まっていることに、誰も気づいていなかった。

 

「くそっ、当たらない」

「今だジュカイン、ソーラービーム!」

「何!?」

 

躱しながらも溜めていた光のエネルギーを集中させ、口から大きな光線としてジュカインは放った。その威力をリザードンとの訓練で知っていたカキは、相性が悪くとも、その攻撃は危険だと感じた。

 

「ストーンエッジで防ぐんだ!」

 

拳を地面に叩きつけ、岩の壁を作り出して行くバクガメス。いくつもの岩を重ねることで防御を固める。しかしその岩の壁は光の光線により次々と打ち砕かれていく。防ぎきれず、バクガメスに技が届くが流石に威力を削いだだけあって、少し仰け反る程度で済んだ。

 

「よし、「ドラゴンクロー!」なっ!?」

 

ソーラービームによる爆発の中、ジュカインは既にバクガメスのすぐ近くまで接近していた。バクガメスがストーンエッジで防御し始めた時にはもう次の行動を取っていた。一切の油断なく、勝つための最善を尽くしていたのだ。

 

エネルギーで形成された爪がバクガメスのがら空きになっていた腹側から切り裂いた。大きく空中に投げ出されるバクガメス。その体が地面に落ちる前に、ジュカインは背を向けサトシの方へ戻っていた。大きな音とともにバクガメスが地面に激突する。既にその目は回っていた。

 

「カキのバクガメスが」

「Z技を出す余裕もなかったですね」

「ジュカイン速〜い」

 

「本来相性はいまひとつのくさタイプの技でもあれだけダメージが入るとは。そして決め手にドラゴンタイプの技。それもまた驚異的な威力だったな」

 

「バクガメス、すまない。ありがとな」

「サンキュー、ジュカイン。お前も本当に強くなったな」

「ジュラ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「参った。俺の完敗だ。お前のポケモンたち、本当にすごいな」

「ありがとう。みんなが頑張ってくれるから。俺と同じ気持ちで戦ってくれるから、だからもっともっと強くなれる」

「・・・お前ほどZ技が似合うトレーナーも、そうそういないだろうな」

「えっ?」

「いや、なんでもない。独り言だ」

 

「すっごかったねー」

「タイプ相性とかもうめちゃくちゃだったけどね」

「そういうのもまた勉強ですよ。ポケモンたちには無限の可能性があるみたいでいいじゃないですか」

「うんうん」

 

「いかがでしたかな?」

「正直、予想をはるかに超えてびっくりしてます。こんなバトル、そうそう見られませんしね」

「これも全部、サトシの今までの旅の成果ですから」

 

数多くの人とポケモンと出会い、バトルし、ジムやリーグに出た。けれどもそこでより強い相手がいることを知った。彼らもまた強くなりたいと思った。だからサトシと共にいないときでも、強くなるための努力を怠らなかった。だから彼らは強い。

 

リザードンは今もリザフィックバレーで最強を目指している。今ではその中でも最強クラスには入る力を持っているだろう。ジュカインは己のスピードを磨いた。どんな敵にでも追いつき、必ず仕留められるように。どんな一瞬の隙も見逃さないように。ゴウカザルは力をつけるのに励んだ。特別なもうかを持つものの、それを使わずとも強敵に勝てるようになるために。

 

彼らだけではない。サトシのポケモンはみんなそうだ。ただひたすらにサトシの、自分のトレーナーのために彼らは鍛える。もう負けたくない。負けていられない。そんな思いを持って。

 

「サトシは、不思議な子ですね」

「そうですなぁ。昔から、不思議な子じゃった」

 




ちなみにサトシのジュカインとショータのジュカイン比べてて何か足りないなぁと思っていたんですよ。

確かに口にくわえていたが枝ないというのもありまいたが、ジュカインのリーフブレードが違ったんですよ。ショータのジュカインはメガ進化前もメガ進化後も両腕に刃が一つずつなんですけど、サトシのジュカインってブレードが両腕に二つずつついているんですよね。個体差なのか、サトシのジュカインが強いんだか。

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