気が付けば、第一章も含めれば、30話目です。
お気に入りの人数も300人達成!
これからも応援よろしくお願いします。
その日の朝は、真面目な咲夜にしては珍しく、少し遅めの起床だった。
こちらの世界に来てからまだ二日しか経っていないが、何度も時間逆行があったせいか、久方ぶりに睡眠をとれたように感じてしまう。
どうやら思った以上に疲れを感じていたらしい。
フェルトを両腕で抱いて寝ていた咲夜は、フェルトを起こさないようにベッドから抜け出し、すぐに起床する。
その後、身支度をすませ、厨房に向かい、そこで既に朝食の準備を始めていたキャロルと合流する。
「キャロルさん、遅れてしまい申し訳ありません」
「あら、咲夜さん。どうやらぐっすりと眠れたようで良かったわ」
咲夜はすぐに謝罪をするも、キャロルには咲夜が遅刻した事に怒った様子は見受けられず、彼女は咲夜に対して楽し気に微笑み返す。
予想とは違った態度で返されたのか、咲夜の戸惑う様子を見て、キャロルは笑みをさらに深める。
「そんなに気にしなくても良いのよ。咲夜さんもこちらに来たばかりで疲れも溜まっていたでしょうし」
「ですが……」
「それに、咲夜さんはフェルト様のお傍付きが一番大切な仕事ですもの。本当はわたしも起こしに行ったのだけど、フェルト様と一緒に仲良く眠っている様子があまりにも微笑ましい光景だったから、あえて起こさなかったの。だからそんなに気にしなくてもいいのよ」
どうやらキャロルには、フェルトと一緒に寝ている姿を見られたようだ。
咲夜は他人に無防備な姿を見られたことに、羞恥し頬を赤らめる。
幻想郷ではいくらでも時間停止が使えたため、休憩時間は思うがままにとれた。
しかし、こちらの世界ではそうはいかない。
体調管理にも気を付けないと……。
咲夜は自分を戒める。
「分かりました。しかし、それでも寝坊したことは良くないことです。今日は、申し訳ありませんでした。以後、同じことが無いよう気を付けます」
「ふふふ、咲夜さんは真面目なのね」
キャロルは笑って許してくれたが、やはり咲夜はメイドとして仕事に誇りを持っている。
改めてキャロルに謝罪を行い、失態を犯した自分に次が無いよう気持ちを引き締める。
そうして、謝罪を済ませた咲夜とキャロルによって、朝食の準備が整われ、残りの住人が食堂に集められ、朝食を取る。
全員の朝食が済むと、咲夜は午前中のフェルトたちの勉強会に参加する。
基本的に咲夜は仕事のスケジュールは朝食後、午前中はフェルトに付き添い、勉強会に参加。
午後はメイドとして屋敷の仕事を行うことになっていた。
ラインハルトと事前にそう決めていたのだ。
そして今日の勉強会のテーマは、『王としての在り方』だった。
宮廷でのマナーや言葉使い、王としての資質、などフェルトに足りないものは多い。
貧民街暮らしだったこともあり、他の候補者よりも一歩どころか、二歩、三歩以上と大きく遅れている。
彼女が学ばなくてはならないことはたくさんあるだろう。
咲夜は、テーブルの上に積み重なっている様々なタイトルの本から一冊を手に取って開いてみる。
「む、……読めないわね」
本の中身は最近学び始めた『イ』文字だけでなく、当然『ロ』文字や『ハ』文字で構成された文章だったため、咲夜にはほとんど読み取れなかった。
咲夜は数ページほど目を通し、読むのを諦め、本を閉じてテーブルの上に戻す。
「あー、なんでこんなしち面倒くせぇーこと勉強しなきゃいけないんだよ!」
「フェルト様は、いずれ王になられる方。ならば、周りに示しを付けるためにも、それ相応の振る舞いを身に付けなければいけません」
本を読み始めて数分でフェルトは、読む行為が飽きたようだ。
フェルトは手に持っていた本を後ろに投げ捨て、愚痴り始める。
フェルトの後方で本の説明を行っていたラインハルトは、不意に後ろに投げられた本を容易く掴み取りながら、フェルトを諫めようとする。
