XYサトシinアローラ物語   作:トマト嫌い8マン

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明けました、おめでとうございました〜


出会いと再会

「おおっ!プテラにアマルルガ、ガチゴラスの化石だ!すっげ~」

 

 

校舎に入り、階段を上ったサトシの目に入ってきたのは、大昔のポケモンの全身骨格の化石だった。今までにもポケモンの化石、どころかそれを復活させることに成功したポケモンや、何万年も変わらずに生きてきたポケモンにあってきたサトシではあったが、こうしてじっくりと化石を見るのは実に久しぶりのことである。

 

 

窓から外を見てみると、子供とポケモンが一緒になってバスケットボールをしているのが見える。

 

 

「ポケモンスクールって、すごい場所なんだな!」

「そうだよ!ポケモンたちと、生徒たちが、一緒に学ぶところだよ!」

「へぇ~。いいなぁ」

 

 

会話をしながらも目的地にはたどり着いたらしく、一つの扉の前で立ち止まりノックをするマオ。

 

 

「校長先生、新入生を連れてきました」

「へ?新入生?」

 

 

予想外の単語に驚いているサトシをよそにドアが開かれる。中から出てきたのは・・・

 

 

「バリ?」

「え?ポケモン?」

「バリヤード?ってことは」

「あら?よくここまで来られたわね?」

「ママ!?」

 

 

先ほどはぐれてしまっていたハナコとバリヤードだった。

 

 

「ちょっと見直したわ」

「先に来てたのか~。よかった~合流できて」

 

 

ポケモンスクールには来たものの、どうやってハナコと連絡を取るか悩んでいたサトシではあったが、どうやらその心配は必要なかったようだ。と、ハナコの後ろから聞き覚えのある声が響いた。

 

 

「アローラ、サトシ」

「え?・・・この声」

「ポケモンスクールへ、ようこソルロック!」

 

 

表情の物まね付きで、ポケモンの名前を使ったギャグを披露しながら挨拶をしたその人は

 

 

「オーキド博士!?って、あれ?何か違う・・・」

 

 

普段サトシが知っているオーキド博士よりも髪の量は多いし、その肌も色が違う。それもそのはずである。

 

 

「はっはっはっは!よく似てるって言われるんだ。私はその、オーキド博士のいとこ、ナリヤ・オーキドだよ」

「この学校の校長先生なの」

「へ~」

「よろしくナックラー」

「よろしく・・・ナックラー?」

「校長先生はいつも、ポケモンギャグばっかり言ってるの」

「人もポケモンも一緒に、明るく楽しく暮らすのが、一バンギラス!」

 

 

カントーのオーキド博士はポケモン川柳。アローラのオーキド校長はポケモンギャグ。あぁ、本当に親戚なんだなとサトシは実感した。思わず苦笑いを浮かべてしまったが、とりあえず話をするべくマオと一緒に校長室へ入っていった。

 

 

 

 

「・・・で、リザードンを追いかけたら、たまたまここにたどり着いてさ」

「な~んだ。新入生じゃなかったのね」

「ごめん。なんか説明する暇もなくて」

「こちらこそ。よく早とちりしちゃうんだ、あたしって。あはは」

「いや、むしろここまで案内してくれてありがとう。おかげでこうしてママたちとも合流できて、オーキド校長先生にも会えたんだし」

「そうかな・・・そういってくれると楽かも」

 

 

二人が軽い誤解を解消している間に、ナリヤ校長はカントーのオーキド博士に電話をつないでいた。

 

 

「おーい、ユキナリ!私だ。卵が無事届いたぞ!」

『おー、ナリヤ。そうか、無事に。ありがとう、ハナコさん』

「どういたしまして」

 

 

顔だちも声も本当にそっくりだ、そうサトシは思った。とりあえず無事にお使いは終わったな。と思った時

 

 

「そうじゃ、ナリヤよ。サトシにちゃんと渡してくれたか?」

「おぉそうじゃったそうじゃった。サトシ、君に渡すものがあったんじゃ」

「えっ?俺にですか?」

『君たちがそちらに向かってからわしのところに来たのでな。どうせ会うのじゃからと思って、ナリヤに預けとったんじゃよ』

「そういうこトサキント!」

 

 

ポケモンギャグを言いながら、ナリヤ校長が一つのモンスターボールを手にサトシの前に来た。

 

 

「この子を君に返す時が来た、ということづけもあったぞ」

「返す時・・・?っ、このボールは」

「ねぇねぇ、そのモンスターボールの中のポケモンって、サトシのポケモン?」

「あぁ。しばらく離れ離れになっちゃったんだけど。そっか、帰ってきたんだな」

「ふーん。ね、あとでどんなポケモンか会わせてよ!」

「そうだな、俺も久しぶりだし」

 

 

モンスターボールを見ただけで、サトシはそのポケモンがだれなのかを理解した。だってそれは自分にとっても、とても特別な存在だったから。自分たちのやるべきこと、やりたいことのために、彼とは一度分かれた。どんなに離れても、決して切れることのないものでつながっていると、彼に言った。そして、彼は帰ってきたのだ。使命を果たして。

 

 

「ナリヤ校長、ありがとうございます!」

「うむ。確かに、渡したゾロアーク!」

「ねぇ、校長先生!サトシに、キャンパスを案内してもいい?」

「もちろん、ポリゴ「サトシ、行こう!」ン、ヤブ「あぁ!」クロン!」

 

 

ボールを腰のベルトに付け直した後、期待に胸を膨らませたサトシは、マオと一緒に校長室を出た。

 

 

 

 

 

 

そのためか、ギャグをスルーされたナリヤ校長が、落ち込んでいるのには気づくことができなかった。

 

 

 

「ここが、あたしたちの教室よ」

「うわぁ~、すごくいい景色!それに・・・風も気持ちいいな~」

「ここだけじゃなくて、さっきケンタロスに乗ってたフィールドとか、プールとか。広いキャンパスのあちこちで、いろんなことを教わるんだ」

「へぇ~」

「お二人さん、アローラ」

 

 

テラスから身を乗り出したサトシたちの後ろから、また新しい声がかけられた。日焼けした肌に、サングラス。白い帽子に白衣を着た男性がそこに立っていた。

 

 

「ククイ博士!」

「えっ、博士?」

「うん。あたしたちの先生なんだ!博士、この子はサトシ」

「オーキド校長から聞いてるよ。サトシ、ポケモンスクールはいいところだ。今日だけでも楽しんでいったらいい」

「はい、ありがとうございます。ん?」

 

 

博士と挨拶をしていると、ポケモンの唸り声のようなものが聞こえた。テラスから覗いてみると、校門前でリザードンを連れた少年と、三人の怪しい人影が対峙しているのが見えた。

 

 

 

 

スカル団。マオは怪しげな服装をした、いかにも「俺たちワルだぜ!」とでも言っていそうな三人組のことをそう呼んだ。無理難癖をつけてはバトルを無理矢理申し込む連中だと。しかもどうやら少年のリザードンをよこせと言っているようだ。

 

 

対峙する少年には焦りも怯えもなかった。三対一、しかもポケモンの数で言えば9対1だ。しかし彼はひるまない。この程度の相手、彼にとっては倒すことなど造作もないと。けれども彼が一人で戦うことを良しとしない人がいた。

 

 

「お前たち、三人がかりだなんて卑怯だぞ!」

「サトシっ!?」

 

 

校門に集まっていたクラスメートと合流したマオと博士が、スカル団の出したポケモンに気を取られていると、サトシがいつの間にか、リザードンを連れた少年の隣に並び立っていた。




年始早々いいことと悪いことが来ました笑

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