外道屋のドラゴンボール   作:天城恭助

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17 再戦! 悟空 対 イーヴィ

 第三試合であるクリリンと餃子の戦いは寸分違わず原作通りだった。違うところは、ヤムチャも観戦していることぐらいだ。クリリンの対戦中に起きたようだ。

 それにしても、餃子って悟空以上に頭が悪いよね。悟空が計算できるかはわからないけど、悟空なら少なくとも二回目以降引っかかることはないだろう。でもこれ以降、餃子の頭悪そうな描写はないから、特に問題はないでしょ。

 ま、ピッコロ大魔王と会わせなければ、サイヤ人編までは死ぬ要素はない。そこまで気に掛ける必要もないはずだ。

 

『それでは、第四試合を開始します』

 

 私と悟空が武舞台に上がる。

 

「悟空、全力を出しな」

「あぁ、イーヴィなら戦闘用のパワーでも勝てるかわかんねぇからな。全力でいくさ」

 

『孫選手は、やはり亀仙人の弟子のひとりでありまして、イーヴィ選手と孫選手は前回の武道会の決勝戦で闘っており、その戦いではイーヴィ選手に軍配が上がりました。孫選手にとってイーヴィ選手は因縁の相手と言えるでしょう』

 

 

『対して、イーヴィ選手は、この天下一武道会以外にも世界武道選手権大会で優勝しています。また、今や世界一の会社であるカプセルコーポレーションに追いつこうという業績をだしている外道屋の社長でもあります。まさに、文武両道の選手なのであります!』

 

 観客が沸く。ナイスコメント、審判の人。

 でも、私は審判からマイクを奪う。審判の人に嫌そうな顔されたが気にしない。

 私は、天を指さす。

 

「最強は一人、この私だ!」

 

 こういう演出した方が盛り上がるので、最近こういうのをよくやる。注目度が増す度に力が増すのがわかる。積み重ねが大事。

 マイクを審判に返した。

 

『それでは第四試合、はじめてください!』

 

 

私と悟空は互いに構えを取る。

 

「へへっ、いつの間にそんな目立ちたがり屋になったんだよ」

「ちょっと、事情があってね」

 

 私は悟空に飛び掛かった。様子見にパンチを放つ。悟空はそれを捌き、私にカウンターをくらわせようとした。私はそれを避けきれずくらってしまった。

 

「あれ? 当たっちまったぞ」

 

 ちょっとふっ飛ばされた。

 

「……痛いなぁ。この感覚久々なのよね……」

 

 最後に痛みを感じたのは、何年前だったかなぁ……

 私はふらふらと立ち上がる

 

「おめぇ、本当にイーヴィか?」

「ふふふ……私は正真正銘、イーヴィだよ。でも、その疑問は半分正しいかな。身体は別物だからね」

「何……!?」

「はぁーっ!」

 

 私は右の拳に力を籠める。左手を前に出し、右手を引く。

 

『イーヴィ選手の拳が光っている! 一体、何をしようというのでしょうか!?』

 

 昔、元ライバル兼友人に使われた技だ。私の身体である、機械の首が飛ばされてしまった技。

 

「閃光拳っ!」

 

 右の拳を前に突き出すと閃光を放つ塊が光速で、悟空の腹に突き刺さる。

 

「ぐあっ!」

 

 悟空は地面に擦り付けられながら吹き飛んだ。場外まではいくことはなかった。

 

「今までの私じゃできなかったことよ」

 

 改造すればできなくもなかったけど、原理は別物になる。今のは神としてのエネルギーとかそんなのではなく、純度100%私の気だ。この身体は生身であって、機械じゃない。だからこそ気が出せる。ちなみに月を壊したのは気ではない。私が作った実弾だ。以前、槍を破壊したのも同じものだが、あの時は出力を間違えちゃっただけだ。

 

 悟空は平然と立ち上がった。

 

「やっぱ、イーヴィは強ぇな。でもよ、前の時の方が強かったんじゃねぇか?」

「大正解。今の私はそんな強くないわ」

 

