大体の構想は頭の中でできていますがプロットとか全く書いていないので……思い付き次第書くので安定感ゼロです。まぁ、自分は書いていて楽しいんですが。今更ですが、こんなのでも楽しんでいただけたら幸いです。
悟空がヤムチャを倒し、開いた扉をくぐるとそこには予選を抜けた者たちが待っていた。
その部屋は休憩室の様になっており、テーブルや椅子などが置かれていた。
「あれ、二人だけか?」
悟空は最後にギリギリで予選を突破したために最後に到着していた。
と言っても、その場にいたのは悟飯とベジータだけだったのだが。
「ピッコロさんは……負けてしまったみたいですね」
悟飯はピッコロが予選突破できなかったことに少しショックを受けているようだった。自分は突破しているのに敬愛する師匠が突破できなかったというのはやはり残念なのだろう。
「ふん……この程度の予選で負けるとはな」
ベジータはだみ声で言う。
「ベジータ、おめえ、声がちょっと変だぞ。どうしたんだ?」
「う、うるさい!」
ベジータは予選のカラオケの影響で声がガラガラになっていた。ベジータも指摘されると少し恥ずかしいようだった。
そして、奥の部屋からイーヴィが現れた。
「やぁ、みんな久しぶり」
「よ、イーヴィ」
「お久しぶりです」
ベジータは私に背を向ける。
「予選は楽しんでもらえたかな?」
「いつもとは趣が違ってよかったと思います」
悟飯がちゃんと感想を言ってくれたことにほっこりする。後の二人にはまともな感想を期待するだけ無駄というものだ。
「結構楽しかったぞ」
悟空にしてはまともな発言に聞こえるが(ヤムチャとの戦いが)が透けて見える。
「あんな下らん真似、二度とするか」
残念ながら、場合によっては地球と家族を守るためにダンスと共に歌を披露することになります。
「ま、みんな疲れたでしょうし、休んでて。食事休憩も含めて1時間後に本戦開始といこうか」
「あぁ、楽しみにしてんぜ」
この後、イーヴィは食事を無料提供するがそれだけで300万ゼニーは飛んだ。高額になることはわかりきっていたことだったが、実際に目の前でやられるとお前らは大食いでもしに来たのかと思ってしまった。そのせいで悟空の「楽しみにしてんぜ」という言葉が食事に対してかと勘違いした。いや、多分勘違いではなかったのだろう。やっぱ旨かったとかそういう発言が聞こえたので……悟空に味のこだわりはそれほどないと思われるが、好みはやはり肉に偏っているのは間違いないだろう。
閑話休題
食事休憩を終え、イーヴィは本戦のルール説明へと入る。
「大会開始前に言ったけど、本戦はトーナメント形式で行うから。そんで優勝した人が賞金と私と戦う権利が与えられます。権利だから戦いたくなければ別に戦わなくてもいいよ」
悟飯はともかく悟空とベジータが戦わないなんていう選択肢を取るわけがないとわかりきっているが言っておく。悟空とベジータは優勝したら当然イーヴィと戦う気でいるようだった。
「基本的には天下一武道会とルールは一緒。違うのは一応殺しても負けにならないこと。全力で戦って死んでしまったならそれは致し方ないことだからね。もちろん、死人は出したくないけどね。もう一つは、武器を使ってもいいってことね」
これも大会開始前に同じようなことを言っているので特に反応はなかった。
「それでトーナメント表の組み合わせは私が勝手に決めたから」
「え? でも、それじゃあ公平じゃないんじゃ……」
悟飯が最もなことを言う。だがしかし、
「大原則としてこの場では私がルール。それに公平なことなんて予選からないよ。運が良ければ普通の人だってここに来れないことはなかったしね」
「関係ない。勝てばいい話だ」
「そうだな。誰が来ても問題ないように鍛えてきたんだ。心配することねぇって、悟飯」
「……そうですね。わかりました。頑張ります」
「それじゃ、トーナメント表はこんな感じになりましたっと」
イーヴィは3人の前に紙を広げた。
「それじゃ、私は会場の準備をして来るから。じゃーね!」
まるで隠し部屋の様に何も見えない壁の扉からイーヴィはどこかに去ってしまった。
ベジータはそのトーナメント表に反応を示さなかったが、悟空と悟飯はそうもいかなかった。と言っても悟空はさっきの発言の通り、誰が来ても問題ないと本気で思っているので動揺はないが、悟飯はいきなり悟空と対戦することになってしまうことに少なからず不安を抱えた。
「大丈夫だって。気負わずに行こうぜ、悟飯」
