ラブライブ・メモリアル ~海未編~   作:PikachuMT07

20 / 69
第19話 弓道大会とことりの相談

花火大会から2週間、母さんの実家の墓参りがあったが特にイベントもなく、俺は弓道部とバイトに専念していた。

それにしても東京の夏は暑い。

道場でも集中するのが大変である。

しかし試合本番で集中するためには、この暑さに慣れておかねばならない。

俺は水をがぶがぶ飲みつつ、練習に精を出した。

μ'sのスクールアイドルランクは「夏色えがおで1,2,Jump!」のPV公開から順調に上がり、もうすぐ20位を捉えるというところに来ていた。

これはにこ先輩のプロデュースが大当たりのレベルで良かったと、(珍しく)全員の意見が一致したところである。

ただ朝の階段トレーニングはメンバーそれぞれの事情で全員参加が難しくなったため、あまり行われないのが少々淋しいところだ。

よって俺はなかなか海未ちゃんと会えず、まだあの写真を返してもらっていなかった。

にこ先輩などはかなり言ってくれたようなのだが・・・予備があるのを知っているのはことりちゃんだけなので、概ね俺は被害者という事になっていた。

 

     ■□■

 

8月も残りあと1週間という頃、高校弓道の関東個人選手権東京予選が行われた。

この大会は1日目女子予選、2日目男子予選、3日目が決勝となっており、本来俺は1日目は行く必要がない。

必要がない?そんなわけないだろ、と俺は自分に突っ込みながら明治神宮第二弓道場へ向かった。

もちろん海未ちゃんを応援するためである。

会場は教師やコーチ、共学の学校などで男子がゼロ、という事ではないが、応援は黄色い声で溢れていた。

俺は例によって順番待ちをしている海未ちゃんを探し・・・発見した。

私服で行くと色々と目立つため俺は高校の制服姿である。

海未ちゃんは弓道着を着ているため、チームメイトと映らないことはないだろう。

まあ音ノ木坂の弓道部員にはバレバレなのだろうが・・・。

紫音「海未ちゃん海未ちゃん、おっす!」

海未「!!あ・・・あなたはなぜこのような所にいるのです!?今日は女子の日ですよっ!」

紫音「なぜって・・・海未ちゃんを応援するために決まってるよ・・・あ、あと明日の偵察」

海未ちゃんの顔はまたもや朱く染まったが、今日はパンチなどはこなかった。

海未「わ、私の応援など・・・偵察のついで、でしょう?・・・あ、あの・・・後でお話があります」

紫音「ひ、酷いな・・・海未ちゃんの応援がメインだよ。ここ何回も来てるし、偵察がついで。・・・はい、いつものほむまん、持ってきたよ!今食べる?」

海未「・・・い、今はいいです。終わったら、頂きます」

紫音「了解、じゃあ後ろで見てるね!ポニーテールの髪型、すっごくかわいいよ・・・きりっとしてる。大丈夫だと思うけど、がんばってね!」

海未ちゃんの顔に殺気が漲ったので俺はそそくさとその場を離れた。

どうして褒めると怒るのか、相変わらず分からない。

 

海未ちゃんは無事に4射的中で予選突破した。

さすがに俺の師匠、危なげがない。

俺は競技後の海未ちゃんにほむまんを手渡しに行った。

紫音「お疲れ様、さすが師匠!はいこれ、お疲れ様のほむまんです」

海未「あ、いつもありがとうございます・・・。そ、その・・・お話があるのですが・・・」

後輩「園田せんぱ~い」

向うで海未ちゃんを呼ぶ声が聞こえる。

紫音「・・・ここで話は難しそうだね。急ぎの話じゃなければ俺も明日、絶対に予選通過してみせるから、明後日にまたここで会おう!」

そう言うと海未ちゃんはこくんと頷いた。

 

