いやぁ、ヤードラッド人は良い人達でしたね。さすが、急にやってきた悟空を介抱して、瞬間移動まで教えてくれた人達なだけある。
何故、私がヤードラッド星を目指したかと言えば、当然瞬間移動が目的だ。これが使えれば移動のみならず、戦闘にもかなり役立つ。これで死ななくても界王様ところへも自由に行ける。
ヤードラッド人は、私にも懇切丁寧に瞬間移動について教えてもらえた。悟空が1年もかかって体得した技なだけあってかなり苦労したが、技術の確立もできそうで、機械の身体でも使えるように転用できそうだ。まぁ、元の世界での転用は難しそう(いわゆる中国の民間療法などで言われる気はあっても、ドラゴンボールのような気という概念はないため)だが……このドラゴンボールの世界に限って言えば、使うのに支障をきたすことはないだろう。
私も悟空と同じ様に1年程でこの瞬間移動の習得に時間を費やし、さらに地球に帰ってもう2年使って技術転用できるようになった。これの為に会社の金を使いまくったけど、ちゃんとお給料と税金は払っています。
会社のお金を使いまくったけど、さすがに瞬間移動の技術を一般に伝えたくない。いつか誰かが到達する技術かもしれないが、今発表したらなんかめんどくさいことになりそう。それに行けるところはやっぱり人の居る所だから、プライバシーなんてあったもんじゃない。
こうして、瞬間移動の為に技術開発を行っていたらもう天下一武道会が開かれる年になってしまった。特になんの対策もしてないが、悟空は天界で修業を積んだからピッコロを倒せないこともないだろう。唯一懸念があるとすれば、悟空が超神水を飲んでいないことだろうか。でも、あれは潜在能力を引き出す道具だから修業によっても引き出せるものだ。心配する必要はないはず。
天下一武道会の日、丁度全員揃ったところに私は着いた。
「ハロー、みんなお久しぶり」
右手を挙げて挨拶する。
「ブルマは久しぶりって程でもないけど」
「つい最近、あんたの研究ちょっと手伝ったりしたしね」
皆が私を懐かしがってくれた。
亀仙人とランチさんはテレビで何度か私を見ていたみたいで、そうでもないようだったけど。
「大きくなったね、悟空」
「あぁ、じっちゃんたちに言われるまでそんな感じなかったけどな」
武道会会場から予選が始まるので競武館に集まるようアナウンスが流れた。
「それじゃ、みんな頑張ってね」
「頑張ってねって……イーヴィは参加しねぇんか?」
「今回特に出る目的がないからね」
「なんだよ……今度こそちゃんと勝ちたかったのに」
「戦うのはまた今度ね」
「ちぇっ」
悟空は大人の見た目になっても大きくは変わらないのよね。そこが彼のいいところでもあるけど。
予選結果とトーナメント表は原作通りとなった。私が介入していなければ当然の成り行きだけど。でも、ヤムチャの試合がちょっと気になる。初めて会った時にわずかだけど鍛えて、それによって天津飯に足を折られることが回避された。今回でも何かしら響くといいのだけど。
予選終了後、私は競武館の方を歩いていた。
「そこに居るんでしょ」
予想通り、ピッコロの姿があった。
「貴様、何故この大会に出場しない」
「私が大会に出ても優勝するのはわかりきっているからね」
「ふん。貴様を殺すためにこんな茶番に参加したというのに」
「悟空を倒せたら、戦うことを考えてあげるわ。あなたにとって私以外で世界征服の邪魔になるのは彼ぐらいだろうし」
「ならばその悟空とやらを殺し、お前も殺してやる」
「できればね」
「言ってろ」
ピッコロはその場を去って行った。
私は観客席に戻るとするかな。人にばれないよう、認識をずらす神の力を使って。
イーヴィさん、天下一武道会出ないってよ。
なので次回で無印最終回です。