「折角、読み書きが出来ても、こんなくそ面白くねー本ばっか読んで何になるんだよ。もっと面白いことに読み書きを使おうと思わねーのかよ」
「本は、知識を得るためのものでしょう。フェルト様が読み書きを学ばれたのも……」
「アタシはロム爺に、役に立つって叩き込まれただけだ。実際、店の看板や手紙の類が読めるようになったのは収穫だったぜ。報酬を誤魔化されないように数字の計算も学んだ。けど、それは生きるために必要だったからだ」
「――――」
「お前が勉強したのは、生きるためなんて切羽詰まった理由じゃねーだろ。だから、なんかお前の考えはなんか気持ちわりーんだよ。ここにある本もお前が欲しがった本とかじゃないだろ。ぜーんぶ他人から与えられたもんだろ?」
フェルトの言葉にすぐに反論の言葉が思いつかないのか、黙り込むラインハルト。
咲夜は、そんな二人の様子を静かに窺う。
二人の生まれ育った環境は大きく違う。
ラインハルトはフェルトに対してどう言葉を返すのかだろうか?
「……今はフェルト様に返す言葉が僕の中にはありませんでした。いずれ、ちゃんとした答えをお返しします」
「あっそ。まぁ、いいや。ほら、勉強すんだろ? 始めるぞ」
少しの間があって、出されたラインハルトの返事に、フェルトは興味を失い、愚痴を言って少し気が晴れたのか勉強を始める。
主従関係がこれでは先が思いやられるわね……。
やはり、理想はわたしとお嬢様の関係ね。
「ラインハルト」
「あ、……なんだい。咲夜」
フェルトに言われたことに対して少し考え込んでいたのか、ラインハルトから一拍遅れて返事が来る。
「実は、わたしは文字がほとんど読めないのよ。だからここにある本もきっと読めない。文字の勉強に使える本とかは無いかしら?」
咲夜が文字を読めないことを知り、驚いた顔をするラインハルトとフェルト。
咲夜の良いとこで育ったような気品を漂わせていたことから、文字が読めると思われていたようだ。
「何だよ、姉ちゃん文字読めねーのかよ。意外だな」
「ええ。最近、イ文字を勉強し始めたばかりよ」
「分かった。イ文字で書かれた本になるとすると、童話とか子供向けの本になってしまうけど良いかい? フェルト様のために用意した本がどこかにあったはずだ」
「ええ、それで構わないわ。ありがとう」
「おい、アタシのためってどういうことだ! アタシはガキか!」
この部屋にはその本は無いのか、ラインハルトは部屋を出ていく。
子供扱いされたフェルトが憤っている様子に、咲夜はくすくすと笑う。
フェルトは笑う咲夜を睨むが、それでも笑いを止めない咲夜を見て、ため息を付き、睨むのを止める。
そしてフェルトは真面目な表情に切り替え、咲夜に顔を寄せて、小声で話しかけてくる。
「なあ、姉ちゃん。ちょっと相談が有んだけどよ……」
「相談? 何かしら?」
フェルトの真剣な顔に、昨夜も笑いを止めてフェルトの話に耳を傾ける。
「午後にこの屋敷から脱走するの、手伝ってくれ」
「――――」
「姉ちゃんは金が必要なんだろ? 脱出出来たらアタシの今まで貯めた金はやる。足りなかったら、ロム爺からも出させっからさ」
「わたしはラインハルトに雇われているのよ? それに仮に手伝ったとして、わたしは王選候補者の誘拐者扱い。しかも、剣聖に睨まれることになるなんて、……悪夢ね」
「頼む! どうしてもこの屋敷から出たいんだ! だか「興味深い話をしているね」ら、……え?」
ラインハルトは既に部屋に戻ってきていた。
手には本を二冊ほど持っている。
どうやら目的の本は見つかったようだ。
しかし、いきなり現れるのは止めて欲しい。心臓に悪い。
「いつの間に!? 戻んのはやくねーか?」
「隣の部屋に本はあったからね。場所も大体検討が付いていたから、すぐに見つけられたよ」
「……まぁ、いいや。咲夜、話の続きだけど」