「でも、お父さん……」
悟空は、この大会は遊びの様なものなのだから気負う必要がないことを伝えるが悟飯は真剣に戦わなければ悟空に失礼なのではないかと思っていた。
「悟飯はオラみたいに戦うのが好きじゃねぇってのはわかってけど、悟飯がどれくれぇ強くなったのか知りてぇ。今まで見てきてわかっちゃいるけどよ、実際にぶつかって知りてぇんだ」
悟空には大事な人たちを守りたいという思いはあるが、それ以上に自分を高めることばかりを考える。悟空はそんな人間だ。それでも、悟空なりに息子のことを大事に考えていた。悟飯の夢は学者になることであるが、悟空にはその道については何もわからない。それ故に、武でしか悟飯を推し量れないのだ。大事なのは、道をどう極めていくかだ。戦えば、それがなんとなく見えるのではないかと悟空はそう考えていた。
「ま、本音を言やぁ、セルの時みたいに本当の力を出した悟飯と戦いてぇけど、今出せる全力で戦ってくれりゃ、それでオラは満足だ」
「……わかりました」
この場では誰よりも状況を察することに長けている悟飯は悟空の想いに勘付き、その想いに応えられるように全力を尽くそうと考えた。
悟空達が会話を終えると待合室となった部屋にトーナメントに参加する選手たちが入ってきた。
16号と17号と18号、ラディッツ。そして、全身を覆い隠して顔が見えない選手。
「久しぶりだな、孫悟空」
「おぉ、元気にしてたか?」
16号が人造人間たちを代表してあいさつをした。
「メンテナンスを毎日怠らずにやっているからな、問題ない」
「そりゃよかった」
悟空は笑って応える。
ベジータの方は、ラディッツに突っかかっていた。
「今日はお前も倒してやるから覚悟しておけよ、ラディッツ」
「なんで俺に突っかかって来るんだよ。カカロットと戦っていればいいだろ」
「お前もカカロットも下級戦士でありながら俺を超えたんだ。そう簡単に許されると思うなよ」
ラディッツは、ベジータに対し「こいつうぜー。いつまで引きずってやがるんだ」と内心思うが、本人を目の前にして言えるわけもなかった。仕事が忙しく大した修行もできないため現在のベジータより劣っていることは、ほぼ間違いないと考えており正直トーナメントに参加したくなかったのがラディッツの本音である。予選だけなら運が良ければ誰も来ないと考えていたが、結局ピッコロが来てしまった。わざと負けてもよかったのだが、ピッコロに対して失礼である上にイーヴィに何をされるかわかったものではないので全力を出していた。それでもピッコロに少し怒られてしまっているが。
「わかった、わかった。お互い勝ち上がれれば、戦うってことでいいだろ」
「逃げるなよ」
ラディッツははぁっと一息吐く。ベジータの相手をするのが面倒で嫌なのだった。そして、今現在隣にいる同僚と戦うことになっているのも面倒で嫌なのであった。
「初めまして。コルクと申します」
ラディッツの横に居たコルクと名乗る選手が握手するようにベジータに手を差し出す。
「ふん……!」
ベジータはその握手に応えることもなくどこかへ去っていった。
ベジータは、コルクを少し警戒していた。イーヴィの選んだ選手ということは、ただの雑魚ではない可能性が高い。その選手を態々一回戦でラディッツと当てるところも理解しがたいが、とにかくイーヴィが考えなしに組み合わせるわけがないのだ。その様なことを考える意識の裏にはイーヴィに対する苦手意識があるのだった。ただ、少し気にかかったのが、コルクの声にどこか聞き覚えがあるのだった。
コルクは悟空にも挨拶をしに行った。
「初めまして。コルクと申します。当たるとしたら決勝ですが、よろしくお願いします」
「あぁ、こちらこそ」
悟空はコルクの握手に応える。
そして、悟空もまたベジータと同様にどこかで声を聞いたことがあるような気がしたのだった。
「もしかして、オラたちって会ったことあるか?」
「いえ、間違いなく初めてですよ」
「そうか?」
「はい。それでは、失礼いたします。もし決勝で当たることがあればお手柔らかにお願いします」
「あ、あぁ……」
声に覚えがあるような気がして引っかかるのだが、どうしても思い出せなかった。というより、声に対して雰囲気と言葉遣いが噛み合わなくてどこか気持ち悪ささえ感じていた。
『さぁ~って、お待たせしちゃったかな? 早速、第一回戦始めようか! あ、今更だけど身内だけだし敬語は外すね!』
いきなりイーヴィの声が響く。
さらに閉じていた扉が開く。
