外道屋のドラゴンボール   作:天城恭助

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就活怠いな~と思いながら、ちょくちょく書き進めようやく39話完成。こんなことやってて就職できるのか。そんな不安を持っていないこともないこともないかもしれない。それでもやめる気はありません。やってて楽しいし、息抜き代わりです。


39 16号と17号と18号

 別に人を殺すのは初めてではないけど、相手が悪人だろうと気分が良いものではない。私は、悪戯は好きだが殺しは別に好きではない。それでもブルー将軍を生かしておいても碌なことにはならないだろうから、生かしておく理由もない。

 心臓をぶち抜いたから右手が血塗れになってしまった……自分の服で血を拭う。

 

「そ、そんな馬鹿な……21号は、17号と18号にも匹敵するパワーを持っているのだぞ……!」

 

 やっぱり、永久式だったみたい。吸収式だったらもっとあっさり倒してしまっただろうから。

 勝ち目がないと思ったのか、20号はこの場から離脱、19号もそれについて行く。

 

「忘れものよ!」

 

 ブルーの遺体を19号に投げつけ、ぶつかったところにエネルギー波を撃った。ブルーの遺体と共に19号は粉々になって消え去った。

 

「ちぃっ!」

 

 20号は、舌打ちしつつもそのまま岩山に逃げて行った。私はそのまま見逃した。

 

 

「おい! 何故逃がした! お前なら十分倒せただろう!」

 

 ピッコロさんにそう言われた。ごもっともなことだ。

 

「あのまま消し去っても面白くないでしょ。敵はまだ居るんだから放置して、連れて来させないと」

「何?」

「さっき言っていたでしょ、17号と18号って。今頃、目覚めさせに行ってんじゃない?」

「……以前、あいつは二人組の人造人間が現れると言っていたよな。だが、現れたのは3人組だった。その上、お前はまだ人造人間がいるって言うのか……お前は一体何を知っているんだ?」

 

 ラディッツは、私や悟空と共にトランクスの話を聞いていた。当然の疑問だ。

 

「私はいろんなことを知っているの。例えば、こんなこととかね。そこに居るんでしょ、ベジータ」

「ベジータだと!?」

 

 岩陰から、ベジータが姿を現した。全員が驚愕の表情を見せる。

 

「何故、俺がいるとわかった」

「だから、さっきも言ったでしょ。いろんなことを知っているって」

「相変わらず、意味のわからん女だ。それに貴様、俺との戦いの時もフリーザとの戦いの時も手を抜いてやがったな……!」

 

 ブルー将軍との戦いは、全力を出したからばれたか。現時点のベジータとは格が違うからプライドが傷ついたかな? 精神と時の部屋で修業されたらあっという間に抜かれるけど……

 

「すぐ終わったらつまらないでしょ。それに、私は別に戦い自体はそんな好きじゃないの」

「貴様が、戦いが好きだろうと嫌いだろうと関係ない。気に食わん奴はぶっ倒すだけだ」

「私を倒したいのなら人造人間たちを倒してからにすることね」

「……ふん。今は言うとおりにしてやる。それで、その人造人間共はどこにいる」

「北の都の近くの山のどこかにある洞窟の中にドクターゲロの研究所があるわ。そこに向かっているはずよ」

「そうか。貴様らは家に帰ってのんびりミルクでも飲んでやがれ。俺の邪魔をせんようにな」

 

 ベジータは北へと飛び去った。

 

「さてと……私たちも行く?」

「待て。まだ、聞きたいことがある」

「今度は何?」

「17号と18号の特徴を教えろ。未来から来たやつが言っていたのは、その二人なんだろ。もう間違えるのはごめんだ」

 

 

 私は、17号と18号の特徴を伝えた。

 

 

「よし。手分けして、ドクターゲロの研究所を探すぞ。できれば、目覚めさせる前に破壊するんだ。あの21号とイーヴィの戦いを見る限り、悔しいが俺たちでは相手にならん」

「あら? 気づいちゃった?」

「気が分からなくともあんな戦いをされれば気付かないわけがないだろう」

 

