外道屋のドラゴンボール   作:天城恭助

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完全体セルなのかセル完全体なのか。どうでもいいことに迷ってました。




41 セル 完全体

 ベジータとトランクスが精神と時の部屋から出た後はみなさんご存知の通り。ブルマが戦闘服を渡しにやってきて、ベジータとトランクスはそれを受け取った後、すぐにセルを倒しに行った。この間に純粋なサイヤ人の髪の毛は変化しないっていう話とか、トランクスに仙豆を渡していたりするけどその辺はどうでもいい。

 悟空と悟飯が精神と時の部屋に入った後、疑問を口にした。

 

「ラディッツは精神と時の部屋に入らないの?」

 

 どうしてここに居るのかも疑問なぐらいだ。ただ精神と時の部屋に入るならば、悟飯よりラディッツの方が良い修業相手になるはずだ。それでラディッツと悟空が精神と時の部屋に入るならわかるけど、それもない。

 

「本当はカカロットと入るつもりだったんだが……カカロットは悟飯を鍛えたいみたいでな。悟飯もやる気を出していたから口を出すのは気が引けた」

「へぇ~……意外なような、そうでもないような。それで、これからどうするの?」

「俺は一旦、外道屋に戻ることにする。妻も待っているからな」

「そう……え?」

 

 ラディッツ、今なんと言った?妻?wife?

 

「あなた結婚してたの……!?」

「あぁ……最近な。子供もそろそろ産まれる」

「相手は!?」

「同僚だよ。外道屋の」

「いつの間に……」

「社長のくせに会社を放って色々飛び回ってるせいだろ」

「やりたいことがたくさんあるのよ! それに他にもやらなくちゃいけないことがあるの!」

 

 ラディッツのくせに私に口答えするとは生意気な。

 

「そうかい。それで、イーヴィはどうするんだ? 精神と時の部屋に入るのか?」

「私が入ったって強くなれないよ。それどころか、私が消滅する可能性すらあるから」

 

 精神と時の部屋は、時の流れが違う別の世界だ。環境が既に普通の人間が生きてけないレベルなのは問題ないにしても外界からシャットアウトされてしまうと私へのエネルギー供給が途絶えて死ぬ。そもそも機械の身体じゃいくら鍛えようが強くなりようがない。百害あって一利なし。故に私が精神と時の部屋に入ることはない。

 

「お前との付き合いも数年になるが、相変わらず変な体質だな」

「そりゃ、人間じゃないからね。身体も精神もね」

 

 元悪神だし。この世界に居るような神とは一緒にして欲しくないけどね。あいつら神を名乗っているけど、ただの役職名じゃん。いつか神どもの誰かにツッコミたい。

 

 ラディッツは飛び去ってしまい、私はベジータの方を観察することにした。ピッコロさんは下を覗き見るだけでいいから便利だね。私はドクターゲロよろしくスパイロボと衛星カメラを使ってみますかね。ベジータの気も感じるし、もう戦いは始まっているみたいだ。

 

 

 映像を確認してみると原作から特にずれることもなく、ベジータが圧倒していた。セルの「貴様はベジータだろ!?違うのか……!?」という発言にベジータが「俺は……(スーパー)ベジータだ!!」って答えるところは実はギャグシーンだよね。この後のことを考えると「(スーパー)ベジータ?プークスクス」ってなるのは仕方ないことだと思う。この後の「いちいち説明するのも面倒だ。てめぇで勝手に想像しろ」も名言かつ迷言すぎる。このセリフの汎用性の高さと勝手に超ベジータとか名乗っておいて何も言わない煽り具合が何とも言えない。

 

 

 視点をずらせば、クリリンと人造人間も見えた。今は、ベジータがまだセルを圧倒している最中だが会話を聞けば完全体になれば勝てるという話をしている。このままいけば、セルが18号を吸収することになるだろう。

 さて、あの注射を使う必要はもうないけどダメ押しにもう一発打っておこうかな? 前回と同じように吸収した瞬間を狙おう。あの気のバリアも対策済みだ。多少、神としての力を使うことになってしまうけど許容範囲内だ。

