ラブライブ・メモリアル ~海未編~   作:PikachuMT07

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第32話 恋愛禁止!

音ノ木坂学院の体育祭は晴れたため日曜に行われたが、実は祝日の「体育の日」は今日の月曜であり、弓道男子の秋季大会までを数えると、約2週間前にあたる。

弓道秋季大会も男女の開催日が分かれている。

そして音ノ木坂学院の二年生は今週木曜の早朝から日曜夕方まで、3泊4日の沖縄修学旅行があり、残念ながら海未ちゃんは女子大会には欠場となっていた。

試合に出られないのは困った事だが修学旅行の沖縄はとてもうらやましい。

うらやましいがどうあがいても修学旅行について行けるはずはないので、大会で成績を残したい俺は午前中から集中して練習しようと思い、弓道場に向かった。

もちろんわざと神田明神を通過する。

すると昨日体育祭であったにも関わらず、μ'sメンバー9人が階段トレーニングをしている所に(作戦通り)行き当たった。

持ってきた飲み物の差し入れ(この日は飲むヨーグルト)を準備運動をしている一同に手渡した。

紫音「おはようございます!昨日体育祭だったのに精が出ますね!昨日はみんな、カッコ良かったですよ!穂乃果ちゃん、パン食うの必死すぎでウケた」

穂乃果「あ、しょ~くんおはよう!私は他にもカッコいい所あったんだよ!しょ~くんいつの間にか帰っちゃうんだもん!」

紫音「いや、バイトがあって・・・今日も午後からなんだけど」

穂乃果「へ~んだ、私達の仮装ダンスを見れなかったなんて、ファン失格だね!みんなチョーかわいかったんだから!」

くっ・・・くそっ!弓道部とコンビニバイトが無い世界線があるなら、人生やり直したい。

俺が悔しがっているとにこ先輩が両手を組んで寄ってきた。

にこ「紫音、盛り上がってる所悪いわね。だけどちょっと部活に行くの待ちなさい。今日はあなたに釘を刺して置くことがあるわ」

紫音「はい、なんでしょう、にこ先輩?」

にこ「みんな、あんたたち全員集まりなさい!」

にこ先輩はアップをしているメンバー全員を近くに呼び寄せた。

凛「何かにゃ?」

ゾロゾロと全員が近くに集まると、にこ先輩は良く通る声で言った。

にこ「紫音、あなたたち、今一番大事な時だから釘を刺しておくけどね!」

一同「・・・・・」

にこ「2ndラブライブはトーナメント形式!地区予選でA-RISEと当たるにこ達は、何一つ、マイナス点があってはダメなのよ!」

真姫「・・・それが?何なのよ?」

にこ「・・・あんたたちの中で、紫音の事が好きな子、いないわよね??」

一同「・・・・・」

にこ「紫音」

紫音「は、はい」

にこ「あんた、この子達の中で好きな子、いないわよね?」

紫音「・・・は、はは嫌だなあにこ先輩!俺は9人全員が大好きですよ!」

にこ「あんた生ぬるい事言ってんじゃないわよ!シロートじゃないんだから!いい?あんたたち、紫音はちょっとだけ顔は良いし気が利くけどね、そんな程度で恋に落ちてんじゃないわよ?」

一同「・・・・・」

にこ「実はちょっと私もコイツにはクラっと来た事あったけど、アイドル足る者、彼氏作ったり好きな男がいるようじゃ、まったくダメよ。全然ダメ!告白だけだって論外よ!」

にこ先輩以外のメンバーと俺はお互いに顔を見合わせ・・・真姫ちゃんが口を開いた。

真姫「ちょっとにこちゃん・・・好きになるのもいけないの?」

にこ「ダメね。アイドルはファン全員を均等に愛するものなのよ。特定の男を好きになっては失格よ。そして紫音、あんたはファン兼スタッフなんだから、商品であるアイドルに告白したり手を出したりとか、ありえないんだからね?」

紫音「・・・はい」

にこ「文化祭以降、どうも紫音の事でふわふわしてるからね・・・コイツはスタッフ!恋愛対象ではないしそもそも恋愛禁止よ!あんたたちそこ、しっかりね。話は以上!さあ練習始めるわよ!」

そう言ってさっさとアップを再開しようとするにこ先輩に、真姫ちゃんが絡んだ。

真姫「・・・そんな事言ってにこちゃん・・・紫音さんを独り占めしようってんじゃないでしょうね?」

にこ「ぬわんですって!真姫!!にこに限って絶対にそれはないわ!」

そして口論はいつしか二人の痴話喧嘩に発展してしまったため・・・俺と他のメンバーはそれぞれ練習に戻る事にした。

メンバーと別れ弓道場に向かいながら考える・・・確かににこ先輩の言う事は、もっともではある。

 

     ■□■

 

あの日以来、穂乃果ちゃんと恋人になるというような話はしていなかったが、いい機会だと考えその日の夜、俺は穂乃果ちゃんに「残念だけどμ'sが一区切り付くまで友達でいるしかないね」というメールを出した。

