XYサトシinアローラ物語   作:トマト嫌い8マン

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この作品において、以前アンケートをとってリーリエの家どこにしよう?ってなった時にゲームと一緒となったので、その設定で進みます。

なので、サトシwithククイ博士&リーリエという設定です


転校初日の朝

ポケモンスクールの教室。授業が始まる前のこの時間は、生徒たちがそれぞれ好きなことをしていた。ポケモンと遊ぶもの、一緒に何かに取り組むもの。カキに至ってはリザードンとともに運び屋の仕事をこなしてきたところだ。

 

 

「アローラ!」

 

 

博士の声が教室に響き、生徒たちは席に着いた、正面の黒板前に立った博士の後ろには、

 

 

「アローラ!」

「今日からサトシも、このポケモンスクールの仲間だ。わからないことがあったら、教えてあげてくれ」

「少しの間だけど、よろしく!こっちのこと、いろいろと教えてくれ」

 

 

クラスは少人数制、しかも全員が昨日であったメンバー。サトシと過ごした1日が楽しかった彼らにとっても嬉しいものだった。みんなが笑顔で彼を迎えた。中でも一際ニコニコしていたのは、サトシを案内したマオだった。

 

 

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朝のホームルーム後、転校生なら一度は経験するであろう、クラスメートによる質問歓迎の時間になった。サトシの両手を自身の手で包み、握手、というには少し大げさな形で腕を上下させているマオ、他の子達はサトシの正面に、半円形で並んでいた。

 

 

「サトシ、ようこそポケモンスクールへ!歓迎するよ」

「ありがとう、マオ」

「うんうん。でも、昨日のあたしの勘違い、ホントになったね」

「そうだな。これからよろしくな」

「うん、よろしくね!」

「サトシは今どこに住んでるの?」

「ククイ博士の家にいさせてもらってるんだ。トレーニングルームもあるし、すっごいいいとこなんだぜ!」

「ククイ博士の?ホントに?」

「えっ?そうだけど」

「じゃあ、リーリエと一緒だね」

「えっ?」

 

 

驚きの声を漏らすサトシ。それもそのはず、彼はリーリエを一度も学校外で見かけなかったからだ。

 

 

「はい。わたくし、博士の研究所のロフトに住ませていただいてます。昨夜はマオと一緒にポケモンフーズのためのメニューを試すために、そちらに泊まっていましたけど」

「そうなんだ。俺は地下のトレーニングルームの隣の部屋なんだ。じゃあ博士も入れて、三人での生活になるな」

「そうですね」

「リーリエも一緒かぁ。なんだか楽しそうだな!」

 

 

ここで照れも動揺もしないのは、さすがはサトシといえよう。しかし一概に彼が鈍感なせいとも言い切れない。旅の途中にポケモンセンターに寄った際、男女別で部屋を分けずに泊まったことだって何度かあった。そう考えるとサトシのこの鈍さは、旅に出たからこそ助長されているのではないだろうか。

 

 

一方リーリエはというと、少しばかり不安を感じていた。別にサトシが苦手だとかそういうことではない。ただ、出会って間もない相手といきなりルームシェアするようなものだ。緊張することのほうがむしろ正常な反応だ。ただ、同時に期待もしていた。あんなにも簡単にポケモンと触れ合う彼。ポケモンを愛し、愛されているのがわかる。彼といれば、いずれは・・・

 

 

リーリエの白い手が、キュッと握りしめられた。

 

 

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と、少し冷静さを取り戻したマオが、自分が握っていたサトシの手、正確には左手首にあるものがついているのに気づいた。

 

 

「あれ?サトシ、これってまさか、Zクリスタル?」

「あぁ、これ?」

「それはデンキZだな。そのZリング、どこで手に入れたんだ?試練を突破したわけじゃないんだろ?」

 

 

この中で唯一Zリングを持つカキが、少し訝しげな表情で近づいた。当然だ。彼は試練に挑み、ポケモンとともに自身を高め、苦難の末にやっと手に入れられたものだ。それをアローラ地方に来たばかりのサトシが持っていることが、不可解だった。

 

 

「信じられないかもしれないけど、カプ・コケコに貰ったんだ」

「カプ・コケコに!?」

「あの後、また会ったの?」

「声が聞こえて追いかけたらさ、カプ・コケコがいて、このZリングを俺の前に。受け取れってことだと思って手に取ったら、カプ・コケコが頷いたんだ」

「カキのZリングは、確かアーカラ島のクイーンにもらったんだよね?」

「あぁ、大試練を突破してな。厳しい試練をこなし、ようやく手に入れられたものだ。しかし、なぜカプ・コケコが・・・」

「カプ・コケコは、サトシに何か見出したのでしょう。わたくし、本で読んだことがあります。カプ・コケコは守り神でありながらも気まぐれで、ただ人々を助けるだけでなく、いたずらをしたり、罰を与えたりもすると。そして、気に入った人間には、不思議な贈り物をするそうです」

「不思議な贈り物・・・サトシ、すごいです」

「じゃあ、サトシはカプ・コケコに気に入られたってこと?」

「俺が?」

 

 

改めてZリングを見る。守り神と呼ばれるカプ・コケコ。一体自分に、何を見出したのだろうか。自分を見出してくれた、自分に特別な贈り物をくれた。そんなポケモンに、彼は心当たりがあった。腰のボールをそっと撫でる。

 

 

「なんだか、ゲッコウガと初めて会った時のことを、少し思い出すな」

「ピーカチュ」

 

 

相棒が笑顔で応える。あの1年にも満たなかった旅の始まりが、今ではとても遠い昔にも思える。それだけ、あの旅は印象深いものだったのだろう。

 

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「けど、これで俺もカキみたいに、Z技が使えるようになったのかな?」

「Z技を軽々しく考えるな!」

 

 

純粋な疑問をサトシが口にすると、厳しい声が響いた。カキが、何か強い思いを持った表情で、サトシのことを見ていた。

 

 

「Zリングは、ポケモンとトレーナーの想いが一つになった時に初めて、その想いを力へ変えるんだ。そしてそれは、神聖でなければいけない」

「神聖?」

「島のため、ポケモンのため、誰かのため。この世にあるすべての命を思いやれる者だけが、Z技を使うことが許されるんだ。カプ・コケコがお前のどこを気に入ったのかは知らないが、Zリングを持つからには、それなりの覚悟が必要なんだぞ」

 

 

まっすぐサトシを見据える強い眼差し。そこからはカキがどれだけこの技に対して真剣なのかも、この技がどれだけ特別なのかもわかる。強い「覚悟」、それを見たサトシは一度視線を自身のZリングに落としてから、左手で帽子のつばを握った。

 

 

「俺、神聖だとか、その覚悟だとか、難しいことはよくわからない。けど、カキの言いたいことは、なんとなくわかった気がする。だから、このZリングも、Z技も大事にするよ。そして今の話を聞いたうえで言う。俺も、カキのように、Z技を使えるようになりたい」

 

 

帽子から手を放し、顔を上げたサトシは、曇りのない笑顔だった。しかしそこには、確かな「覚悟」があるようだった。それを感じ取ることができたカキは、表情を緩め、

 

 

「いいだろう」

 

 

と笑顔で返した。

 

 

「よぉし、みんな!そろそろポケモンサイエンスの時間だぜ。今日の講師は、オーキド校長だ」

 

 

こうして、サトシのスクールライフは始まった。




あの豪邸、すっごかったなーとかしみじみと思ってしまう

まぁ、一緒にしてるからそのあたり色々変わってしまいますが

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