 放っておいたらクリリンがやられるだろうし、久しぶりにあれを試すのも悪くないかもしれない。この世界に入ってから一度も使ったことはないけどね。

 

 ベジータがセルの完全体がなるのを手伝い、トランクスが阻止しようとしていたが、結局18号は吸収されることとなった。私は18号がセルの尻尾に入ったのを確認して瞬間移動を使った。

 

「イーヴィさん!?」

 

 セルの目の前に出た瞬間に、バリアを神としての力で中和。研究から導き出した一時的に脆くなる部位を見つけ出して注射を打つ。そのままセルは完全体となり注射は取れて砕け散った。

 

「折角、完全体になれていい気分なんだ。妙なことで水を差すなよ」

「そりゃ申し訳ない」

 

 セルは自分の能力を確かめるように軽く私に手刀をしてきた。避けることもかなわず直撃し、近場の岩に激突した。

 

 また、壊されちゃったよ。動かせないこともないけど、役に立たないかな。この身体作るのにいくらかけてると思ってんだか……セルからすればそんなこと知ったことじゃないだろうけどさ。

 

「ち……ちくしょお!! よくも18号を……!」

 

 クリリン、怒るのはいいけど私のことは?

 

 クリリンがそのままセルに突撃しようとしたので、私は身体を乗っ取って動きを止めた。

 私は、ギニューの様に他人の身体を操ることができる。ただギニューとは違って身体を交換する必要がないし、技名を叫ぶ必要もないし、直線状に障害物があっても関係ない。使い勝手の良さはボディーチェンジの比じゃないね。

 

「か……身体が……! 動かないっ」

『行ってもやられるだけだから、やめときなって』

「イーヴィさんか!? でも、向こうに……」

『私は人の身体を乗っ取ることもできるのよ。今は無茶しようとする君を止めるために使ったの』

「そ、そうか……すみません。イーヴィさん」

『何、気にすることはないさ』

 

 こうやって、乗っ取った相手と会話もできる。()()()()()()()()()()()()

 

 セルは少し素振りを繰り返し、満足したのか少し笑った。

 

「どうやら思ったとおり完全体になっても大したことはなさそうだな」

 

 ベジータが降りてきて、そう言った。

 「いや、全然大したことあるよ。べジータじゃ勝てないし」と内心思った。言ったところで怒りを買うだけだから言わない。

 

 

「ではキミが私のウォーミングアップを手伝ってくれるかな?」

「いいとも……ウォーミングアップでおしまいにしてやるぜ」

「よろしく」

 

 

 ウォーミングアップでおしまいにされるの間違いなんだよなぁ……

 

 

「ベジータじゃ、勝ち目がないな」

「クリリンさん?」

「今はイーヴィだよ。クリリンの身体を借りてしゃべってる」

 

 

 セルとベジータの戦いが再開された。軽い攻撃のやり取りだ。セルは全く本気を出していない

 

「そ、そんなこともできるんですか……?」

「それよりも、ベジータは勝てないよ。知っているんだ、本当の力は今感じている気よりもずっと強いことを。君もね」

「そんなことまで知っていたんですか……!?」

「でも、それでも勝てない。君のその変身は失敗だからね」

「え?」

 

 ベジータが渾身の蹴りをセルに食らわせるが、セルには効いていない。そして、例の台詞だ。

 

「どうしたのだ? さっきまでの勢いは……笑えよ、ベジータ」

 

 ベジータに取っては屈辱でしょうね。でも、この台詞もみんな大好きな台詞だよね。調子に乗った奴をぶちのめした後に言ってみたい台詞第一位なのは間違いない。そんなシチュエーションになることはまずないけどね。

 

 

「どういうことですか?」

「戦ってみればわかるよ。ベジータを超えたと思っているなら大間違いなこともわかる」

 

 

ベジータは蹴飛ばされ岩を破壊してなお飛び、途中で止まった。

 

 

