外道屋のドラゴンボール   作:天城恭助

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とりあえず一週間でできました。


35 フリーザ

「一々一人ずつ相手するのも面倒ですから、まとめてかかってくるといいですよ」

 

 フリーザは余裕のようだが、この人数相手で第一形態は無理と違うかな?

 

「この人数相手に勝てると思っているのか?」

 

 ベジータは余裕の表情を見せる。まぁ、6対1でギニュー特戦隊を超える戦闘力が3人以上揃っているとわかれば気も大きくなるか……別に戦闘力()が大きいから気が大きくなるとかいうシャレを言ったわけではない。

 

「何を言い出すかと思えば……どうやら私の恐ろしさを忘れてしまったようですね……ですが、確かに油断ならない方もいるようですからね。私も少し本気を出しましょう」

「変身するつもりかっ!」

「ほう、よくそのことを知っていましたね」

「ザーボンの野郎が口を滑らせやがったんだ」

「そうでしたか……さぁ、滅多にみられるものではありませんよ。惑星ベジータを攻めこんだ時に王と戦った場合も変身する必要もなく勝ってしまいましたからね」

「何っ!? 惑星ベジータは隕石の衝突で滅んだのではなかったのか!?」

 

 ラディッツがこのタイミングで惑星ベジータ消失の真実を知るとはね。

 

「おや、ラディッツは知りませんでしたか? まぁ、どうでもいいことです」

 

 フリーザの鎧が壊れた。

 

「何が変身だ。笑わせやがるぜ」

 

 そして、フリーザの変化が始まった。

 

「ほああ……ああああ……!」

 

 全身が巨大化していき、悟飯より少し大きいぐらいの大きさがピッコロより少しでかくなった。ガタイも先程とは比べ物にならない程よくなっている。

 

「こ、これほどとは……!」

「さぁ、始めようか……! ばっ!!」

 

 フリーザは左腕を軽く上げ、気を爆発させ周り一帯が一瞬で更地に変えられた。全員、空中に逃げてはいたので誰もダメージはくらわなかった。ただ、宇宙船にダメージがいっていないあたり、フリーザは意外と器用だなとか思ったりした。力を抑えられないから変身するみたいなこと言っていたけど実はそんなことないんじゃないだろうか。

 

 土煙が立っていて周りが見えない……

 

「ベジータ後ろだ!!」

「何ッ!」

 

 オーバヘッドキックの要領で、ベジータは地面へと叩きつけられた。

 

「今の一撃で死ななかったか……さすがはサイヤ人と言ったところか」

「く、くそ……!」

 

「悟飯! あなたじゃ、この場は足手まといになるわ。逃げなさい」

「で、でも……!」

「悟飯! イーヴィの言うとおりだ……俺もこの戦いについてはいけんな」

「わ、わかりました」

 

 悟飯は宇宙船の方へと去って行った。

 

「……まぁ、虫けらの一匹ぐらい逃がしてもいいだろう」

 

 ドラゴンボールを失っていないせいか寛容なフリーザ様だ。

 

「おい、イーヴィ! 本当にあれに勝てるんだろうな!?」

「さぁね」

「俺たちを連れてきておいてそれか!?」

「超サイヤ人になるしかないんじゃない?」

「超サイヤ人だと……!? 貴様、超サイヤ人について知っているのか?」

 

 フリーザが超サイヤ人という言葉に反応を示した。

 

「知っているよ。どうやったらなれるかもね」

「何!? 何故、あの野郎がそんなことを……!!」

「ふっ、ふははははは! ロボットが冗談を言うとはな。貴様はサイヤ人でもなんでもないだろう」

「それと私が知っていることとは関係ないんじゃない?」

「……ちっ、それならば、お前から死ねぇ!」

 

 フリーザは私に突進してきた。角を突き刺すつもりのようだ。私は膝と肘でその角を挟みへし折った。

 

「な、何ぃ!」

「よっと」

 

 回し蹴りをくらわせラディッツの方へとふっ飛ばした。

 

