外道屋のドラゴンボール   作:天城恭助

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02 第21回天下一武道会

 結論から言おう。ヤムチャは強くなった。どれくらいかと言えば、今回の天下一武道会で優勝できるのではないか、というぐらいには強くなったと思う。ただし、今回の天下一武道会には参加できない。何故かと言えば、私が少々いじめすぎた。重りは悟空たちが亀仙人の所でやっていた倍以上。毎日フルマラソン。強くなってきたところで毎日2回以上。至近距離からの200~300キロの野球ボール避けなどなど。特に野球ボール避けで100球ぐらい同時を休む間もなく連続でやったら軽く殺しかけてしまった。時々、銃弾もぶっ放していたので主な原因はそっちかもしれない。私も同じメニューをこなしていたが、私の身体は機械なのでなんの苦痛もない。ボールが当たっても痛くもかゆくもない。

 

「仕方ない。代わりに私が天下一武道会に参加しよう」

「イ、イーヴィさんが!?」

 

 ヤムチャは私のことをさん付けで呼ぶようになった。私のことを軽く恐怖しているようにも感じるけど、そこは気にしない。むしろ、私に対する感情が強いなら良いことだ。

 

「へへっ、修業で怪我して参加できなくなるなんてだせぇ」

 

 ウーロンが軽く毒を吐く。同じところで暮らしていれば、当然会うこともある。スケベであるが、悪いやつではない。豚だが。一回、私にちょっかい出してきたときは灸をすえてやった。それ以降は、おとなしいものだ。

 

「イーヴィさんの修業をお前もやってみるか? ウーロン」

「勘弁してくれよ!」

「確かに、仕方ない気もするけど……やっぱり情けないわね」

「もう許してくれよ」

 

 ヤムチャの姿は、松葉杖をついた半ミイラ君状態だ。間抜けに見える。多分、これが最初で最後の優勝できるチャンスだったのに……かわいそうなヤムチャ。まぁ、私のせいなんだけどね。

 

「それじゃ、私は予選に行ってくるよ」

 

 

 

 予選会場である競武館に入ると視線が集まっているのを感じる。あぁ、私って美人だから。こんなところに女が来るなんて珍しいだろうし。でも確か、ランファンとか言う女も出てた気がするけどお色気に頼るただの下品な女なので眼中になし。

 

 予選は楽勝だった。指で突けば勝手に倒れてくれる。実力差がそれだけある。武道会行きを決めた後、悟空を探しに行った。そして、丁度武道会行きを確定させたところを見つけた。

 

「やぁ、君が悟空だね。武道会出場おめでとう」

「おめぇ、確か……あれ? どっかで見たような気がするんだけどなぁ。それにどうしてオラの名を?」

「ブルマから聞いたのよ」

「ブルマの知り合いかぁ。おめぇも武道会に出るんか?」

「そうよ。こう見えて私、強いから」

「へぇ~。すげぇんだな」

 

 少しは私に興味を持ってくれたようだ。

 

「そうそう。ブルマやヤムチャが来てるから挨拶しに行ったら?」

「そっか、じゃあ行ってくる!」

 

 武道会出場を決めたクリリンと共に観客席へと走っていった。

 

 

 

 本戦は、原作と変わらずヤムチャの代わりに私が入る形になった。つまり、一回戦の私の相手は亀仙人もといジャッキー・チュンなわけだ。わざと負けてもいいが……私はヤムチャのように噛ませ犬ではないので、手加減していい戦いを演出しつつ勝つことにしよう。下手をすると亀仙人の武道家としてのプライドをズタズタにしてしまう可能性があるが……スケベジジイだし、天津飯の時も若い者に追い越されることを善しとしていたし、問題ないだろう。

 




哀れ、ヤムチャ

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