気分が悪い……違う、落ち着かない気分だ。誰かを不幸にしたいとか、そんな気分。
クリリンや悟空、ヤムチャに心配されたが奥で休んでいると伝えて、休んだ。
私は元とは言え悪神だ。そのつもりで元の身体を構成したのが間違いだったのかもしれない。悪神の形を作り出し、その体を利用することでそれに意識が引っ張られたのかもしれない。何にしても推測の域はでないけど。
最大の敵は自分か……前にもあったな、そんなこと。少し、昔のことに思いをはせる。
外では悟空とクリリンが闘っているようだ。力関係が変わらない限り、どう足掻いても悟空が勝つだろう。結果は火を見るよりも明らかだ。歴史的事実ともいえる。
急に静まり返ったので、多分悟空が勝ったのだろう。すぐに審判が悟空の勝利を告げたのが聞こえた。
すぐに決勝戦が始まったらしく、すぐに歓声が聞こえてきた。この機械の身体は音もよく拾ってくれるので、戦っている音も聞こえる。見てないから詳しくはわからないが、悟空がずっと圧倒しているようだ。私と天津飯との戦いをじっくりと見たせいかもしれない。
――あ、外から光が……太陽拳使ったな――
さすがに私との戦いのあれで瀕死まで追い込まれたとは言いづらいし、多分そういうことだろう。
鶴仙人の指示によって餃子が試合を妨害していたようだが、原作通り天津飯に気づかれ、亀仙人がかめはめ波で鶴仙人を遠くに飛ばしたようだ。どうなるか不安だったが、亀仙人はしっかりと活躍してくれたようで嬉しい。
しばらくして、天津飯が避けろという旨の発言をしているのが聞こえた。気功砲を撃つんだろうなと思ったら、爆音が聞こえた。さて、原作と違って時間がずれたことと悟空が終始優勢だったことは勝敗に響くのかな。――審判から伝えられたのは、悟空の勝利だった。狙ったわけじゃないけど、そうなると思っていたよ。さて、外に出て悟空の勝利を祝うとしよう。
「なんだ貴様は」
緑色の怪物が居た。ってか、タンバリンだっけ? 手には武道会の名簿とドラゴンボールがあった。
「……それ、君のものじゃないよ。返してくれない」
私の中の冷たい何かが溢れ出す。ストレスもとい私の中の悪を発散させなくちゃ。
「誰が返すか。死にたくなければ、おとなしくしているんだな」
「へぇ……つまり、死ぬ覚悟はできているんだね」
私は躊躇なくタンバリンの心臓を手刀で貫いた。
タンバリンは「え?」という情けない言葉だけを残して絶命した。
タンバリンの手からドラゴンボールを奪うと、クリリンが入ってきた。
「......ディザルムって人? それとも、イーヴィさん? 一体、これは……」
「そいつがドラゴンボールを取っていたみたいだから奪い返したわ」
「そ、そこまでする必要はなかったんじゃ……」
「必要はあったわ。こいつを殺さなきゃ、他に死人が出た」
「どういうことですか? 説明してくださいよ!」
「ピッコロが現れた」
「え?」
私は走って外に出た。
「待ってください! ピッコロって一体……!」
外で悟空たちを見つけた
「あ、イーヴィ!」
私の様子を見た悟空が難しそうな顔をする。
「何かあったのか?」
「悟空、今すぐ次の武道大会の準備のためにカリン塔に向かいなさい」
「急になんだよ」
「それでカリン塔に着いたらカリン様に天界に行きたいと言いなさい」
「どうしたと言うのじゃ。それに天界じゃと?」
「私は行かなきゃいけないとこができた。何があったかはクリリンに聞いて。それじゃ」
私はピッコロ大魔王のいるところまで、飛んで行った。
イーヴィさん、未だ少し乱心中。