 ベジータが気づけてピッコロさんが気づけないわけがないか……別にばれてもいいんだけどね

 

「で、でも、もし人造人間が目覚めたらイーヴィさん、戦ってくれるんでしょう?」

 

 クリリンが心配そうに言ってくる。

 

「さぁ、どうだろうね。行く末は見守りたいから探しはするけど」

「こいつを当てにするだけ無駄だ。強いと言ってもこの態度じゃな」

「当てにして欲しくはないよ。でも、君たちと敵対するつもりはないし、絶望の未来にさせるつもりもない」

「そう思うのならば協力しろ」

「はいはい」

 

 

 北の都付近まで全員で飛んだあと、手分けして探すことになった。

 道中、エネルギーを吸収してくることも警戒していたがそんなことはなかった。

 

 クリリンが研究所を発見したようで気を高めているのを感知できた。全員が集まり、天津飯とクリリンが扉を開けようとしていた。ピッコロがエネルギー波で破壊しようとすると中から口論が聞こえて来た。既に17号たちは、目覚めているようだ。

 

「どけ!」

 

 ベジータが扉をエネルギー波でこじ開ける。

 

「あいつらだ……! 以前話した孫悟空の仲間どもだ! 侮るなよ。19号と21号が破壊されたんだ」

「19号と21号? そんなのも造ったのか……なるほど、そいつらに博士自身を人造人間に改造させたわけだな? タイプは? エネルギー吸収式か?」

「19号はそうだ。だが、21号は貴様らと同じ永久式だ」

「へぇ~……! 永久式の人造人間を倒す奴なんているんだ」

 

 18号が驚きの声を挙げる。と言っても、余裕が見えるが。

 

「倒したのはイーヴィだ」

「あのデータ不足の奴か」

「ここにいるんだけど……」

 

 小声で存在アピール。というか、データ不足だったのにあんな自信満々だったの……アホすぎるでしょ。

 

「そんなことはどうでもいい! さっさと奴らを片付けてしまわんか!」

「ガタガタぬかすな。俺たちはやりたいときにやる」

 

 と、この場にトランクスがいないこととラディッツがいること以外はほぼ原作と同一のやり取りが行われた。

 

 18号が16号に興味を示し、動かそうとする。それをドクターゲロが必死に止めようとするが、17号に蹴りで首を切断された後、頭を踏みつぶされて殺される。

 

「さぁ、スイッチを押すんだ」

 

 本来ならここでトランクスが止めようとしてエネルギー波を撃つが生憎この場にはいない。18号はスイッチを押して、16号の入ったカプセルの蓋を蹴り開ける。

 16号が目覚め、ドクターゲロが動かすのを嫌がっていた理由を17号達が聞くがしゃべることはなかった。17号は16号に孫悟空を殺すために造られたことを確認すると、とりあえずの目標として孫悟空を殺すことに決めた。

 そして、私たちの横を通り過ぎて17号が歩みを止めた。

 

「そういえば、神宮寺イーヴィ。お前は、俺たちと同じ永久式を倒したと言っていたな。どんな奴だったんだ?」

「ブルー将軍っていう、レッドリボン軍に居たやつよ。超能力を使うオカマ」

「強かったか?」

「いや、全然」

「なんだ。ただの失敗作か……それともお前が強いのか……」

 

 17号は興味深そうに私を見る。

 

「まぁいい。今は孫悟空だ。神宮寺イーヴィはその後でもいいだろ」

 

 何故か、最優先は悟空らしい。やっぱ、レッドリボン軍を壊滅させた張本人というのがでかいのだろうか。

 

 人造人間たちは、飛び去って行った。

 みんなはそのことにほっとするが、ベジータがそう思うわけもなかった。無視されたことにムカつき、超サイヤ人になって人造人間を追いかけた。

 

