我、破壊の大王なり   作:白夜の星霊白夜叉

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マジで嬉しいです。

誤字報告ありがとうございます。
実質的に今回で4巻の内容は終わりです。
これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。

今回は基本的に自己紹介です。

それでは本編をどうぞ。


第8話 オカルト研究部

アルテラはカーテンから入る朝日で目を覚ました。

そして硬くなっている体をほぐす為に伸びをする。

 

「ん〜、久しぶりによく寝たな」

 

と、気持ちよさそうに声をあげた。

 

如何でもいい事だが私は睡眠を必要としない。

人の形をとっているものの私の本来の姿は白の巨人であるセファールだ、そしてセファールとは遊星の尖兵、捕食遊星が文明を効率よく破壊する為にデザインしたのがアンチセルである。

まあ、破壊する為に生み出したものに破壊されるなんて、飛んだ間抜けである。

話が逸れた、人間が寝るのは活動することで溜まった疲労を取り除く為に体を休める行為である。

破壊する為に完全な者として創造された私に疲労という概念はない。

なので本来睡眠をとる必要がない。

しかし肉体的疲労が無くても心身的疲労は溜まる、本来のアルテラならともかく前世という人間であった頃の記憶を持つ私にとって普通の人の精神として疲労が溜まる。

最近はセファールとしての私に精神が引っ張られていた為、必要以上に睡眠をとることがなかったのだ。

 

ベットから出た私は乱雑に散らばっている自分の服を拾い、着替える。

 

別にいうことでもないが、私は寝るときは基本全裸だ、パンツこそ履いてはいるがその他は特に隠れる布もなく綺麗な褐色肌が眼に映る。

前世からそうであったようで私はいたって普通のことだと思っている。

英雄派の女子達には気をつけるように言われているが私は直す気が無いので改善することはないだろう。

だって服を着て寝ると苦しいんだもの。

 

服を着替え終わり、いつもの服装(となりのアルテラさん衣装)になった私は椅子に座りスマホを見る。

 

「……うわぁ、マジかこれ」

 

私はスマホの画面を見て嫌な気持ちになった。

それもそのはず、私のホーム画面には何十にも及ぶメールや着信履歴が出ていた。

 

「寝起きでこれは嫌だなぁ……差出人はアザゼルと曹操か、アザゼルは何となく予想がつくが、曹操は何の要件だ?」

 

私は曹操からのメールを開く。

そしてメールを読んでいくうちに顔が険しくなる。

 

「……ふむ、元旧魔王派どもが拠点を攻めてきたか、抗争が本格的になってきたな。全く、平和な世の中はいつ来るのやら」

 

まあ、人外どもがいない世の中が平和とは思わないがな。

 

私の前世では大きな戦争もなく概ね平和だった、しかし小さな小競り合いや、殺人、自殺など、どんな時代であろうとも人が感情を持つ限り争いの芽はなくならない。

それを理解してるアルテラはそれでもこの世が平和になると信じている。

しかし、その為には……いや、この話はやめておこう。

 

「……次に昨日の和平の話か、どうやらヴァーリはうまくやってくれたらしいな」

 

私は人間と言う第四勢力として三大勢力と協力関係を築けたことに顔を綻ばせる。

 

これで先ず一歩、決して小さくない一歩だ、例え人間を下に見るもの達がいても三大勢力のトップ達が決めたことに真正面から文句を言えるものは少ないだろう。

 

そして次のメールを見ようとしたが電話がかかってきた。

 

 

「……間が悪い、こんな朝早く誰だ」

 

着信者の名前を見た私は嫌々ながら電話に出た。

 

「……もしもし」

 

『おう、今度暇か?』

 

「いきなり何だ、アザゼル」

 

私は電話の相手のアザゼルの態度に不平を漏らす。

 

『なんだ、御機嫌斜めか? これは悪いことをしたな……』

 

「世間話は良い、要件を言え」

 

いつまでもふざけるアザゼルに私は話を急かす。

 

『ひでぇな、ま、いっか。実は面白い話があってな……と言うわけなんだ』

 

