ラブライブ・メモリアル ~海未編~   作:PikachuMT07

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第45話 ダイエット!

海未ちゃんから扇子をもらった日の翌日は、バイトがなく弓道の練習に精を出さねばならない日である。

俺はクラスの掃除当番で15分ほどいつもより遅く学校を出た。

いつもの習慣で神田明神の階段を見ると、μ'sが階段トレーニングを行っているのが見えた。

μ'sに会いたいが・・・一番会いたい人に、会いたくない。

俺は神田明神に近寄らず、大通りの方を歩く事にした。

 

俯き加減に歩いていると、背後から俺を呼ぶ声が聞こえた。

穂乃果「お~い、しょーくん!しょーくん!!」

弾む声と一緒にジャージ姿の穂乃果ちゃんと花陽ちゃんが、マラソンで近づいて来た。

穂乃果「しょーくん、どうしたの?なんでこっち歩いてるの?それからさあ!一昨日は酷いよね!私達を置いてさ!海未ちゃんと逃げちゃって!すっごい探したんだから!」

そうだった・・・海未ちゃんの事で頭がいっぱいで、俺はデートの日のケーキ屋の事をまったく謝っていなかった。

マラソンで来た二人は俺と並ぶと歩きの速度になり、おしゃべりを始めた。

紫音「ああ、ごめん穂乃果ちゃん花陽ちゃん・・・。探してくれたんだってね。俺達あの後弓道の練習に行ったんだよ」

穂乃果「知ってるよ~!実はね~私達、海未ちゃんのお母さんに電話してね、弓道場を見張ってたんだよ!」

どっき~~ん!!って事はまさか!!!

穂乃果「神田明神でさあ!しょーくん海未ちゃんの事怒らせたでしょ?見ちゃったもんね!それで私達に会いたくないんだよね~!」

怒らせた?確かにその見方は正しいが・・・なんで怒ったのかは知らないのだろうか?

紫音「まあ、はっきり言うとその通りです・・・超怒らせました」

そう言うと花陽ちゃんが遠慮がちに口を挟む。

花陽「あ、あの紫音さん。私達、海未ちゃんに聞いたんですけど・・・なんで怒ったのか教えてくれなくて。ことりちゃんは少し知ってるみたいなんですけど」

その質問は、俺と海未ちゃんのデートをずっとつけていたこの二人なら、当然持つべき疑問だと思う。

少なくともケーキ屋での俺達は、誰がどう見ても仲の良い友達に見えたはずだからだ。

紫音「うんと・・・弓道で勝負したのは知ってるんだよね?俺が勝ったのは知ってる?」

質問にどう答えるか、俺は二人の反応を見ながら、情報を小出しにして適切な回答を探る作戦にした。

穂乃果「うん、まあそうじゃないかなって皆で予想してた」

花陽「それで・・・何か言っちゃったんですか?今日紅音ちゃんは、そこはもういい、みたいな話をしてましたけど・・・」

くっ、紅音の情報まで持っているのか・・・これはばれてないほうが奇跡だ。

誰がどこまで話したかも曖昧ではあるが、整合性を保つためには?・・・俺の頭脳がフル回転する。

紫音「いや俺、勝ったの嬉しくて、つい・・・その、こ、ことりちゃんより努力が足りないって言っちゃったんだよね!」

穂乃果「ええ?どういう事?」

紫音「いやほら、μ'sと生徒会の両立は海未ちゃんもことりちゃんも穂乃果ちゃんも一緒でしょ?」

穂乃果「うんうん」

紫音「それにプラスして作詞と衣装作りとリーダーがあって、弓道とメイドカフェとお店の手伝いをそれぞれやっててさ・・・みんながんばってるじゃん」

そこまで言うと花陽ちゃんがポンと手を打った。

花陽「ああ、判りました。それで海未ちゃんが、弓道をがんばれてないって、言ってしまったんですね?」

紫音「そ、そうそう!バカだね俺、怒るに決まってるよね!反省してるよ~」

花陽ちゃんの物分りの良さは、感心を通り越して感動のレベルだ・・・助かる。

花陽「それで、紅音ちゃんがもういいって言ったのは、ちゃんと謝れたって事ですか?」

・・・小さな事も見逃さない花陽探偵さんの追求は、厳しかった。

紫音「うおっと・・・それはね、うんと・・・そう!まだ許してもらえてないんだけど、今週の海未ちゃんの弓道の試合を応援に行くって、海未ちゃんに言ったんだよ・・・お詫びのしるしに。そこで謝る予定」