「あのフェルト様? 僕の前で脱走計画を企てるのはいかがのものかと?」
「いいだろ、別に。約束じゃ、お前は手出しできねーんだから」
「まあ、そうですが」
「認めるのね、貴方……」
「勉強ばかりじゃ、大変だろうからね。フェルト様もたまには気晴らしも必要だろう」
「わがままな妹に甘過ぎるダメな兄を見ているような気分だわ……」
「咲夜も、今日の午後は屋敷の仕事をしなくていいから息抜きしてくると良いよ。そもそも咲夜はこのルグニカ王国の観光に来たのだしね。もし、脱走が成功したらフェルト様と一緒にこの王都を見て回るのもいいんじゃないかな?」
そうして、ラインハルト本人から許可をもらったフェルトは楽しそうに脱走計画を咲夜に話し出す。
ラインハルトも興味深げに話を聞いている。
それでいいのか、剣聖……。
「幸いにしてアストレア家に仕えるものは、みな優秀だからね。爺やと婆やをそう簡単に出し抜くことが出来るかな?」
咲夜のもの言いたげな表情を見て、ラインハルトがそう答える。
信頼の置く部下がいれば、上司も安心していられる。
いい関係だ。
それがフェルトとの間にも適用されれば、なお良いのだが。
「決行の時間は昼食後だ」
「随分と明るいうちからね」
「昼食後、何気ないように装って、堂々と正面玄関から屋敷を出る」
「それじゃあ、バレバレじゃないの……」
「午後は、爺ちゃんは買い出しに行っているからな。婆ちゃんにだけ気を付ければいい。その婆ちゃんは昼食後は片付けをしている。それに咲夜がアタシの傍にいると分かれば、注意が薄まるはず」
「意外と考えてるのね」
フェルトが計画を話終えると、部屋の扉がノックされキャロルから昼食の準備が出来たと、声がかかる。
もう昼食の時間か、そう思うも今日はそもそも朝食が遅かったことを思い出す。
「よし! 飯だ! あ、ラインハルト、てめーチクんじゃねーぞ」
「ええ。分かっています」
フェルトはラインハルトが了承すると、扉を開けて部屋を出て行ってしまう。
食事に関しては本当に楽しみにしているようだ。
「本当にいいの? ラインハルト。もし、脱出に成功したら……」
「その時は、咲夜にフェルト様をお願いするよ。ところで、咲夜。君は文字を勉強していると言ったね。読み書きを勉強したら何に使うのか聞いても良いかい?」
「……」
先ほどのフェルトとの会話をラインハルトは気にしていたらしい。
どうやらラインハルトはまだフェルトへの答えが見つかっていないらしい。
「決まっているじゃない。『生きるため』よ」
咲夜から返された答えにラインハルトは目を丸くして驚く。
「本を読むためじゃないのかい?」
「勿論、本を読むためよ。でもそれは手段であって最終的な目的ではないわ。本を読むにも理由があるでしょ?」
「本を読む理由?」
「例えば、この本。これはマナーについて書かれた本かしら?」
咲夜はテーブルの上に置かれた本を一冊手に取り、開く。
人が頭を下げ、お辞儀している絵が描かれている。
分かりやすく絵も交えて説明している本なのだろう。
文字が読めない咲夜でも何の本か、推察できた。
「貴方がマナーについて学んだのは、何のため?」
「それは……必要だったから」
「どうして必要だったのかしら?」
「それは……」
「貴族として『生きる』のに必要な知識だから、でしょ? あるいは剣聖としても。人が知識を得る時は何かしら目的があるわ。大抵は最終的に『生きる』ために繋がっているわ。わたしもこの世界で『生きる』ため、ひいては知識を得て、やがて故郷で主の元でメイドとして『生きる』ため。貴方も最初は、与えられたもの」
「なるほど。なら、フェルト様には生きるための知識として必要であることを説明してあげれば良かったんだね。王として生きるために必要な知識だと」
ラインハルトは、咲夜の話に納得したようだ。しかし、
「フェルトは納得しないでしょうね」