アザゼルはまるでいたずらを考える子どものように私に話をしてきた。

その話を聞いた私は……

 

「ほう、面白そうじゃないか。良いだろうその話乗った」

 

『そりゃ良かったぜ』

 

電話先のアザゼルは嬉しそうに話す。

そこで一つの疑問に思った私はアザゼルに問うた。

 

「……今更なんだが、聞かないのか? この前の事」

 

私はずっと気になっていた事をアザゼルに聞いた。

 

『ヴァーリの事か? それともお前のことか?』

 

「どっちもだ。少なからず当人であるお前が私に何も聞かないのは不思議に思ったのでな」

 

もし私がアザゼルなら聞く、気になる事を放っておくと気分がモヤモヤする。

 

『何だ? 聞いたら教えてくれるのか?』

 

「面倒臭いから嫌だ」

 

まあ、説明する必要がないならそれに越したことはない、それに面倒ごとは嫌いだ、自分の時間が無くなるからな。

 

『何だそりゃ、まあ喋る気が無いなら聞く気は無いさ』

 

「ふーん、で、本音は?」

 

『めっちゃ聞きたい、そんでお前に愚痴を延々と話してやりたい。面倒ごと押し付けやがって』

 

「はは、ドンマイ」

 

今回は第四勢力として私たちが三大勢力と協力関係を結んだ、これが傘下に入ると言うものならそこまでのことはなかっただろう。

しかしあくまでも対等な関係として結んだことで、人間を下等なものと見るもの達からの反発が出る。

その為にトップ達はそのもの達に対する対応に追われている。

 

「あっ、そういえばアザゼル。ひとつお願いがあるんだが」

 

『ん? 何だ、ものによるが別に良いぜ? 結局会談ではお前のお願いを聞いてなかったしな』

 

そういえばそうだったな、魔神のことですっかり忘れてた。

まあ、お願いが残ってるならそれを使わせてもらおうか。

 

「実はな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おっす、俺、兵藤 一誠だ。

 

三大勢力の会談、そして魔神と言われる悪魔の襲撃を乗り越えてから早数日。

いつも通りに放課後、オカルト研究部の部室に俺たちは集まっていた。

そう、集まっていたんだけど……

 

 

 

 

 

「……てなわけで、今日からこのオカルト研究部の顧問をやることになった。気軽にアザゼル先生と呼べ」

 

部室に来てみれば、スーツを着崩した総督がいた。

 

「……どうして、あなたがここに?」

 

額に手を当て、困惑している様子のリアス部長。

そんな部長の質問に答える総督。

 

「ハッ! セラフォルーの妹に頼んだらこの役職だ! まぁ、俺は知的でチョーイケメンだからな。女生徒と先生でも喰いまくってやるさ!」

 

「それダメよ!って、何故ソーナがそんなことを」

 

「堅いぜ、リアス・グレモリー。いや、何。サーゼクスに頼んだら、セラフォルーの妹に言えと言うんだ。だから頼んだ」

 

そんなことで顧問に?! 会長さまのご意向は理解しかねるぜ!

 

「俺がこの学園に滞在できる条件はグレモリー眷属の悪魔が持つ未成熟な神器を正しく成長させること。まあ神器マニアの知識が役に立つわけだ。お前らも聞いただろうが、『禍の団』、いや、此処は『魔神の団』ってけったいな組織がある。将来的な抑止力のひとつとして、『赤い龍』とお前ら眷属の名前が挙がった」

 

「その魔神の団はまた攻めて来るんすかか?」

 

俺は総督に問うた。

 

「それはねえだろ。だがまあ、詳しくは俺もわからねぇ……てな訳で詳しい奴に来て貰った。良い加減話に入れ」

 

総督はそう言うと部屋のソファーの方に顔を向けた。

それに続くように俺たちも顔を向ける。

 

しかしそこには誰もおらず俺も訳が分からず疑問符を浮かべる。

 

「誰もいませんよ?」

 

俺がそう聞こうとしたが視界に何かが映った。

ソファーに向き直ってみるとそこには白いもふもふとした物体があった。

それを見た小猫ちゃんが呟く。

 

「……うさぎ、ですか?」

 

そう、そこにいたのは真っ白いもふもふしたウサギだった。

 

「あれがウサギですか? 可愛いですね!」

 

「はい、可愛いです」

 

そのうさぎを見たアーシアと小猫ちゃんがそのウサギを抱こうと手を伸ばす、しかしウサギはその手から逃げて総督のいる机の横に飛び降りる。

 

そして逃げられたアーシアは悲しそうな顔をした。

 

しかし総督の言った人が、このウサギ?

