というわけで、ムサシとミミッキュの仲良し買い物を見たい人は、アニメへGO!
今回は若干オリジナル展開です
朝、登校中のサトシたち。今日はルガルガンがボールから出て並走中。道中、見たことない姿のルガルガンは、道行く人々に注目されていたが、当の本人たちはそんなのどこ吹く風。いつものように登校して、
「ピカッ!?」
「なっ。ピカチュウ!」
突然どこからか伸びて来たアームに、ピカチュウが捕まってしまう。最近影が薄くて忘れがちだったが、そういえば彼らもまだピカチュウをつけねらっていたのだ。
「出たなロケット団!」
「出たなロケット団と聞かれたら……って、ちょっと!」
「久々の登場なのに、口上も言わせてもらえないのかよ!」
「なんだか扱いが悪いのニャ!」
「ソーナンス!」
「ヒドイデ〜」
いつもの長ったらしい口上を遮られ、ロケット団も流石に怒っている。もっとも、サトシの方が怒っているわけなのだが。
「ピカチュウを返せ!」
「そう言われて、はいそうですかって返す泥棒がどこに居るのよ!ミミッキュ、やっちゃって!」
ムサシの投げたゴージャスボールからミミッキュが出てくる。そのままシャドーボールをサトシたちに向けて、かと思いきや、囚われのピカチュウに攻撃しようとしている。
「ちょっと、ミミッキュ!あっち!」
「よしっ、ルガルガン!試してみようぜ、Z技!」
「ルゥガウッ!」
Zリングに付けるクリスタルを変えるサトシ。ルガルガンが一歩前に進み出る。全く新しい姿のルガルガンを見たロケット団が、その珍しさに興奮しているが、そんなことはサトシたちには関係ない。
「行くぞ!」
腕を交差させるサトシ。眩い光が溢れ、ルガルガンの体に集まる。ルガルガンが吠え、大地を蹴り、飛び上がる。大量の岩がどんどん集まり、巨大な岩石を構築していく。
「な、なんだか」
「やばい予感が……」
「してるのニャ!」
「これが俺たちの全力だ!ワールズエンドフォール!」
ルガルガンが巨岩をロケット団目掛けて投げつける。決まった!そう思い、ロケット団が身をすくめる、が、途中で岩石が崩壊し、技が不発に終わってしまう。
「えっ」
「ガウッ!?」
『ビビッ!Z技が失敗したロト!?』
「な、なんかよく知らないけど、ラッキー!」
「よぉし、ヒドイデ、反撃を「サトシ、ルガルガンかわせ!」えっ!?」
声に反応し、サトシとルガルガンが左右に分かれ道を開く。飛び込んで来たガラガラが骨でピカチュウを捕らえていた檻を壊す。
「なんと!?」
そのまま急いでその場を二体が離れると、サトシたちの後ろから眩い光が溢れる。
「ダイナミックフルフレイム!」
バクガメスが打ち出した巨大な火球が、ロケット団たちに決まる。空の彼方へ飛ばされていくロケット団。
「サトシ、大丈夫だったか?」
「サンキュー、カキ。バクガメスとガラガラも、ありがとな」
「で、どうしたんだ?」
「それが……」
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「なるほどな……」
所変わって教室。今朝の出来事のことを、サトシが博士やクラスメートに説明した所だ。
「ポーズが間違ってたとか?」
「いや、それなら発動さえしないはずだな。ブルームシャインエクストラの練習の時のようにな」
「パワーが足りなかったのかな?」
「イワンコの時からZ技を使うことはできていた。まして、今は進化してパワーも上がっているはずだ。パワー不足ってことはないと思うが」
みんながあれこれ話し合う中、サトシはルガルガンを見る。技をうまく発動できなかったことに、何やら悩んでいるらしい。サトシが立ち上がると、ルガルガンの近くへ行き、その頭を撫でる。