「それなら今すぐにでも……!」

「でも、ベジータは一人で闘うことに拘るだろうから行かなくていいよ。死にそうだと思ったら私が助ける」

 

 

 16号はセルの不意を突こうとするが、あっさり見抜かれていた。

 ベジータは両手を広げて気を高めていた。その後、ゆっくりと両手を前に持ってきて手首だけを合わせた。ベジータを纏う気が激しい風を起こし、荒々しくなる。

 

「セルーッ! いくら貴様が完全体になったと言ってもこいつをまともに受け止める勇気があるかーっ! ははーっ! 無理だろうな! 貴様はただの臆病者だーっ!」

 

 避けさせないための挑発をしていた。セルもわかっていてこの挑発に乗っていることだろう。

 

「ちょっと離れようか」

「そんなこと言っている場合ですか!! このままじゃ、地球が……!」

 

 

 

「ファイナルフラーッシュ!!」

 

 

 

 巨大な閃光がセルを襲った。その閃光が通った跡は、地面や海を削っていき閃光は、地球の外へと飛んで行った。

 途中に惑星があったら、お陀仏なのかな?と、見知らぬ惑星の人たちに思いをはせる。まぁ、私には関係のないことだ。

 

「父さんはちゃんと計算して範囲を絞ったんだ……!」

 

 トランクスがそんなことを言うが、自分の居る星も消し飛んだら自分も死ぬんだからそんなことはしないことぐらい簡単に思いつくだろ、とツッコミたい。

 

 

 セルはと言えば、右腕が完全に消失していた。人間と同じ様に考えるならば、右の肺も胃や小腸の一部も破壊されているぐらいに削られていた。

 

「ぐ……ぐぬ……!」

「ざまあみやがれ……!」

「うがっ……し、しまったぁああ……!」

「くっくっく……はっはっはっは……」

 

 セルは悔しがり、ベジータは三段笑いし始める。これ、コントだよね。あんまり勘違いで笑わせるのもかわいそうだし、指摘するか。

 

「随分と演技がうまいなー、セルは!」

 

 大声で棒読みしてあげる。それでベジータも気づくでしょ。

 

「何!?」

「む……ネタ晴らしされてしまったか。しかし、ベジータはこの私がピッコロの血を引いていることを忘れていたようだな。むんっ!」

 

 セルの身体は再生した。ピッコロさんと同じ再生の仕方なわけだけど、本当にキモい再生の仕方だよ。いきなり生えてくるんだもの。

 

「ガッカリしたかな?」

 

 悪意満載な茶目っ気だよね。でも、こんな余裕かましているから負けることになるわけで……ホント、この世界の強者は何かと調子に乗ってるやつが多いよね。そうでもしないと面白くないって気持ちはわからなくもないけどさ。

 

「さてと……そろそろ殺してしまうか」

 

 セルがゆっくりとベジータに近づく。

 

「くそっ!!」

 

 ベジータは、エネルギー波を連続で撃った。連続エネルギー弾、通称フラグ――ではなくグミ撃ちでもない。普通に有用な技のはずなのにやってないフラグな悲しい技だ。

 セルに効いているはずもなく、左ストレートをもろにくらった。ベジータが立ち上がったところに蹴りあげて空中に浮かし、背後に周って肘打ちで叩き落した。地面に激突したベジータはそのまま気を失った。

 

「ふっふっふ、しぶといな。まだ、かろうじて生きているようだ。いますぐ楽にしてやるぞ、ベジータ」

 

 さて、クリリンの身体で闘ってみるかな……

 

「クリリンさん……いえ、イーヴィさん! どうするんですか!?」

「私が闘うよ。トランクスは引っ込んでて」

「無茶だ!」

「問題ないよ」

 

 他人の身体でも瞬間移動を使うことは容易なのでそれでセルに近づく。

 

「何の用だ? クリリン」

「ベジータが殺されるのを阻止しにきた」

 

 私は、セルの顔面に一撃パンチをくれてやった。ダメージはくらっていないようだが、思った以上の衝撃だったようだ。

 