どう見てもただのウサギみたいなんだけどなぁ。

 

俺がそう思ってウサギを見ていると、総督がウサギに向かって喋る。

 

「おい、いつまでその姿でいるんだよ。話しにくいから元に戻れや」

 

と、ウサギに向かって喋る総督。

総督の話を聞いてからウサギが急に光りだした。

そのことに驚く俺たち。

そしてその光は塊はどんどん大きくなる人の姿になっていく。

 

そして光が晴れるとそこには……

 

「うるさい奴だな、アザゼル」

 

「いやこっちのセリフだからな、せっかく話を振ってやったんだから話に入りやがれ」

 

そこにいたのは純白の髪に褐色の肌をした女性だった。

 

「アルテラさん!?」

 

そこにいたのは、コカビエルを倒した少女、アルテラさんだった。

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

やあ、魔法でウサギに変身していたアルテラだ。

正直どう出るか悩んだ末にウサギになってオカルト研究部のもの達を驚かせようとしたのだが、どうやら成功のようだ。

なぜウサギかと言うと私がウサギが好きだからだ。

あの赤い目ともふもふ感がなんとも言えない可愛さがあって好きだ。

 

さて、唐突だが質問だ。

今の私は前と違うところがある、さてそれはなんだ?

まあ、答えは聞いてないがな!

簡単に言えばここにいる私は本体ではなくアバターである。

理由は色々とあるが、簡単に言えばそろそろ本体の力を抑えながら生活するのが厳しくなったてところか。

前にも言ったように私は自らに何十もの枷をしている。

しかしその枷も、私という存在を縛るのは難しかった。

何せ魔神柱との戦いの時、ちょっと枷を外しただけでその他の枷が壊れかかったのだ、これには枷を施した私も驚いた。

これじゃ、おいおい力も出せない、これは困った。

 

そして思いついたのが自分の分身、アバターであった。

これなら力の制限はもちろん、本体と分身だから身体的不自由もない。

むしろ何故いままで思いつかなかったのかと疑問が浮かぶほど、それほどにアバターは今の私にうってつけのものだった。

いや、思いつかなかったというよりもこれは忘れていたという方が適切か。

何せ昔はアバターで過ごしていたんだ、寧ろ何故記憶を思い出す前の私が本体で地上に降り立ったのか、少し疑問が浮かぶ。

 

まあ私のことだ、アバターが羨ましくて自分自身もと、そんな所だろう。

 

と、こんな話はこの辺で。

みんなが驚いているがアザゼルに聞かれた話を進めようか。

 

「さて、アザゼルの言う魔神の団についてだが、アザゼルの言う通りもうここには攻めてこないだろ。元々今回の三大勢力の会談を狙ったものだったようだし、この学園にはもう用はないだろう。だがしかし、もし今度奴らが攻めてきたら、今のお前達じゃ無駄死にするだけだろうな」

 

私のその言葉で固まるグレモリー眷属達、そんな彼らに私は苦笑した。

いやしかし、もしこの中で魔神に勝てるとして赤龍帝が全力倍加をしてギリギリ勝てるかどうか。

それもフラウロスで例えるなら無限再生がない状態でだ。

正直今の彼らでは私たち英雄派の戦闘員達にすら負けるだろう。

 

そしてそんなグレモリー達を見かねたアザゼルが喋る。

 

「何暗い顔してやがる。お前達には伸び代ってもんがあるんだよ。力不足なら鍛えるまでだ。夏休みなんてないと思えよ?」

 

そう言ってニヤリと笑ったアザゼルは椅子の方へ移動すると、怠そうに腰を下ろしたのだった。

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

「あの、質問しても良いすか?」

 

