外道屋のドラゴンボール   作:天城恭助

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オチが若干タイトル詐欺だけど気にしないでください。


30 サイヤ兄弟 vs ベジータ

「くっくっく……喜ぶがいい。貴様らの様な下級戦士が超エリートに遊んでもらえるんだからな」

 

「おい、カカロット。最初から界王拳を使っていけ。使わずに勝てる相手じゃない」

「そ、そんなにすげぇ奴なのか?」

「あぁ、手を抜けば絶対に負ける」

「手を抜かなければ勝てると思っているのか? おめでたい奴らだぜ」

「そう思うのは勝手だが、俺らをただの下級戦士と思っていると痛い目をみるぜ」

「面白い冗談だ。では、下級戦士ではどうやっても超えられない才能の差を見せてやろう」

 

 ベジータとラディッツ、悟空が構えを取る。

 全員同時に飛び出した。ラディッツと悟空は赤い気を纏っている。

 空中で激突し、上昇しながら激しい攻防が起こった。さすがにベジータでも界王拳を使った二人相手に優勢とはいかず、押され気味だった。

 ラディッツから一撃いいパンチをくらい、そのまま少し距離を取る。

 

「ちっ、思ったより面倒だ……!」

「……勝てる。勝てるぞ、カカロット! このまま押し切れる!」

「下級戦士がこの俺に勝つだと……? ふざけるなぁ!!」

 

 気を放出することで暴風が起こった。

 

「あいつのプライドっちゅうやつを傷つけちまったみてぇだぞ……」

「気にするな。奴は俺の仲間を殺しやがったんだ」

「今度はさっきのようにいかんぞ……!!」

 

 ベジータはエネルギー波を悟空とラディッツに向けて二発放ち、避けたところでラディッツを叩き落し、エネルギー波で追撃した。

 

「くそっ!」

 

 ラディッツは何とか防御する。

 

「兄ちゃん!」

「よそ見をしている暇はないぞ!」

 

 ベジータは悟空も吹き飛ばす。

 

「ぐっ、強ぇ……!」

「どうした? 一人ではそんなものか!」

 

 悟空に追撃をかけるベジータ。悟空は集中的に攻撃され防御するのがやっとと言った感じだ。

 やはり、分断され一人一人に分けて対処されると勝ち目がなさそうだ。3倍にすればベジータを超えられるが、それをやると身体が持たないのだろう。

 

「カカロット!」

「おっとっ!」

 

 ラディッツが悟空の救援に入るが、攻撃は当たらずまた距離を取られた。

 

「す、すまねぇ」

「ベジータは俺たちを各個撃破しに来ているようだな……」

「貴様らを同時に相手するのは面倒だが、一人ずつなら大したことはないな」

 

 さっきとは一転してベジータに余裕が出てきたようだ。

 

「……それならよ、無理をしてやるぜ」

「お、おい、兄ちゃん。3倍に上げるのか?」

「そうしなければ、ベジータには勝てん。はぁっ!!」

 

 ラディッツの気の勢いが強くなった。

 

「な、なに……!?」

 

 ラディッツは先程よりもさらに速くベジータに突進した。ベジータの防御よりも速くパンチを当て吹き飛ばす、さらに後ろに周って攻撃する。ベジータも攻撃をするがそれを避け、渾身のボディブローをくらわせた。

 

「ば、馬鹿な……!! 俺の戦闘力をこ、超えやがった……!」

「くっくそ……きついぜ……! これは……!」

 

 悟空は2倍のままでは間に割って入ることはできなさそうだ。

 

「こ……こんなことがあってたまるか……! 俺は超エリートだ……! あ、あんな下級戦士にやられるわけがない……!」

 

 ベジータが口を拭うと血が流れていることに気づいた。

 

「ゆ……許さん……絶対に許さんぞぉおおお……もうこんな星などいるもんか!! 地球もろとも粉々に打ち砕いてくれるぞーーっ!」

「「な、何っ!」」

 

 

 ベジータは空中高くに飛び上がり、左の掌に右手の甲を合わせ、気を高める。

 

「避けられるものなら避けてみろ! 貴様らは助かっても地球は粉々だーっ!」

「考えやがったなーっ! ちくしょう!」

「カカロット!」

「わかってる!」

「か……め……は……め……」「はぁぁぁあああ……っ!」

 

 悟空はかめはめ波の準備を、ラディッツは両手に気を集中させる。

 

「俺のギャリック法は絶対に食い止められんぞっ! 地球もろとも宇宙の塵になれーっ!」

 

 ベジータがギャリック砲を放った。

 

「「波―――!!」」

 

 悟空とラディッツも同時に放った。エネルギーがぶつかり合い周りに衝撃波が飛ぶ。

 

「なっ何ぃっ!? 俺のギャリック砲とそっくりだ…!」

 

 互角の状態だ。二倍の悟空のかめはめ波と三倍のラディッツのフルパワーエネルギー波が互角か……これ、悟空たちが既に押し勝っていても良くない?