17号と18号は開いた扉に入って会場へと向かう。
『それじゃ、17号と18号は舞台に上がって。他のみんなはここで待機。モニターで様子は見れるから』
待合室の天井から大きなモニターが下りてきた。そこには、武舞台となる会場が映された。天井や壁がある以外は、天下一武道会の武舞台とさほど変わらない。
武舞台の上に17号と18号が上がり、中央で向かい合わせになる。
『それじゃ、早速第一回戦第一試合開始ぃー!』
開始を告げられると同時に17号が口を開く。
「18号、俺たちは永久式の人造人間だ。パワー値こそ俺の方が若干上だが、なかなか決着がつかないだろう」
「だから何が言いたいのさ」
「一つ提案をしたい。一撃先に入れた方が勝ちってことにしないか?」
18号にとっては、ある事情から願ってもない提案だった。設計上も17号の方が、強さが上になるように作られている。そちらの方がむしろ勝率が上がると言っていい。
「いいわ。取り消すって言っても遅いからね」
「問題ない」
「はあぁああ!」
18号は17号に猛攻した。連続でパンチをするが、17号はそれを軽くいなしていった。その間、17号は一切反撃することはなかった。不審に思い18号は一旦距離を取る。
「なんで攻撃してこないんだい?」
「一発当てれば終わりなんだ。そう焦る必要もないだろ」
確かにもっともな意見だ。しかし、攻撃をしなければ勝つことはできない。攻撃してこないならば18号にとって好都合ではあるが、17号が理由もなく攻撃せずに待っているとは考えづらい。子どもっぽいところを持つ17号だが、知能レベルが子どもであるわけではない。何か考えがあると見た方が良い。
「なんだ、今度は様子見か? それなら……」
17号がゆっくりと空中へと浮き上がる。ある程度浮き上がったところで両手にエネルギーを集中させる。18号はその様子を見て連続でエネルギー弾を放って来るのだと思った。
「させないよ!」
放つ前に対処しようと一気に距離を詰める。17号は18号が目前まで迫ったところでエネルギーの集中を止めた。クルリと18号の攻撃を横に避け、手に銃を持ち、撃った。
銃撃でも簡単に対処できるような動体視力と身体能力を持つ18号でも攻撃直後の隙を狙われてはよけることもかなわず脳天に直撃した。
「
銃撃をくらって痛くて出たわけではないが、反射的に声が出てしまっていた。
「俺の勝ちだな」
「……あんた、それはさすがにずるいじゃないか」
ルール上は武器を使っても構わないことになっているが、暗黙の了解で使わないとばかり思っていた。武器を使うよりも素手で攻撃した方が強いからというのもある。
「別にルール違反じゃないだろう。それに、これでも18号、お前を気遣った結果だ」
「気遣った? 銃撃しておいて?」
17号が撃ったのはゴム弾であるが、それでも普通の人間がくらったら死ぬこともある代物である。その18号の指摘ももっともなことではあったが
「銃より俺の普通の攻撃の方が強いに決まっているだろ」
それも至極当然のことであった。
「それに18号、妊娠しているだろ?」
「気付いていたのかい……」
17号が攻撃をしなかったのは18号の子どもを気遣ったからであった。17号ほどの力を持った存在にまともに攻撃されれば、18号は無事でもお腹の中の子どもが無事で済むはずもなかった。先に一撃入れた方というのも18号のお腹の子どもに負担がかからないよう、なるべく早く決着が着くように17号なりに配慮した勝負方法でもあった。
「当たり前だ。全く……いくら金が必要だからってそこまでする必要はないだろ。それこそお灸チビ……義兄さんを頼れよ」
「わかったよ」
現在はたまにしか会うことない姉弟であったが、18号は17号の気遣いを嬉しく思った。
「たださぁ、さっき、私の旦那のことをお灸チビって……」
「さて、いつまでもここにいるのは邪魔になる。戻らないとな」
18号の言葉を無視して、いそいそと待合室に戻る。
「ちょっと、逃げるんじゃないよ!」
そのあと、軽く怒られる17号であった。それにしてもクリリンをちょっと悪く言われただけで怒るとはこの18号、クリリンにベタ惚れである。
おそらくこれが年内最後の更新です。
ちゃんと完結させられたらいいなぁ……
コルクの正体、わかった人います?
今回の話だけでヒントがいっぱいなんでほとんどの人がわかっちゃったかもしれませんが……名前も一応ヒントになってます。
それではみなさん良いお年を。