ULTRAMAN ZOFFY   作:銀河 流星

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第34話「多才能力者(マルチスキル)」

 

卵らしき球体の中に居るハイパーゼットンは、そこから伸びた数本の鎌でゾフィーを捕まえようとするがそれを躱したゾフィーは、M87光線を放つも吸収されて奴のエネルギーになってしまった。

 

 

「クッ……」

 

 

そう言いながら、ハイパーゼットンから距離を置いたゾフィーは、大きな球体を眺める。

 

 

「まさか、ティガやメロスも!?」

 

「そう、こいつの餌になったのさ!」

 

 

余裕の表情で言うバット星人を対してゾフィーは、怒りを覚えた。このままコイツらを放ってはいけないと……

再び、空を飛び今度は切断技であるウルトラギロチンや八つ裂き光輪、M87光輪などを連続で放つも全て吸収されてしまった。

 

 

「どうすればコイツを止められるんだ!?」

 

 

そう試行錯誤しながらゾフィーの奮闘は続いた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……全く、何処にいるのよ!?」

 

 

御坂美琴は、人影のない路地裏などにいた。彼女は、そこでレベルアッパーを使ってる人を探そうとしていたが中々見つからなかった。

 

 

「おい!」

 

 

後ろから声をかけられた。その声に美琴は、ビックリした。彼女は、恐る恐る後ろへ振り向くとそこには、美琴の住んでいる常盤台中の学生寮の寮監が立っていた。

 

 

「う、嘘……。」

 

「御坂、何ヶ月も無断で外泊に無断欠席とは……白井と共にキツイ処罰が必要だな。」

 

 

寮監は、睨みをきかしながら美琴へゆっくり近づく。それを見た美琴は、恐怖で変な汗が出るようになった。

しかし!?

 

 

 

 

「え!?」

 

 

 

 

 

 

美琴の前から突然寮監が消えたのである。美琴は、周りを見渡すも誰もいない……。

そっと胸をなで下ろすとまた、レベルアッパー事件の真相を捜索し始めた。

 

 

「お姉様、ここにいらっしゃったのですね。」

 

「あ、黒子それに穂乃果や他のみんなまで。」

 

「学園都市って凄いね!お掃除ロボットに最新の技術……まさに近未来だよ!」

 

「穂乃果、最初と趣旨が違うような……。」

 

 

学園都市を見て興奮する穂乃果に海未や絵里は、少々呆れる。

 

 

「それより、レベルアッパーって何だか分かってるわけ?」

 

 

にこが質問すると黒子や美琴は、黙ってしまう。

 

 

「何もわかってなくて探してたの?」

 

「うん。」

 

「不覚ですわ……」

 

 

その様子を見て絵里が突っ込むとそれぞれ反応をあらわにする。

 

 

「薬物の一種とか!?」

 

「そんな訳ありませんわ。学園都市の大半を占めるのが学生ですわ……まさか!?お姉様、一旦こちらへ!高坂さんや皆さんはここで!!」

 

 

そう言うと黒子は、美琴を連れてテレポートした。その先は、佐天が入院している病院だった。

 

 

「黒子、どうする気?」

 

「佐天さんの所持品を調べますの。もしかしたら、レベルアッパーへ繋がる鍵になるかもしれませんわ。」

 

 

そう言って黒子は、所持品を洗いざらい調べるが何も出て来なかった。そんな中、美琴は佐天がいつも持ってた音楽プレイヤーを見る。

 

 

「もしかして……」

 

 

そう呟いた美琴は、電磁波を使い音楽プレイヤーを操作すると謎のファイルを発見した。

 

 

「黒子!」

 

「何ですの?お姉様。」

 

「ちょっとこれ見て。」

 

 

美琴は、至急黒子を呼びそのファイルの名前を見せる。すると、黒子は目を点にしながら驚く。

 

 

「これが…、()()()()()()()()()()……ですの!?」

 

「そうみたい。」

 

 

そう答える美琴は、ある異変に気づく……。

 

 

(何で!?ここに人が誰も居ないの!?)

 

 

この部屋は、四人部屋なのに対して居るのは意識のない佐天涙子だけ。怪しくなった美琴は、勢いよく扉を開けて廊下へ出た。それは、廊下なら誰かいると思ったからだ。しかし、既に廊下には誰もいなくて人が持ってたであろう書類や鞄がアチコチに散らばっていた。

 

 

「な、何よ……これ……。」

 

 

無人の病院に驚く美琴につられてやって来た黒子も唖然とする。

 

 

「黒子、急いで学園都市へ戻ろう!」

 

「了解ですの!」

 

 

そう言って二人は、黒子のテレポートで先ほどいた場所へ戻ると衝撃の光景を目の当たりにした。

 

 

「キャーー!!」

 

「ことりちゃん!海未ちゃん!!」

 

 

目の前には、何者かの鎌みたいなのに刺されたことりと海未、それを離そうと近づく穂乃果を真姫と絵里が必死に止めようとしていた。

 

 

「穂乃果、ここは逃げるのです!」

 

「穂乃果ちゃんは生きて!!」

 

「嫌だ!そんなの……嫌だよ!!」

 

 

それを見た美琴は、ポケットからコインを取り出そうとするも手が滑り、コインは無情にも地面へ落ちた。

 

 

(拾い直す時間が無い!!)

