外道屋のドラゴンボール   作:天城恭助

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36 超サイヤ人

 ベジータの心臓貫かれちゃったよ……仙豆もないし……死亡確定だね、こりゃ。

 

「べ、ベジータ!」

「が……がはっ!」

「何も止めを刺すこたあねぇだろ!」

「超サイヤ人だなんてつまらないただの伝説にいつまでもこだわってるからさ。僕はくどいヤツが嫌いなんだ」

「カ、カカロット……ま、まだ……そんな甘いことを言っていやがるのか……」

「よせっ! もうしゃべるな!」

「ラディッツ……てめぇもか……ゴホッ……」

 

 もう死ぬ寸前だ。まだ喋れるのはサイヤ人の生命力故か……

 

「べ、ベジータ!?」

「知っているとは思うが……わ…惑星ベジータは……フリーザが壊しやがったんだ……俺たちサイヤ人はあ…あいつの手となり足となり命令通りに働いたってのに……」

「ど、どうしたんだよ……ベジータ……! らしくねぇよ……」

「お、俺たち以外は全員殺された……貴様らの両親も俺の親である王も……フリーザはち、力を付け始めたサ…サイヤ人の中から超サイヤ人が生まれるのをお…恐れたからだ……」

 

「ふっ…よく言うよ」

 

 ベジータは涙を浮かべていた。

 

「た、頼む……フリーザを……フリーザを倒してくれ……頼む……サイヤ人の……手……で……」

 

 ベジータが事切れたみたいだ……言い訳じゃないけど、このベジータが悪人と言えないわけがないしこれも私の目標的にはノーカンということに……!?

 

「に、兄ちゃん……!?」

 

 ラディッツの様子がおかしい。髪の色が……!

 

「よ、よくも俺たちサイヤ人を……仲間たちを……親父を……ベジータを……! 殺しやがったなぁ!!」

 

 その咆哮と共にラディッツは超サイヤ人となった。髪は逆立っていないが……間違いなく超サイヤ人だ。金髪になって、力も大きく上がっている。ネックレスもなんかぶっ壊れてるし……

 予想を全くしていなかったかと言うと嘘になるけど、本当に超サイヤ人になるとは思ってなかった。

 

「カカロット、悟飯たちを連れて先に地球に帰ってろ。フリーザは俺一人で倒す!」

「……! わかった。死ぬなよ、兄ちゃん」

「さっさと行け!」

 

 フリーザは驚愕の表情を浮かべたままだったが、悟空たちが離れていくのを見てはっとする。

 

「逃がすと思うのか?」

 

 デスビームを撃とうと指を悟空に向けるが、ラディッツが腕を掴んで止めた。

 

「俺の弟まで殺す気か……! 俺にとって共に生きてきたサイヤ人はもうあいつしかいないんだよ!」

 

 フリーザはラディッツの手を振り払い、距離を取る。

 

「ど、どうして、ラディッツなんかにこれほどの力が……! ま……まさか……き……きさま……」

「てめぇは絶対に許さねぇ!」

 

 一瞬で距離を詰め、フリーザを殴り飛ばし地面へと叩き落した。フリーザにダメージは通っているのがありありとわかったが、すぐに瓦礫を吹き飛ばした。

 

 私は、フリーザ達が離れた隙にベジータの死体を回収しておく。ぐちゃぐちゃにされたら蘇生が上手くいかないかもしれないからね。とりあえず、腐らないように原作ではクリリンや餃子も入った保存用のカプセルに入れておく。私特性の一品なので星が吹き飛ぶようなことがなければ壊れることはない。あ、そうだ。フリーザがナメック星を壊すかもしれないからフリーザの真下にいないと……

 私は急いでフリーザとラディッツが闘っている真下に向かった。

 

 ちょっ……! どんどん遠くに行くなぁ……海の中に入らないといけないじゃない……

 

 現在もフリーザとラディッツの間で激しい攻防が行われているが、圧倒的にラディッツが優勢だ。フリーザの攻撃をくらってもラディッツにそこまでダメージがある様子はない。逆にフリーザはラディッツの攻撃をくらっていると決して小さくないダメージが確実に蓄積していっている。フリーザは堪えきれず、ラディッツから距離を取る。

 

「ふん。てめぇももうおしまいだな」

「何ぃ!?」

「次で終わりにしてやるぜ。ベジータの技でな」

 