アザゼルの話が終わった後、赤龍帝が手を挙げる。

 

「なんだ?」

 

「いやー、なんでアルテラさんがいるのかなぁーと思って」

 

「そういやそうだな……アルテラ」

 

アザゼルに話を振られた私は赤龍帝のに向きながら話をする。

そして私は何処からかだしたマントを取り出して私と彼らの前を遮るように振る。

 

そしてマントが消えると驚いたような顔をした。

 

「え? それって」

 

「ああ、この学園の女子制服だ」

 

私はマントが通った間にしまっていた服をそのまま私の服と交換して着替えたのだ。

 

私の服装を見て何となくわかったグレモリー達は驚いた顔をした。

 

「えっと、どう言うことすか?」

 

どうやら赤龍帝は気づかないらしい。

そんな彼に分かるようにアザゼルが補足をする。

 

「見ての通りだ。今日からこいつもこの学園に入学したんだよ」

 

「へ?……えぇぇぇぇぇ!!」

 

「ついでに言えば、このオカルト研究部の新しい部員でもあるな」

 

「因みに私学年は二年でクラスは赤龍帝と同じクラスらしいぞ?」

 

続けざまに言われたアザゼルの言葉にリアス達も驚いた顔をした。

 

そう、私がアザゼルに頼んだのはこの事だ。

一回でいいから学生と言うものを体験して見たかったんだ。

あいにく前世でのことはよく覚えていないから私がどう言う学生時代を送ったかわからない。

故に私は学校というものにとても興味があった。

この件は曹操にも確認しており、彼からは許可をもらっている。

せっかく協力関係を結んだんだから自由に楽しんでくるといいとのお達しだ。

 

「まあ、そう言うわけだ、よろしくな赤龍帝、いやここは一誠と呼ぶべきかな?」

 

私はそう言って笑顔を浮かべた。

 

その笑顔を見た一誠は顔が赤くなる。

そんな一誠を見たリアスは彼の耳を引っ張った。

 

 

「いてててて!! 部長、痛いです!」

 

「ふん! 一誠の見境なし」

 

ふふ、微笑ましい光景ですね。

私はそんな二人を見て笑顔を浮かべた。

 

「さて、大方説明も終わったことだし、改めて自己紹介でもしようか」

 

「それは良いな」

 

アザゼルの言葉に私は返事を返す。

グレモリー達がどんな力を持っているか知ってはいるが彼らの名前まではしっかり把握してなかったな。

 

そしてオカルト研究部による自己紹介が始まった。

 

「んじゃ、まず俺からだな。俺はアザゼル、堕天使達のまとめ役をやっている。趣味は神器の解析、及び実験だ。今日からこの学校の講師で、この部活の顧問になる。まあ、よろしくしてくれや」

 

「ああ、改めてよろしく頼む。アザゼル」

 

アザゼルの説明が終わった。

概ね私の知ってる通り、しかし神器について一体何を実験するのか聞きたいところだな、もしかして人体実験なんてしてないよな?

 

「次は私ね、私の名前はリアス・グレモリー。このオカルト研究部の部長をやっているは、これからよろしくねアルテラさん」

 

「当分お世話になる。グレモリー部長」

 

「堅っ苦しいのはいいは、リアス部長で良いわよ」

 

「そうか、それは失礼した、改めてよろしくリアス部長」

 

私はリアス部長と握手をする。

ふむ、実際に話してみると結構良い人みたいだ。

私が聞いた情報では無能姫と言われていたからどんな人かと思えば、成る程、情愛の深いグレモリーらしい人だ。

眷属達のことをよく思っている。

サーゼクスが溺愛するのも頷けるな。

 

「次は私ですね。私は姫島 朱乃。副部長をしております。駒は『女王』、名前を呼ぶときは朱乃と呼んでくれたら嬉しいです」

 

「こちらこそ、よろしく頼む。朱乃先輩」

 

同じく朱乃先輩と握手をする。

確か彼女は堕天使バラキエルの娘だったか。

しかし今は悪魔と、詳しくは知らないが複雑な理由がありそうだな。

確か報告では雷の使い手で超がつくほどのドSだったか、怒ったら怖そうな人だ、怒らせないように気をつけよう。

 