「気にするなよ、ルガルガン。これからいっぱい練習していけばいいんだしさ」
「ガウ」
その後、休み時間にもサトシたちは特訓を続けていた。他の技はバッチリ成功し、威力も前より上がっているのが見て取れる。しかし、どうしてもZ技を成功させることができなかった。特訓は放課後にも続き、いつも使っている海岸も、だんだんと暗くなって来ていた。
「はぁっ、はぁっ……今日はもうここまでかな」
「ガウッ」
「ルガルガン……よしっ、もう一回だな!」
既に何度目かわからないが、サトシが両腕を交差させる。ルガルガンが大地を蹴り、空へと飛び上がる。岩が集まり、巨大な岩石を形成する。が、
「ッ、ルガッ!?」
「ルガルガン!」
間に休憩を取っているとはいえ、全力の技を何度も使用し疲れてきたからか、ルガルガンが空中で態勢を崩してしまう。と、持ち上げていた岩石が支えを失い、落ちていく。
サトシ目掛けて。
「っ、やばっ!」
『サトシ、危ないロト!』
岩がどんどん崩れ小さくなる。しかしそれは同時に、サトシの逃げ道を塞ぐように、広がっていっている。
そしてサトシ目掛けて岩が降り注いで……
「ストーンエッジ!」
「ルゥガッ!」
突如としてサトシの周囲に、彼の身長を超える岩柱が地面から盛り上がる。彼に向かって来る岩を砕き、まるでサトシを守っているかのようだ。
降り注ぐ岩がやむと、岩の柱も消えていく。サトシの背後から、砂を踏みしめる音が聞こえてくる。振り返ると、そこに立っていたのは、
「久しぶりだな、サトシ」
「グラジオ!?」
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突然現れた人物にサトシは目を見開く。隣に真夜中の姿のルガルガンを連れながら、リーリエの兄、グラジオが近づいてくる。
「さっきの、ルガルガンが?」
「ああ」
「そっか。サンキューな」
「ガウッ」
とここでグラジオがサトシの隣に駆け寄るルガルガンに気づく。驚いた表情になるグラジオ。それもそのはず。そのルガルガンは、今まで確認されたどちらの姿とも異なっていたのだから。
「サトシ……そいつは?」
「ああ。俺のイワンコが進化したんだ。ルガルガン、黄昏の姿。あ、そう言えば、あの時一緒にいてくれたルガルガンって」
サトシがグラジオのルガルガンを見ると、フッと笑い顔を背けられる。
「あぁ、この前急にどこかへ行ったかと思ったら……そういうことか」
「ガウ」
「あの時もサンキューな」
「それで?さっきのはなんだ?何故岩の塊がお前に向かって降って来たんだ?」
「実は……」
「なるほどな……Z技の失敗か」
「他の技は使えるし、Z技も発動はできてるんだけどなぁ」
「……」
二人の視線の先、サトシのルガルガンが技を発動し練習するのを、グラジオのルガルガンが見ている。
「試してみるか?」
「えっ?」
「俺とお前のルガルガンで、真剣勝負だ。何かわかるかもしれない。やるか?」
問いかけておきながらも、じっとサトシを見るグラジオの目には、燃える闘志が見て取れる。戦いたくてうずうずしている、そんな感じが溢れてくる。それはサトシにとっても願っても無いことなので、
「もちろんだ!」
ほぼノータイムで即答しているのだった。
少し距離を開けて対峙するサトシとグラジオ。側にはそれぞれのルガルガンが立ち、相手を見据えている。
「行くぞ、ルガルガン」
「ルガッ!」
「進化したお前の力、あいつらに見せてやろうぜ、ルガルガン!」
「ガウッ!」
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「ルガルガン、いわおとし!」
飛び上がり、先制攻撃を仕掛けるサトシのルガルガン。降り注ぐ岩を一瞥し、相手のルガルガンはそれをかわす。
