外道屋のドラゴンボール   作:天城恭助

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ようやく人造人間編に入りました。


人造人間編
37 未来トランクス


「は~る~か~天空(そら)響いてる~♪ いの~りは~、き~せ~き~に~♪」

 

 フリーザを倒してから一年後、私は宇宙船が近づいてくるのを誰よりも早く感づいた。というか元から知ってた。

 気の感じからしてフリーザは乗っておらず、コルド大王が乗っている。さすがに上半身が消し飛んでいてはメカフリーザにすることはできなかったようだ。さて、まだまだ遠くに居るのに早めに来た理由は宇宙から地球を破壊される可能性があるからだ。だから、ここから先に迎撃して撃ち落す。そのための兵器(ネタ)も持ってきた。

 

「いくよ! レイジングハート!」

「All right. My master」

 

気合を入れて兵器(ネタ)を作って来た。大事でもないけど二回言ってみた。

 あの魔法少女ものとは思えないリロードできる杖。威力はドラゴンボール仕様のド派手なあの魔法というか、魔砲を使って撃ち落したいと思って作ってきた。というより、これがやりたいがために早めに来た。

 

 杖がガシャン、ガシャン、ガシャンとリロード音を鳴らす。本当に鳴るだけで意味はない。

 

「これが、私の全力全壊! スターライトー……」

 

 杖の先のルビーの様な球体に桜色の光が集まっていく。元気玉のように周りから集まっているように見えて実際は全て純度100%私のエネルギーだ。

 

「ブレイカーッ!」

 

 桜色のビームが宙に向かって飛んでいく。肉眼では決して捉えられない様な位置にある宇宙船に直撃した。ビームは宇宙船を飲み込み、過ぎ去った後には何も残らなかった。

 ちなみにスターライトブレイカーとは言ったが、名前を借りただけで全く別物である。本家でもなんかできそうな気はしないでもないけど。

 

「All right. My master」

「うっさい」

 

 私は杖を折って投げ捨てた。この杖自体はただの玩具だ。それっぽくやりたかっただけで、「All right My master」しか言えない。AIも積んでないので当然だ。さすがにそこまで力を入れて再現する気はない。しかし、私がやっていることにツッコミがいないことが悲しい……やっぱり、ツッコミがいてこそのボケやネタかな……面白くもなんともない。

 

 気づけば、近くには未来からやって来たトランクスが居た。

 

「やぁ、こんにちは」

「こ、こんにちは……」

 

 すごい困惑した表情だ。私は彼のいる歴史にいたことはないだろうからね。ドラゴンボールにおけるタイムトラベルはパラレルワールドだけど、私は来た世界が違うから彼が私を知る由もないし、私の実力についても驚いているのだろう。あ、もしかして私が杖を折って投げ捨てた方に驚いてた?

 

「……あなたは一体誰ですか? フリーザがここに来ることを知っていたようですが……あの気功波はフリーザを倒すために撃ったんですよね」

 

 未来トランクスは、どうせこの編が終わったら会うことはないよね……

 

「……色々と面倒だから君には真実を話すよ。どうせ君は未来に帰るんでしょ、トランクス君」

「ど、どうして、俺の名を……!?」

「まずは自己紹介からしようか。私の名前は神宮寺イーヴィ。こことは全く別の世界からやって来た元悪神だよ」

「元悪神……ですか?」

 

 トランクスの警戒が強くなった。

 

「元悪神って言っても別に地球や地球の人々に害を為す気は全くないよ。私がこの世界にやって来てもう15年も経つしね」

「そ、そんなに前から……それではこの時代は俺の知っている歴史とは全く違う世界なんですね」

「辿っている歴史は君のものとは別物だけど基本は一緒だよ。だから、人造人間もこの世界で現れるでしょうね」

「そんなことまで……! あなたは俺が未来から来たことも知っていました。どうしてですか?」

「説明が難しいけど、私が元々居た世界ではこの世界の歴史を知る方法があるからとしか言いようがないわね」

 

 私に取って漫画の中の世界であることは伏せておく。それ自体は無用の混乱を招く。この世界でその類のシリアスはあまり向いていない。

 

「それではこれからどうなるかも知っているんですか!?」

「まぁね。君が未来からやってきたおかげで、この時代は犠牲を払いつつも救われるよ」

「そ、そうですか……!」

 