「次は僕だね。僕は木場 祐斗。駒は『騎士』だよ。君も剣を使っていたね。出来れば今度手合わせ願いたいね。よろしく」

 

「私のあれは剣というよりも鞭みたいな物だぞ。手合わせの件なら別に構わない。しかし今の君では私には勝てないぞ?」

 

「ああ、分かってるよ。けど挑戦したいんだ」

 

「成る程、なら構わない。改めてよろしく、祐斗」

 

彼が聖魔剣使いか、調べでは確か聖剣計画の生き残りだったか。

しかし彼の神器は神がいない世界を象徴するかのような神器だな。

聖と魔の融合か、なかなか面白い人材だ。

 

「次は私か、私はゼノヴィア・クァルタ。駒は『騎士』、元は教会の聖剣使いだ。今更だがコカビエルの時は助けてくれてありがとう。同じ部活の仲間としてよろしく頼む」

 

「こちらこそ。コカビエルの件については気にするな。私の気まぐれだ」

 

「そうか、しかし、助けられたことには変わりない。だから本当にありがとう」

 

「ふむ、なら素直に受け取るとしよう。よろしく、ゼノヴィア」

 

彼女がデュランダル使いか。

英雄が生まれなくなってから純粋な聖剣使いを見るのはうちのアーサーとジャンヌ以来か、あの時も思ったがいい魂だ、悪魔となっても輝きが曇ることがない。

本当に将来が楽しみな少女だ。

 

 

「次は私ですね。搭城 小猫。駒は『戦車』です。好きな物は甘味全般です。これからよろしくお願いします」

 

「ふむ、因み私も甘味好きなんだか……これを見てどう思う?」

 

私は異次元倉庫から一つのどら焼きを取り出す。

それを見た子猫は目を見開いて驚く。

 

「ま、まさか、そのどら焼きは!」

 

「ああ、大手和菓子チェーン店、『鈴菜庵』、その本店だけで販売される限定どら焼き。1日に30個という少ない数であるがそのあまりの美味しさと、その手に入りにくさから甘味マニアの間では『伝説のどら焼き』と呼ばれるている。私もここのどら焼きが食べたくて今日の朝、本店に行って一番で買ってきた物だ……お近づきの印にどうかな?」

 

「……ふ、貴方とは仲良くなれそうな気がします。アルテラ先輩」

 

「なに、こちらこそよろしく頼むよ、小猫」

 

うむ、やはり聞いてた通り同士であったか、私が人間の次に好きなのが料理だ。

その中でも甘味と呼ばれるお菓子全般が大好きだ。

しかしこの子が黒歌の妹か、確かに何処か彼女の面影があるな。

すぐにでも姉に会わせてやりたいが、今はまだダメだ。

サーゼクスに頼んでいるから直に大丈夫になると思うが、もう少しの待ってくれよ子猫。

しかしこの子は姉よりも仙術の適性があるようだ、鍛えれば化けるなこの子は。

 

「次は私ですか? えっと、私はアーシア・アルジェントと申します。駒は『僧侶』です。よろしくお願いします」

 

「よろしく頼む。アーシアと呼んでもいいか?」

 

「はい! 喜んで!」

 

「そうか、仲良くしよう、アーシア」

 

この子は確かうちの奴らがマークしていた子か。

確か神器は『聖母の微笑み』と呼ばれる回復系の神器。

どんなものも癒すことができるその力のせいで聖女と呼ばれ、そして悪魔を癒したため魔女と呼ばれ、迫害された少女。

こうして会うのは初めてだか、成る程、とてもいい子だ。

そしてその魂はとても輝いている。

現代の聖人とも言える存在と言うわけか。

 

 

「ぼ、僕ですか! ええ、えっと、ギャスパー・ヴラディと言います! こ、駒は『僧侶』です!よ、よろしくお願いします!」

 

「こちらこそ。まあ、そんなに堅くならなくてもいい。気軽にアルテラと呼んでくれ」

 

「ぜ、ぜぜぜ、善処しますぅ!」

 