 生身の方が神としての力は強いが、こと純粋な武力では、機械の身体に大きく劣る。神としての力を使えば、その内、機械の身体以上の力が出せるようになるけど……生憎、有限のものなので使用は控えたい。限りなく無限に近づけることはできるけどね。

 

「それでも、今の悟空よりは少し強いと思うわ。次は連続でいくわよ」

 

 私は、閃光拳の構えを取る。なんか、この技を連続で出すとなるとちょっとペガサス流星拳っぽい気がする。

 

「はぁーっ!」

 

 私が拳を突き出すと閃光が何発も悟空に襲い掛かる。悟空はそれを全て避けた。

 

「か…め…は…め…」

 

 悟空はジャンプで避けたところで

 

「波っ!!!」

 

 私に向かって撃ってきた。

 

「その程度っ!」

 

 閃光拳によってかめはめ波をかき消した。が、悟空の姿を見失った。

 

「どこっ!?」

「ここだ!」

 

 悟空は私の懐に居た。

 

「だぁーーっ!」

 

 連続パンチで私の腹を攻撃し、止めに顔に蹴りを入れられた。

 

「どうだっ!」

 

 私は耐えきれず、後ろに倒れた。

 やばい、久しぶりの痛みで結構きつい。というか、女の私にこんな容赦ないパンチと蹴りを入れてくるなんて……さすが、悟空と言うべきか。うん、思ったより楽しめた。

 さて、今回勝つつもりはないし、驚かせてからギブアップすることにしよう。楽しませてもらったお礼だ。少し神の力を使う。

 私は立ち上がって、口の中を切って出た血を拭う。

 

「悟空、最後に驚かせてあげるよ。威力は今の私が出せる最高出力だ」

「一体、何を……」

 

 呼吸を整える。

 

「あ、観客のみなさん! 伏せることをオススメします! 下手すると死にますから! 審判さんも伏せた方がいいですよ」

『り、理由はわかりませんが、イーヴィ選手程の実力者が言うのであれば、仕方ありません』

 

 事実だけを述べた。これで死者が出ても私は気にしない。一部の観客はなにを言っているんだという感じだったが、ブルマ達は、理解はできないが納得したようで伏せた。

 それを確認して、私は気だけでなく神としての力も練り上げた。そして、憧れのあの技を使うことにした。

 

「かぁ…めぇ…」

 

 皆、一様に驚いてくれる。使える奴意外と多いのに新しいやつが使うたびに驚く人がいるよね。

 

「はぁ…めぇ…」

 

 

――――――――波っ!!!

 

 極大のかめはめ波が悟空めがけて飛んだ。こんなでかいのまともに当たったら悟空でも死ぬが、避けられるように調節はした。

 かめはめ波を撃ったことによる衝撃波で、誰も立ってはいられず、さらに観客席前の塀が一部崩れた。

 かめはめ波を観客席手前で上へと進路を変えた。こんなパワーが地球に当たったら、地形が変わるってか、死傷者が沢山出るからね。

 

「ふぅ……悟空、生きてるー?」

 

 右腕に焦げた跡が残る悟空がいた。

 

「なんとかな……」

「そっか……じゃあ、降参」

『はい? イーヴィ選手、今、降参と言いましたか?』

「言ったよ。降参って」

 

 ここにいる全員が「えーっ!!」というような反応をした。

 

「どうしてだよ!?」

 

 悟空も納得いかないようで私に言う。

 

「さっきので、力使い果たしちゃったし……あと、私はこの後の悟空の試合がみたい。ここで悟空に勝っちゃったら、それで終わりじゃない」

「そ そうかもしんねぇけどよぉ……」

『ど、どうも私を含め皆さん納得できなさそうですが……ルールはルールです。孫選手の勝利です』

 

 さて、私はピッコロ大魔王戦について考えるかな。既にお復活されているようだし。




イーヴィさんの生身はこの時点の悟空と互角ぐらいの力です。ただし、神の力を使うとさっきの場合は初期のベジータぐらいに跳ね上がっています。燃費を気にしなければ、フリーザ第一形態が消し飛ぶレベルです。イーヴィさんの知名度と人気度がさらに上がれば、ドラゴンボールのインフレに置いて行かれるどころか突き放す勢いで強くなります。

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