「どうしてだい?」
咲夜自身が話した先ほどの話とは真逆の答えにラインハルトは、理解できず質問する。
「それは勿論、フェルトにとって生きるために必要な知識ではないからよ」
「王として生きるのに必要な知識なのでは?」
「フェルト自身が王としての生きることを望んでいないからよ」
「っ!」
ラインハルトは咲夜の言葉に衝撃を受けたような顔をして驚く。
「……なるほど。フェルト様が王として生きる、王選候補者として認めた時、初めて学ぶ必要がある知識になるんだね」
「ええ。そうなるわね」
「…ありがとう。咲夜。疑問が氷解したよ」
ラインハルトは長年悩まされた問題がやっと解けたような、晴れ晴れとした表情で咲夜に礼を言う。
咲夜はフェルトが言った言葉の意味を全て説明したわけではなかった。
フェルトがラインハルトのことを気持ち悪いと言った意味を説明していなかった。
ラインハルトからは自分の意思が、欲望が感じられないのだろう。
他人からこうあれと求められるままに生きている彼が、ただひたすら自分が生きるためだけに生きていたフェルトには理解できない。
しかし、わざわざそこまで咲夜がいちいち教える義理はない。
彼女はそこまで優しくは無かった。
それにラインハルトは既にやりたいことを見つけている。
彼自身がそれに自覚を持っていないだけだ。
なら、後は、彼自身の問題。
「ほら、早く行くわよ。いつまでも待たせているとフェルトにまた怒られるわよ」
「そうだね。僕たちも食堂に行こうか」
ふと二人が部屋の開いたままになっていた扉に目を向けると、キャロルがそこに立っていてこちらをニコニコしながら見ていた。
「さあさあ、ラインハルト様、咲夜さん、フェルト様が食堂で先にお待ちになっていますよ」
咲夜はラインハルトと目を合わせ、苦笑し、キャロルを先頭にして食堂に向かうのであった。
****************************
「姉ちゃん、いくぞ」
現在、咲夜とフェルトは計画通り正門の方へ向かうため、屋敷の扉の前にいた。
ここを開けたら、後は真っ直ぐ進めばすぐに正門にたどり着く。
昼食中、特にキャロルやグリムに感づかれた様子は無かった。
フェルトが楽しそうに食事をしているのをニコニコして二人が見ていただけだった。
食事後、グリムが屋敷を出て行くのを見届けた後、行動を開始した。
昼食が終わってからまだそんなに時間が経っていない。
まだキャロルは厨房にいるだろう。
今頃食器を洗っているところだろうか。
フェルトは、扉に手をかけ、開ける。
開かれた扉からは日の光が差し込む。
フェルトは眩しそうに一瞬目を細めるも、すぐに扉から外へ出て行き、咲夜も後に続く。
「やはり、いらっしゃいましたね」
「ば、婆ちゃん!?」
扉を開けると、正門前にキャロルが一人立っていた。どうやら先回りされたらしい。
「もしかしてラインハルトの奴が!?」
「いえ、ラインハルト様は違いますよ」
「昼食では特に気付かれた気配も無かったけど、キャロルさんはどうして分かったのかしら?」
「昼食後、フェルト様は午後は勉強の予定でした。なのに昼食が終わっても楽し気にしていましたから。いつもなら、渋い顔をしてラインハルト様を睨め付けていますのに。それでこれは午後に何かあるな、と思いまして」
「待ち伏せていたってわけね」
なるほど。普段のフェルトの様子と異なったために気付かれたわけだ。
とはいえ、フェルトがこの屋敷に来てからまだ僅かだというのに、そこまでフェルトの事を分析しているとは……。
「それで、バレちゃったけど、どうするの? フェルト」
「こうなりゃ、強行突破しかねー」
「つまり、作戦は無いと……」
「二手に分かれて正門まで行くのは?」
「そしたらフェルトだけが捕まって終わりじゃない?」
「何でだよ?」
「だって、キャロルさんにわたしを捕まえる理由は無いでしょ?
