セルを私が倒した。誰の疑いの余地なく私が倒したのだ。テレビカメラは壊れていたが、アナウンサーやカメラマン、サタンもばっちり見ていた。一応、アナウンサー達にピースサインしておいた。
「イーヴィさん……どうしてわざわざ……」
あの状況を見ていれば余裕で悟飯が勝てると誰もが確信したことだろう。だが、私は知っていた。
「あのままいってたら、セルは自爆しようとしたよ。地球を巻き添えにしてね」
「え……!?」
「で、それを阻止するべく悟空が界王星に瞬間移動して、悟空が死ぬ。ってところまでわかっていたから私が介入した」
しかも、セルは死んでなくてパワーアップして戻って来る……って話はしなくていいか。
みんなも傍に近寄ってきた。
「確かにその状況になってたらオラ、そうしてたかもなぁ」
「しかし、どうしてそんなことがわかった。以前にも似たようなことがあった時、お前は最初から知っているような素振りだった。もしや、お前も未来から来たのではないか?」
前々から神様には感づかれているところあったからなぁ。ただ、「漫画の世界に遊びに来ました」以外は隠す必要がない。トランクスにも私が別の世界からやってきて未来を知っているということは話している。
それじゃ、アナウンサーも来たことだし
「あ、あのイーヴィさん、これは一体どういう状況なのでしょうか……?」
「私がセルを倒した」
「で、では地球はセルの魔の手から救われたのですね……!?」
「そうなるわね」
「お聞きになりましたか世界のみなさん!! 地球は、地球はすくわれたのですっ! イーヴィさんのおかげでーっ!」
イーヴィコールが聞こえてくるようだ。実際には観衆もいないから気がするってだけなんだけど。
「私はこれの応対しなきゃいけないから、みんなは先帰ってて。話はあとでちゃんとするから、あ、17号と18号もちゃんと連れて行ってよ」
ピッコロやベジータは少し納得いかなそうだったが、悟空や16号は了解してくれた。17号は16号が、18号はクリリンが背負っていた。みんな神様の神殿に向かったのだろう。
と、思ったらベジータに胸座を掴まれてしまった。
「おい、さっさと話せ。前から貴様のその態度が気に食わなかったんだ。なにもかもわかったような面で、こそこそ動き回りやがって……てめぇは一体何がしたいんだ」
やはり、ベジータに常識は通用しないな……ちょっとぐらい地球に馴染んでてもいいんじゃない。ラディッツを見習って欲しいよ。まぁ、それは置いておいて。
「私は楽しみたいだけだよ。今も昔も変わらず。未来から来ているかどうかの質問ならノーだし、未来を知っているかと聞かれたらイエスだ」
「何っ!?」
「詳しい話が聞きたいならまた今度。今は報道の時間」
「ちっ……」
やっと手を放してくれた。
「今は放っておいてやる……」
飛び去りながら最後に呟いていた。悟空が死んでないせいかやる気に満ち溢れている?「俺はもう戦わん……」とか言ってなかったし、ブウ編でも修業は怠っていなかったみたいだけどもっと強くなるのかな?まぁ、どちらでもいいけどね。
報道の相手をしていてセルとの戦いについていろいろ聞かれたわけだが、誤魔化したり、嘘を入れたり、思ってもいないようなことを言った。その中で大きな嘘が二つある。
一つは、機械の身体の私がやられた時私が死んだように思われていたようで、あれはどういったことなのか聞かれた時だ。私は嘘泣きしながら、「実はあれは私の双子の妹なんです」と答えた。その怒りをパワーに変えて戦っただのどうでもいい嘘を吐いた。そしたら、後日国葬とかいう話になっていた時には、どうしたものかと思ったよ。
もう一つは、ミスターサタンが与えていたダメージのおかげでセルに勝てたということにした。その場にミスターサタンが居て、覚えてもいないのに調子に乗って笑いながらその時のことを話す。思いっきりボロを出しているのに、バレないところはさすがミスターサタンだと感心した。
アナウンサーは後日改めて取材をしたいことや、他のメディアとのこともありその場は解散となった。
そういえば途中、暗くなったからドラゴンボールが使われたんだ。そりゃ、当たり前か。
早速私は、悟空たちの下――神様の神殿へと向かった。
「やぁ、お待たせ」
周りを見渡すが人造人間たちはいなかった。
「あれ? 人造人間たちは?」
全員どこかへ飛び去ってしまったとピッコロさんが答えてくれた。
「まぁいいや。機会があったら彼らにも話しておいてよ。トランクスには前に話したことだけどね」
私は改めて自分が異世界からやってきた元悪神だということを話した。そして、この世界の未来をある程度知っており、すでにその未来からはずれていること。
「ちなみに本来なら現時点で悟空とトランクスが死んでいたよ。悟空は生き返りを拒否するしね」
「自爆の時の話か……」
「どうして生き返るのを拒否するんだよ?」
「オラに聞かれても、そのオラとは違うんだからわかんねぇって」
クリリンがそんな疑問を呈するが悟空は当人でないので答えられるはずもなかった。
「確か、ブルマに悟空が悪いもん引き寄せてるんじゃないかと言われて納得していたことと、あの世に過去の達人がいるから面白そうだってこの二つの理由からだったかな」
「そういや、そんなこと言われたことあるぞ。それに過去の達人かぁ……今からでも界王様のとこにでも……」
「止めはしないけど、チチに怒られるわよ」
それからみんなの様子は
悟空は相変わらずそんな調子で、戦闘オタクに変わりなかった。超サイヤ人3にいつなれるようになるのかなぁと死ななかったために、そこだけ少し不安に思っていたり、いなかったりする。
悟飯は、これからより勉学に励んでいくつもりのようだ。弱体化するのは確定事項なのだろうか……ブウとの戦いで死んだりしないよね?
