第一試合のクリリン対バクテリアは原作通り、鼻がないというギャグ漫画的なノリでクリリンが勝った。当時はまだ完璧にバトルマンガに移行していなかったからだろうなぁとしみじみ思う。
そして、第二試合。とうとうと言うか、早速ジャッキー・チュンと闘うことになった。
審判の第二試合開始の合図と共に試合の鐘がなる。
「ほっほっほっ、お前さんみたいなプリチーなギャル対戦できるとは嬉しいのう」
「あなたほどの武道家にそう言っていただけて光栄だわ」
我ながら本心にもないことを言う。
「お主……」
ジャッキーの顔つきがシリアスになる。
「後でぱいぱいつつかせてくれんかの?」
会場でその言葉を聞いていた私を除いた全員がずっこけた。
「ふふっ、私に勝てたらいいわよ」
「本当か!? それじゃ、ちょっと本気を出そうかのう」
「ちょっとと言わず、全力で来るといいわっ!」
台詞と同時にジャッキーに突進を仕掛けた。
「速いっ!?」
そのまま頭突きを食らわせる。手加減しているので、のけぞる程度だったが。
『おおっと、イーヴィ選手! 頭突きによる先制攻撃だ!』
「痛つ……驚いたのう。お主からは何も感じられんのにそこまでの力を秘めているとは」
内心、全力を出さなければやばいと感じているはずだ。未だギャグマンガ的なノリ故に壮大に変なことをやらかされる可能性があるが、私のシリアス度の方がギャグに勝る!
「それではさわやかな風をプレゼントしてあげちゃおう」
腕を振ることによって発生する風圧で私を場外に押し出す気だ。ならば、私も同じだけの力で相殺する。
『どういうことでしょう!? 何故か両選手、素振りをしました!』
『あの老人が素振りしたことによって生まれた風圧をイーヴィさんは同じ様にして相殺したんだ!』
ヤムチャが解説してくれた。ふむ、彼なら解説王になれるのではなかろうか。
「そういうことするなら、私もプレゼントするわ。風ではなく弾だけど」
私は指弾の様に空気を弾いた。幽遊○書の戸〇呂弟が使っていたあれである。
ジャッキーの顎にクリーンヒットした。その後も連続で撃つ。
『これまたどういうことでしょう! イーヴィ選手が何もしていないのに、ジャッキー選手にダメージを食らっています!』
『イーヴィさんはさっきと同じ様に指で空気の弾を弾き出しているんだ!』
弾が後ろの壁に当たった。避けられた!? でも、姿は……これは、残像拳!
「ほいっ!」
頭上から攻撃を仕掛けてきたジャッキーに対し私は同じく残像拳で避けた。
「何っ!?」
横合いから殴りつけた。少し力を込めたので本館の前の壁に激突した。壁も崩れて結構ダメージが入ったと思う。
『ジャッキー選手、さすがにこれにはダウンだ!』
ジャッキーはすぐに瓦礫の中から立ち上がった。
「お主、これほどの力を一体どこで……!?」
「独学……かな」
そこそこいい試合になったと思うし、そろそろ決着を付けようかな。
「わしが思っていたよりもずっとすごいのう。ならば、本当に全力を出さなければならんな」
そして、男の子なら誰もが使ってみたいあの技の構えをした。
「か~め~……」
それで私が倒されることはないとわかっていても、ドキドキする。
「は~め~……」
正直、この技を生で見れるのなら負けてもいいかなと思えるぐらいにはワクワクするのだ。
「波っ―――――――!!!!」
だが、これから見る機会何度でもあるだろうし食らってやるつもりはない。手刀で難なく上に逸らした。
「なんじゃと!?」
悟空たちや観客はかめはめ波に驚き、私がそれを弾いたことに驚いた。
「そんな攻撃で倒せると思った? 甘ぇよ……が、その甘さ嫌いじゃあないぜ」
某過負荷さんの台詞って使ってみたかったんだよね。それにブウ編のサタンぐらいの知名度と人気度があれば『大嘘憑き』の再現もできるんじゃないかと皮算用してる。
「言ってくれるのう」
「私の言う全力は殺すつもりでって意味よ。そんな威力じゃ、私にダメージを負わせることなんて絶対に無理」
「然らば……まいった」
そうなっちゃったか……できれば劇的勝利が望ましかったんだけど。
『な、なんということでしょう! ジャッキー選手、降参だぁ!』
「ピチピチギャルにそんなことはできん。それにお主は悟空たちより強いようだ」
「でしょうね。まだ1パーセントも本気だしてないし」
「な、なんと!? それほどとは……」
安心させる……と言うのもおかしいが、一言言っておこう。
「あなたの目的は知っていますから、心配しないでください。亀仙人さん」
面食らったような表情を浮かべるジャッキー・チュン。
戦いとしては、面白味もなんもなかったが元祖かめはめ波が見れただけでも良かった。
イーヴィさんは、ドラゴンボールの大ファンなのです。