 ラディッツはギャリック砲の構えを取った。

 

「……不老不死は惜しいが……俺はここで貴様に殺されるぐらいなら自らの死を選ぶぞ」

「勝手にしやがれ……」

「だが、俺は死なん……」

 

 フリーザは両手を掲げ急速に球体の大きなエネルギーを作り出す。

 

「俺は宇宙空間でも生き延びられるぞ。だが、貴様らサイヤ人はどうかな!?」

 

 フリーザは勝利の笑みをみせる。

 

「この星を消す!!」

 

 球体のエネルギーをそのまま海の下、この星に向かって投げた。でも、そこには私が居るから無問題(モーマンタイ)

 

「ジャストミートォ!」

 

 私の蹴り上げによって、エネルギーは宙の彼方へ飛んで行った。

 

「な、何!」

「……! ふっ、どうやらイーヴィの奴が気をまわしたようだな……相変わらず、なんでもありな野郎だ……」

「まだ居たのか……あの鉄屑……!」

 

 鉄屑とは失敬な……ところで屑鉄と鉄屑って同じ意味なのかな?

 

 フリーザは、私にエネルギー波を撃ってきたけど、軽々弾いた。

 

「私を攻撃する前に目の前の敵を倒したらー」

「ちぃっ! こうなったらみせてやるぞ、100%の力を! 俺を倒せるわけがないんだ! 覚悟しろ!」

「今頃、本気になったところで超サイヤ人に勝つことは不可能だ!」

「ばっ!」

 

 気でラディッツを吹き飛ばす、フリーザ。ラディッツは海に落ちそうになったものの空中で受け身を取る。

 

「みくびったな! 言っておくが、今のはまだ全力じゃないぞ! 70%ほどかな……そしてこれが……お待ちかね、100%!」

 

 気を集中させ、気を高めていくフリーザ。

 

「させるかっ!」

 

 ラディッツは、気にせず直行しフリーザを殴り飛ばした。

 

「……多分、ベジータとカカロットが同じ状況にあったらてめぇの全力を叩き潰すことを考えただろうが……俺にとってはてめぇを倒すことが一番大事だ! くたばりやがれ!」

 

 エネルギー波を撃った。

 

「ちぃっ!」

 

 フリーザは両手を使ってそれを受け止めたが、その間にラディッツが後ろに周り込み両手を組んだ拳で地面へと叩きつけられた。瓦礫から吹き飛ばして立ち上がるが、身体がふらついていた。

 

「ち、ちくしょー……! ちくしょ~~~っ!」

 

 フリーザの叫びがむなしく響く。

 

「諦めろ。てめぇじゃ、もう俺には勝てないんだよ」

「負けん……俺が負けるものかぁ!」

 

 それと同時にあの気円斬みたいな技をラディッツに使った。

 まぁ、なんなく避けられるでしょ……

 

「ふん……こんなもの……」

 

 あ、調子に乗ってるな。正面から受け止めようとしているみたい……それは非常にまずいわ。

 

「馬鹿! 避けなさい!」

「何!?」

 

 ラディッツは何とか避けることに成功した。頬を傷つけられることにはなったけど。

 なんでナッパみたいな失敗してんのよ……あー、そういえばクリリンこの世界で気円斬使ってなかったね。だからってどういう技かもわからないなんて……超サイヤ人にもなって情けない。

 

「ちっ! またあの野郎か!」

「……そんな技で望みを繋ぐようじゃてめぇもおしまいだな」

 

 気づけなかったくせしてなんで偉そうなの……?

 

「馬鹿め」

 

 気円斬がまた戻って来るように飛んできた。ラディッツはそれから逃げるように飛び回る。

 

「ふははははっ! そいつはどこまでもお前を追いかけるぞ。そしてどんなものも切り裂くんだ!」

 

 

 確かに面倒だけど避けようと思えばいくらでも避けられそう。

 

 どうも私が積極的に介入しないと元の様な展開になろうとするみたい。歴史の修正力ならぬ漫画の修正力みたいな? まぁ、そこまで強いものではないみたいだけど……決して作者の力が足りないとかそういうわけではない。そういうことにしておこう……ね!

