紅玉が不憫すぎるから俺が運命を変える。   作:あたたかい

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初小説&初投稿なのでお手柔らかにお願いします。
がんばって早いペースで上げたいです…


【第一章】闇の幕開けと紅玉
第一話『The end.』


2016年12月22日。

 

買い忘れていたマギ31巻を買った。

 

最終章に入ってからは展開が目まぐるしい。キャラクターの姿もずいぶん変わった。

 

アラジンでかくなったなぁー…白龍は兄貴に似てきてんなぁー…と感想を抱きつつ読み進めると、また煌帝国がピンチになったりそれを乗り越えたりしていた。

 

それにしても、練紅玉ちゃんはかわいそうだな。

 

元々身分の低い皇女だったのに努力してジンを手に入れて将軍になって。

それなのにシンドバッドとかいう奴のせいで煌にダメージを与えちゃって、兄貴たちを罪人にされた。

彼女は煌のためになることをしようとがんばっていただけなのに。

 

不憫だなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えて歩いていた俺は、左からやってくる暴走トラックに気が付かなかった。

 

 

 

 

 

俺、乙坂哲(おとさかてつ)は今日21年間の人生を終えた。

 

大学3年生、来年の就職活動に向けての緊張や不安を抱え、今日買ったマギを抱えながら人生に幕を下ろした。

後悔ならかなりあるが、仕方のないことだ。家族や友人は悲しむだろう。

 

家族といっても父は俺が小さい時に死んじゃって、兄と母だけ。兄貴にはすごい世話になっている。毎日食えているのも、毎日大学に行けているのだって、大体兄のおかげだ。

兄貴は25で、大企業の正社員だ。兄貴は俺の尊敬する人だ。

 

そんな兄貴に恩が返せないのは、申し訳ないことだ。

 

別れを告げたかったなぁ。

 

 

 

 

「君は愉快な奴だな。後悔してないと言いながら、後悔しているじゃないか!」

 

声が聞こえたが、聞き間違いだろう。なぜなら俺はもう死んでいる。

 

 

 

 

 

なぜ、意識がある?

 

なぜ、考えている?

 

俺はまだ生きている?

 

話しかけられた?

 

誰に?

 

 

 

「やぁ!僕が誰だって?」

 

 

「僕はウーゴ。ここの番人さ!」

青い巨人が話した。

 

「ハァ!!??」

 

思わずアホな声が出る。

 

喋れる。喉がある。

 

「俺はどうなってるんだ!!?」

 

体があることに気が付いた。おかしい。俺は死んだはずだ。しかもこの青い巨人は…!?

 

 

「ふむ。つまりね…」

 

巨人ー…ウーゴくんが大混乱状態にある俺に説明をしてくれた。

 

まずここは、頑丈な部屋。聖宮。マギのルフや、その他ルフの管理をする場所だ。

そしてウーゴくんはこの聖宮の番人。

 

俺は確かにトラックにひかれて死んだが、なぜか俺のルフ(ルフが現実世界にもあるとは知らなかったけど)が別の世界ー…マギの世界観。に飛ばされてしまったらしい。

 

マギを持って死んだからか?

 

 

そして元の世界にも戻れない。聖宮の力では無限にある世界から俺のいた現実世界を探すのは不可能に等しい。

まぁ、戻ったところで、行くのは死者の世界だけどな。

 

そんな事情もあって、俺のルフを大いなる流れー…まぁ、自然?にも戻すわけにはいかず(元から大いなる流れにないルフだかららしいがよくわからなかった)、困ったのでとりあえず本人の意向を聞こうとルフを実体化させたらしい。

 

 

「とまぁ、こんな感じなんだ。」

 

「…なるほど………」

 

パニック寸前だった俺の脳は落ち着きを取り戻し、冷静に状況を考えることができていた。

つまり、漫画とかでよくある転生ー…異世界移動。

予備知識があったおかげですぐに呑み込めた。

 