「かみくだく」
「いわおとしで防げ!」
いわおとしをかわしながら接近したルガルガンが、鋭い牙でサトシのルガルガンが着地する瞬間を狙う。しかしそこはサトシのポケモン、地面に向かっていわおとしを放ち、相手の接近を許さない。
「今だ、アクセルロック!」
高速で相手めがけて駆けるサトシのルガルガン。強烈な体当たりが炸裂し、相手が大きく後退させられる。
「やるな。ストーンエッジ!」
グラジオのルガルガンが地面を殴りつける。大きな岩の柱が地面から飛び出し、サトシのルガルガンに迫る。
「飛び乗れ!そこからかみつく!」
岩を足場に、サトシのルガルガンが相手に飛びかかる。真夜中のルガルガンが防御の姿勢をとる。そのあげられた左腕に、サトシのルガルガンの牙がくい込む。
「よっしゃ!そのまま放すなよ!」
「ふん。カウンター」
真夜中のルガルガンが鋭い目を見開き、右腕による渾身の一撃を叩き込む。その攻撃でサトシのルガルガンの口から腕が離れ、その体は大きく吹き飛ばされる。
「やるなぁ、グラジオ」
「お前達もな……かみくだく!」
「アクセルロック!」
両者のルガルガンが同時に駆け出す。より素早いサトシのルガルガンの攻撃が先に相手の胴体に決まるが、グラジオのルガルガンはその一撃を受けてなお、サトシのルガルガンに噛みつき、投げ飛ばす。
「ストーンエッジ!」
再びサトシのルガルガンめがけて迫る岩の柱。
「いわおとし!」
地面からせり上がって来る岩柱を、サトシのルガルガンの攻撃が削る。その破片が宙を舞い、不安定ながらも足場のようなものになる。
「よしっ、ここだ!跳べ、ルガルガン!」
大きく跳躍し、ストーンエッジの岩を踏み台にするルガルガン。そのまま大きく宙に飛び上がる。と、その体に光が纏わり付いていく。見ると、サトシは既にZ技の発動ポーズをとっている。
「行っけぇ!ワールズエンドフォール!」
「ワォォーン!」
サトシのルガルガンが吠え、巨岩を投げつけようとする。しかしここでもまた、Z技が途中でほころび出してしまう。その様子を観察して来たグラジオが小さく頷く。
「見せてやる。この技は、こう使うんだ」
今度はグラジオがZ技の構えを取る。溢れる光をその身に受け、真夜中のルガルガンが、空に浮かぶ月を背に飛び上がる。
「滅びゆく大地の声を聞け!ワールズエンドフォール!」
真夜中のルガルガンが投げつける岩塊は、まだ地面に辿り着く前のサトシのルガルガンを捉える。そのまま地面に激突した岩塊が爆発し、海岸の砂を巻き上げる。砂が晴れると、目を回してしまったルガルガンがそこには倒れていた。
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「ルガルガンの方に、問題がある」
「えっ?」
それが、バトル後の労いの言葉をかけているサトシの元に、グラジオが歩み寄って放った第一声。
「ルガルガンに問題って、どういうことだよ。こんなに頑張ってるのに!」
思わず喧嘩腰になってしまうサトシに、グラジオは小さく溜息をつき、落ち着くように仕草で伝える。
「言い方が悪かったな。確かにお前のルガルガンは頑張っている。けど、頑張りすぎだ」
「?頑張りすぎ?」
「Z技は他の技と比べて多くのエネルギーを集めて攻撃する。それ故に、力のコントロールが他よりも繊細になるものもある。イワタイプのZ技もそうだ。だが、今のルガルガンは最初から全力を使いすぎている。進化したことで得た大きな力、その加減を見極められていない。そのため、最後まで技を保たせることができていない」
「つまり、頑張りすぎちゃって、疲れてるってことか?」
