少女は砂浜に再び倒れる。
青空を見て、すぐ目を閉じる。
――何にも分からない...。私が誰だか、ここがどこなのか...
目を開け、体に力を入れる。
ようやく足が動くようになった。
「やっと...動ける...!」
しっかりと足で地を踏み、ゆっくりと立つ。
再度、周りを見渡してみるがなんの変化もなく、先程と同じ風景があった。
ただ1つ変わっているものといえば、雲の形だけだ。
――...痛...っ...!
瞬間、全身に痛みが走り、膝をついてしまう。
自分の腕をあげてみると、焦げあとのような傷がいくつもあった。
それに、切り傷らしきものもあり、そこから血が流れている。
――なんでこんなに傷だらけなの...?
考えるが何の答えも出てこない。
それに恐怖感も覚える。
知らない土地、自分が誰かも分からず、方角も分からない。
――とりあえず...移動しなきゃ...
少女は自分の手掛かりとなるものを探すため、森へ入っていった。
――――――――――――――――――――
森に入って数十分が経過した頃。
――迷っちゃった....
少女は道に迷っていた。
元から方角も分からないまま森に入ったため、簡単に迷ってしまう。
と、訳も分からないまま歩いていると、開けた場所に出た。
そこには池があり、椅子がわりになる切り株もあった。
――人が...いたのかな...?
どこからどう見ても人が生活した後があった。
焚き火の燃えカスがあり、動物の骨らしき物も落ちていた。
少女が上を見上げると、木と木の間から光が差し込み、幻想的な風景が広がっていた。
「きれい....」
ボソッと呟き、前に足を出した瞬間、地面が無いのに気付いた。
「ふぇ...?」
足元を見ると、池があった。
見事に足を踏み外し、池に落下した。
「ひゃあっ!」
と、少女は自分が沈まない事に気付いた。
足を見ると、池に浮いていた。
自分の体が水に浮いているのだ。
「わ....すごい...!」
少女は感嘆の声を上げた。
数分、池の上でジャンプしたり滑ってみたりと色々してみた結果、1つの考えが浮かんだ。
――これなら...海を渡れるんじゃ...!
急いで陸に上がり、無我夢中で走り続けた。
次第に木が少なくなり、波の音が近づいてくる。
――あと、ちょっと!
草をかき分け、砂浜に出る。
太陽が海に反射し、眩しい光を放っている。
「よし...!」
意を決して海に向かって走り出す。
海面に触れると、体の底から力が沸き上がってくる。
次第に深くなり、足が着かない所まで来ると、勝手に体が浮き始める。
背中にはランドセルのような物を背負っていて、肩には緑色のロボットが2機、ライフルを構えて立っていた。
「これで人がいそうな所に行ける...!」
少女は新たな決意を胸に、海を駆けた。
―蒼龍と少女が出会うまで、あと数時間―