外道屋のドラゴンボール   作:天城恭助

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暇つぶしで始めました。期待しないでください。


プロローグ

私はついに完成させてしまった。

某猫型ロボットが使っていた、あれを。ロマンが詰まったその改変版。

 

「絵本入り込み靴~改め、漫画入り込み靴~」

 

誰もが思い描くであろう、作り物に過ぎない世界へと足を踏み入れることを可能にする夢の様な道具だ。ただ入るだけでなく物語への干渉も可能で、その本自体の内容も変わる。

 

 気まぐれに適当なことを考えていたら奇跡的な何かによって謎のお告げが私に降りてきて、私の力で偶然完成した。

 

 この靴原作と何が違うと言えば、巻が分かれていても問題ないところにある。原作の方では、絵本のページがバラバラに差し替えられるとその通りに滅茶苦茶になったりするけど、これに関しては全く影響がない。我ながら素晴らしい魔改造っぷりだ。

 

 しかし、この道具にも原作同様の危険性が存在する。靴が両方そろっていなくては効力を発揮できない点だ。入ってきて帰れなくなる可能性が存在するのだ。……とは言っても作った本人がいるので、壊れたり無くしたりしても作ればいい話だ。その漫画の中に必要な材料が揃っているとは限らないけど、無くても私が作り出せばいい。何せ私は元とは言え神だったのだから。神というのは少しばかり語弊があるかもしれないけど、悪神と呼ばれていた時期が私にはあったのだ。

 

 誰かを誘うことも考えたが、まだ試作段階なので気が引けた。私が作った以上失敗などありえないが、万が一ということもある。今まで何度もいろんな人を危険な目に合わせたが、大体命の保証ができる程度には保険をかけてきた。悪神などと呼ばれていたり、今でも外道屋の社長として悪行を働くことはあるけど、人死にが出るような事態は避けてきた。悪行と言ってもかわいい、程度が知れた悪戯みたいなものだ。それも元悪神というアイデンティティがあるからやっているだけで別に拘りがあるわけじゃない。

 

 というわけで、一人で楽しもうと思ったのだが、どの作品に入るか迷うな。ランダムで選んでもいいんだけど、どうせなら思いっきり楽しみたい。そうだ、累計発行部数がトップの……ないな。完結していない作品はやめておきたい。ここは、ドラゴンボールにしておこう。

 

「え? ドラゴンボール超? 知らない子ですね」

 

「ドラゴンボール超が終わってないだろ! いい加減にしろ!」という電波を受信したが、そういうことなので気にしない。

 しかし、目的意識なしに入るのもどうかと思うし、ちょっと無理難題に挑戦してみることにしよう。

 

『悪人、悪役、自然死などを除き主要人物から死傷者を出さない』とかどうだろう。……自分で考えておいて難だが、かなり無理がある。死ぬことで誰かのあるいは己の成長に繋がることが割とよくあるこの作品では、その場は大丈夫でも後々やばいことになりかねない。

 

「……でも、やってみよ。おもしろそうだし」

 

そして、早速入ることにした。だが、すぐに私らしくない失敗にちょっと後悔することになった。

 


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