ふむ、対人恐怖症と聞いていたが、予想以上だな。

見た所私だけに怯えているみたいだし、極度の人見知りと考えればいいか。

しかしヴラディか、伯爵の子孫と言うわけか、しかしこの子に眠っている力は……いや、私が何か言うべきではないな。

これは彼の問題だ、私が関与するべきでは無いだろう。

 

「最後は俺だな、俺は兵藤 一誠。駒は『兵士』で一応赤龍帝です」

 

「ああ、知っているよ。君のことはうちのヴァーリが気にしていたからな」

 

「そうなのか? 俺にはそうは思えなかったんだけど」

 

「……ふふ、その様子だとヴァーリに何か言われたようだな。まあ彼奴は見ての通りの戦闘狂だ、だから余り気にしなくてもいいぞ。ゆっくり君のペースで強くなればいいさ」

 

「そう言うもんですか?」

 

「ああ、そう言うものだ、これからよろしくな一誠」

 

今代の赤龍帝、確かに私が知っている赤龍帝の中でも今の彼は断トツで弱いな。

しかし面白い。彼の魂はとても面白い。

ここまでピンクな色をした魂と言うのも珍しい、一体どれほどの変態だと言うのだろうか。

握手していてなんだが、この子さりげなく私で妄想しているな?

分かり易すぎでよく嫌われないものだ。

いや、流石は赤龍帝と言うべきか、全く大物になりそうな悪魔だよ、君は。

 

「そう言えば、一誠、すまないが【赤龍帝の籠手】を出してくれないか?」

 

「?……別にいいですけど」

 

私のお願いを聞くように一誠が【赤龍帝の籠手】だす。

 

そして私は籠手の翠の宝玉に触れる。

 

『久しいな、赤龍帝、いや、ここは親しみを込めてドライグと呼べばいいか?』

 

『はん! やはりお前だったか。いくら子孫にしてもにすぎていると思った。それ以前にお前が死ぬものか。そうだろう?』

 

『はは、そうだな』

 

ドライグとは私がアッティラとして生きた時代からの知り合いだ。

まだ私が神の鞭と言われる人であった頃、全盛期とも言えるドラゴンであった赤龍帝と白龍皇の二天龍と、何度も、しのぎを削った。

人間とは言え私の力の一端を持ったアッティラは当時の二天龍ともほぼ互角にわたり合えていた。

そしてアッティラとしての私が死んでからは、アバターとしての私が何度も地上に降りていた。

彼らが神器に封印されてからはなんの因果か毎回と言えるほど二天龍の戦いに巻き込まれものだ。

 

『それで、俺に何の用だ? よもや挨拶だけでは無いだろう?』

 

『いや何、折角お前たち二天龍と再び巡り会えたんだ、なら今代の二天龍を私が鍛えるのも悪く無いと思ってな』

 

『ははは! それは良い、正直一誠は色を好みすぎている、別に悪いことでは無いが、俺としてはもっと強くなってもらわねばならんからな』

 

『そうか、まあ今回はそれだけだ、ではな』

 

私はそうドライグに言うと意識を現実に戻た。

 

「……ありがとう一誠。もう良いぞ」

 

「え? もう良いんすか? まだ2秒もたってないですけど」

 

まあそうだろうな。精神だけの会話であった故、現実ではそこまで時間は経っていないだろう。

でもまあ、旧知にも挨拶が済んだしこれで良い。

 

「さて、全員自己紹介が終わった事だし、最後にアルテラ。おめえも自己紹介しろ」

 

アザゼルが私に話すように促す。

 

「そうだな、では、私の名前はアルテラ。かつて破壊の大王と言われたフン族の王。アッティラの魂を受け継ぎし人間だ。好きなものは人間と甘味、嫌いなものは、話が長い人、汚いものだ。今日からこの部の一員となる。まあ、よろしく頼む」

 

私の言葉に全員が肯定の声で返事を返してくれた。

その後、色々質問等などをされて、出来る範囲だけ答えて、そのほかはうまく濁した。

 

ああ、やはり、友とは良い文明だな。

 

 

 

 

 






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