 

 

そう感じた美琴は、電磁波で砂鉄を集めるとそれを使い触手みたいになってる所を切断しようとした。しかし、バリアーが張られてしまい防がれてしまった。

 

 

「そんな!?」

 

 

次の瞬間、海未もことりも姿がなくなってエネルギー体になるとそのまま鎌から触手を通して敵の体内へと入っていく。

 

 

(守れなかった……)

 

 

残虐なことをした敵への恨み、弱い自分への怒り……。それが美琴の心の中に芽生えた。

 

 

「黒子、の風紀委員(ジャッジメント)支部へ連れてって……」

 

「……はい。」

 

 

黒子は、そう言って残された穂乃果と絵里、真姫の近くへ行くとそのままテレポートをして風紀委員177支部へと戻った。

 

 

「あ、御坂さん。白井さん。犯人は見つかりましたか?」

 

「いえ、それより園田さん達が……。」

 

 

黒子は、そう暗い声で言うと初春は後ろに居る穂乃果達へ視線を向ける。彼女達は、大切なものを取られた子供のように泣いていた。

 

 

「でね、初春さん。佐天さんの荷物から持ってきたんだけど……これ見て。」

 

 

落ち込む空気の中、美琴は初春に例のアレを見せた。初春は、それを見てまたパソコンの画面へ目線を移すとキーボードを打ち始めた。

 

 

「もし、これが本物のレベルアッパーなら脳に直接影響を及ぼしてる可能性があります。それが出来るのは……脳の仕組みについて学園都市で研究している科学者だけです……。」

 

 

そんな中、美琴はあることを思い出す……。

 

 

『初めまして、大脳生理学の木山春生だ。よろしく頼む。』

 

 

すかさず美琴は、初春に質問した。

 

 

「ねぇ、それって大脳生理学とか!?」

 

「あ、はい。御坂さん良く知ってますね!」

 

「だったら、あの人も関わってるんじゃないかしら。初春さん、書庫(バンク)から()()()()を調べてくれないかしら。」

 

「分かりました。」

 

 

そう言うと初春は、再びパソコンと睨めっこを始めた。

その間、泣くのをやめた穂乃果がある質問をした。

 

 

「ねぇ、レベルアッパーが音楽だったのは分かったけど……どうして音楽じゃないとダメなのかな?」

 

「そうね……例えば、音楽には五感を働かせる力があるじゃない?それを使った何かだと思うんだけど……。」

 

「そう言えば、ここを離れる前に学習装置(テスタメント)と言うのを聞きましたわ。五感全てに働く機材がない事には能力開発が出来ないとの事なのですが……。」

 

 

その時、美琴と黒子、初春の3人の頭では謎が全てが繋がった。レベルアッパーのしくみは、共感覚醒を応用し能力者のレベルを上昇させるプログラムという事だったのだ。それが分かった初春は、それを持つと支部から外へ出ようとする。

 

 

「初春、どちらへ!?」

 

「今度は、私が行きます!!」

 

 

そう言い残して初春は、一人で木山春生の所へ向かって行った……。

 

 

 

 

 

 

日も落ち始めて夕方になる頃、初春は木山春生の「共感覚醒」の資料を見てしまい人質となってしまった。その際にレベルアッパーのアンインストールチップを渡されたが、アンチスキルが前を封鎖して動けなくなっていた。

 

 

「どうするんです?年貢の納め時みたいですよ。」

 

「レベルアッパーは、人間の脳を使った演算機器作るためのプログラムだ。だが同時に使用者に面白い副産物を齎す物でもあるのだよ。」

 

 

そう初春に説明しながらアンチスキルの指示に従いシートベルトを外した。そして、初春に聞こえるようにそっと呟いた。

 

 

「面白いものを見せてやろう……」

 

 

そう言うと木山春生は、車から降りる。誰もが、事件の終わりだと思ったその時!?

 

 

「バンッ!」

 

 

何と、木山春生は能力を使いアンチスキルの一人を殺すと次々と多様な能力を駆使して激しい攻撃を開始する。

 

 

「アンチスキルとは言え、一万人の脳を司る私に勝てるはずがない。」

 

 

そう言いって木山春生の攻撃は更に過激さを増して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海王星で戦闘を続けていたゾフィーとハイパーゼットンだが、圧倒的な戦闘を持ってゾフィーを苦しめたハイパーゼットンは、刻々と地球に向かって進んでいた。

 

 

「ピコン…ピコン…ピコン…ピコン…」

 

 

カラータイマーを鳴らしながら海王星に残されたゾフィーは、再び立ち上がった。しかし、フラつき2本の足でしっかり立てる状態ではなかった。

 

 

「地球の人々を丸ごと飲み込んでエネルギーに変えるとは……。とんだ悪魔を作ってくれたな……バット星人!」

 

 

そう呟くとゾフィーも後を追いかけて地球へと向かおうとしていた。

 

 

 

 




《次回予告》(CV.絢瀬絵里)
謎の敵に吸収された海未達……。
残された私と真姫、穂乃果は悲しむけど、真相を確かめに向かった初春飾利が捕まってしまったわ!!
それを知って御坂美琴が颯爽と助けに向かった……

第35話「超電磁砲対多才能力者」



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