少女が海を渡っている最中、異形を発見した。
その異形は人の形をしていたが、肌が異様に白く、目も青く光り、巨大な砲をこちらに向けている。
ドォンと轟音が響いて数秒後、少女の周囲に巨大な水柱がいくつも立った。
「...!?」
こちらに攻撃してきているのが瞬時に分かった。
少女は戦う術を知らず、ただおろおろと海上を動くだけで、異形は攻撃を続けてくる。
――どうしよう...どうしよう...!
何も分からず混乱していると、肩に乗っていたロボットが動き始め、ライフルを構える。
モノアイを鈍く光らせ、異形をライフルに付いているスコープの中心に捉える。
それと同時にライフルの引き金を引く。
すると、銃口から緑色のビームが何発も発射され、異形めがけて真っ直ぐ進んでいく。
当たった部位を見ると、頭部に数発、体に数百発当たっており、異形に綺麗な風穴が開いていた。
異形がよろめいた瞬間、大きな爆発が起こり、異形は静かに海へと沈んでいった。
その瞬間、少女を突然の頭痛が襲う。
「う...ぁ...頭.......痛い.....!」
――バイバイ、■■■■
「う...っ、うぅ....!」
――連邦の括りから外された艦....■■■■
「れ...んぽ...う.....?くくり.....?」
先程から名前の部分にノイズが入り、上手く聞き取れない。
なんと言っているのか探ろうとすればするほど、頭痛が酷くなる。
今にでも頭が割れるんじゃないか。という程の痛みだ。
「あ...ぅあ...!誰か....っ、助け.....て....!」
助けを求めるが、誰もいないのだから、手を差しのべてくれる人などいない。
少女は海上に、頭を抱えながら倒れ込む。
そんな時、少女に近づく姿があった。
「あの~...大丈夫ですか?」
「ぁ...え....?」
自分と同じ緑色の着物を着た、女性が話しかけてきた。
自分よりも年上で、同じく海面に浮いていて、胸も自分より大きい。
「どうしたんですか?」
「え...ぁ...えっと...頭が痛くなって...それで...倒れて...」
「とりあえず...掴まって下さい」
そう言って、女性は手を差しのべる。
差しのべられた手を数秒見つめて、握り返す。
足に力を入れて、海面に立つ。
「あ、少し連絡するから、待ってくださいね?」
女性は無線機を取り出し、誰かに話しかけている。
少女はその内に、1つの考えを導き出す。
――アーガマって人について...分かるかもしれない...
女性が使っている無線機を無理やり取る。
そしてある言葉を呟く。
「アー........ガマ..........」