 

 

 ラディッツは、フリーザの居る方向へと飛ぶ。

 

「こっちに向かってきてギリギリでかわし俺に当てようってんだろ! そんなつまらん作戦に引っかかると思うか……! そんな古い手には引っかからんぞ!」

 

 ラディッツは、フリーザの手前で上へと進路変更した。

 

「つあーーーっ!」

 

 フリーザは気円斬を操作して、追尾させる。ラディッツは落ち着かれそうになったが、バク転の要領でギリギリかわした。

 

「くっ!」

 

 しかし、完全にはかわし切れず、長髪の半分ほど持っていかれてた。

 

「外したか!」

 

 気円斬が通り過ぎたところをラディッツは全速力でフリーザに攻撃を仕掛けにいった。

 

「今度こそくたばりやがれ!」

「やられるものか!」

 

 ラディッツの突撃に対し、パンチで応戦するが

 

「何ッ!?」

 

 それは残像だった。

 

「後ろだ」

 

 ラディッツの蹴り上げがフリーザを気円斬のある場所まで飛ばし、そのままフリーザは上半身と下半身に切断され落下した。

 

 あら? 終わっちゃった。ラディッツは原作の超サイヤ人の悟空の実力に劣るみたいだけど悟空より殺る気が強かったせいかな。甘さ控えめみたいな? このラディッツ、容赦せん!って感じかな。

 

 ラディッツは、フリーザが落下したところに向かった。私もそこに向かった。

 

「宇宙の帝王フリーザらしからぬ最期だな」

 

 ラディッツは、超サイヤ人を解く。

 

「ち……ちくしょう……ちく……しょう……」

「情けない終わりね。ホント。まぁ、こうなるだろうとは思っていたけど」

「……いたのか」

「そりゃずっと見てたからね」

「……ったく、てめぇは以前もそうだったよな」

「私のアイデンティティだからね」

「てめぇが最初から動いていれば、ベジータだって死ななかったかもしれないんだぞ! それをてめぇのアイデンティティとか理由で済ませられてたまるか!」

 

 ラディッツに怒られた。でも、ごもっともなご指摘。

 

「別に私だって見殺しにしたくて見殺しにしたわけじゃないし。どうせ生き返すし」

「な、何……!? どういうことだ!」

「た……助けて……助けて……くれ……」

「てめぇは黙ってろ!」

 

 ラディッツは死にかけのフリーザにエネルギー波を撃ちこみ、止めを刺した。上半身が跡形もないや。片手間で消されてかわいそうに。

 

「地球にはドラゴンボールがあるんだから生き返せないわけがないでしょ」

「ほ、本当に生き返るのか? というより、生き返してもいいのか? あいつは地球を侵略したんだぞ……!」

「何? そんなにベジータに生き返って欲しくないの?」

「いや、そんなことはないぞ!」

「ま、結果的にそうなるだろうというだけで、殺されたナメック星人達を生き返すのが目的よ」

 

 本当はベジータを生き返す方が目的だけど、元々ナメック星人も生き返す予定だったし何も変わらな……くわないな。ナメック星人が全員一括で生き返せないし。本当なら殺されたナメック星人を生き返してくれで済んだのにフリーザ一味に殺された者を生き返してくれにしないといけない。別に二回に分けても良さそうだけどセル編と時間が被ったりと色々めんどくさい。……そういえば、ジースとバータもフリーザに殺されたっけ。でも、生き返ったところで私が処理をすればいい話だ。

 

「ドラゴンボールというのは、そこまで可能なのか……」

「一応、どんな願いでも叶えられるっていう龍だしね」

 

 ラディッツが何故か、挙動不審になっている。

 

「……その……なんだ……あ…り…が…とう?」

「なんでお礼? そして疑問形?」

「俺が超サイヤ人になれたのはある意味お前のおかげではあるが、お前が居なければベジータと戦うこともフリーザと戦うこともなかった。要は、俺はお前から色々と負担を強いられているような気がして、お礼を言うのも変だと思ってな」

「でも、私が居なかったらあなた、ピッコロに殺されていたわよ」

「む……! それを言われると言い返せん。お前は俺の命の恩人……なんだよなぁ」

 

 心底残念そうに言っている。認めたくないということだろうか? でも、命の恩人扱いしてくれるだけラディッツは十分常識人だと思う。実は純粋なサイヤ人の中で感性が一番地球人に近いのではないだろうか。

 

 

 

「ここでの用事も終わったことだし、最長老さんに報告して悟空達が乗っている宇宙船に乗って地球に帰ろうか」

「あぁ、そうだな」

「それと髪ちょっとすごいことになってるから後で整えてあげる」

「ありがとよ」

 