翌日、俺は予選大会で自分の順番待ちをしていた。

ゴルフと同じで弓道は集中が大切なスポーツである。

この暑さと順番待ちで精神を乱してしまっては初めから負けているようなものだ。

??「紫音さん」

それにしても暑い・・・何か海未ちゃんの声に似た幻聴のようなものも聞こえる。

しかしμ'sはあれだけかわいい娘ばかりだが、やはり弓道を教えてくれた師匠だけは特別なのだろう・・・幻聴を聞いてしまうほどに。

??「紫音さん!!」

紫音「うわぁっ!」

大声で呼ばれ、俺は超びっくりした。

振り向くとそこには海未ちゃんが居た。

紫音「な!!海未ちゃん!どうしてこんな所にいるの?今日は男子の日だよ!決勝は明日・・・」

なんか聞いたようなセリフである。

海未「てっ偵察です!!決してあなたの応援などではありません!偵察がメインであなたはついで、です」

え~~??偵察って・・・昨日来てたじゃん・・・。

紫音「あは、ついででも超嬉しいよ・・・。俺の高校、俺一人の弓道部だからさ~。いつもしゃべる人、誰も居ないんだよね!勇気100倍もらったよ!」

海未「なっ・・・それでは次です。なかなかその服・・・かっ、かっこいいじゃないですか」

紫音「ええ?これいつも着てるやつだよ?あ、昨日洗濯したかな?」

海未「ぅぅ~、もう知りません!ほむまんを持って来ましたから二人で食べますよっ!必ず予選突破してください!」

なんか海未ちゃんはすごく悔しそうだ。

俺は海未ちゃんの頭に手を置いて言った。

紫音「ありがとう!すごく嬉しいよ!絶対勝つね!」

海未「・・・・・」

海未ちゃんは怒り?なのか拗ね?なのか分からないような表情で、俺に撫でられた頭を押さえながら応援席に去っていった。

 

海未ちゃんの応援効果があったようで、俺はとても落ち着いて競技できた。

4射的中である。

無事予選突破を決め、俺は着替えて海未ちゃんのところへ行った。

紫音「海未ちゃん、お待たせ。お蔭様で予選突破できました。応援ありがとうございます、師匠!」

海未「いえ、予選突破おめでとうございます。・・・あ、あなたは応援されたら緊張とかしないのですか?」

海未ちゃんの声は、なんだかやっぱり拗ねていた。

紫音「いや~俺は応援された方ががんばれるタイプ。穂乃果ちゃんやことりちゃんもそうだと思うけど・・・あれ、もしかして海未ちゃん、いつも俺が応援に行くとかえって緊張しちゃってた?ごめんね気が付かなくて・・・じゃあ応援しないほうがいい?」

海未「そ、そういう事を言っているわけではありません!ただ少し、恥ずかしくなる時があって・・・あ、あなたがかわいいとか、私をからかうのがいけないんです!」

紫音「え~?別にからかってるわけじゃないんだけど・・・ああ、からかわれたと思ったから怒ってたの?」

海未「お、怒ってなどいません!!わ、分かりました、もういいです!はい、予選通過のお祝いにほむまんをあげます!いつものお返しです!」

紫音「おお、ありがとう!つくりたて、ほやほやかな!穂乃果ちゃんか雪穂ちゃんの手作りかも!」

俺は歩きながらむしゃむしゃと食べ、持っていた十七茶を飲んだ。

 

俺達は代々木駅から総武線に乗った。

秋葉原までは17分である。

二人で並んで座ると、海未ちゃんが声をかけてきた。

海未「あ、あの、その・・・」

紫音「そういえば何か話があるって言ってたね?電車で話せる?」

海未「だ、大丈夫だと思います・・・その、ことりのことです」

紫音「ことりちゃん?どうしたの?」

海未「花火大会のとき、ことりはあなたが居ないとお祭りに行きたくない、と言ったんです。あなたは『自分じゃなくても男性と行きたいのだ』と言ったのです。その意味を知りたくて・・・」

紫音「ああ~・・・その事か・・・」

ことりちゃんの事件はμ'sのメンバーには絶対に言えない。

大騒ぎになって間違いなくバイトは辞めさせられてしまう・・・これは困ったぞ。

紫音「・・・う~んとね・・・」

言い淀みながら必死で考える。

「俺と行きたいなんて光栄だな!」は使えない。

体調不良でもないし、何か手はないか?