穂乃果「ああ、そうなんだ・・・でもさ!海未ちゃんてさ、すぐ怒るよね!謝っても許してくれないしさ!私達だってね、今は罰で走らされてるんだよ!」

穂乃果ちゃんがそう文句を言うと、花陽ちゃんは恐縮した様子である。

花陽「ば、罰って言うか・・・私達が少し太ってしまったので・・・」

穂乃果「え~!でもさ、ちょっと厳し過ぎない?あれもこれも食べちゃダメとか言われてさ、皆よりすっごい走らされて~!ラブライブの東京決勝までまだ1ヶ月ちょっとあるし!少しずつ痩せればいいんだよ!」

花陽「そ、そういう意見もあるよね・・・」

紫音「何?二人はダイエットでマラソンしてるの?」

穂乃果「そうだよ~!海未ちゃんがさ、5km走ってこ~い!って・・・もう疲れたしお腹減ったよ・・・」

そんな会話をしながら歩いている俺達の前にちょうど、「GOHAN-YA」というチェーンの定食屋が現れた。

店の前には「黄金米」の幟が立っている・・・これは新米を提供している、という意味であろう。

穂乃果「あ!ねえ花陽ちゃん、これ新米じゃない?すっごく美味しそう!!」

花陽「え?穂乃果ちゃん?美味しそうだけど・・・さすがにこれ食べようって言わないですよね?お財布ないし」

穂乃果「え?花陽ちゃん、食べないの?新米だよ?絶対美味しいよ?」

花陽「え?え?そ、それは新米なら美味しいですけど・・・だ、ダメです、私達、ダイエットでマラソンしてるんですよっ!」

穂乃果「大丈夫だよ~これからまだかなり走るんだよ私達・・・お財布はさ、学校に置いてきちゃったけどさ~ねえしょーくん?」

紫音「え?俺??」

穂乃果「私達ぃ~一昨日すっごくしょーくんを探したんだよ?一昨日は凄い痩せたよ私達。まあ昨日、衣装はちょっと入らなかったけど・・・ねえ、お金貸して?」

穂乃果ちゃんは俺の腕に寄りかかり、得意の上目遣いで俺を見つめてきた。

紫音「まあ貸すのは構わないけど・・・ダイエットプランって海未ちゃんが作ったんじゃないの?」

穂乃果「そうだよ、あんなの無理だし!私達、食べないと死んじゃうよ。ね花陽ちゃん?この新米とお味噌汁、お魚・・・絶対美味しいよ!」

花陽「い、いや、ダメだと思いますぅ・・・」

穂乃果「まさか、この炊きたての新米を、花陽ちゃんが素通りできるなんて・・・ご飯大好きな子だったら絶対ありえないよね!しかもここ見て!大盛り無料って書いてあるよ!」

花陽「うう、ううう~~!」

穂乃果「部活前のおやつだって我慢したしさ~ご飯一杯くらいどうって事ないよ!それよりこの新米を通過しちゃうほうがストレスで逆に太るよね」

ストレスで太るって・・・食べなきゃ絶対に無いと思うけど・・・それを聞いた花陽ちゃんの目はキラリと光った。

花陽「し、紫音さん!お金貸して下さい!」

紫音「い、いいよ、一昨日のお詫びで・・・今日は奢るよ」

穂乃果・花陽「やったあ!」

 

俺達は3人でGOHAN-YAの焼魚定食を食べた。

確かに新米は美味い。

俺達は笑顔でご飯を食べ、最近の学校の事や海未ちゃんの厳しい物言いについて話し合った。

穂乃果「ああ美味しかった!!しょーくんご馳走様!!」

花陽「すみません、奢ってもらっちゃって・・・ありがとうございます!」

穂乃果「じゃあお腹も一杯になったし、しょうがないからマラソンするか~!」

食べ終わって余裕で水を飲み、3人分のスタンプが押されたカードを持って、二人はマラソンに旅立っていった。

ふ~海未ちゃんに告白したの誤魔化せて良かったなあ~と、この時の俺はそればかりを安心し、ダイエットについてはまったく考えていなかった。

 

