外道屋のドラゴンボール   作:天城恭助

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今回の話は第22回天下一武道会までの3年間でイーヴィが何をしているかの話です。


13 イーヴィの野望

 私は西の都に戻った後、カプセルコーポレーションを出ることを決めた。家出とかそういう意味ではなく、部屋を出るという意味だ。西の都にいる間はヤムチャに修業を付けてた以外ではずっと研究室に引きこもっているつもりだったけど目標達成のために必要があると考えた。

 私が外に出る目的は、有名人になることだ。

 私の力は、人々が持つ私に関する記憶や私に対する感情によって決まる。人々が私に強い印象を覚えたり、とにかく強い感情を向けられるほど私は強くなる。

 

 現在の私の力は、私の持つ科学力によるものであり、私自身の持つ力ではない。元の世界では、安易に力を求めるのは危険だと判断したために大きく目立とうとはしてこなかった。何者かに利用される可能性を考えてだ。悪神時代は、それのおかげで消滅することになった。だが、この世界は私の世界とは全くの別物だ。そこまで考えるのは杞憂だろう。むしろ、私がミスターサタンの様な存在となれるのならば、強力無比な力を手に入れられる。神龍なしで神龍並みに願いも叶えられるだろう。地球の神の様な役に……使い物に……とにかく私の方が有能な神になれるのだ。別に地球の神になる気はさらさらないけど。

 

 というわけで、私はこの3年の間に格闘大会で優勝して有名になる。しかも、それだけに留まらず、アイドル活動もこなしてみよう。さらにさらに、科学者としても大成しよう。そうすれば、私は超有名人だ。そうなれば、生身の身体を取り戻すのも容易だろう。

 

 でも、戸籍を持たない私では格闘大会やオーディションに参加できない。科学者としては、カプセルコーポレーションのコネを使えばいけそうだが……地道にストリートで目指すか……

 

 目指せ! 歌って踊れて戦える天才科学・武道家アイドルイーヴィちゃん! ……長いな。

 

 

 

 この世界では何故か意味不明の自信でもって挑戦料を貰って、ストリートファイトを行い勝てたら賞金を出すというような馬鹿が結構いる。こいつらは天下一武道会を見ていないのだろうか、とよく思う。見てればそんな自信は粉々に砕け散ると思うのだけど……ただ、私の目的のためにはいいカモだ。知名度と金が貰えて一石二鳥だからね。都中を探せば一人はこういう馬鹿がいたので、簡単にぶっ倒せた。私の外見が女であるという油断もあって、挑戦料が無料になることもあった。そんなことを一週間ほど続けると天下一武道会で優勝したこともあって、そんな馬鹿どもであってもさすがに学習しており、戦いを避けられるようになってしまった。それでも500万ゼニーは稼げたけど。

 天下一武道会の優勝者がストリートファイトで荒稼ぎしているという噂は全ての都で広まってしまった。どうも一般市民にも恐怖の対象として噂されているようで、好ましくないことだ。そこで私は、ストリートライブに路線変更した。この世界で見かけたことはないが、元の世界では割とメジャーな行為だ。だけど、この世界では弾き語りをする人と言うのは物珍しいらしく初回から結構観客が付いた。この機械の性能も手伝って私の歌はかなり上手い。それ故に歌い終えれば、拍手喝采を貰えた。ちなみに曲は大体ドラゴンボール関連。歌詞にドラゴンボールって付いているのは歌ってないけど。

 

 ストリートファイトとライブを繰り返していると一ヵ月程でテレビ局の取材がやってきた。できるだけ好印象を持たれるように受け答えをし、天下一武道会で優勝したこともあると言っておいた。

 

 何度か取材を受けているうち、テレビ局側から世界武道選手権大会の予選に参加してみないかというオファーを貰った。当然、私の目的のために受けた。というか、基本的に雑魚しかいないので優勝は楽勝だった。まぁ、ただ勝つんじゃ面白くないから、踊ったり、歌いながら戦った。そのあいだに私は攻撃を避けようとはしないし、当たっても動きを止めなかった。決勝では、目隠しと腕を縄で縛って挑んだ。当然、相手は激昂したが、頭突きの一撃で仕留めた。おかしな行動のせいで、変なファンが増えたりしたが、それでも向けられる感情が強い分には別にいいことなので気にしない。相手がパンプットとか言う、なんか次の天下一武道会に出ていた雑魚だった様な気もするがそれも気にしない。

 優勝インタビューにはこう答えた。

 

「最初から私が本気を出したら、一瞬だ! 最強たるものの戦いはエンターテインメントでなければならない!」

 

 某元キングの台詞をパクリつつ、観客を沸かせた。あれは、決闘者だけど。

 

 

 武道家としては名が売れたので、今度は科学者として頑張ることにした。今まで稼いだ賞金を基に開発を開始した。そして、完成させたのが普段着に使える防具だ。この世界はやたらと強盗が多い。傷害事件もままある。それだけに自分の身を守るものというのは需要があると考えた。

 薄くて肌着として使え、ゼロ距離でライフル銃を撃とうとも貫けない超高性能品だ。この開発で今まで貯めた金がほぼ吹き飛んだ。だが、カプセルコーポレーションの名を借りて世に出すと売れる、売れる。最初作ったのは、10個ほどで一つ2000万ゼニーだったが即完売。速攻で増産する。量産に向かないものであるためたくさん作れなかったが、純利益で100億ゼニーはいった。私はその金で東の都に会社を起ち上げた。会社名はもちろん外道屋だ。

 ちなみに東の都に会社を建てたのにはちゃんと理由がある。将来、ナッパとベジータの宇宙船が到着する場所だからだ。ナッパとベジータによって起こされるはずの破壊を目の前で防げたのなら、私の注目度も倍増だ。

 

 この前科学者としてテレビ局からインタビューを受けた時は

「私の科学力は世界一ィィィ!」

と言っておいた。ドン引きされた。おのれシュトロハイム

 

 

 ……しかし、この3年間で私は強く(有名に)なり過ぎてしまった気がするな。




外道屋、爆誕。元のとは別物ですが。

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