あれから天津飯は一旦餃子の居る場所へと帰り、私を含めたみんなは悟空の居る家へと向かった。悟空の家に到着すると、クリリンが「人造人間は本当にムチャクチャ悪いヤツなんだよな……?」と疑問を口にした。
「とんでもなく冷酷なやつらです……少なくとも俺たちの時代では……どうしてですか?」
「い、いや、もしそうじゃなかったら助かるな……! と思ってさ」
「そういう甘い希望は持たない方が良いと思いますが」
「そうでもないかもよ。さっきも言ったけど、今のところ人造人間たちが暴れそうな感じはないからね」
「……そうだったらいいとは思います。しかし、そんなこと……」
「深く考えても仕方ないんじゃない。とにかく私は悟空を殺させたくないとは思っているから」
「そうですか……」
悟飯が玄関の扉を開けて、「ただいま、お母さん」と入って行った。
ヤムチャとチチに現在の状況を手短に話し、寝たきりになった悟空を飛行船に乗せ、みんなも乗った。
カメハウスへと向かう道中、タイムマシンを使ってドクターゲロの研究所を破壊しに行かないかという提案をトランクスがするが、そんなことをしても意味はない。この世界観でのタイムパラドックスの解消のされ方は、パラレルワールドだ。過去に行って行動したところでその過去が新たな世界となるだけで、こちらには全く影響がない。
「さて、ブルマに連絡入れておくかな」
私は携帯電話を取り出して連絡をした。ちなみに携帯は私が開発というか再現して、この世界に普及させておいた。『ドラゴンボール超』では、悟空がスマホ使っていたけど……まぁ、時代の流れだよね。主に
閑話休題
「もしもし、ブルマ?」
「何、イーヴィ!? あれから、どうなったのよ!」
うるさいなぁ、と思いながら事情説明。
「へぇ……それで大丈夫なの?」
「まだなんとも言えないね。でも、今のところ人造人間たちに不穏な動きはなさそうだし、悟空だけを気にしていればいいんじゃない?」
本当にどうにかするべきなのはセルで、今のところ私が対処する気は全くないけどね。予め対策を取っておけば第一形態の時点で倒せちゃうからね。そうするとブウ編で詰みそうな気がするからしない。
「そう……それじゃ、私からも聞きたいことがあるんだけど」
「何?」
ブルマが何日か前に田舎の人から不思議な乗り物が捨ててあったのでそれの動かし方を聞かれたそうだ。それどう考えてもタイムマシンです、本当にありがとうございました。
オチがもうわかってしまったので、適当に聞き流してその乗り物の写真を送ってもらった。私は驚いたフリをして、トランクスに写真を見せた。そして、そのタイムマシンがある場所に私、悟飯、トランクスは向かった。ラディッツは放置。
途中、人造人間の話をしていて弱点の話題が出たとき、原作知識としてもそれがあることは知っていたし、一科学者としても緊急停止装置を付けるのは当然だろうということは言っておいた。そんなことをしなくても勝つ算段がある。とも言ったけど。その方法も当然聞かれたが、答えなかった。トランクスと悟飯に嫌な顔をされたが今更なので気にしない。
その後、ブルマと合流してタイムマシンがトランクスのものと同一のものであることを確認し、卵と抜け殻を発見。名前はわからずとも正体不明の化け物がいることを確認した。それの正体を私は当然知っているわけだけど言わない。どうせすぐわかることだしね。
どうでもいいことだけど、セルって不完全変態してるんだよね。不完全変態って言うとセミのイメージがあるし、セルってなんかセミっぽいよね。ブルマだって抜け殻を見た時こんなでっかいセミがいるの?とか言ってたし。ちなみに不完全変態っていうのは、サナギにならずに成虫に変態することを言うよ。他に代表的なのはバッタとかカマキリとかゴキブリだね。
閑話休題
