弱者が転生したのは間違っているだろうか   作:あーーaaa

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遅れてすみません


考え方

昨日の初ダンジョンで発動した私のスキルについてヘスティア様はまあスキルだしねぇ。と言っていた。ここではスキルや魔法は取り消すことが出来ないらしい。取り消せないのは残念だが、それも私の一部だと受け入れよう。因みに現在の私のステイタスはこんな感じだ。

 

サクヤ・ナギサ

Lv1

【力】I4

【耐久】I3

【器用】I5

【敏捷】I3

【魔力】I0

 

【魔法】

掃討する蒼炎(プロミネンスレイド)

詠唱後この魔法のチャージ実行権を得る

【詠唱】

【届くまで燃える弱い意志 響け弱者の咆哮】

 

【スキル】

【否害者】

受けるダメージをかなり減らす

 

 

【小心者】

明確な意志がない限り攻撃してもダメージを与えることが出来ない

 

 

【意志】

守りたいもの、手に入れたいもの、たどり着きたい場所など、明確な意志が定まったとき【小心者】のスキルを無効化にする。

 

意志の大きさに応じてステイタスに補正

 

 

 

 

全然伸びないな。いや当たり前だけどさ。

 

 

私は服を着て今日もダンジョンに向かう。

 

 

 

 

「サクヤ。昨日は二階層までだったけどもう少し下に行ってみようか。」

ベルが私に聞いてくる。私はダメージを軽減出来るため一発で死にはしないだろうがいきなり階層を跳ばすのは危険だと思う。そもそもエイナさんに怒られると思う。

 

痛みには慣れた私だが怒っている人の顔にはなかなか慣れない。幼い頃から植え付けられた恐怖が邪魔をする。ベル曰く、エイナさんは優しいけど怒ると怖いらしい。流石にあの女の人が豹変して罵声を浴びせてくる事はないと思う。

 

ここは外見だけが平和のあの世界とは違い、見渡す限り武器という名の凶器を携えている人がいる。

こんな簡単に人を殺せる状態で、人を殺したいと思ってしまうのは仕方がないと思う。それに今いる場所はダンジョンだ。万が一殺してしまっても

 

『モンスターがやりました。』

 

で終わりだ。証拠が無ければそれ以上は追及出来ない。もしも無理に追及したとしたら。訴えられておしまいだ。こうなった場合真実を知ろうとする正義は彼彼女らにとっては悪へとなる。一度でも悪と思われた者はそれらを取り巻く人々によって尾が付いた状態で周りに拡げられる。後は暇な人間によってどんどん広められていき、うざい。から、鬱陶しい。になり、あの人は人のことを信じない自己中なひと。になるだろう。最後のは強引かも知れないけど、事実そうなってしまうのだ。

 

人の心理は『自分が正しいと思うこと』=『相手は間違っている』になる。簡単な例で言うと、

 

いじめを受けていたS(別に私ではない。)がいたとする。そのSにとっては毎日が苦痛で、生きるのも辛いと思っていた。でもそれだとつまらない。自分は下僕ではないからだ。だから自分は正しいということを証明するために録音、盗撮、写真などで証拠を集めまくった。それを教師に提出した。勿論Sはいじめられた可哀想な被害者という役柄を得ることに成功して、相手には薄情な加害者という役柄を与えた。そこで加害者は言うのだ

 

「何チクってんだよ。」と。

 

間違いをただそうとしているのだ。自分のこの行動は正義であり、加害者である彼女達は悪なのだ。勿論、異論反論は受け付けない。いじめられた人はそれをチクってはいけないという法律もしくは憲法は存在しない。だから彼女達は悪だということを証明したのだ。しかし彼女達にとって私の行動は正義ではなく悪であり自分がすべて正しいのだ。だから彼女らは自分にとっての正義を私に、いやSに振るった。何かと聞かれればそれは勿論暴力に決まっている。さらに周りの人達もチクった私が悪いと言うことを言っていたと思う。もうめんどくさいな。Sは私だ。