「……じゃあ、どうするんだよ?」
「わたしがキャロルさんを止めているうちにフェルトが門を越えるとか?」
フェルトが門を越えて外に脱出するには、現状一番それが可能性があるだろう。
別に咲夜はそこまでして外に行く理由はない。
今日でなくともいつでも外に出る機会はあるだろう。
「ダメだ。また盗品蔵みてーに、アタシだけしっぽ撒いて逃げろってのかよ。それに誰かを犠牲にしてってのも自分の性分に合わねーしな」
フェルトは咲夜の提案を断る。
咲夜はフェルトにとって最も成功確率が高そうな提案を却下したことに関心する。
「貴方って甘いのね」
「って、そういいながら人の頭撫でんなよ! やめろって! アタシをバカにしてんのかぁ!」
「褒めてんのよ」
咲夜は、フェルトを頭を撫でる。フェルトは文句を言うが、本気で嫌がっている様子は無かった。
「そろそろ作戦は決まりました?」
「ええ、キャロルさん。待たせてしまってごめんなさいね」
「っちょ、姉ちゃん。まだ作戦は決まって……っわ!?」
咲夜はフェルトを抱き上げる。
フェルトの気概を見せたのだ。
仮初であるが、臣下として役に立ってみせようじゃないか。
「姉ちゃんっ!? 何すんだよ! ……えっ?」
「あらあら……」
フェルトとキャロルから驚きの声が上がる。
フェルトは宙に浮き、そのまま上昇していったからだ。
いや、正確にはフェルトを抱いたまま咲夜が宙に浮いているのだ。
咲夜は上昇し続け、キャロルから完全に手の届かない位置まで離れる。
ここまで高く上がれば、たとえキャロルが魔法を使えたとしても大丈夫だろう。
「さ、行くわよ」
「ね、姉ちゃん、空飛べたのかよ?」
「まぁね。これで安全に門を抜けられるでしょ?」
咲夜はフェルトを抱えたまま空を飛び、門の上を通過する。
「咲夜さん!」
キャロルから咲夜に呼び抱える声が届き、咲夜とフェルトは振り返る。
すると、キャロルは手を振りながら
「夕食までは戻ってきて下さいね!」
「分かりました!」
「姉ちゃん!? 何で戻るって返事してるんだよ!」
「そりゃ戻るでしょう」
「何でだよ! アタシは脱出出来ただろ! 婆ちゃんと爺ちゃんに捕まらずに!」
「でも、わたしには捕まっているじゃない」
「な、何で姉ちゃんが出てくるんだよ」
「ラインハルトとの約束の条件は使用人に捕まらなかったら、でしょ? わたしも使用人だからね」
「なっ! 約束した時はまだアタシは姉ちゃんを使用人として認めていなかっただろ!」
「でも、ラインハルトは認めていたんだから、彼の使用人という言葉には勿論わたしも含まれていると思うわよ。ラインハルトが朝、フェルトの脱出計画を黙認していたのだって、わたしが一緒に付いていくことを条件にしていたからよ、きっと」
「う」
「う?」
「うがー!! 騙されたー!」
「さて、王都の案内よろしく頼むわよ」
咲夜は屋敷から大分離れたところで、地上に着地し、笑顔でそう言った。
ラインハルトとフェルトの微妙な関係感を今回は書いてみました。
誰だってしたくもない勉強を強制されれば嫌がりますよね。
まあ、フェルトの場合は必要な知識であっても勉強を嫌がるでしょうが。