ブルマは家へと帰り。私たちはカメハウスに移動。テレビでは、セルが姿は見えないがセルに街が襲われているのが映されている。この現状が人造人間たちによるものではないだろうということをクリリンたちに話した。そして、現場に向かおうというときにセルのあの色々混じった独特の気を感じた。フリーザのというかコルド大王の気を知っている人が誰もいないのが少しかわいそうな気がしないでもない。フリーザの気は、悟飯が感じたことがあるからみんなに教えていたけどね。困惑する事態であることに変わりはないので、クリリン、トランクスは確認しに行くことにしていた。当然、私もついて行く。セルのこと……というより、ドクターゲロの研究所の方に用がある。トランクスたちに壊されたくないからね。
途中で神コロ様の気を感じつつ、ピッコロがセルの正体を聞き出し終えたであろうタイミングで到着した。これでセルは追い込まれたわけだが、ここで倒してしまっても面白くない。
クリリンとセルとの会話でセルが自分の辿った歴史とは違ってきていることを知ると私は一言付け加えておいた。
「私はお前のことを良く知っているよ。君が完全体になったらどれくらいの力になるかも知っている」
「何……!? 貴様がどこの誰かは知らんが……今この場は気にすることでもない……17号と18号は必ず手に入れてみせるぞ! 貴様らに邪魔しようとしてもどうにもなるまい!」
セルは太陽拳を使って、目くらましをした後に飛び去って行った。実は私にはくらわないんだけどね。光学センサーが一時眩むだけで赤外線とか衛星カメラとかエコーロケーションもできる。と、まぁセルを捕捉する手段なんていくらでもある。使わないだけ。ピッコロさんからしたら手伝えよって感じだろうけど。
ピッコロさんがセルをさっさと倒してしまうべきだったと激おこぷんぷん丸しているとベジータがやってきた。ベジータはピッコロがパワーアップした理由を聞いてショックを受けていたけど、そんなこと知るか。インフレに置いて行かれないんだからいいじゃないか。とメタ的なツッコミをしたくなる。
天津飯もやってきたからピッコロさんが現状説明。これからどうするべきかも少し話していた。ベジータと私を除いて同調するが、ベジータは「
「ラディッツさんの言っていた通りみたいですね……」
「サイヤ人っていうのは、そういう人種だからね。強い相手がいればそれを超える強さを身に付けたがる。そしれそれを繰り返したがる」
クリリンとトランクスが研究所を破壊しに行こうという話題を持ち上げるとそれを聞いた瞬間
「それを壊すなんてとんでもない!!」
と声を荒げてしまった。本当の目的は現状の彼らからしたら最悪の行動かもしれないが、一応、科学者としてちゃんとした建前もある。
「ドクターゲロは悪の科学者だったかもしれないけど、技術に罪はないわ」
例えばダイナマイトは、人を爆殺するためじゃなく土木工事のためにある。要は技術とは人の使い方次第なわけだ。17号や18号に使われた技術も上手く利用すれば医療に使えるかもしれないし、セルに使われた技術は再生医療に使えるかもしれない。
こう考えると、ドクターゲロの研究もとっても価値のあるものかもしれないでしょ。と、別にそれに利用する気もないことをぺらぺらと嘘を吐く。これで納得してもらえたようで、使えなさそうならセルも一緒に破壊するからと念を押した。
そうして私は、無事一人でドクターゲロの研究所の地下室に向かうことができた。早速人造人間たちの設計図を発見。17号たちの設計図は、私が解析して緊急停止装置作ってもいいんだけどめんどくさいからブルマに送った。私がしたいのはそんなことではないからね。私の用は現代のセルにこそある。私がここに来たのはセルを研究して、科学的方法で倒すというドラゴンボールにあるまじき方法を使おうかと思ってのことだ。それ以外にもあるけど、全てセル関係だ。さて、賢い読者様方はなんとなく察しがついてしまうことかもしれないけど、これ以上はネタバレになる。というわけで……
キングクリムゾン