 

「くっ、俺の技では、カカロットのかめはめ波のような一点に集中した力が出せん……!」

 

 あ、そんなカラクリだったんだ。

 

「な、なら……! 3倍だぁーっ!」

 

 悟空たちの放った技がギャリック砲を一気に押し返した。

 

「!! おっ……押され……うわあああーーーーっ!」

 

 悟空たちの攻撃はベジータまで届き空の彼方へと運んで行った。

 

「はぁ……はぁ……カカロットよ……」

「……わかってる。あいつ、まだ死んじゃいねぇ……!」

 

 ……少し時間が経ち。

 

「どうしたんだ? どうして降りて来ねぇんだ」

「……! そう言えば、月が見えん。もう見えてもいいはずだ。ベジータ達は満月の日を狙ってここに来たはずだからな」

「そういや、前にも月がどうとか言ってたけどどういうことだ?」

 

 そのタイミングでベジータが降りて来た。

 

「月を消しておいてしてやったり! ……って、とこだろうがそうはいかんぞ! ラディッツが居ながら気付かんとはな。それともただの悪あがきか?」

「やはり、そうか……!」

 

 ベジータは、掌から光の玉を出し上へと放り投げた。

 

「弾けて混ざれっ!」

「馬鹿めっ! 俺も大猿化するぞ!」

「ふん! 俺が対処していないとでも思ったか!」

 

 ラディッツの真上からエネルギー弾が降って来た。

 

「な、何ぃ!」

 

 ラディッツは咄嗟に避けるも尻尾に掠めて尻尾が消えてなくなってしまった。

 そして、ベジータは大猿となった。

 

「ぐっ……! し、しまった!」

「ぐはははは! どうだ、貴様ら! 今度こそ終わりだ!」

「お、大猿の化物……!」

 

 悟空は、自分の義理の祖父である悟飯を殺してしまったのが自分であると気が付いたようだ。原作でこれ以降触れられることもないけどね。

 

「カカロット! 元気玉だ! それしかない!」

「あぁ!」

 

 悟空は距離を取ろうとその場を離れる。

 

「おいおい、逃げるのか?」

「はっ、お前の相手なんぞ俺一人で十分だ!」

「……ラディッツ。どうやら、先に死にたいようだな」

 

 悟空は離れた位置で両手を挙げ、元気玉の準備をした。

 ラディッツはベジータにいいように遊ばれていた。叩きつけられ、足を踏みつぶされた。

 

「ぐあああーーーっ!」

「おっと、うっかり足を踏みつぶしてしまった。ん……!」

 

 ベジータは悟空の気配に気づいたみたいだ。

 

「な、何をしている……? 何かやばそうだ……くらえっ!」

 

 ベジータは口から怪光線を悟空に向けて放った。

 

「なっ!?」

「五倍界王拳っ!!」

 

 ラディッツは、悟空を庇った。

「ぐわああああ!!」

「に、兄ちゃん!」

 ラディッツを気遣おうとした瞬間

「で、できた!」

 元気玉が完成したようだ。

「はーーっ!」

 

 すぐさま悟空は元気玉を放ち、ベジータに直撃した。

「ぐわああああ~~っ!」

 エネルギーが起こす衝撃波が伝わり、ベジータを空中へと押し上げていく。

「ぎゃぁあああああ……!!」

 

 ベジータは再び空の彼方へと飛ばされていった。

 悟空はすぐにラディッツの下へ駆け寄った

 

「だ、大丈夫か!? 兄ちゃん!」

「……な、なんとかな。さ、さすがに死んだかと思ったぜ……」

 

 ベジータは落下して、地面へと叩きつけられた。

 

 さて、大猿状態だったけど威力減退が起きていない元気玉をくらった。……どうなったかな? ……なんか普通に起き上がる元気はありそうな気がする。手を出すつもりはなかったけど、ヤジロベーがいないし、万一の時は……ね。

