外道屋のドラゴンボール   作:天城恭助

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ヤジロベーが出てきますが、アニメのような訛りはありません。原作仕様です。


21 イーヴィの陰謀

 私は起き上がった。心臓が止まっているというのは本当だが、そもそも今の私の身体は機械なので心臓などない。電源スイッチを切って死んだようになっていただけだ。

 

「おめー、生きてたのかよ!?」

 

 あ、ヤジロベーが居る。

 

「あなたは?」

「俺は、ヤジロベー様だ」

 

 知ってる。それにしても偉そうにしている。食い意地はっているだけなのに。

 

「そう……」

「おめー、どうして生きてんだよ? 確かに死んでたよな?」

「私の身体は機械よ。そもそも生き死に関係ない」

「おめーが? どう見てもただの女にしか見えないぜ」

「ただの女よ。身体は機械だけど」

「……それは女って言わん」

「精神も見た目も女の子の私になんて失礼な」

「百歩譲っておめーが女の子だとしても化物と戦うような女はただの女じゃねぇ!」

 

 ごもっとも。

 

「確かにそうかもしれないね」

「それで、これからどうするんだよ?」

「しばらく待って、ピッコロ大魔王を倒しに行くわ」

「やめとけよ! 今度こそぶっ殺されるぞ」

 

 ヤジロベーって実は良い人だよね。サイヤ人編でなかなかの活躍も見せるし。盗みもすれば意地も汚いけど。

 

「心配ないわ。さっきやられたのはわざと。倒そうと思えば一撃で終わるわ」

「嘘言え。それに、なんでわざとやられる必要があるんだよ」

「さっさと世界征服にでも行ってもらおうと思って」

「なんのために?」

「世界征服ともなればいろんな人が不幸に遭う。私がそれを助ける。私はこの世界を救ったヒーローとして持ち上げられる。ドゥーユーアンダスタン?」

「……おめーって相当性格悪いだろ」

「それが何か?」

 

 自覚はある。人の不幸は蜜の味とも言う。まして、私は元悪神。性格が悪くないわけがない。

 

「けっ、いけ好かない女」

「あっそ」

 

 ワンセグを取り出し、ニュースの確認をする。特に変化はない。

 

「それ、テレビか? そんな小型の製品があったのか」

 

 この世界は同じ科学技術でも異常にまで発達している分野と現実より著しく劣る分野がある。マンガだから当然か。私の会社はその辺の科学技術の穴埋めは既にしている。

 

 

「これは私の会社の製品よ」

「おめー、そんなことまでしてんのか」

「自分の会社を持っていた方が、都合がいいからね」

「機械の身体だもんな」

「そういうこと」

 

 本当はそれ以外にも理由はあるけど、別に話す必要もない。

 

 

 

 しばらくして、犬の国王がピッコロ大魔王に王位を譲ることが放送された。

 

「よしっ! 行くかな」

「おい!」

 

 飛んでいこうとしたところでヤジロベーに呼び止められた

 

「何?」

「頑張れよ」

「……ありがと」

 

 今後こそキングキャッスルへ向けて飛んだ。

 

 

 

 キングキャッスルに到着すると丁度ピッコロ大魔王が西の都を攻撃しようと外に出るところだった。

 

「やぁ、ピッコロ大魔王」

「貴様、生きていたのか」

「あれは、ただの死んだふりさ」

「ふん。死にぞこないめ」

「降りてきな。今度は、殺してあげる」

「小娘が……!」

 

 私の言うとおりにピッコロ大魔王は降りてきた。

 

「今度こそ息の根を止めてやろう」

「死ぬのはお前よ」

 

 正直、カメラが来るまで粘って勝ちたい気もするんだけど……さっさとけりをつけることにする。

 

「5秒で終わらせてくれる」

「あっそ」

 

 前と同じように手刀を仕掛けてきた。私は攻撃される前にピッコロ大魔王を蹴り上げた。

 

「ぐおっ!」

 

 カウンター気味にくらい、武空術によって空中で受け身を取った。

 確か、原作でもあれぐらいの位置でやられていたと思うし……力を集約して、貫通力の高い技がいいかな。

 

「はぁっ!」

 

 貫通力を高めた、ただのエネルギー波だ。それは、ピッコロ大魔王の胴体に巨大な穴を開けた。

 

「な……なんだと……! このピッコロ大魔王がこれほどあっけなく……!」

 

 私が本気を出せばざっとこんなものよ。

 ピッコロ大魔王がブツブツ言った後に卵を吐き出し、大爆発を起こした。

 私は城に居る犬の国王に向かってピースした。

 

「ピッコロ大魔王は死んだ! 私の勝利だ!」

 




ピッコロさんが登場できるように手加減するイーヴィさんでした。
そして、今後二度と出番がないであろうヤジロベー

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