55 変化していくブウ編の始まり
天下一武術会から3年ほどの月日が流れ、第25回天下一武道会の日が近づきつつあった。
その日は本来であれば、界王神が現れバビディの居場所を見つけ出すためにほぼ何も言わずに悟空たちに協力させる。結果として、ほぼすべての行動が裏目に出てブウの復活の阻止はできず大混乱の渦に巻き込まれていくわけだ。内容をかなり省略して説明したわけだが、とにかく界王神が使えないということがよくわかる。事態を面白くするという点においてそれは良い。故にブウが復活するのは構わないし、いくらか一般人が死のうと気にしないが、原作通りなら起きる地球人がほぼ全滅という事態だけは避けたい。そうなると私が消滅ということになりかねないために、目的が達成できなくなったとしてもそれだけは絶対に防がなくてはならない。生き残れたにしても元の世界に帰れない可能性もある。
だからといって、本気を出すとブウが出てくる前に全てが終わってしまうので舐めプは必須だ。楽しむためにこの世界に来たというのにそれでは何のためにここまで来たのかわからなくなってしまう。だが、ブウが出てきたところで超サイヤ人3となれる悟空が生きている時点でどうにかなってしまいそうだ。と、なればだ。状況を操作しやすく、尚且つ事態を混乱に陥れやすく、更には安全策を取りやすい立ち位置を取るべきだろう。その立ち位置は……まぁ、読者さんたちには追々伝えていくことにしよう。
悟飯がオレンジスターハイスクールに通うことになることを知ってからは、悟飯にスパイカメラを飛ばして様子を監視していた。別にそうしなくてはならない理由はない。ただ退屈なのだ。
仕事の関係上、ブルマとはよく会うのだがそれ以外のキャラとは中々会えないために様子を知ることができないのだ。知る必要もないのだが、ただ仕事をして過ごすのは退屈で仕方ない。そのため、この時期主人公となっている悟飯に焦点を当ててみた。私の行動で何かが変化したのかも気になる。
スパイカメラを飛ばし、悟飯の様子を探ると筋斗雲に乗って登校途中の悟飯を見つけた。そのまま後を付けさせると原作通り事故現場というか犯罪現場に遭遇、超サイヤ人になって解決して、即退散。私が、いくら被害を減らすために開発を繰り返したところでこの手の事件発生がなくなるわけではないようだ。
悟飯を追って学校まで追うと、案の定ビーデルが居た。ほぼ原作通りだと思いきや、私がセルを倒していたこともあって多少の変化はあった。まず地名からしてサタンシティではなく、本来の名称であるオレンジシティのままである。そして、悟飯達の会話を盗み聞くと……
『ビーデルのパパはね、なんとあのミスターサタンなのよ』
『ミスターサタン……!?』
『そうよ。実際にセルを倒したのは、イーヴィさんだけど重要な役割を果たしたあのミスターサタンよ』
この世の中ではそういうことになっている。セルを倒したのは私ことイーヴィだが、セルを倒す協力者として大きく貢献したことになっている。実際には悟飯ひとりでどうにでもなったことだが、止めをさしたのは私で相違ない。
『別にそんな偉そうに言えることじゃないと思うんだけど』
ビーデルは調子に乗っているサタンのことをよく思っていないせいか、そんなことを言う。
『でも、実際にイーヴィさんがミスターサタンのおかげだって……』
『あの人は、目立ちたがりのようでいつも一歩引いて物を見ている気がするの』
『お、さすがはイーヴィさんの弟子。師匠のことはよくわかってるんだ』
『えぇっ!?』
悟飯は思わず声を挙げた。彼にとっては相当予想外だったらしい。
『師匠と言っても数日指導を受けただけよ。確かにあの人の指導で私の武道の考え方は変えられたけどね』
『そ、そうなんだ……』
悟飯にとってイーヴィは不穏の象徴とまではいかないが、苦手意識のある相手だ。悪い人ではないが良い人でもない。対応に困る人であった。
その後は、金色の戦士の話題になる。悟飯は自分の正体がばれる可能性を危惧するのだが、本人に隠す気が本当にあるのか不思議になるほど常人離れした動きを体育で見せてしまう。本人の周りに一般人がいなかったせいで基準となる人がいなかったからだろう……母親であるチチさんもサイヤ人達ほどではないが相当強い……ブルマが居ただろと思ったそこの君、気にしてはいけない。