「ほら、ラディッツ」

「お、おう! くたばりやがれ!」

 

 両手を組んだ拳をフリーザに打ち込み、叩き落した。

 土煙が晴れると、わりと大丈夫そうなフリーザが居た。

 

「な、なんて野郎だ!」

 

 まぁ、私はそんな力入れてないし、ラディッツの力じゃそんなにダメージが与えられなくても不思議ではない。

 

「貴様を少し侮っていたようだ……先に教えておいてやろう。このフリーザは変身するたびにパワーがはるかに増す……その変身をあと2回も俺は残している。その意味がわかるかな?」

 

 私を除き全員が驚く。私は最初から知っていたし、最終形態になられても余裕で勝てるので絶望感も危機感もない。

 

「光栄に思うがいい! この変身まで見せるのは貴様が初めてだ!」

 

 フリーザが力を籠めると、背中から突き刺さりそうな突起が生え、頭がぬらりひょんの様に伸びた。顔もなんというか平べったい感じになった。

 

「お待たせしましたね。第二回戦といきましょうか」

 

 みんな絶望的な表情をしている。ここは空気に合わせてやられておいた方がいいのかな? そうしないとみんなに戦う理由ができないし……このままじゃ私が倒す流れになっちゃう。

 

「今度は先程のようにはいきませんよ!」

 

 フリーザが私に向かって仕掛けてくる。私はかなり速度を抑えて逃げた。そして回り込まれた。……計画通り。

 

「これはこれは久しぶり……」

「なにっ」

 

 って言っとけばいいかな?

 

「ひゃ!」

 

 指先からエネルギー弾を放ってきた。私はそれを避けずにくらう。さらに連続で「ひゃ!」という言葉と同時に撃ってきた。痛みもなんもないので何も感じないが、さすがに無防備でくらっていると損傷がまるでないわけでもない。さすがにフリーザなだけはある。

 

「イーヴィ!」

 

 悟空が私を助けに来た。フリーザは不意を突かれ、そのまま地面へとふっ飛ばされた。簡単にリカバリーされていたが。

 

「大丈夫か?」

「ちょっとますいかもしれない。少し修理しているからそれまでの間なんとかできる?」

「……難しいかもしんねぇ。でも、十倍界王拳を使えば今のあいつならなんとかなりそうだ。兄ちゃんもいるしな」

「そう。それじゃ、任せたわ」

「あぁ!」

 

 私は離れた所へゆっくり移動した。

 

「あなたを逃がすと思いですか!」

「待てっ!」

 

 悟空が私への道を塞いだ。

 

「おめぇの相手はオラだ!」

「そこをどけぇ!」

 

 悟空はフリーザのパンチを受け止めた。

 

「何ぃ!」

「でやぁ!」

 

 フリーザを蹴り飛ばす悟空。私はその間に地上に降りて修理を開始した。と言っても塗装が少し剥がれてしまったぐらいの損傷なんだけどね。

 

「おい、貴様!」

「ベジータ……何の用?」

「超サイヤ人になる方法を知っていると言ったな。俺に教えろ!」

「知ったところで今の君にはなれないよ」

「な、なんだとぉ……!」

「超サイヤ人に必要なのはパワーじゃない。あるきっかけだよ。まぁ、無理矢理そのきっかけを作れなくもないだろうけど……」

「なんだそのきっかけというのは!?」

「まぁ、とりあえずどうなるか見守ったら?」

「ちっ! 無理矢理聞きたいところだが、貴様の戦力は貴重だからな……」

 

 

 現在、悟空とラディッツが協力して戦っており、ピッコロは私とは違う場所でその戦いを見守ることしかできていなかった。

 戦況は悟空とラディッツが押しているようだ。第3形態では10倍界王拳を使う二人相手ではさすがのフリーザもきつそうだ。

 

「ひゃあ!」

 

 フリーザの放ったパンチは、悟空にもラディッツにも当たらず、二人のカウンターパンチをもらっていた。

 