 

 その後、最長老にフリーザを倒したことを報告した。もちろん、報告するまでもなく知ってはいたが、それとなく恩を売ったことにしておきたかったというのもある。そんなことをしなくても向こうは勝手に感謝の念を覚えているようだったけど。いつかこちらのドラゴンボールを利用させてもらうことになるかもしれない、という話をしたら快諾してくれたぐらいだったからね。

 

 最長老は寿命が近いこともあり、ムーリ長老が最長老となりナメック星人達を導くようにと伝えていた。私とナメック星との関係が今後あるかはわからないが、あるとしたらドラゴンボールとデンデ(ドラゴンボール)ぐらいかな……やだ、ドラゴンボールしかない。

 

 何度もお礼を言われつつ瞬間移動で悟空たちの居る宇宙船へと戻った。悟空達は界王様から既にフリーザを倒したことを知らされていたらしく、祝杯ムードで迎えてくれた。帰る途中、悟空が私の瞬間移動を使いたいと言ってきたので教えることにした。私自身元々教えるつもりだったけど、きっかけがなくて困っていたので逆にその申し出はありがたかった。それより超サイヤ人になれるかが心配だが、トランクスが来るまでに変身できないようなら奥の手を使うつもりだ。

 

 

 地球に帰った後、すぐにドラゴンボールを集めナメック星人たちを生き返すことにした。願いの内容は「フリーザ一味に殺された人のその一味である者を除いて生き返らせて欲しい」だ。これなら余計な奴らを生き返さずにナメック星人とベジータを生き返らせることができる。早速、ベジータを迎えに行った。

 

「……俺は生き返ったのか?」

 

 ベジータは自分の状況に困惑しているようだった。まぁ、普通は死んだら生き返らないからね。ドラゴンボールのせいで死ぬことがやたらと軽く感じちゃうけど、死んだら普通は生き返りません。

 

「やぁ」

「貴様か……!? 俺を生き返したのは」

「まぁ、ナメック星人を生き返すついでにね。地球のドラゴンボールでフリーザ一味に殺された人を生き返らせて欲しい、という願いを叶えてもらったからね」

「なるほどな。それで、俺も生き返してしまったというわけか」

「別にあなたを生き返して失敗だとは思っていないわ。ラディッツはあなたが死んで悲しんでたし」

「ふん……! それで、フリーザはどうした?」

「ラディッツが倒したわ。超サイヤ人になって」

「な、何!? ……ラディッツに会わせろ」

 

 どうせ超サイヤ人になったラディッツを見てみたいとか、倒したいとかそんなこと考えているんでしょうね。

 

「最初からそのつもりよ。肩に掴まりなさい。瞬間移動で連れて行ってあげる」

「……ちっ」

 

 少し気に食わなそうな表情で私の肩に手を置き、瞬間移動で孫家に着く。ベジータの気に気づいたのか、ラディッツと悟空、悟飯が外に出て来た。

 

「べ、ベジータ……!」

「おい、ラディッツ。お前、(スーパー)サイヤ人になったんだろ。見せてみろ」

「いや、あれは偶然というか……まだ、上手くコントロールできないんだ」

「ちっ、所詮は下級戦士か……また今度来てやる。その時までにはコントロールできるようにしとけよ」

「あ、あぁ!」

「それじゃ、私はベジータを宿に連れて行くから。また今度会いましょう」

 

 

 ベジータをブルマ邸まで連れて行き、ブルマにベジータを泊めるよう頼んだ。ブルマだけでなく、ヤムチャとかにも反対されたが、ベジータが居るのを見て快諾してくれた。後で、ブルマに「あんたのところでもいいでしょ」と言われたが「私のところには人を泊めるスペースはない」と言っておいた。本当はなくもないが、修業できるスペースはない。私は別に東の都に家を持っているわけではないので、会社で暴れられても困る。それに、一応はブルマとくっつけておきたい。本当にそうなるかはわからないけどなるようになるでしょ。

 

 

 

 これでしばらくはすることはないかな……

 人造人間・セル編は私の機械の身体の強さが超えられてくる時期だ。ここからは少し気を引き締めていこうか。もちろん、舐めプはするけどね。

 




ようやくフリーザ編が終わりました。
前にも言いましたが、行き当たりばったりなので今後どうなるか僕にもわかりません。

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