紅玉が不憫すぎるから俺が運命を変える。   作:あたたかい

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読んでくださり、しかもお気に入りもしていただいてすごく興奮しています。

第二話、短めです。


第二話『New Born』

気付いたことが2つある。

 

ひとつ、転生に成功したようだがウーゴくんの言っていたように、生まれてきた俺は変だったこと。

 

まず、赤ん坊なのに物心がついており、前世の記憶がある。

これは計算通りだ。このまますくすくと育ち、すぐにでも紅玉を守る準備を始めることができる。まぁ、二年はおとなしくしておいた方が良いだろう。

 

この俺の前の世界の記憶も少しおかしい。ところどころ忘れている。

 

まず、自分の名前。家族の名前。友達の名前。

さらには、大学や街の名前など。名前に関わるものは大体忘れてしまったらしい。

 

赤ん坊の小さな頭には全て入りきらなかったか。気にすることではないが、心にぽっかり穴が空いた気分だ。

 

マギについての知識があっただけよしとしたい。

 

 

次にふたつ目に気付いたことだが、

 

転生についてくる特典はあった。

 

 

もしくは、運が良かっただけかもしれないが。

 

 

 

生まれた時にすでに意識はあって、違和感を感じていた。

 

出産を手伝う人数が多い。

 

20人以上はいただろう。

さらに、俺が産まれた部屋もかなり大きかった。

 

 

大体わかっていると思うが俺は王族の子息として生を受けた。

次期王として、慎重に、皆が見守る中、産まれたのだ。

 

王の器として。

 

 

 

 

俺は鬼倭王国(きなおうこく)の第二王子として生まれた。

第一王子ではないことは残念ではなく、むしろ好都合だった。

 

まず、第一王子では次期王の候補筆頭のため、自由に世界中を動けないだろう。

それはまずい。紅玉を守るためには煌帝国に行かなければいけない。

紅玉を嫁に迎えればいいと思うかもしれないが、それは彼女が望まないかもしれない。

 

俺は紅玉を守りたい前に、紅玉を幸せにしてやりたい。(この世界に転生してからは、この思いが強くなっているような気がする)

 

しかも、第一王子の健彦(たけるひこ)は、あのシンドバッドと同い年だ。

紅玉と仲良くするのに、あれほど(12歳差)歳がはなれていてはいけない。はずだ。

 

俺は健彦が7歳のときに生まれた。まぁこの歳差だったら大丈夫だ。紅玉も心を開いてくれる。

なによりまず、物語終盤とかだったら、もう彼女は傷ついてしまっている。

俺の目的が達成できない。

そんな思いもあって、最初に健彦の幼い間抜けな顔を見たときは、胸をなで下ろした。

 

とにかく、紅玉を守る力を手に入れるのには最高の場所、絶好のタイミングに生まれてきた。

 

俺は3歳を迎えたこの春から計画を始動した。

まずは体力をつける。小さいながらに、鬼倭の屋敷を駆け回った。父母、それに鬼倭の人々は元気な子だと笑った。

これは結構つらい。屋敷が広すぎる。

 

4歳からは基礎的な学問、教養を身につける。

転生する前は日本語ではない言葉が理解できるか心配だったが、案外すんなりと習得した。

幼児の頃は脳の発達の勢いが激しいと聞いたことがあるが、あれは本当らしい。

なんでもみるみる覚えてしまう。きっと転生する前より頭がいい。

 

5歳からは剣術などの武芸の稽古を家来につけてもらった。

俺はもともと運動には自信があったが、剣術は難しかった。

しかし、冬に入る頃からはなんとか様になってきた。

健彦とも手合わせをするようになった。健彦は12歳。彼は俺の腕にかなり驚いていたようだった。

父母は強い鬼倭の男になれると俺の努力を褒め、鬼倭の人々の中ではちょっとしたニュースになっていた。

健彦も負けじと武芸に精を出しているらしい。

 

6歳になると、朝は鍛錬、昼は稽古、夜は勉学。

こんな幼児が今までいただろうか。いや、いない。

この4年間で俺はだいぶ力を蓄えた。しかしまだ足りない。紅玉を守るためにはこれからも努力を続ける。目標は、ムー・アレキウスより力強く、練紅炎より勇猛で、シンドバッドより社交的で、アリババより優しい。

そんな男に、私はなりたい。

 

この歳になってから、煌との貿易船や通信使についていくようにした。というより頼んで連れていってもらった。

そのときの煌は戦争真っ直中で、街に活気があまりなかった。

 

なぜ、煌に行くかといえば、今年、紅玉が生まれるからだ。

 

それだけではない。後々のためのパイプを作っておくのだ。

皇帝の白徳、白雄殿下や、白瑛、紅炎や紅明に挨拶をした。もちろん玉艶にも。

白徳大帝の血を分けた両皇子は俺によくしてくれた。よくできた人たちだまったく。

白徳大帝や彼らが玉艶によって暗殺されるのは許せない。そう思ったがまだ自分にそれを止めれる力がない。考えも力もなしに突っ込めば消されてしまうだろう。

 

紅玉には会えなかったが練家に名前を知ってもらえた。また、思わぬ収穫もあった。

上出来だ。

 

 

 

 

10歳になったころ、練紅炎が迷宮(ダンジョン)を攻略し、ジンの金属器の力を手に入れた。

まだ幼い王の選定者、マギであるジュダルに導かれたのだ。

もちろんだがジュダルにも挨拶をしてある。だが彼には力を借りない。

 

もっとふさわしいやつがいる。今は待つ。時が来るのを。

 

 

 

12になった。今年は大忙しだ。まず、白徳大帝と白雄、白蓮両殿下が謀殺される。

今まで鍛錬に鍛錬を重ね、強さを手に入れた。学問に打ち込み、頭脳を鍛えた。

計画を第二段階に移す。

 

 

桜が散る季節。まず第二段階の始めは国内からスタートする。

全ては紅玉を守るため。

 

辛い試練も乗り越えよう。

 

 

 

 

 

日が傾き始め、仕事を終えた侍たちが屋敷へと戻ってくる。

 

夕日を浴びてオレンジに染まった屋敷の廊下を渡る。

 

大きな扉の前で息を吸い込む。大丈夫だ。

 

 

 

 

「兄上、ご相談があります。」

 

大きな襖から声がした。

 

「入れ。」

 

 

 

 

運命を変える。

 

 

ーまず白雄、白蓮両皇子を救う。

 




マギのキャラクターの年齢ってあいまいなところがあるんですよねー泣

次回、いよいよ本格的に紅玉守る計画が動き出します

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