 絶望の未来を変えられることを知れたからか、非常に嬉しそうだ。

 

「でも、私が知っている世界とも全く違う世界であることに違いはないから、同じようになるとは限らない。基本は変わらなくても、君が言った通り君が知る歴史とは大きく変わっているところもあるからね」

 

 私は今後の展開に大きく影響を与えそうなトランクスが辿った歴史とは大きく違うところを話した。

 悟空が既に地球に居ること。ラディッツが生き残り、今では(スーパー)サイヤ人になれること。悟空がまだ(スーパー)サイヤ人になれないことを伝えた。

 

 トランクスにとっては、悟空が未だ(スーパー)サイヤ人になれないことは頼りにして来ただけに相当にショックなことだったようだ。

 

「悟空は(スーパー)サイヤ人にまだなれていないとは言ったけど、すぐなれるようになるさ。それより、みんながフリーザに気づく前に私が倒しちゃったから悟空たちを呼ぼうか」

「ど、どうやってですか?」

「そりゃもちろん、君が超サイヤ人になれば勝手に人が集まるでしょ。特に悟空とベジータは、すぐにやってくるはずよ。自分以上の力を持っている奴なんてそうはいないからね」

「……そうですね。でも、あなたが気を高めてもいいんじゃないですか?」

「私は機械だから、気を高めるということはできないの」

「……あなたは本当に人造人間ではないですよね?」

「性質上近いけど、レッドリボン軍の人造人間とは無関係よ」

「わかりました……それでは……」

 

 トランクスは超サイヤ人へと変身し、気が大きく膨れ上がった。数分もすると悟空が瞬間移動でやってきた。ラディッツも一緒だ。

 

「あれ? イーヴィも来たんか?」

「そうよ。それより、瞬間移動はもう使いこなせるようになったみたいね」

「あぁ、おかげさまでな」

「それであのでかい気を持った奴は誰なんだ……それにあの姿は(スーパー)サイヤ人じゃないか……!?」

「紹介するよ……この子は20年後の未来から来た子よ」

「未来から!?」

「ふん、そんなことが信じられるか」

「信じてはもらえないかもしれませんが、この姿からサイヤ人の血を引いていることは察していただけると思います。何故、俺がサイヤ人の血を引いているかと言うと、ベジータさんの息子だからです」

「べ、ベジータの!?」

「息子ぉ!?」

 

 この二人一緒に住んでいたせいか最近反応がそっくりになった気がする。兄弟だし、本質的なところで結構似通っているのかもしれない。

 

「あなたが孫悟空さんですね」

「あぁ、そうだけど?」

「聞きたいことがあります。イーヴィさんに聞きましたが、(スーパー)サイヤ人になれないというのは本当ですか?」

「あぁ、イーヴィには言ってなかったか? オラ、最近(スーパー)サイヤ人になれるようになったんだ」

「え……!?」

 

 ラディッツが超サイヤ人になった時ぐらい驚いた。正直、仲間が死ぬ以外でそんな怒れないんじゃないかと思ってた。原作での悟飯は想像だけでなんかいけたみたいだけど……

 

「き、きっかけは!? どうやって!?」

「兄ちゃんにどうやったら超サイヤ人になれるか聞いてよ。プッツンと切れることがきっかけになるって言ったんだ。だよな? 兄ちゃん」

「あぁ、そうだな。想像でどうにかしていたが……納得いかないようなそうでもないような想像でなりやがったがな」

「どんな想像?」

「イーヴィによ、みんなが殺されるところ」

「馬鹿っ……!」

「へ? あー……」

 

 その想像がしやすいのは私の出自のせいかもしれない。私は人間によって生み出された存在なのだが、それは主に憎まれ役としてだ。全ての災厄・不利益は悪神によってもたらされるもの。私が関係あろうとなかろうとそういう風にできていた。だからこそ、それが悟空にも適用されたために想像しやすかったのかもしれない。

 

「イーヴィ、すまんな。弟が馬鹿なことを言っちまって」

「いや、いいよ。むしろ、悟空が超サイヤ人になれたってことは喜ばしいことだし。それで私が役に立ったて言うなら尚更よ」

「それなら、悟空さん。(スーパー)サイヤ人になってみてくれませんか」

「あぁ、いいけど」

 

