突然意識をなくして植物状態になった、佐天涙子。
そんな彼女を助けようと奮闘する穂乃果達だが、そこへバット星人の魔の手が襲い込む。先に襲撃された沼津の病院からにかげて来た真姫と学園都市にいた穂乃果、絵里以外の7人はハイパーゼットンの餌になってしまった。
その後、心に深い傷を負った穂乃果達だが犯人探しを続投。次第に浮かび上がってきたレベルアッパーの真実。それを持って初春が向かった先は、木山春生だった。
そして、木山春生が犯人だと知った初春は木山春生の人質となる。
(アイツを地球へ向かわしてはいけない!!こんな奴らの為に罪なき人を苦しめる訳にはいかない!!)
そう思い至急にハイパーゼットンコクーンの後を追って地球へ向かうゾフィー。
目の前に見えてきたハイパーゼットンへM87光線を放つもやはり効果がない。
「ゾフィーよ、我々バット星人長年の夢であるウルトラ抹殺計画の邪魔をしてはならない。」
「バット星人、貴様がどれほど強い怪獣を作ろうと俺は、お前達の野望を打ち砕く!!」
「なら、我々の餌食になるがいい!!」
そう言うとバット星人の命令により繭から触手が出てきた。それを躱したりM87光線を放ち防ぐゾフィー。
しかし、その触手は逃げるにつれて増えていくと遂にゾフィーの腹を貫いて捕まえる。
「くっ……、アァッ!!」
抵抗しようと悪あがきをするゾフィーだが、貫かれた先から光エネルギーが漏れて歯向かう力すら失おうとしていた。
そして、徐々にコクーンとの距離が縮まった。
「俺をどうする気だ!?」
「ゾフィーよ、このハイパーゼットンの為に残りの力を使い切るのだ!!!
そして、我々の長年の夢であるウルトラ抹殺計画を遂行する時!!」
それを知り抵抗するゾフィーだが、無常にもゆっくり繭に取り込まれてしまった。
「これで、我々の邪魔をする者はいない。さぁ、ゼットンよ。宇宙征服の時は来た!もう誰も……、我々を止めることは出来ない!!」
そう言ってバット星人の笑い声が太陽系に響き渡るのであった……。
初春との連絡が途絶えたことを知った黒子は急いで支部から出ようとしてた。
「待って黒子!」
美琴の声とともに黒子の動きがピタリと止まる。そして、彼女の目の前にやって来るとそこから通さんとばかりに仁王立ちした。
「私が行くわ!ジッとしてんのは性に合わないし。黒子は、黒子はアンチスキルからの連絡を回してちょうだい。それに何か、嫌な予感がするのよね。」
「しかし、お姉様は一般人ですし巻き込むわけには行きませんの。初春だってジャッジメントのはしくれですよ。いざとなれば自分の力で…それに、ジャッジメントであり、パートナーである私が行くべきですわ!!」
そう言う黒子の肩を美琴は、ポンと叩くとそこから激痛が走るように黒子を襲った。
「一応私もこの事件に関与してるし……それにアンタ、私を庇った時に骨折してたの隠してるでしょ。」
「もしかして、お姉様は最初から見抜いて……。」
「当たり前でしょ。」
そう言って黒子の額に人差し指をつんと当てる。
「アンタは私の後輩なんだから……、
こんな時ぐらい
その一言に頬を赤くした黒子は、「お姉様!!」と叫びながら勢いよく美琴へ抱きつこうとしたが、本人に止められる。
「そういう事じゃないわよ!」
美琴のツッコミが終わるとタクシーに乗り木山春生が逃げた高速道路の近くへと向かっていた。
彼女が多種多様な能力を使うことを知ったのはその時だった。
「見つけたわ!お釣りはいらないから運転手さんも早く逃げて!!」
「あ、ちょっとお客さん!」
タクシーから降りた美琴は、非常階段を使い高速道路へ足を運ぶと全滅したアンチスキルの光景が目の前にあった。そして、その前には木山春生の姿が……。
「アンチスキルが……全滅……。」
驚きの光景を見て唖然とする美琴……。
そして、近くの車の中には気を失った初春の姿があった。
「初春さんっ、しっかりして!!」
そう言って美琴は、近づくも初春の反応はなかった。
「安心していい、戦闘の余波に巻き込まれて気絶してるだけだ。命に別状はない。」
瞳の色がおかしくなっていた木山春生は、低い声で丁寧に説明した。
「御坂美琴、学園都市に7人しか居ない超能力者か。私のネットワークに超能力者は含まれていないが……、
流石の君でも私のような相手と戦ったことはあるまい。」
