サトシと同じくらいポケモン大好きみたいですし、出会いが違えばタケシポジになってたりして
アローラ地方は本日も快晴。サトシたちは課外学習で海へ来ていた。そして海と言えば、
「すっげえ気持ち良さそう!な、ピカチュウ?」
「ピッカピカ!」
『気温、水温。ともに最適な数値ロト』
いの一番に水着に着替えたサトシはピカチュウとともに軽いストレッチをしていた。後からマーマネとカキも着替えてやって来る。とは言っても、カキは普段となんら変わらない格好ではあったが。荷物番をしていた博士はパラソルの下で本を読んでいた。
「みんなはまだなのかな?」
「女子はこういう時時間かかるからな。仕方ないさ」
「お待たせ〜!」
少し待っているとマオたちが着替えを終えたようだった。マオは緑のセパレートタイプの水着。花の模様が入っているそれは、3人の中で一番長身のマオの健康的なスタイルを魅せた。スイレンは紺色のいわゆるスクール水着に近い。ある意味スイレンらしいと思わせる機能性の追求であるが、それで似合うのだから流石である。そしてリーリエは普段の服と同じ、白と水色のカラーリングの水着。フリルと小さめのパレオが上品な印象を与え、彼女の白い肌に良くあっていた。
「やっと来た」
「ごめんごめん、ちょっと手間取っちゃって」
「まぁいいじゃないか。そこまで待ってないしな」
「海のポケモンと遊ぶの、楽しみ!」
「この水着、変じゃないですよね?以前お母様からもらったものなのですが」
「全然。3人ともすごく似合ってるぜ」
正直で素直なのはいいことではあるが、時にはそれが思いもよらぬダメージを与えることをサトシは知らない。その言葉にガールズ3人は大きな打撃を受けたのだった。痛みはないが。
(な、なんかそうやってまっすぐ褒められると少し照れるなぁ。サトシってば本当にもう。こういう風に悩むのってあたし、ガラじゃないのになぁ)
(いつもの感覚でこの水着にしちゃったけど、もうちょっと可愛いのにすればよかったかな?でも似合ってるって言ってくれてるし、いいのかな?)
(顔が暑い。今きっとすごく顔が赤くなってます。ちゃんと熱が冷めるといいのですが。それに、サトシってあんなに鍛えてたのですね)
3人の頭の中がぐるぐるしている理由はサトシの発言もあるがサトシ自身の姿もそこに影響している。普段から運動神経はいい方だとは思っていたが、予想外にサトシの体には筋肉がついているのだ。カキのようにいかにも鍛えているというようなものではなく、しなやかなものだ。10代前半で成長の余地がまだまだありながらも、どこか完成された魅力があるようにも見える。
まぁ、当の本人はただポケモンたちと一緒に強くなりたい一心でこうなったわけなのだが。
「それじゃあ、ポケモンの観察タイムまでは自由にしてて良いぞ。ただ、野生のポケモンには十分注意するように。怪我したりさせたりなんてことがないようにな」
解散の合図とともに早速海へ飛び込むサトシ。すぐにスイレンとマーマネが続く。躊躇いがちなリーリエの手をマオが引き、カキはサトシに泳ぎの勝負を挑まれていた。
アマカジやアシマリ、トゲデマルにピカチュウたちも楽しそうだ。
「お前も早くみんなと遊べると良いな」
自分の隣に連れてこられた卵を見ながらククイ博士が呟く。聞こえたのか、少し跳ねた卵は、返事をしたように見えた。
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モクローが空から審判をする中、カキとサトシによる水泳勝負が始まった。浜辺からそれなりに離れた岩までのレース。両者ともに譲らない接戦だったがタッチの差でカキの方が優った。
「ふぅ〜、負けちゃったか〜」
「いい勝負だったぞ。またやろうぜ」
「次は負けないからな」
拳を突き合わせる二人。互いに互いの実力を認め合い、Z技を使えるもの同士、二人は以前よりも格段と仲良くなっていた。
「おっ、サニーゴだ」
「この辺りじゃよく見かけるポケモンだな」
「よーしゲットしようぜ、モクローってあれ?」
バトルを申し込もうとするサトシをそっちのけでサニーゴたちはまるで逃げるかのように水の中に飛び込んでいった。
「なんだ?」
「これはまさか、サトシ!急いでここから離れるぞ!」
「えっ、おう!」
カキの突然の焦りように驚きながらもサトシとモクローはその岩から離れた。その直後、何匹ものポケモンがその岩に上陸してきた。紫と水色の体を持ち、鋭いトゲのようなものが頭にたくさんついていた。
「な、なんだ?」
「気をつけろサトシ!そいつはヒドイデ、毒を持ってるぞ!」
「毒!?」
大慌てで二人は陸まで泳いで戻った。まさか休む間もほとんどないままに全力水泳で往復することになるとは思っていなかったサトシとカキは、海岸でバテバテになっていた。
