強襲揚陸艦ネェル・アーガマ、発進!   作:がさ丸

35 / 42
今回でガランシェール視点最後になります。




ガランシェール-3-

少女が海を渡っている最中、異形を発見した。

その異形は人の形をしていたが、肌が異様に白く、目も青く光り、巨大な砲をこちらに向けている。

ドォンと轟音が響いて数秒後、少女の周囲に巨大な水柱がいくつも立った。

 

「...!?」

 

こちらに攻撃してきているのが瞬時に分かった。

少女は戦う術を知らず、ただおろおろと海上を動くだけで、異形は攻撃を続けてくる。

 

――どうしよう...どうしよう...!

 

何も分からず混乱していると、肩に乗っていたロボットが動き始め、ライフルを構える。

モノアイを鈍く光らせ、異形をライフルに付いているスコープの中心に捉える。

それと同時にライフルの引き金を引く。

すると、銃口から緑色のビームが何発も発射され、異形めがけて真っ直ぐ進んでいく。

当たった部位を見ると、頭部に数発、体に数百発当たっており、異形に綺麗な風穴が開いていた。

異形がよろめいた瞬間、大きな爆発が起こり、異形は静かに海へと沈んでいった。

 

その瞬間、少女を突然の頭痛が襲う。

 

「う...ぁ...頭.......痛い.....!」

 

――バイバイ、■■■■

 

「う...っ、うぅ....!」

 

――連邦の括りから外された艦....■■■■

 

「れ...んぽ...う.....?くくり.....?」

 

先程から名前の部分にノイズが入り、上手く聞き取れない。

なんと言っているのか探ろうとすればするほど、頭痛が酷くなる。

今にでも頭が割れるんじゃないか。という程の痛みだ。

 

「あ...ぅあ...!誰か....っ、助け.....て....!」

 

助けを求めるが、誰もいないのだから、手を差しのべてくれる人などいない。

少女は海上に、頭を抱えながら倒れ込む。

そんな時、少女に近づく姿があった。

 

「あの~...大丈夫ですか?」

 

「ぁ...え....?」

 

自分と同じ緑色の着物を着た、女性が話しかけてきた。

自分よりも年上で、同じく海面に浮いていて、胸も自分より大きい。

 

「どうしたんですか?」

 

「え...ぁ...えっと...頭が痛くなって...それで...倒れて...」

 

「とりあえず...掴まって下さい」

 

そう言って、女性は手を差しのべる。

差しのべられた手を数秒見つめて、握り返す。

足に力を入れて、海面に立つ。

 

「あ、少し連絡するから、待ってくださいね?」

 

女性は無線機を取り出し、誰かに話しかけている。

少女はその内に、1つの考えを導き出す。

 

――アーガマって人について...分かるかもしれない...

 

女性が使っている無線機を無理やり取る。

そしてある言葉を呟く。

 

「アー........ガマ..........」

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。