穂乃果ちゃんからは「やっぱりμ's辞めれば良かったかな(^_^;)私がμ's終わるまで彼女作っちゃダメだぞ!」という返事が来た。

やはり穂乃果ちゃんの中では俺と付き合うという話は消えていなかったか・・・でもこのメール、くっそかわいいぞ、穂乃果ちゃん。

俺は「心配しなくても、できないと思うよ」と返事しておいた。

何しろ一番彼女になって欲しい海未ちゃんは、まず絶対にそういう事を認めない性格だと思うからだ。

 

     ■□■

 

翌日も穂乃果ちゃんからメールがあった。

まず無事にμ'sはスクールアイドルランク4位以内に入り、2ndラブライブ出場の第一関門は突破したと書かれていた。

すげえな・・・まあ「ユメノトビラ」にはそれくらいの力はあるとは思ったが、やはり嬉しい。

そのメールの続きに「にこちゃんの妹弟に、にこちゃんのライブを見せてあげたい」、「小さくていいからまた屋上に簡易ステージが作れないか?」という相談あった。

にこ先輩に妹や弟がいるのすら知らなかった俺は、当然のごとく見せたい理由を聞いてみた。

何しろにこ先輩というかμ'sのライブはネットでいつでも見られるのである。

穂乃果ちゃんの返信には次のような内容が書かれていた。

☆今日の練習時ににこ先輩が帰りたがったため後をつけると、妹弟と出会って紹介してもらった

☆その妹弟はお姉ちゃんが宇宙一のスーパーアイドルだと信じており、にこ先輩の単独生ライブを見せてあげ、今後はμ'sとしての活動がメインになると教えたい

メールを見て、後をつけるとは酷い、と思ったもののそれよりも何故、にこ先輩の妹や弟がμ'sの事をまだ知らないのか疑問に思った(にこ先輩ならすぐに言いそうだ)。

そして宇宙一のスーパーアイドルにふさわしいステージの設置は、少々難しそうだ。

まず文化祭でもないのに男が女子高の中に入れるわけがない。

絵里先輩ですら文化祭という特別な理由があってなんとか叶ったのである・・・穂乃果ちゃんは現生徒会長であるが、無理だろう。

ただ今回はアイドル一人とにこ先輩の小学生の妹弟だけのライブなので、ステージは広さや高さがそれほど必要ではなさそうだ。

つまりメンバーだけで設置する方法を考えてメールする事が、大道具係である俺の役目である。

アイドル研の部室には文化祭の時に買ったベニヤ板がまだ残っているから、それを3枚縦に並べれば広さは充分だろう。

今回は畳がないので、前回と同じように勉強机を並べその上に直接、板を置くと間違いなくガタガタして危ない。

そう考えて俺は次のようにメールした。

「跳び箱の一番上の、布が張ってある台を10個借りてきて8個で長方形、残り二個を中央に配置する。その上にベニヤ板を3枚並べて載せればいいんじゃないかな?」

俺は簡単な図を書いて写メにした。

ただ何曲やるのか知らないが、激しいダンスにより、ライブ途中で板の間に隙間ができると超危険だ。

本来は釘で押えるべきだが、あの娘達が慣れないトンカチで怪我をしてもいけないので、左右から板を押えるよう指示した。

跳び箱の下の枠が役立つだろう。

このメールのままでは宇宙一のスーパーアイドルのステージとしては少々淋しいだろうが、今のμ'sメンバーなら俺の案にかわいいアレンジを添えてくれるに違いない。

 

     ■□■

 

その翌日の水曜、今度はことりちゃんからメールが入った。

メールには3つの話題が書かれており、1点目は俺の指示通りに跳び箱を必要数借り、計画通りに配置して無事、素敵なライブを見せてあげられたとの事だった。

素直に良かったと思う・・・怪我が一番恐かった。

2点目は明日早朝から行く修学旅行で、お土産は何が良いか?とある。

お土産嬉しい!と思い色々考えたが・・・俺は沖縄の特産品に何があるか、全く判らず思いつけなかった。

3点目の話題はびっくりで、なんと「ユメノトビラ」の動画を見たファッションデザイナーが、自分のファッションショーで出す衣装をμ'sに着て歌って欲しいというオファーが来た事である。

これは本当にすごいと思った。

記載のファッションショーの開催日は今週日曜である。

修学旅行が予定通りなら秋葉原駅で解散後、会場へ向かえば9人揃うという計画だそうだ。

ちなみに衣装はウェディングドレスとの事である。

曲は真姫ちゃんのストックの中に良い物があり、結婚式にまつわる歌詞も用意があるそうだ。

さすがに今回の作詞は海未ちゃんではなかろう・・・花陽ちゃんかな・・・?

ダンスの振りは軽めにして、メールで打ち合わせしながら修学旅行先でも練習し、間に合わせるそうだ。

いつも手伝ってくれるミカちゃん達も修学旅行のため、俺が録画係を仰せつかりファッションショーに同行する事となった。

沖縄土産は・・・正直に「名産品が何か判らないので、お任せします」と返事した。

ちなみに一番もらえたら嬉しいお土産は、μ's二年生3人の水着写真だ・・・メールには絶対に書けないけど。


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