紫音「いやそれはね、とっさに言っただけだよ。俺も良く分かってなかった。ことりちゃんが俺と行きたいって言ったのは俺の事を特別に思ってるわけじゃないだろうな、と思って、であれば男と一緒ならって意味じゃないかな?と俺が勝手に推測しちゃったんだよ」

苦しいかな?

紫音「だから本当に男性と行きたかったのかって、俺は知らないんだよね。あ、でも本当に俺と一緒が良かったんなら光栄・・・」

海未「・・・ウソを吐くのですね」

紫音「・・・やっぱだめ?」

海未「まずことりが仮にあなたと二人きりで行きたいなら、『一緒じゃないと行かない』とは言わずに完全に穂乃果を断って、あなたとこっそり二人で行けば良いのです」

紫音「・・・ですよね~」

海未「穂乃果と行きたいけど何か条件があって、それをあなただけが満たしている、という事だと私は考えました。しかしあなたは自分じゃなくても良いと言った。そこが分からないのです」

紫音「いや、俺じゃなくても良いのは間違いないよ・・・俺だけがその条件を満たしてるわけじゃない、と思う」

海未「・・・その条件とは何なのです?」

これは・・・誤魔化しきれない。

紫音「ごめん、海未ちゃん。これはことりちゃんと約束してて、どうしても俺から言う事はできないんだ・・・本当にごめん。ことりちゃんの事、心配してるんだよね」

海未「・・・やはりそうなのですね・・・ことりも教えてはくれませんでした」

紫音「・・・ごめん、本当に。いつか、話せる時が来たらいいかもだけど・・・いつになるかはちょっと予想できない」

海未「分かりました。あなたは初め、私と知り合いだという事を黙っていてくれましたし・・・口は堅いのだと思います。いつか話せる時が来たら、お願いします」

紫音「うん、俺からもことりちゃんに話してみるね。それで、海未ちゃんの写真なんだけど・・・そろそろ返してくれる?」

海未「は?何を言っているのです!あれは返しません!きっと良からぬ事に使うに違いありません!にこや花陽や希は返したほうが良いと言っていましたが・・・そのタイミングは私が決めます」

紫音「ううう・・・冷たいなあ」

そんな事を話ながら俺達は秋葉原駅に帰ってきた。

翌日の決勝戦での健闘を誓いあい、俺達は別れた。

 

翌日、俺と海未ちゃんはいずれも4射的中で準決勝を勝ち抜き、決勝へ進んだ。

決勝は射詰競射という形式になり、決勝進出した選手が1射ずつ放ち、外した人が脱落する方式である。

最後の一人まで中て続けた人が優勝だ。

俺も海未ちゃんも5位という成績で終わった。ちなみに的中数は俺のほうが1射多かった。

ついに師匠を1射だけ凌駕できた・・・嬉しい。

自慢してやろうとしたが、海未ちゃんは音ノ木坂学院の後輩達と帰るようである。

また今度にしよう。

ちなみに5位になった俺達は関東大会出場決定である。

9月の第二土曜、日曜が関東大会だ。

 

     ■□■

 

個人大会の翌々日、ミニストッパでのバイト終了間際、店にことりちゃんがやってきた。

休憩スペースで何か書類を読みながら俺を待っている風である。

俺はバイトから上がるとことりちゃんに声をかけた。

紫音「ことりちゃん、ごめん。俺を待っててくれたんだよね?どうしたの?」

ことり「紫音くん、バイト先まで押しかけちゃってごめんなさい。ちょっと相談があって・・・」

紫音「相談?何かあったの?」

ことりちゃんは書類の中から1通のエアメールを取り出した。

ことり「あのね、ことり、洋服のデザインが好きで将来的にはそういうお仕事をしたいなあって希望があって・・・。それでね、お母さんにそういう勉強ができる所がないか、探してもらってたの」

紫音「へ~。そうなんだ。それで?」

ことり「それでね、実はお母さんのお友達でパリに住んでいる人がいて、有名デザイナーさんの工房に入れるデザイン学校に、留学しないか、って・・・」

紫音「パリにデザイン留学!!すごいじゃない!いつからいつまでなの?半年くらい?」

ことりちゃんはふるふると首を横に振った。

ことり「ううん、行くとなったら、たぶん何年間もだと思う。それで、アメリカで勉強した事のある紫音くんにちょっと話を聞いてみようと思って・・・」

な、なんだって~~!!