     ■□■

 

その週の日曜、武道館の弓道場で東京都高校弓道女子新人大会が行われた。

俺は例に寄ってほむまんを持って海未ちゃんの応援に行った。

しかし・・・声はかけづらい。

海未ちゃんは音ノ木坂学院の後輩達からしっかり応援されていた。

女子大会なので俺の存在は目立つ事もあるし・・・拒否されたらと思うと、いつものようにほむまんを渡すのも躊躇われた。

俺は音ノ木坂学院の弓道部の1年生に「桜野紅音の兄」と名乗り、「生徒会長から頼まれた」としてほむまんを託した。

音ノ木坂学院の1年生は1クラスしかないので、紅音を知らない娘は居ない。

さらに関東大会予選でも、俺はほむまんを渡している所を見られていた。

そして良く考えると、文化祭での穂乃果ちゃんお姫様だっこ事件のお陰で・・・俺自身が有名人になっていたのだった。

生徒会長で穂むらの娘の高坂先輩と、副会長の園田先輩は仲良しであり、弓道をやっている紅音ちゃんのお兄さんが穂むらの饅頭を届けにくるのは、そんなにおかしな事だとは思われなかった。

 

海未ちゃんは決勝には残ったが・・・やはり練習不足だろう、表彰台には入れなかった。

俺は「惜しかったね。お疲れ様!来年、また二人で東京代表に選ばれたいね!ほむまん、食べてね」という内容のメールを出した。

なんだか・・・振られたのか何なのか良く判らない男としては、自分でも涙ぐましい努力に思える。

返信はやはりその日の、だいぶ遅くなってから届いた。

「練習不足でお恥ずかしい所をお見せしました。ほむまんありがとうございました。来年は高校最後の年です。あなたに負けないよう、がんばります」と書いてあった。

なんだか他人行儀で・・・冷たく思えた。

思わず、諦めてことりちゃんと付き合おうかな、という思考が頭を掠める・・・が、頭を振ってなんとかやり過ごした。

 

     ■□■

 

翌週も俺はやはり海未ちゃんやことりちゃんの顔を見る気が起きず、弓道場へ行くのに大通りの方を歩いていた。

次の日曜が男子弓道新人大会であり、今年を締めくくる大会である。

二月に春季遠的大会というのもあるが、的までの距離が全然違うため、通常の競技ではこれが最後となるのだ。

その日は学校で先生に呼ばれてしまい、学校を出るのがいつもより20分ほど遅かったため、俺は少々急ぎ気味だった。

穂乃果「お~い、しょーくーん!」

すると後ろから俺に呼びかけつつジャージ姿で走ってくるのは・・・またもや穂乃果ちゃんと花陽ちゃんである。

紫音「おっす、二人とも!今日もマラソン?少し痩せた?」

穂乃果「おお!ありがとうしょーくん!私痩せたでしょ?かわいい?」

紫音「あ、いやその、痩せたかどうか俺が聞いたんだけど・・・まあ痩せたように見える・・・かな?ジャージでも可愛く見える女の子は本当にかわいい娘なんだよ」

穂乃果「そんなしょーくん、はっきりかわいいって言いすぎだよ~照れるなあもう!うんうん、だってがんばってるもん私達!ね、花陽ちゃん!」

花陽「はい!私達がんばってます!だからご褒美に、いつもここで定食を食べる事にしたんです!」

え?ここって?・・・俺が正面を見るとそこにはGOHAN-YAがあった。

紫音「え~と、まさか、あれから毎日ここで食べてるの?」

穂乃果「嫌だなあ、しょーくん、私達そんなに食いしん坊じゃないよ~マラソンがある日だけだよ!だから日曜と雨振った日は食べてないよ!」

そ、それはほぼ毎日なんじゃ??