「俺の意向ってことは、俺をこの部屋からこの世界に生み落とす…転生できるってことか?」

 

巨人に問う。

 

「うまくいくかはわからない。元々この部屋から送り出していたのはマギのルフだけなんだ。」

 

「あっマギっていうのはね…」

 

 

「うまくいかなかったら?」

 

ウーゴくんの説明を聞き流して質問する。

 

「どうなるかはわからない。君のルフはこの世界のものとは違う。ひどいことになるかもしれない。もっとも、転生に成功したところで、何かしらの影響が出るだろう。例えば…」

 

「例えば?」

 

「今君が持っている記憶を残したまま赤ん坊としてきたりしてね」

 

フン。いいじゃないか。記憶を残したまま生まれるということは未来がわかるということだ。もっとも、今がマギの時系列でいつぐらいかによるが。

記憶があったら、歴史を変えて紅玉を助けよう。

かわいいからな、紅玉は。

迷宮のジンの力を手に入れ、紅玉を守る戦士となろう。

 

「いいかい?もし記憶があっても、人に他の世界から来たなんて言っちゃいけないよ。それでも転生したいかい?」

 

ウーゴくんにマギのストーリーを知っているということは言っていない。

歴史を知っているということは大いなる流れに反することができるということ。

危険だ。本来あるべき流れを変えてしまうということは。マギの世界観では全ての現象事象が必然。紅玉が苦しむことだって本来変えられないものなのだ。

だが俺はそれをやる。

ウーゴくんには悪いが、このことは黙っておく。彼がこのことを知ったら転生なんてさせてくれないだろうからな。

 

「わかった。ウーゴくん。俺はやるよ。」

 

「そうか!わかった。無事を祈ってるよ。哲。」

 

今マギの世界では紅玉が何歳ーとかシンドバッドが何歳ーとか聞きたかったが、怪しまれるのでぐっとこらえた。

 

「転生したら俺はどんな人間になるんだろう。」

 

ウーゴくんに聞いてみる。

わかっていたが返事は、

 

「それはわからないんだ。ごめんよ。」

 

何もわかんねーなこいつ、と思ってしまった。この調子だと、よくある転生したから得られた力なんかもなさそうだ。

どうなるかは運か。人生ハードモードだな。

 

「じゃあ行くよ哲。たぶん、いやきっとこれでお別れだ。」

 

ウーゴくんが言う。そうだな。これからの第二の人生でアラジンに会わない限りお別れだ。

 

「あっ!最後にひとつ!」

 

「なんだい?」

 

「どうして俺を転生させようとしたんだ?流れに合わないルフが迷い込んだだけなら、君の力でどうにか処理できた、そうだろ?」

 

「…それは、君が、」

 

ウーゴくんは一瞬言葉につまって、悲しい顔を見せた。

 

「君がまだ若かったからね。人生をぜんぜん楽しめてないまま、死んでしまった。そんな友達を思い出しちゃってね。」

 

それは知っている。ウーゴくんの元いた世界、アルマトランでの話だろう。

 

「はっ、はは!こんな青い巨人に友達なんてね!おかしいだろう?さっきのは忘れてくれよ!」

 

 

 

「ありがとう、ウーゴくん。」

 

俺は心から感謝を伝えた。

 

 

 

「ふっ、君にはなんでも話してしまいそうだよ」

 

ウーゴくんが笑う。俺も笑顔を見せた。

 

 

 

「さて行くよ、今度こそお別れだ。」

 

 

 

開けー…ゴマ!!

 

マギの世界に転生し、体を鍛え、練紅玉を守り、(青春を楽しみ)、歴史を変える!

 

ウーゴくんには悪いが、俺は運命に抗う!これが俺の第二の人生だ!やるからには、楽しむ!!

 

聖宮の正面の大きな扉が開き、俺をまぶしい光が包んだ。

 




ファンブックやシンドバッドの冒険に載っていないことは、独自解釈でいきます。

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