「え...?」
アーガマの上空に滞空している1機のMS、《ユニコーンガンダム》。
その姿は一本角の時とは違い、角は割れ、金色の光を放ち、各部のフレームがスライドし、骨組みであるサイコ・フレームが露出している。
その姿はさながら、宇宙世紀の英雄、《ガンダム》である。
『ネェル・アーガマ、後退して!後は俺とユニコーンで何とかする!』
頭の中にバナージ・リンクスの声が響く。
――やっぱり、足手まといなのかなぁ...
『アーガマ、敵の艦載機はアレに任せて、貴女は水上の敵を倒そう?』
――司令官...
「分かりました!」
『艦載機がいるということは...どこかに空母がいるはず...アーガマ、先に空母を叩いて。空母を落とせば多少は楽になるはずだよ』
「えっと...空母...ですよね?」
水上をスケートの要領で滑っていく。
すると、数百m先に、黒い点が4つ見えた。
――先制攻撃で...!
「メガ粒子砲、角度合わせ...敵を照準内に捉え...」
『発射準備、終了です!』
「メガ粒子砲、発射っ!」
自分の艦長が言っていた事を真似て声を上げる。
すると両手に持っていたメガ粒子砲からビームが発射される。
ビームは長い線を描きながら敵に向かってぐんぐん進んでいく。
「やった...?」
撃った直後の爆発は3つ、4つの点があったのに、爆発したのは3つだけ。
ということは、
――撃ち漏らし...!?
急いで辺りを見回す。
すると、数十m先に黒い点が1つ浮かんでいた。
目を凝らして見てみると、この世のものとは思えない人外が立っていた。
頭には大きな口が付いた帽子(?)を被り、手には杖、目は青く、鈍い光を放っている。
『ソイツが空母だよ!やっちゃえ、アーガマ!』
「う...分かりました...」
もう一度メガ粒子砲を構える。照準器の真ん中に空母を捉え、引き金を引く。
先程と同様にビームが発射される。だが、爆発はない。
「え...!?」
と、次の瞬間、脇腹に強い衝撃。
驚いて、確認するとそこには、鯨の化物がいた。
口からは砲塔が伸びている。
自分は砲撃されたのだと即座に理解した。
体勢を立て直し、片手のメガ粒子砲で鯨の化物を焼き払う。
そしてまた空母を落とそうと先程の位置を見るが空母がいない。
「な...なんで!?」
『!!アーガマ、後ろ!!』
――え?
アーガマが後ろを向くと4機の艦載機が向かってくる。
その腹には爆弾が抱えられている。
自分を沈めにきている敵だ。
ユニコーンはまだ艦載機と戦っている。
呼び戻しても直ぐには来ないだろう。
――ここで...終わりなの?
――アーガマ、お前はそんなに弱いのか?私は、そうは思わんがなぁ。
「オットー...艦長...」
――この艦は強い。私たちをメガラニカまで守ってくれたんですから。
「レイアム副長...」
――アーガマ、頑張って!貴女はこんなに弱くないでしょう?
「ミヒロ少尉...」
「私は...私は...弱くなんか...ない!」
爆弾が投下される。
アーガマはそれを直に受けた。
「うっ...くぅ...痛く、なんか...!」
チラッと表示されているディスプレイを確認する。損害状況『ミサイル発射管使用不能、格納庫ハッチに被弾』、そしてゲージが42%にまで減少している。武装も、ミサイル発射管に×印が付けられている。
幸い、メガ粒子砲は無事の様だ。
先程向かってきた艦載機の方向を見ると、空母がいた。
今なら落とせる。確実に、仕留められる。
砲を空母に向けて、すぐに引き金を引いた。
空母はアーガマの攻撃に気付き、回避行動をとった。
だが、数秒遅く、空母の腕をビームが掠めた。
空母の左腕が蒸発した。
左腕のあった場所からは、ドクドクと青黒い血が流れている。
空母は膝をつき、アーガマを見据える。
「............」
アーガマは空母へもう一度メガ粒子砲を向ける。
引き金を引こうとした瞬間、空母は杖を使ってアーガマの足を叩いた。
「うわっ...!?」
体勢を崩したアーガマは転倒し、水上に倒れる。
その隙をついて、空母は海の底へ沈んでいった。
「あと...少しだったのに...!」
『アーガマ、お疲れ様。帰投して~』
「あ、あの...、ユニコーンを回収してからで良いですか?」
『もちろん!あぁ、それと、楽しみにしててね~、帰ってきたらご褒美あげるから』
「あ、ありがとうございます!」
ユニコーンに帰還信号を送る。
程なくして、ユニコーンが着艦デッキに降りてきた。
そしてそのまま光って、消えていった。
「戻るときって...こういう風になるんだ...」
――あの空母...次は必ず...!それよりも...ご褒美ってなんだろう...楽しみだなぁ~♪
アーガマは空母よりご褒美を優先し、そそくさとその場を後にした....。
また出た。毎度お馴染みよくわからない終わり方。
次回は戦闘じゃなくて、鎮守府でのお楽しみ回的なお話。
出てくる艦娘は、4人くらいかな?うん。
そういえば、ユニコーンが今回NT-D発動させましたが、設定破ったわけじゃなくて、一種のチュートリアル的なやつです。はい。
感想と評価、お願いします! ( ´ · ω·`)ノシ