花陽「紫音さん!今日も私達と食べませんか?焼魚定食以外も美味しい事が判ったんですよっ!」

穂乃果「そーだよしょーくん!食べよ食べようっ!」

紫音「いやあの、俺日曜試合なんだよ!こんなトコでメシ食ってる場合じゃ~~」

俺は最後までしゃべらせてもらえず穂乃果ちゃんに左腕を取られ、花陽ちゃんに背中を押されGOHAN-YAへ連れ込まれてしまった。

なんと穂乃果ちゃんは焼肉定食、花陽ちゃんはハンバーグ定食の食券を買っている・・・当然ご飯大盛りだ。

お、おいおい・・・ダイエットじゃなかったっけ?

仕方なく、俺は最近食べられるようになったニラレバ定食を頼んでみた。

食べ始めると弓道の練習に早く行こうと思っていた事はすっかり忘れてしまい、3人で仲良く楽しく、食べてしまった。

俺の分のスタンプも穂乃果ちゃん達のカードに押してもらうと、ついにカードは全部スタンプが押された状態となった。

穂乃果「いや~今日も美味しかったね!やっぱり新米の力は凄いね!魔法のように全部が美味しいよ~!」

花陽「は~~~っ幸せですぅ~!炊きたて新米大盛り、最高ですぅ」

紫音「はは、確かに美味しい」

俺達は一杯になった腹をさすりながら、店を出た。

花陽「紫音さんスタンプありがとうございますぅ!穂乃果ちゃん、ついに溜まりましたよっ!」

穂乃果「やったね花陽ちゃん!次はステーキ定食、いっちゃう?」

紫音「ステーキ定食!良いね!!」

海未「あなたたち!!」

道路に響き渡ったその声に・・・俺と穂乃果ちゃんと花陽ちゃんは完全に停止した。

振り返るのが・・・恐い。

海未「説明してもらえますか!!」

きゃ~~~っ!間違いなく俺達は3人とも心の中で叫び声を上げた・・・少なくとも俺は上げた。

 