そう言って木山春生は、美琴の方をゆっくり振り向く。その瞳は、既に充血したかのように赤くなっていた。
「君に一万の脳を統べる私を止められるかな?」
「止められないですって!?そんなのやって見なきゃ分からないわ!」
そう言って美琴は、電撃を放つも能力で作った避雷針のシールドみたいなので防がれてしまう。
「驚いたわ!まさか、本当に複数の能力が使えるなんて……
「その呼称は適切ではないな、私の能力は理論上不可能と呼ばれたアレとは、少し方式が違う。言うなれば
木山春生は、そう言って風力を使った斬撃を美琴へ向けて放つとそれを横に避けた。
「呼び方なんてどうでもいいわよ!こっちがやることに変わりはないんだから!」
再び電撃を放つがコレも防がれてしまうが、その隙を突き美琴だが、大きな炎の球体を発射してきた。
「ヤバッ!」
反応が少し遅れた美琴は、ギリギリ躱すも新品の服は既に所々破れがあったり汚れていたりしていた。
「能力を一つしか使えないとは一言も言ってないぞ。」
そう言って木山春生は、自分と美琴の周りだけ地盤を破壊した。落下する中、電磁波を使い柱にある鉄を利用して最悪の事態を防いだ。
「とんだ拍子抜けだな、超能力者とはそんな程度なのか!?」
「まさか、電撃を攻略したぐらいで調子に乗るな!!」
そう言って美琴は、鉄筋コンクリートを電磁波でくり抜いてそのまま木山春生に投げつける。しかし、それを右手から出てきたレーザーサーベルみたいなのをしっかり握り飛来する瓦礫を真っ二つにした。
「アレ?」
次の瞬間、木山春生は手を前に伸ばして美琴の所だけのコンクリートを抜くとそのまま美琴は、地面に落下した。
「ゲホゲホッ!」
(戦いに応じて能力を変えるなんて反則だわ。)
美琴は、咳き込みながらそう思うとゆっくり立ち上がった。
「もう止めにしないか?」
「私は、ある事柄について調べたいだけなんだ。それが終われば全員解放する。誰も犠牲には……。」
「ふざけんじゃないわよ!!」
木山春生の声を遮るかのように美琴は、大声で叫んだ。
「ふざけんじゃないわよ……」
そう小さく呟いた美琴は、両手をギュッと握りしめた。その瞳は、静かな闘志を抱きて木山春生を見つめていた。
「誰も犠牲にはしない?アンタの身勝手な目的にあれだけの人間を巻き込んでおいて人の心をもてあそんで……
こんな事をしないと成り立たない研究なんてロクなもんじゃない!!そんなモノ見過ごせるわけないでしょうがっ!!!」
すると、髪の毛をクシャクシャ掻いた木山春生は、深いため息を吐いた。
「全く……、超能力者とは言えとんだ世間知らずのお嬢様だ。」
「アンタにだけは言われたくないわ!」
次の瞬間、木山春生はテレポートさせた空き缶を美琴の目の前に投げる。その行動に首を傾げる美琴だが、目の前で急に凝縮されるのを確認した。
「ドカーーン!!」
爆発音とともに発生した煙に美琴は包まれた。煙で視界は悪いが、やったと思い込んだ。しかし、瓦礫を盾にして爆撃の余波から身を守り抜いた。
「そんな即席の盾でこれが防げるかな?」
そう言って木山春生は、ゴミ箱ごとテレポートさせて美琴の前へ移動させるとそこから無数の空き缶が彼女へ向かって飛来した。
「さて、これはどうするかな?」
「全部……ぶっ飛ばすっ!!」
美琴から放たれた電撃により次々と消滅していく空き缶達……。
「流石に正攻法では無理か……。」
そう呟いた木山春生は、最後に持っていた空き缶を今度は美琴の後ろへテレポートさせる。
一方、そんなことも知らずに全ての空き缶を粉砕したと思い込んでる美琴は、一安心すると……。
「ドカーーン!!」
再び爆発が起こる。その音により気絶していた初春が目覚めた。
「あれ!?アンチスキルが……」
目の前に飛び込んできた光景に驚く初春は、さてれた手錠の鍵外れてることに気づく。そして、車を降りて舞い上がった爆炎の元へ向かって行った。
煙が止むとそこには、瓦礫に埋もれている御坂美琴の姿があった。彼女はピクリとも動かなった。
「意外と大したことなかったな。……超能力者。」
《次回予告》(CV.木山春生)
私は、過去に大きな過ちを犯してしまった。
あの一人の科学者によって……。
あの子達を助ける為、私は戦わなければならない!
例え、この街を敵に回しても……。
第36話「木山先生」