研究完成! 早速、実験するために瞬間移動だ。17号が丁度吸収されようとしているところだった。セルの気を感じたところにきたから真ん前、隙だらけだしベストタイミング。セルの変身中は無敵だと誰もが思うかもしれないけどそんなことはない。セルを研究し尽くした結果、細胞がどのように変化していくかも知っている。その過程で一瞬柔らかくなる位置も存在する。そこに用意していた
「……一体、何をした?」
「面白いことを起こすための布石といったところかな」
腕で薙ぎ払われ、私はふっ飛ばされた。この身体じゃ勝ち目がない。
「貴様が何をしようとも無駄だ」
私が色々やっている内に16号と18号は逃げていたがすぐに捕まりそうになっていた。16号は軽いエネルギー波で頭部が損傷した。別にすぐに完全体になってくれてもいいんだけど……ベジータが活躍する機会もあげたいので、ついでに天津飯が死にかけるのも阻止してあげるために、我が科学力を持って足止めをしよう。
私はセルの肩をとんとんと叩いた。振り向いたところを殴る。微動だにもしなかった。
「あれ? まさかのノーダメ?」
「そういうことだ」
16号と同じ様にエネルギー波によって頭部が損傷してしまった。仕方ないのでホイポイカプセルでスペア取り出して、身体を入れ替えて新品に変える。
「何っ!?」
私は体を入れ替えてすぐに次の手をだす。
「全砲門斉射!」
セルへと光が降り注いだ。数秒後にはミサイルが飛び交い、無人機も近辺を飛びそこから鉛玉を撃ち出す。
こんなものを一体どこからと言われれば世界各地には私の研究施設や外道屋の支店がある。そこには私の趣味によって改造された兵器がたくさんある。この近場の海底にもいくつか無人機やら無人空母やら砲撃可能な基地を作ってある。宇宙にもレーザー照射機能付きの衛星がある。
正直、これらだけでフリーザ軍は余裕で凌げるレベルだと思う。でも、それは戦闘力が下っ端であるならばの話であってセルみたいな星ぐらい簡単に破壊できちゃいます的な戦闘力の持ち主には大してダメージを与えられない。
数十秒ぐらいミサイルやらレーザーやら鉛玉やら爆弾やら打ち尽くしたんだけど、埃が舞い上がっただけかな。
土煙が晴れた後には、セルが無傷で立っていた。
「そりゃそうなるよね」
「……力は16号程度のようだが、貴様は一体何者だ?」
「そういえば、名乗っていなかったね。私は神宮寺イーヴィ。元悪神さ」
「元悪神だと? 妙なことができるようだが、まぁ私の敵ではないか」
「そうやって私を侮っていると痛い目をみるよ。前にも言ったけど、君の完全体がどの程度の強さかはわかっているんだ」
「強さがわかっているからといって、私が倒せるわけではあるまい」
「別に今倒せなくはないよ。ただそれをするにはそれなりのリスクを負わなくちゃいけないし、なにより面白くない」
「ふっ…ふはははは! 根拠のない強がりを言いやがって……! 貴様なんぞすぐに破壊してくれる」
セルが突っ込んでくる。確かに早いが、瞬間移動で避けられる。
「……!!」
「やあ、天津飯。さっさとここを離れるよ」
「し、しかし……!」
「問題ないよ。仮に18号が吸収されたとしてもね」
ピッコロさんも回収しなきゃ。瞬間移動で死にかけのピッコロさんのもとへ移動して拾う。
「そんじゃ、またそのうち会うこともあるでしょ。さようなら」
「逃げる気か……そうはいかん!」
再び瞬間移動で悟空の居る神様の宮殿に向かった。
「やぁ、みんな数日ぶり」
「助かったぜ、イーヴィ。あんがとな」
「私はやりたいことやっているだけだから」
とりあえず、ピッコロさんに仙豆を食わせた。起き上がったピッコロさんはセルの途方もない強さに若干諦めが入っているようだ。と、そこで精神と時の部屋からベジータたちが出てきたようだ。あれ、私その話聞いてないや。知っていたけどさ。
だるいです。とってもだるいです。一体……どうすれば……内定……取れるんですか……いや、まだ就活は始まったばかり……と思いたいです。