後の展開も知っての通り、正体を隠して人助けをするためにブルマに頼み簡単に正体を隠せる衣装となれる装置を作ってもらう。しかし、あっけなくビーデルに正体がばれてしまう。ビーデルはそれを元に、次の天下一武道会に参加するように脅す。更に、空の飛び方を教えてもらう様に約束させられる。
『空の飛び方を教えるのはいいですけど、イーヴィさんから教わらなかったんですか?』
『なんでそこで師匠の話が出てくるのよ』
『イーヴィさんとは、実は知り合いで空飛べるんですよ』
『えっ!? そうなの!? ……世間って狭いのね』
ちなみに空の飛び方を教えなかったのはわざとである。
その後、悟飯はヘルメットが武道会では使えないためにブルマに相談しに行き、ターバンとサングラスで顔を隠すこととで対処することになる。そして、ベジータが悟飯が武道会に出場することを知ることになる。
「そのなんとかって、大会に俺も出る。どうせカカロットも来るんだろう。それにあいつもな……!」
「父さんにもイーヴィさんにも言ってないのでまだわかりませんけど、たぶん出場するでしょうね」
「よし、乗った!」
「き、貴様! いつからそこに!?」
「最初からいたけど?」
先ほどの通り、ブルマの居るところ、つまりはカプセルコーポレーションにはよく足を運ぶのだ。
「居るなら早く言え……!」
「兎に角、私も参加するからよろしく。一応、私も出資者だしねー。それじゃ、用は済んだから帰るね。仕事の方はよろしくね、ブルマ」
「はいはい」
ちなみにこの件に関しては本当にこの物語とは全く関係がない仕事のことである。次回の天下一武道会で台無しになる可能性はあるけど、普段通りに行動する方が怪しまれることは少ないだろう。すでに怪しまれているけどね!
悟飯の様子を再び覗けば、家族に天下一武道会のことを話していた。チチは反対していたが、悟空、悟飯、悟天の家族全員に押され出場を認めることに。私の開いた武術会の優勝賞金をもらっていることもあって、原作よりは家計に余裕があるらしい。ちなみに悟天とは、既に数度会っている。あちらが私のことを覚えているかは微妙なところだが。
悟飯は原作ほどではないが、そこまで鍛えていないために悟空に鍛えなおしてもらうことを願い出た。悟空はそれに快く承諾し、悟天も一緒にやりたいとせがみそれも悟空は了承した。
その翌日、ビーデルが悟飯の下へ武空術を教わりに来た。
『お父さん……どうにかできませんか?』
『おめぇが約束したんだろ。ちゃんと責任もってやれよ』
『そ、それはそうなんですが……』
悟空が至極当然のことを言っているのに果てしない違和感がある。
『オラは先に悟天と修行してっから、その子にちゃんと武空術を教えてやれよ』
『は、はい……』
今まで修行をしていなかった分、取り返さなければならないと感じていたがビーデルが来たことによってその時間が短くなってしまうことを懸念した悟飯だったが、結局は原作通り教えることになった。
ちなみに、悟天は既に悟空から教わっていたために飛べるようになっていた。
悟飯とビーデルはほとんど原作と変わらない様相だった。飛べるようになる速度は、原作よりも早かったが。気と教えていたわけではないが、気を扱えなければ使えないような技を教えていたために習得するまでが早まったようだ。一日でほぼ自由に飛べるようになっていた。気について知るためにも、もう一日来るということになり、悟飯の一日はそれで終わった。
悟空は悟空で農業を営んでいるために一日中修行というわけにもいかなかったが、機械を使うなどして時短+品質向上しており、意外とハイテクなのであった。それは悟空がというよりはラディッツの提案と伝手によるものなのだが、それはまた別の話だ。
各人、天下一武道会に向けて調整している中、私はブウの対処をどうするか考えていた。既にバビディの宇宙船の所在は掴んでいる。界王神の所在もだ。天下一武道会を楽しみ、その後バビディの下に行くことを考えてはいるが、界王神の相手がめんどくさそうだ。キビトも回復役と瞬間移動は使えるが、性格的には正直うざい。まだ会ったこともない人物に思うことではないが、多少痛い目を見てもらっても構わないだろう。ブウは復活させる前提で動いて……さて、どうなることやら……愉しみだ。
ようやくブウ編が始まりました。一応はブウ編の後をちょっとやって本編完結と考えています。超の方は、おまけみたいな感じで気が向いた時にでもやろうかと……
今年中に本編終わったらいいなぁ……
(正直、もう別のやつ書き始めたい……)