「くっ、……どうやらあなた方サイヤ人も舐めていたようです。……これで超サイヤ人にでもなられたら困りますからね。私の真の姿をご覧にいれましょう」

 

 フリーザが力を籠める。

 

「これ以上変身させてたまるかっ!」

 

 ラディッツと悟空が変身中に攻撃を加えるが、フリーザは微動だにしていなかった。

 

「おい! 早く、超サイヤ人になる方法を教えろ!」

「あぁ、はいはい。もう一回死にかければいいんじゃない?」

 

 テキトーに答えてみる。

 

「本当か!? ならば、俺を早く半殺しにしろ! まだあの仙豆とか言うのが残っているんだろう!」

「お望みどおりに」

 

 

 フリーザが変身を完了させると気が周りに溢れ、悟空とラディッツは吹き飛ばされた。

 それと同時に私はベジータの腹にエネルギー波で穴を開けた。そして、すぐに仙豆を食わせてやった。

 

「くっくっく。これで俺は超サイヤ人だ」

 

 この発言聞いているとベジータが哀れに思えてきた。

 

「待っていやがれ、フリーザ! 俺がぶっ殺してやるぜ!」

 

 

 フリーザの周りの土煙が晴れて正体が現れた。

 

「なんか小さくなってけど、ものすげぇ気だ……!」

「だが、カカロット……俺たち二人でやれば、なんとかやれるはずだ……!」

 

 ベジータが悟空たちとフリーザの間に割って入ってきた。

 

「待て! 貴様らの出番はない! 超サイヤ人ベジータ様が一人で片付けてやるぜ」

「超サイヤ人だって……? ふっふっふっふ……相変わらず冗談きついね」

「下級戦士共に出番はないぜ!」

 

 ベジータはフリーザに攻撃を仕掛け、フリーザは避けようとした。

 

「見えているぞ!」

 

 そう言い放ったが、フリーザに攻撃は当たることなく避けられた。

 

「ちょっと本気でスピードを上げたらついてこれないようだね。それでも超サイヤ人なのかな……」

「ば、馬鹿な……俺は……俺は超サイヤ人だ!」

 

 怒りと焦りに身を任せ、フルパワーのエネルギー波をフリーザに放った。

 

「ベジータ! この星ごと消す気か!」

「きえっ!」

 

 フリーザはベジータのエネルギー波を蹴り上げて跳ね返した。

 ベジータは戦意を喪失し、涙すら流していた。

 これって、私のせい?

 

「今度はこっちから行くよ」

 

 フリーザはベジータに頭突きをくらわせ、追撃に尻尾で叩き落した。

 

「べ、ベジータ!!」

 

 フリーザは、ベジータを尻尾を使って首をしめて持ち上げた。そして、サンドバックの様に殴られていた。

 

「や、やめろぉ!」

 

 ラディッツはフリーザを殴り飛ばした。ベジータは解放され、地面に横たわった。

 

「まさか、ラディッツにここまでの力があるなんてね……」

「大丈夫か、ベジータ!」

「げほっ! 何故、俺を助けた……」

「何故って当然だろう。俺たちはサイヤ人、仲間だ」

「貴様、いつの間にそんなに甘くなった……! 貴様とカカロットはもう超サイヤ人になれてもおかしくないはずだ……」

「多分、それは間違ってはいないと思うぜ。あいつが言うには、カカロットは既に超サイヤ人になる前提条件はクリアしているみたいだからな」

「な、何……!? あ、あの女……! 嘘を言いやがったな……!」

「その話、いつまで続くのかな?」

 

 フリーザはなんだかんだ待ってくれている。あれ? このままだともしかして……

 

「だが……ククク……フリーザ。本気でやった方がいいぜ……カカロットとラディッツは、貴様が恐れていた超サイヤ人になろうとしている……てめぇはもう終わりだ……ざまぁみやがれ……」

 

 フリーザはデスビームでベジータの心臓を貫いた。

 

 あ………………………………………やられちまっただ。

 




次回でフリーザ編も終わりです。まだ、どう決着をつけるかは決めかねていますけどね。

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