「まぁ、そんなところだ。必要なのは、岩や大地の呼吸を感じ取ること。爆発的な力の解放は、あくまで相手に向けて技を放つその時にするだけでいい。それさえできれば、問題はないだろう」
ふっと笑みを浮かべるグラジオ。彼のルガルガンも、サトシのルガルガンを激励するように、頭を前足で撫でている。
「ありがとな、グラジオ」
「気にするな。俺のルガルガンも、そいつを気にしてるみたいだったからな。俺はもういく。次に会う時までに、Z技、ものにしとくんだな」
「ああ!」
背を向け、片手を上げながら歩き去るグラジオ。彼のルガルガンもサトシたちに向けて一度吠え、主人の後を追っていく。その後ろ姿を見送るサトシたち。月が一瞬雲に隠れ、また顔を出した時には、すでに二人の姿は見えなくなっていた。
「よしっ、ルガルガン!今度こそ、成功させてみせようぜ!」
「ガウッ!」
その後、夕飯時になっても戻らないサトシたちを心配した博士が探しに来るまで、二人は練習を続けたとか……
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翌日。スクールに登校するサトシたちを出迎えたのは、何やら自信たっぷりのロケット団だった。
「今度こそ、あんたを倒して、ピカチュウをゲットしちゃうわよ!」
「そうはさせるか!行くぞ、ルガルガン。特訓の成果、見せてやろうぜ!」
対峙するのはムサシとミミッキュ、サトシとルガルガン。が、毎度のことだが、やはりミミッキュはピカチュウばかりに狙いをつけてしまっている。一応ムサシの指示通りの技を使っていることから見て、仲は進展したらしいが。
「なんかよく知らないけど、行くぞ、ルガルガン!」
「ガウッ!」
いざ、特訓の成果を見せる時。
しっかりと地面を踏みしめるルガルガン。
「岩と大地の呼吸を感じて……行くぞ!これが俺たちの、全っ力だぁ!ワールズエンドフォール!」
地面を強く蹴り、ルガルガンが宙に飛び上がる。後を追うように、地面から大量の岩が空に集まりだす。それは巨岩を形成し、ルガルガンの頭上で出来上がる。
「また今度も失敗……ってあら?」
「なんだか、」
「ヤバイ感じなのニャ!」
「ガゥッ、ウォォォン」
ルガルガンが吠えると、瞳の色が赤く変わる。まるで真夜中の姿と同じように光るその目に、ロケット団の体がすくむ。
ルガルガンが前足を振り下ろし、巨岩をロケット団に向けて投げつける。今度は形を保ったままの巨岩がロケット団に命中し、爆発する。
今度は大成功したZ技によって、哀れロケット団は、またもや空の彼方へ飛ばされて行くのであった。
「やったな、サトシ」
『お見事ロト!』
「いつの間に?」
「昨日特訓して貰ったんだ」
「特訓?」
「誰に?」
「グラジオだよ」
「お兄様に会ったのですか?!」
「あ、ああ。またすぐに何処かへ行っちゃったけど」
「わたくしもお話ししたかったのに……」
「まぁまぁ。今はほら、サトシとルガルガンのZ技成功を喜ぼうよ」
サトシと仲間たちがZ技の成功を喜ぶのを、近くの岩陰からグラジオが眺めていた。
「ものにしたようだな。俺も、こいつともっと強くならないとな」
手にしたプレミアボールを見つめながらそっと呟くグラジオ。
そのままサトシたちに一言も告げず、グラジオはその場から立ち去っていった。
グラジオの口上ですが、今回は簡略版的なのを作って見ました。
いや、なんか彼ならそんなのも用意してそうだなぁって思ったので
あ、あと、すみません、ヤレユータンの話……
ぶっちゃけ悩み中です、はい
いや、この物語ってサトシの周辺だけで基本展開するから……サトシ、あるいはそのポケモンがほとんど映らない時とか、どうしようかとかなり悩んでます……
なので、次回予告はなしです!