「!? 貴様、本当にクリリンか?」

「私はイーヴィだよ。クリリンの身体をちょっと借りているだけさ」

「……! 元悪神とやらは随分と面白いことができるようだな」

「まぁね。本来の身体ならもっと力を出せるんだけど、まだ時期尚早かな」

「だが、その程度のパワーでは私に傷一つ付けられはせんぞ」

「でしょうね。それでも、ベジータを殺させないぐらいは簡単なことだよ」

「大した自信だ。ならば、やってみせろ!」

 

 セルは回し蹴りをしてきたが、腕に当たった瞬間に軌道を逸らすことでさばく。

 

「!?」

「はぁ!」

「ぐぉっ!」

 

 体勢を崩したところに蹴りを加えることでセルの蹴りの勢いを活かしてそのままふっ飛ばした。セルは近場の岩に激突した。

 

「決まった! なんちゃって裂蹴拳!」

 

 私は彼と違って人間大好きですが、この技使ってみたかった。この世界にこういう戦い方する人いないし。

 

 

「トランクス! 早くベジータを回収して!」

「は、はい!」

 

 トランクスはベジータを回収して飛び去って行った。

 

「これで心置きなく戦えるかね?」

 

セルはいつの間に私の傍に立っていた。やっぱりダメージはなかったみたいだ。

 

「いや、最初からベジータを逃すために戦いに来たからこれ以上の戦闘をするつもりはないよ」

「私から逃れられるとでも思っているのか?」

「逃げるのは簡単だよ。それは知っているだろ」

「それならば逃げてしまうのか? 失望のあまり地球ごと貴様らを消すかもしれんぞ」

「そんなことはしないだろ? お前はサイヤ人の血を引いているんだから」

「なるほど。貴様は(サイヤ人の性質)のことを良く理解しているようだな。望みはなんだ?」

 

 ん?DIOかな?ちょっと台詞違うけど、なんかそれっぽい。まぁ、それは置いといて

 

「10日ちょうだい」

 

 本当はそんなに必要ないけど、原作通りの時間ぐらいもらってもいいでしょ。

 

「それだけの時間があれば、私を超えられると?」

「誰かは超えるでしょうね。それは私かもしれないし、悟空かもしれないし、ベジータかもしれないし、ピッコロかもしれない。はたまた、全く別の誰かかもしれないよ」

「面白い。ならば、その10日後に武道大会を開いてやろう」

 

 セルは、1対1の戦いで勝ち抜き戦を提案した。セルは一人だけどね。セルはそれだけ余裕なわけだが。

 

「場所など詳しいことは近いうちに知らせてやる。テレビ放送を通してでもな」

 

 そういうやり方は嫌いじゃない。人類を殺すことを許容するわけにはいかないけどね。

 

「いい退屈しのぎができそうだ。ふっふっふ……じゃあな。仙豆はたくさん用意しておいたほうがいいぞ」

「そうさせてもらうよ」

 

 悟空やベジータは使いたがらないだろうけど、必要なのは間違いない。

 セルは飛び立とうと瞬間に足を止めた。

 

「そういえば……最後に質問をさせろ」

 

 セルが私に聞きたいこと?あれしかないな

 

「貴様は私が17号と18号を吸収したとき、なにか注射したな。なんだあれは?」

「教えないよ。ただ、あれの効力を発揮するには君を追い詰める必要がある。そうならなければ何の効果もない。余裕をもって勝てばいい話だよ」

「ふっ……それならば、問題ないな。それぐらいのハンデはあってもいいだろう」

 

 セルはそのまま去って行った。私は、戻って来たトランクスやベジータにこのことを教えた。16号も参加を表明したので修理してあげる約束をした。

 

 

 

 翌日、テレビを通してセルゲームの開催の告知がされた。そして、孫親子が精神と時の部屋から出てきてセルゲームのことを知ることとなった。

 




次回、セルゲーム。


自分の就活次第で内容が変わります。ま、嘘なんですけどね。

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