「追いかけるぞ」

 

 一歩出遅れて、全員動き始めた。

 さすがにそろそろトランクスが到着するころだ。南の都付近の島からは結構離れているが、クリリンが気を高めてから時間も結構経っている。それにベジータも戦い始めている。

 

 山道に居るベジータのところに着くと、トランクスも着いていた。

 

「逃げましょう、ベジータさん! 殺されてはプライドもくそもありません!」

 

 当然、ベジータは拒否。邪魔扱いされていた。

 

「逃げたきゃ逃げてもいいよ。私たち、逃げるものには興味ないからね」

「冗談じゃない。これから一気にてめえらを片付けようって時になんで逃げる必要がある」

 

 ベジータは手を組んで戦うぐらいなら、ひとりだけで戦って死んだ方がマシだとも言った。

 

 私の目標的には現在の性格なら別に死んでもらってもいいかもしれない。ブウ編になると悪とは言い難い性格になってくる。ドラゴンボールにも極悪人とは思われていないし、さすがにこの時に死んだらアウトだよ。それにその時に自爆するので今死んでもらった方が実は楽。まぁ、セルとの戦いでベジータが死にそうっていうのはなかったから死ぬことはないでしょう。それに、死なせるつもりもない。

 

 17号はベジータと18号の一対一の試合を邪魔すると参加すると言ってきた。ベジータは、私たちは臆病な平和主義者だから手を出さないと言った。私は手を出す気はないが、全く別の理由だ。正直、人造人間たちと戦う理由がない。でも、ちょっと16号は鹵獲したい。どうせセルとの戦いで損傷してカプセルコーポレーションで直すことになるだろうから今動く必要もないけど。16号はその時に弄らせてもらおう。

 

 ベジータと18号の戦いは当然、手を加えていないのでベジータが負ける。途中まで互角の勝負をするも人造人間の無限のスタミナに対し、ベジータはスタミナが減り続けるために逆転される。ピッコロさんとかそのことにすぐ気づいていた。原作ではクリリンとトランクスがそのことに「え!?」って言っていたけど、ラディッツまで「え!?」とか言っていたあたりラディッツも戦力外通告でいい気がしてきた。

 

 18号の蹴りによって、ベジータの左腕が折られたことを皮切りにトランクスが超サイヤ人になって援護に入った。18号に剣で斬りかかるも右腕一本で弾かれて剣が欠けた。さらに17号に後ろから攻撃されたことによって一撃で倒された。戦闘不能にはなっていないが。

 ピッコロや天津飯、ラディッツも援護に入ったが、17号にあっさりやられ、ベジータも17号に向かうが18号に足を掴まれトランクスが突っ込んできたところにベジータを投げつけた。天津飯はヘッドロックにより落とされ。ピッコロが追撃を仕掛けるも腹パンで一発KO。ラディッツも超サイヤ人となって攻撃を仕掛けるが、蹴りで沈められた。ベジータは起き上がり18号に攻撃を仕掛けるも、反撃され倒れたところへ蹴りを入れられ更に右腕も蹴りで折られ気絶した。

 悟飯も飛び込もうとしていたが、私が襟を掴んで止めた。どうして止めるのか聞かれて、勝てないし意味ないと伝えた。そういう意味で言えば、全員止めても良かったんだけどたまたま近くに悟飯が居たから止めただけ。

 

 17号と18号がこちらに戻って来た。クリリンがやたらとビビっている。

 

「心配するな。どいつもまだ生きている。早く仙豆ってやつを食わせてやるんだな。すっかり回復するんだろ?」

 

 仙豆の存在を知っているのも多分スパイロボ経由なんだろうな。

 

「もし、もっと腕を上げることができたらまた相手になってやると言っておいてくれ。じゃあな」

 

 人造人間たちは、悟空を探すことも含めて楽しむことにしていた。クリリンがそのことを聞きに行ったようなので、私と悟飯はみんなに仙豆を食べさせることにした。とりあえず、これでクリリンにフラグが立ったのかな?