紫音「い、いや俺は確かに10年近くアメリカに居たけど、それは留学じゃなくて家族が一緒だったから・・・一人で行くんでしょ、留学って・・・」

ことりちゃんは俯き加減である。

ことり「そう、全寮制でずっとデザインの勉強ができるって・・・日本人の子も居るには居るみたいなんだけど・・・ほとんどは外人さんみたい」

紫音「そりゃそうだろうね。言葉もフランス語だろうな・・・すっごい勇気あるね・・・ことりちゃん」

ことり「勇気なんかないよぅ!恐いよう・・・お母さんも一人で行かせるのは心配って言ってくれたんだけど、ただこんなチャンスはもうないっていうのもあって・・・」

紫音「・・・え~っと俺、よく分からないんだけど、デザインの勉強って日本ではできないの?」

ことり「できなくはないよ・・・でもね、洋服の世界では本当に最先端のデザイナーってやっぱりイタリアやフランスでデザインを勉強している人が多いの。日本で勉強してから海外に出る人もいるけど、基礎はやっぱり早いうちに学んだほうがいいの」

紫音「・・・へええ」

ことり「日本でできる事だってたくさんある事も分かってるんだけど、日本で勉強したデザイナーは大量生産の、コスト管理を徹底したようなお洋服から作り始めて、そこで認められてからデザイナーとして独立できるかどうか、独立しても海外できちんと勉強した人には負けちゃうから、結局後で留学すると時間がかかるの」

紫音「ことりちゃん・・・将来の事しっかり考えてるんだね」

ことり「ううん、全部ママの・・・お母さんやその知り合いの人の受け売り。本当に自由にデザインをやるなら、やっぱりちゃんとした基礎を学んで、それからなら日本に帰ってもコストばっかり考えたデザインをするような人にはならない、って」

紫音「へ~そうなんだね。すごいや。俺は弓道とかゲームの事ばっかり考えて、将来何をしたいかとか全然考えてないよ~。でもことりちゃんが日本からいなくなったらさ、淋しいね」

ことり「ほんと?淋しいって思ってくれる?」

紫音「超淋しいよ・・・せっかくできた女の子の友達だもん。しかもことりちゃんは伝説のメイドだよ?俺、男子高だからさ~女の子とおしゃべりするだけだってすっげえ嬉しい事なんだよ~。だから皆、女の子と話せるバイトしたがる。カラオケ屋とか」

ことり「そっか・・・でも私がいなくなっても穂乃果ちゃんや海未ちゃんがいるじゃない、女の子の友達」

紫音「ええ?いや、ことりちゃんはことりちゃんだよ。あの二人が残っていてもやっぱりことりちゃんがいなくなったら淋しい」

そう言った俺と目が合うと、ことりちゃんは下を向いてしまった。

なんか変な事、言っただろうか?

俺はバイト仲間のおじいさん店員に大盛りハロパロを注文した。

もちろん自腹だ。

紫音「はい、ことりちゃん。奢るよ、今日は待たせちゃったし」

ことり「ううん、私が勝手に来たんだし・・・。でも奢られます!ありがとう!う~ん、美味しい!!」

こんな安いパフェでも喜んでくれる。

いい娘だなあことりちゃん。

ことりちゃんがハロパロを食べている間に俺は留学の書類を見た。

ホームページを印刷したものと、学校の教授と思われる方からのお誘いの手紙である。

すべて英文だが、俺は大丈夫なのだ。

紫音「学校としてはきちんとしてるみたいだね。デザイナーズスタジオへの紹介なんかもすごくたくさんあるみたいだし」

食べ終わったことりちゃんがこちらを向くのを待ち、言う。

紫音「でも、この秋葉原での高校生活やスクールアイドルの活動ができるのって今だけだし、穂乃果ちゃんや海未ちゃんっていう仲間と、青春できる時間を一緒にいるのも大事だよね」

その後に俺は付け足すのを忘れなかった。

紫音「ただその考え方も、俺が高校生だからかも知れない。俺には今の時間がすごく大切だから。大人から見たら、やっぱり働き始めてからの時間のほうが高校生活の十倍くらい続くから、違う意見かも知れないよね」