 悟空は(スーパー)サイヤ人になった。

 

「失礼します」

 

 トランクスは背負っていた剣を抜き、悟空に襲い掛かったが当たる前に止めた。

 

「な、何故避けなかったのですか……?」

「殺気がなかったからだ。止めるとわかっていた」

「なるほど……では、今度は止めません。いいですね」

「わかった」

 

 悟空は右の人差し指に気を籠める。トランクスが再び剣で今度は止めずに連続で斬りかかるが、悟空は全て人差し指のみで受け止めた。

 

「さすがです。噂は本当でした。いや、それ以上です」

 

 トランクスは剣を投げて背中の鞘にしまい、(スーパー)サイヤ人を解く。

 

「フリーザをも切り裂けるような剣だったのですが」

「おめえが本気じゃなかったからさ」

 

 悟空も(スーパー)サイヤ人を解いた。

 

「あなた方にはすべてお話します。俺が言うまでもなく、イーヴィさんは知っていたようですが……」

 

 トランクスは今から3年後に人造人間が現れること、人造人間によって起こされた未来のことを話した。そして、悟空に心臓病の話をした。悟空は原作通り死んでしまうことで人造人間と戦えないことを残念がったが、当然トランクスが特効薬を持ってきていたのでそれを悟空に渡した。

 

「そういや、未来でイーヴィと兄ちゃんはどうしたんだ?」

「イーヴィさんは未来にいませんでした。ラディッツさんもです」

「……なんでだ?」

「昔言ったけど私はこことは全く別の世界からやってきたから、ここの時間軸だけにしか干渉してないんでしょうね。だから、トランクス君のいる未来で私はいない。私がいなければラディッツはピッコロの魔貫光殺砲で死んでいたでしょうから、未来にラディッツがいないのは当然のことね」

「へー。なんかよくわかんねぇけど、イーヴィがいねえから未来にも兄ちゃんがいねえってことだな」

「まぁ、そういうことね」

 

 未来にもし私がいたら絶望の未来になんかならないだろう。まず、悟空が心臓病になって治療法がないって言っても私が治せるだろうし、人造人間に後れを取ることもないだろうから、負ける要素がない。誰も死なないね。……それはそれで面白味が無さ過ぎて、何かしらやらかしてしまいそうな気がするけど。

 

 トランクスがタイムマシンの話をして、悟空がトランクスの母親がブルマだと知って驚いたりすることがあったが、割とどうでもいい。ラディッツは、ベジータが子供を作ったことの方が驚きだったのでそこまで驚いていなかった。

 そして、生き残れれば応援に来ると残してトランクスは去って行った。

 

 すぐ後、ベジータ、ピッコロ、クリリン、ヤムチャ、天津飯、がやって来たので事情を話した。3年後に人造人間という敵がやってくることを知らせに来た青年が来たことを。ヤムチャや天津飯、クリリンが嘘くさいと思っていたが、トランクスがタイムマシンで未来へ帰るところを見て、本当のことのようだと考えを改めた。

 

 

 ベジータは大きな戦闘力を二つ感じたことを問い詰めると、未来から来た青年と悟空だということを教えた。ベジータは悟空がそれほどの戦闘力を持っていることを信じられなかったが、悟空が超サイヤ人になると押し黙った。プライドが傷つけられたようである。他のみんなは「すげえ」と言った感じだったが。

 

 

 その場は、3年後の5月12日午前9時に南の都の南西9キロ地点にある島に集合ということで解散になった。

 

 

 ちなみに、ブルマには私が伝えておいた。原作と同じ様にドクターゲロを今倒してしまうよう提案されたが、「そんなことをしたらベジータにぶっ殺されるよ」と忠告しておいた。

 

「それに、他のみんなも戦いたがるでしょうね。特に悟空」

「絶対おかしいわよ。イーヴィもそう思うでしょ」

「いや、私は面白そうだなとしか」

「……そういえば、あんたはそういうやつだったわね」

「あはは、照れるじゃない」

「褒めてない!」

 




この先、何となくのプロットはできていますが、頭の中だけですし変更することも大いに有り得るのでどうなるかわかりません。これここに書くの3度目ぐらいな気がしますけど、然程重要でもないかもしれませんが繰り返しお伝えしました。

それより、続き書けることができるだろうか……そっちの方が心配だったりします。

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