「危なかったな、お前ら。ヒドイデの毒はなかなか強力だからな」
「はぁ、はぁ。そんなにすごいのか?」
『ヒドイデ、ヒトデナシポケモン。どく・みずタイプ。頭のトゲの毒で相手を弱らせる。ちなみに、サニーゴにとっては天敵とも言えるロト』
「そうなのか?だからさっきあんなに急いでたのか」
「まぁしばらく休みな。もう少ししたらポケモン観察の時間だからな」
「そうします」
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「さて、ここからはポケモン観察の時間だ。それぞれで好きなポケモンの様子を観察してくるんだ。ただし、怪我しないように気をつけるんだぞ」
解散の合図とともに6人はそれぞれ違う場所へ向かった。サトシはもちろん、ピカチュウ、モクロー、そしてロトムを連れて、海岸の奥の方にある岩場の方へ向かった。ポケモンの姿は見えなさそうだと思ったところで、下を見下ろすと
「ロケット団!?」
「ゲッ、ジャリボーイにピカチュウ」
そこにはロケット団がいた。しかし、何故かコジロウの顔色があまり良くなさそうに見える。その腕には1匹のヒドイデがしっかりとしがみついていた。
「なんでこんなところに?」
「お前らこそ、また悪いことでもする気なのか?」
問いかけの答えもなく、ピカチュウ目掛けてシャドーボールが発射される。ピカチュウを恨んでるらしいミミッキュが攻撃を始めた。
「アイアンテール!」
飛び上がったピカチュウは尾による攻撃でシャドーボールを打ち消した。そのまま放った10万ボルトでニャースとソーナンスにも攻撃する。と、ここでコジロウの腕にしがみついていたヒドイデが飛び出し、とげキャノンによる攻撃を仕掛けて来た。
「お前、」
「自分もバトルするって言ってるニャ」
「よーし、いっけぇヒドイデ!」
ピカチュウにミミッキュ、モクローにヒドイデがそれぞれ攻撃を仕掛ける。モクローはヒドイデの攻撃により毒状態にされてしまった。運の悪いことに、サトシはバッグを博士のところに置いて来てしまった。そこにはゲッコウガの入っているボールもある。
「モクロー!くっ、こうなったらZ技で、」
「なんだか知らないけど、させないわよ!シャドークロー!」
ピカチュウにミミッキュのシャドークローが炸裂する。ピカチュウもモクローも立ち上がれなくなってしまった。
「これはまさか、初勝利の予感!?」
「長かったなぁ〜、ここまで」
「これでピカチュウもゲットして、って危なっ!」
喜びを分かち合おうとするロケット団の足元に衝撃が走る。上空からの攻撃があったのだ。ロケット団が目を向けるとそこには見覚えのある影が。
「「「ゲェッ、ゲッコウガ!?」」」
ピカチュウとモクローを守るように、ゲッコウガが間に立った。サトシの危機を感じ取り、自らここまで来たのだ。
「ありがとう、ゲッコウガ」
「コウガ!」
「あれ?一転して」
「やな感じ?」
「ソーナンス?」
「ゲッコウガ、みずしゅりけん!」
「コウッガ!」
放たれたみずしゅりけんがロケット団に炸裂しそうになったその時、何者かが海から飛び出し、みずしゅりけんをその拳の一撃で打ち消した。ピンクの身体に黒い手足。
「キーッ!」
「「「キテルグマ来ちゃった〜!?」」」
もはやお約束とも言える謎のキテルグマの登場にロケット団の叫びが響いた。そのまま回収されたロケット団は、巣まで連れ戻されたのだった。余談だが、この時のヒドイデが正式にコジロウのポケモンとなったのだ。
「あのキテルグマ、相当強いな」
「コウガ、ゲッコウ!」
「そうだ、モクロー!すぐに直してやるからな」
毒に苦しむモクローをサトシが、ピカチュウをゲッコウガがそれぞれ抱えて、サトシたちは急いで博士の元に戻った。
「どくけしを、これで治せるはずだ」
「ありがとうございます」
博士からどくけしを受け取ったサトシはモクローに吹きかけた。少しずつ毒がひいていき、たちまちモクローは元気になった。何事もなかったかのように飛び回るモクローを見て、心配そうにしていたクラスメートたちもほっとする。
「良かったな、モクロー。みんなもサンキューな」
「無事で何よりだな」
「はい。よーし、みんなもっと遊ぼうぜ!」
「はいはーい、ビーチバレーしようよ」
「それならアシマリ、バルーン」
アシマリが丈夫なバルーンを作り出し、サトシたちはみんなでビーチバレーを楽しんだ。一方ロケット団はキテルグマの巣を秘密基地として活動していくつもりのようだ。彼らの戦いはまだまだ続く。
多分、永遠に
バンクのおかげでポケモンを育てやすくなりました笑
ちなみにゲッコウガとピカチュウ大活躍です