紫音「な・・・なんで俺まで・・・」

海未「お黙りなさい!」

俺達は神田明神の階段の脇に正座させられていた。

すぐ前をジャージ姿の海未ちゃんが行ったり来たりしている。

にこ先輩と真姫ちゃんは完全に呆れ顔、絵里先輩と希先輩は苦笑、ことりちゃんと凛ちゃんは心配そうに俺達を見ている。

海未「穂乃果、花陽・・・あなたたちはダイエットでランニングをしているのですよねえ?違いますか!」

海未ちゃんは今まで見た事のある中でも最高レベルの怒りを宿していた・・・ただ穂乃果ちゃんには全く影響がないようである。

穂乃果「そうだけどさ~!でも厳しいだけじゃ続かないんだよ~!最終的に痩せればいいんでしょ、最終的に~」

海未「穂乃果っ!!いい加減にして下さい!あなたは音ノ木坂学院の生徒会長なんですよっ!それが事もあろうに部活中に定食を買い食いとは・・・」

穂乃果「店に入れば買い食いじゃないんじゃない?」

海未「そんな事あるわけないでしょう!とにかく女の子が定食屋なんて恥を知りなさい!それ以前にダイエットという目標を忘れないで下さい!花陽!!」

花陽「はいぃぃぃ!」

海未「あなたがついていながらなんというザマですか!信じていたのに・・・穂乃果が暴走したらそれを止めるのがあなたの役目でしょう!」

花陽「ふぇぇ・・・ううう、ず、ずびばぜん」

海未「あなたまで定食屋でしかも大盛りを頼んでいるとは・・・いくら穂乃果に言われても自分まで大盛りを頼むとはやりすぎです!痩せる気があるのですか!」

花陽「ご・・・ごめんだざい~」

花陽ちゃんは半べそ状態である。

海未「その場では穂乃果に逆らえなくても後から私に相談すべきでしょう!とにかく穂乃果も花陽もこれからお昼はパン一つ!夕飯は水だけでお願いします!!」

穂乃果「えええええ~!死んじゃうよ~!」

海未「お黙りなさい!雪穂に言って徹底してもらいます!それから紫音さん!!」

紫音「は、はいっ!」

海未「あなたはこの二人がダイエットで走っている事を知っていたのですか!?」

俺は横で正座している二人を見た。

穂乃果ちゃんは首を横に振っている。

海未「どうなんですか!」

知らなかったと言って、後からばれるのは避けたい・・・今、海未ちゃんに嘘を吐くのは色々と問題がある。

しかも二人はジャージ姿であり・・・ダイエットの会話にならなかった理由が、思いつかない。

紫音「し・・・知ってました」

俺がそう言うと穂乃果ちゃんは横で盛大にため息を吐いた。

海未「知っていて何故止めないんですか!!あまつさえ一緒に定食を食べて・・・弓道の練習はどうしたんですか!そんなに余裕なんですか!」

下手な言い訳は火に油を注ぐだけだが・・・さてどうしたものか。

紫音「も、元々は誕生日会で俺と海未ちゃんが逃げた後、この二人もすごく探してくれたから、そのお詫びで俺が定食を奢ったんだよ。キミとお弁当食べた時から、女の子とご飯食べるのが楽しくて・・・つい」

俺が上目遣いで海未ちゃんの顔を見ると・・・海未ちゃんの顔色は元々怒って赤かったが、さらに耳まで赤くなった。

海未「せ、責任の一端が私にあると・・・そのように言うのですか?あなたは!」

紫音「いや、そんな事は言ってないけど・・・この二人をなんで止めないのかって聞くから。初めから止める事は考えてなかった、っていう事が言いたくて」

海未ちゃんはぶるぶる震えている。

海未「紫音さん・・・あなたは女の子なら誰とでも、一緒にご飯食べれば楽しくなるんですかっ!?」

紫音「いや・・・そんな事は言ってないけど・・・」

海未「それなら!とにかく女の子とご飯を食べる時は私が一緒に居る時だけにして下さい!良いですね!?」

紫音「そ、そんな無茶苦茶な・・・」

俺が焦ってそう漏らすと、ついに味方が現れた。

凛「そんなの可哀想だよ!それに凛だってしょ~くんと二人切りでご飯食べてみたいもん!」

ことり「そうだよ海未ちゃん・・・ね、許してあげて。紫音くんは穂乃果ちゃん達を庇ってるんだよ・・・ことりだって何回も二人切りでデザートとか食べてるし」

凛ちゃんとことりちゃんの助け舟は、純粋に嬉しい。

すると穂乃果ちゃんが何度目かのため息を吐いて言った。

穂乃果「判りました。本当の事を言うと、私が皆を誘いました。今日だってしょーくんは部活に行きたがってたけど、無理に私が連れ込んだの。反省してます。ちゃんとダイエットします。がんばりますから許して下さい」

穂乃果ちゃんはそう言って頭を下げた。

花陽「わ、私もごめんなさい!ちゃんと我慢して、誰かが道を逸れそうになったら注意するよう心がけます!」

花陽ちゃんも頭を下げた。

その姿に、次の心強い味方が現れた。

絵里「海未、そろそろ許してあげたら?二人とも反省してるし・・・ショーンはそもそもダイエットしてないんだし、ね?」

絵里先輩の言葉に、海未ちゃんは皆の顔を見回した。

海未「・・・穂乃果、花陽、今回は皆に免じて特別に許します。これからのダイエットは真面目に取り組んで下さい。紫音さん、許しますがμ'sのメンバーとご飯を食べる時は必ず私を入れなさい。あと試合、がんばるように!これは命令です」

紫音「はは、はい判りました。がんばります」

凛「あ~また海未ちゃんはしょ~くんを取ろうとして!」

にこ「凛!もうこれ以上話をややこしくするのはやめなさい!」

真姫「そうよ凛、その辺りは後で私達だけで話せば良いのよ」

希「これにて、一件落着、かな?」

希先輩の一言で、俺はやっと開放された・・・エライ目にあった。

久しぶりにことりちゃんやμ'sの全員に会ったのに・・・カッコ悪いな、俺。

唯一、正座が得意になっていたため脚が痛くならなかったのは成長の証だが・・・自慢できる相手はいなかった。

海未ちゃんには伝えたかったのに・・・残念。


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