 

 クリリンは人造人間たちから聞いたことをみんなに話した。それぞれが人造人間の強さを認識し、ベジータはどこかへ飛んで行った。トランクスも追おうとするが、ピッコロに止められた。

 

「それよりイーヴィ、さっき何故戦わなかった。お前なら倒せたんじゃないのか?」

 

 21号との戦いも見られたし、当然の反応か……

 

「確かにその気になれば、あの人造人間たちの一人か二人倒せたでしょうね。でも、そんなことしたってあんまり面白くない」

「面白くないって……あいつらを野放しにすれば、俺の未来のように……!」

「問題ないわ。未来の人造人間が、暴れているのだとしてもここの人造人間はそうでもないよ。今は悟空を殺そうと動いているみたいだけど、他に人を殺す以外の目的ができれば平穏そのものだよ」

「でも……!!」

「安心しなさい。本当に危険だと思ったらちゃんと行動するから」

 

 私の言葉に安心している様子は全くなかった。当たり前か。

 

「それで、これからどうする」

 

 悟空の病気が治ってからあれこれ考えることにしようとピッコロが提案し、クリリンがピッコロにこれからどうするのか聞いていた。

 

「さあな……」

「な、なんだよ。その顔は何か作戦でもあるんじゃないのか? 教えろよ、ピッコロ。仲間じゃないか?」

「仲間だと!? 調子に乗るなよ! この俺がいつから貴様らの仲間になった! ふざけるな! 俺は魔族だ。世界を征服するために貴様らをただ利用しているだけだと言うことを忘れるな!!」

 

 ピッコロは神様の神殿の方に飛んで行った。協力する気満々のくせしてあんな台詞を残すなんてピッコロさんはやっぱりツンデレだと思いました。まる。

 天津飯が「まだ世界征服を企んでいたのか……」とか呟いていた。

「ピッコロさんはそんなことを考えていないと思います。きっと何か考えがあってのことですよ」

 

 悟飯は、天津飯の言葉を否定した。

 クリリンは違和感を覚えてはいたみたいだけど、ナメック星で最長老の話を聞いていないから推測が付かないみたいだ。それなら私が代わりに……

 

「ピッコロは、別に世界征服なんてしようと思っていないよ。多分、元の一人に戻ろうとしているだけさ」

「どういうことですか?」

「神様とピッコロは元々同一人物であることは知っているよね? 実は、この二人に分かれたことによって大きく力を落としているのよ。それを取り戻したら、(スーパー)サイヤ人をも超えるはずよ」

「そうか! ピッコロが向かっていた方角は神様の神殿だ! これは少し希望が持てるかもしれないぞ!」

「でも、ドラゴンボールが無くなるというリスクもあるわ。まぁ、どちらにしろピッコロが殺されてしまえばドラゴンボールは消えてしまうんだけどね」

 

 みんなが少し落ち込む。

 

「ピッコロがもし本当に神様と合体するつもりだとしたら、それだけあいつが追い詰められるほど、とんでもない敵だって感じたんだ。あ、あいつ……神様大っ嫌いだったのによ……」

「おと……いえ、ベジータさんはどうするつもりなんでしょうか……」

「もう隠す必要はないわ。ベジータ以外には私が言っちゃったし」

「え!?」

 

 みんなに苦笑いされた。

 

「ベジータは負けたからと言って絶対に逃げ出すようなヤツじゃない。あいつはサイヤ人の王子としての誇りを持っているからな。必ず(スーパー)サイヤ人をさらに超えようとするはずだ」

 

 と、ラディッツが言った。……さすが、純血のサイヤ人。考えることはみんな一緒なんだ。割と本気で感心した。というか、ここ本当は天津飯の台詞だったよね。天津飯は何を思ったんだろ。

 





ようやく次回でセルが出てきます。これでイーヴィさんを少しは追い込むことができそうです。

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