そう言うとことりちゃんの顔も、なんだか複雑な表情になってしまった。

紫音「おそらくだけど、高校終わってから留学しても1年半かせいぜい2年の差しか出ないわけだし、大人の時間が高校生活の十倍続くなら、2年の遅れなんて大した事ないかな?とも思うんだけど」

ことりちゃんはまた俯き加減である。

紫音「なんにせよ、簡単に決められる事じゃないし、ご両親とも自分がやりたい事とかも話あって後悔しないようにしないとね。この手紙、ホントは9月から新学期だからそこから入学が理想って書いてあるけど、さすがに無理だよね。行くとしたら10月から?」

ことりちゃんは首を縦に振った。

紫音「そっか~。μ'sのみんなには言ったの?」

ことり「ううん、まだ誰にも言ってないの。夏休み中は全員集まらないから、二学期になって最初の練習の日に皆に言おうかと思って」

紫音「穂乃果ちゃんにだけ言ってみたら?リーダーなんでしょ?」

ことり「穂乃果ちゃんに言ったら全員に言ってるのと同じだから。もちろん最初に言うのは穂乃果ちゃんだけど、広まった時にすぐ皆集まれたほうがいいでしょ?すごくみんな心配するだろうから負担かけるし・・・」

紫音「確かに、そりゃそうだね。じゃあ帰ろうか。家まで送るよ」

ことり「はい、送って下さい、お願いします。それからことりから言うまで、今日の事は内緒でお願い。内緒がいっぱいだけど・・・」

紫音「そう、例のからまれた件、海未ちゃんが心配して聞いてきたよ。黙っておいたけど」

おじいさんバイト「桜野くん、帰るのかい?その子、桜野くんの彼女かい?気をつけて帰りなよ」

紫音「あ、お疲れ様です。いや、この人はすっごいモテる人なんですよ、俺なんか相手にされないですよ。友達やらせてもらってるんです。じゃあお先に失礼します」

俺はおじいさんバイトに会釈してことりちゃんと店を出た。

 

ことりちゃんと並んで夜の街を歩く。

ことり「紫音くん、ことり、そんなにモテたりしないよ?」

紫音「え~そんな謙遜しちゃって!紅音から聞いてるよ?ケアルメイドカフェにミナリンスキーさん目当ての男がすっごい並んでるって・・・紅音も予約しないで行けるようになりたいって言ってた。あ、ケアルも辞めちゃうのかな?」

ことり「そうだね・・・ケアルも辞めないといけないんだね・・・」

紫音「紅音も翠音も悲しむと思うな・・・でも勉強や将来の事のほうがずっと大事だから、あいつらも分かってくれるよ」

ことり「紫音くん・・・お話聞いてくれてありがとう。また相談してもいいですか?」

紫音「どうぞどうぞ!俺で良ければたくさん話聞くよ!いつでもメールしてね。今日みたいに店でもいいけど、夜出歩くの恐いだろうから無理しないでね」

ことり「ありがとう、紫音くんはホントに優しいね。紅音ちゃんの言った事、良く分かる」

紫音「あいつ、何か言ったの?どうせ優しくても裏ではヘンタイとか言ったんでしょ?まったくなあ・・・」

ことり「なんか部屋に女の子の写真がいっぱいあるって言ってた。男の子だもんね、仕方ないよ。私の写真も飾ってくれてるんでしょ?」

紫音「いや、あのね、写真はマンガに付いてくるだけ!そんなにたくさんないから。あとμ'sの写真はたまに机に並べてセンターを入れ替えて遊んでる。ミナリンスキーさんの写真は別枠でいつも飾ってる」

ことり「わ~嬉しい!ありがとう!」

紫音「いや~ファンですからね!他にも写真欲しいけど、早く出ないかな・・・」

ケアルのメイド服はロングスカートなので爽やかさ溢れる写真ではあるが、もう少し萌える写真が欲しい。

そんな話をしているうちにことりちゃんの家に着いた。

最後は明るくなってくれて良かったと思う。

あの雰囲気だと留学しないかな、とその時の俺は思っていたのだった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。