 

兎に角、私が悪だという人達が束になったのだ。一人ぼっちの私には反抗の余地はない。そこからいじめはさらに酷くなった。

 

まあ、これが私の小学生ぐらいの時の出来事だ。結局人間は自分のためにしか行動を起こせない生物なのだ。人は他の生物よりも賢い。それだというのに自分のことしか考えられない人間は無能だ。悪までこれは私の考え方だし、周りの人間がなんと言おうとそんなのどうでもいい。自分の意見は自分だけのものであり、それは自分の意地の様なものだ。他人に押し付けるものではない。

 

「サクヤ?聞いてる?」

「あっ、ご、ごめん。」

「どうする?行ってみる?」

「うん。」

「じゃあ、行こっか。」

 

そうして他愛もない話をしながら、私達はモンスターを倒しながら進んでいく。気がついた時には五階層へと踏み入れていた。

 

「…」

「ねぇ、サクヤ…。なんかモンスター、少なくない?」

「う…ん。」

 

ああ、おかしい。下がるほどモンスターは増えるはずだ。それだというのにモンスターは逆に減っている。何かあるのだろうか?

 

『ブモオオオォォォォォォォオオオ( )ォォォ( )!!!』

 

「ヒッ!?」

「…何?」

まるで牛のような咆哮が響くとドシン、ドシンと中層のモンスター『ミノタウロス』がすがたを表す。

 

ミノタウロスは私達を見るとエサとでも思ったのだろうか、こちらに走ってくる。

 

「サクヤ!逃げよう!僕たちじゃ勝てない!」

「わっ、分かった!」

『ブモオオオォォォォォォォ!!』

だが、ミノタウロスのほうが早い。差をあっという間に埋められる。

 

「「ほあああああぁぁぁぁぁぁ!?」」

ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!死ぬ!死んじゃう!いやもう一度死んだけど!

 

ドガァッ!!

「うあぁ!?」

「ベル!」

 

ミノタウロスが足を下ろし地面を砕く。その衝撃に飲まれたベルが転け、お尻を擦りながら壁に向かって下がる。ん?()?……行き止まり?

 

『ブムゥ、スンスン。』

 

スンスン!?臭い嗅がれてるよ!そ、そんなに汗をかいた覚えは無いんだけど。

 

『ブモオオオ!』

 

ミノタウロスはベルに向かって拳を振り上げる。

 

「うっ、うわあぁぁぁ!!??」

「っ!?」

 

ミノタウロスの腕が降り下ろす前に私はベルの前に立ち、武器である剣を構える。

バキイィン!!

「っ!?」

ミノタウロスの拳が当たると同時に剣が砕かれた。剣を砕いたミノタウロスの拳はけんを持っていた私の右手に当たり、腕がへし折れる。

 

「づあぁっ!?」

 

ダメージを軽減しててもこれなのか、ゴブリンに攻撃されても引っ掻き傷しか付かなかった腕がへし折れた。当たる寸前に体を横に反らしたため私はベルにぶつかることなくベルの隣に叩き付けられる。

 

「あっ!?~~っ!?つぅぅ……」

「サクヤ!?」

 

私が防いだお陰でどうにかベルには当たらなかったらしい。とゆうか早く逃げろよ。満身創痍の私に気をつかうより逃げた方がいい。二人仲良く死ぬか、私を見捨てて一人生き残るかどっちが最善かは分かるだろう。だから早くーーーー

 

「ふっ!」

 

そう考えているとミノタウロスの体に銀閃が走る。そこからさらに何回も切りつけられ、ミノタウロスは灰に変わる。

 

「大丈夫ですか?」

「………」

「あの、大丈夫ですか?」

「いえ、大丈夫じゃーーーー

「ほ、」

「「ほ?」」

「ほあああああぁぁぁぁぁ!?」

 

ベルハニゲダシタ。え?待って、私は!?

 

…ああ、身体的にも精神的にもヤバイ。

 

 

 


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