ラディッツは、今後も私のげぼk……部下であることに変わりない。いつの間にか家族作っていたことに文句を言うつもりはないが、私に報告しろやと言いたくなった。今度、挨拶にでもいこうかな。
ピッコロさんは、一応私の言うことに納得してくれたようだ。これからは神殿で過ごすようで、やっぱり神様と融合して神様の影響を大分受けている気がするんだよね。
クリリンは、18号との未来をそれとなく私に聞こうとしていたが、自分で確かめなさいと言っておいた。実は人生勝ち組だよね、クリリンって。
ヤムチャは……悲しいかな、特に何も言うことはない。これからかませどころか、非戦闘員と化していく彼に価値はあんまり感じられない。でも、そこを活かしてこそ楽しめる様な気もしている。
天津飯は、別れ際に二度と会うこともないみたいなこと言っていたけど、超で会ってるんだよね。ブウ編でも一応出てくるし、というか悟飯と会うし。さらに、ちょっと早めに会う予定でも作っておくかな。
トランクスには、本来の歴史で殺されたときベジータが怒ってセルに立ち向かっていたという話をしておいた。この歴史でも同様に思っているかはわからないけど、ただ冷たいだけの人でもないと教えておきたかった。超でのこと考えるとかなりまるくなるからね、あの人。
ベジータは、トランクスから私の話を聞いたらしい。不機嫌そうな顔で、今度戦えとかなんとか言われた。セルとの戦いのとき、私の力は完全体のそれを超えているように感じたのだと言う。そこにムカついたようで、カカロットの前に貴様を倒してやるとか言われたけど当然断った。数年後に戦う機会を用意するからとその場は逃げ切った。嘘は言っていない。
私は、地球を救った英雄となり、私の力はベジータの言うとおり最も力が満ち溢れている状態となった。元の世界でもこんなに力に満ち溢れていた時代はなかったんじゃないかと思う。今なら一瞬で宇宙ごと消せそうなぐらい……私も死ぬから絶対にしないけど。その代り、取材の量は倍増したし仕事も増えまくりでプライベートな時間があまり取れなくて辟易することもあった。私には、機械の身体という変わり身がいるから本体の私は悠々と抜け出しているんだけどね。
トランクスとの別れ際もそうやって抜け出した。トランクスには、贈り物をした。これからも前途多難な人に向けて剣のプレゼントだ。剣は18号に壊されたからね。薄紫の刀身の剣をあげた。というか、エター○ルソード。
「これは?」
「時を超えて世界を救った伝説の英雄が使っていた剣……のレプリカだよ」
「そ、そうですか」
「レプリカといえど、特別性だから切れ味も耐久性も抜群だよ。君の未来はこれからも辛いことがあるだろうし、そんな多難な未来へと旅立つ君にせめてもの餞といったところかな」
彼の辛い未来を想うともう幸せになってもいいんじゃないかってぐらいなんだけどね。運命というか、作者というか、そうさせてくれないんだよね……ドラゴンボールないし、悟空死んでるし、頼れる人やモノがない。だから、代わりと言ってはなんだけど剣を渡すことにした。ただの中の人ネタとも言う。
「……もしかして人造人間以外の脅威も俺の未来にやってくるんですか?」
心配そうなトランクスに
「それは自分の身で確かめなさい。どうしても駄目そうだったらまたこの時代に来ればいいじゃない。きっとなんとかできるから」
その時に私は恐らくいないだろうけどね。
「そうですね……そうさせてもらいます。イーヴィさんには色々とお世話になりました。本当にありがとうございました」
トランクスは全員に礼を言って、タイムマシンへと乗り込んだ。トランクスの死亡がなくなったからなんとなくないと思っていたけど、ちゃんとベジータの伝説のデレシーンは見れた。あのベジータが言葉には出してないけど別れの挨拶をちゃんとしていたところにビックリという意味で伝説のデレなんだろうけど、ブウ編でちゃんと家族に対する愛情見せていたんだからそっちの方が価値あるデレだと思うよ、私は。でも、私の目標的に見れそうにないのはちょっと残念でもある。自爆に巻き沿いにされてでも間近でベジータの自爆を見たかった。ベジータの自爆は漫画、アニメ界の中でも屈指の名自爆だと思います。
まぁ、ブウ編の心配をするのはまだまだ先かな。だって、7年後だよ。ドラゴンボールZに突入する前も5年もの月日が経っているけど、その時はまだやることがたくさんあったからよかった。だから偶には、私からみんなに呼び掛けるのもアリだよね。どうせなら時間かけて面白そうなのを作ろうじゃない。
トランクスを見送った後、私は一つ宣言をした。4年後に武術大会を開くことを。詳細は日が近づいたら招待状を送ることにし、各々この大会を目標に修業を続けて欲しいと伝えた。
さて、楽しみも作ったことだし早速作業に入るとするかな。
これにて人造人間編は終わりです。
次回からは、オリジナルエピソードというやつです。