 

「……ぐっ!」

 

 やはり、ベジータは立ち上がった。

 

「い、今のは俺も死ぬかと思ったぜ。か、かなりのダメージだったが貴様らゴミを片付けるぐらいの力は残っているぞ」

「ち、ちくしょう……!」

 

「……仕方ない」

 

 私は、刃状のエネルギー波をベジータの尻尾めがけて放った。地球ごと切断しないように威力は調整したが、圧倒的な力を持つ私が放つのだから外すわけもなくベジータの尻尾は切断された。

 

「な、なにぃっ! お、俺の尻尾が……!!」

 

 ベジータは人間の姿に戻っていった。

 そして、私はベジータの目の前に立った。

 

「本当は手を出す気なかったけど、さすがに勝てなそうだったからね~。まぁ、美味しいとこどりみたいで気が引けるけど、仕方ないよね」

「こ、この女っ!! まだ、いやがったのか!」

 

 ベジータは私に攻撃をしかけるが、元々私のほうが力が上だし、ベジータは大きなダメージを負っている。私にそんな攻撃が当たるわけもない。

 

「ほら、満身創痍なんだからさっさと、帰りなって」

「こ、このぉ……! 舐めやがって……!」

 

 うぅむ。この時点で攻撃を仕掛けると弱い者いじめみたいになるから嫌だけど、帰る気が起こるぐらいダメージを与えなきゃダメっぽいな……

 私は右手の人差し指に力を込めた。

 

「でやぁっ!」

 

 またパンチを空振ったところで

「えい」

ベジータの広い額に少し強めにデコピンをくらわせた。

「ぐあぁああっ!」

 

 ベジータは地面に擦られながら、吹っ飛んでいった。

 

 ベジータは止まった所で懐からリモコンを取り出し、宇宙船を呼び寄せた。

 私は元気だけど、見逃す気満々なので放置。

 

「い、いいのか……? 止めを刺さなくて……」

 

 ラディッツがそんな疑問を口にする。

 

「別に最初から殺す気ないし、ラディッツは殺してほしいの?」

「……いや、許せなくとも仲間だったんだ。殺したくはない」

 

 とってもラディッツっぽくない発言。ちょっと変わりすぎじゃない?

 

「そう。それで、悟空は?」

「オラはここであいつを殺すのはもったいねぇ気がするんだ……だから止めは刺さないでくれ。今度来たら絶対倒せるだけの実力を付けるからよ」

「元から止めを刺すつもりはないよ」

 

 ベジータは体を引き擦りながら宇宙船に乗り込んだ。

 

「よ、よく覚えておけよ、ゴミども……こ、今度は貴様らに奇跡はないぞ……くっくくく……せいぜい楽しんでお……おくんだな……」

 

 宇宙船の扉が閉まり、宙へと飛んで行った。

 

「負け惜しみもあそこまで言えると清々しいねー」

 

 私は宙を見上げながら言った。

 私は倒れ伏しているラディッツと今にも倒れそうな悟空の傍へと向かった。

 

「二人なら勝てると思ったんだけどなぁ……はい、仙豆」

 

 私は仙豆をまだ12個程ストックしてある。この二人にあげても10個残る。

 二人は仙豆を食べて全快した。

 

 

 

 

「おい、イーヴィ。お前、最初から戦ってもベジータに勝てただろ」

 

 ラディッツにそんなことを言われた。図星だけど正直に言う必要もない。

 

「そんなことはないさー。君たちがベジータの体力を減らしてくれたからこそ私は余裕で倒せたのさ」

「ちっ、アホらしい」

「でもよぉ、イーヴィはなんで戦わねぇんだ? あんなに強ぇのによ」

「私はサイヤ人と違って別に戦うこと自体は楽しくないの。ギリギリの戦いを鑑賞するのが面白いの。高みの見物が一番好きなのよ」

「……へっへへ」

 

 私の発言にさすがの悟空も苦笑いしかできないようだ。

 

「さて、君らに休みなんかないよ。次の敵に備えて修行と行こうじゃない!」

「お、おい、次の敵ってなんだ……!?」

「ラディッツは私のしていたことを知らないわけないでしょ。そうすれば自ずと答えはでるよね?」

「……? ……! ま、まさか……!」

「次の標的はフリーザよ!!」

 




ラディッツが頑張りました。今後も活躍するかはわかりません。

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