「私は...誰ですか.......?」
その言葉に執務室の艦娘達は、反応できなかった。
「え...ガランシェール...どうしたの...?」
アーガマが不安になって声をかける。
だが、返ってきた答えはいつものガランシェールとは、違った。
「えっと.....貴女は、誰ですか.....?」
それを聞いた瞬間、アーガマの頭が真っ白になった。
今まで自分に笑いかけてくれたガランシェールが、敬語なんて一切使わなかったガランシェールが、今はすべての記憶を無くし、ここに帰ってきたのだ。
「あ...私は...アーガマ、ネェル・アーガマ...」
「アーガマ.....?アーガマさんですね...?」
――ガランシェール...どうして...
『アノ時ノ爆発ガ原因ジャナイ?』
――爆発...?
『貴女ノ気持チニモ関ワル事ダカラ、誰モイナイ所デ話ス』
――分かった...。
「す...司令官、少し...1人に...」
「...あ!うん、分かった...」
そう言ってアーガマは執務室を出ていく。
執務室に残った艦娘達の間に思い空気が流れる。
「ね...ねぇ、皆...」
一番最初に口を開いたのは、提督だった。
――皆に教えちゃっても良いか。そうすれば気も楽になるかな?ねぇ、熊野...
「話があるんだけどさ...」
鈴谷は自分の過去について話し始めた。
――――――――――――――――――――――
~アーガマの自室~
――それで...なんでガランシェールがあんな風になったの?
『レウルーラト戦ッタノハ覚エテル?』
――忘れるわけない...
『ソレナラ話ガハヤイ』
――何なの?
『ガランシェールハレウルーラト戦ッテ、最終的ニ自爆シテ、レウルーラヲ倒ソウト思ッタ』
――........
『ダケド、倒シキレナカッタ』
――確かに...ガランシェールはいなくなってレウルーラだけ残ってた...
『アノ時、貴女ハガランシェールガ沈ンダト思ッテタ?』
――...うん
『デモ、沈ンデナカッタ。実際、サッキアソコニイタカラ』
――.......
『全テノ記憶ヲ無クシテ...』
――何で...記憶が無くなったの?
『アノ時ノ爆発デ、頭部ニ強イ衝撃ガアッタンダト思ウ』
――何でレウルーラだけ残ってたの...?
『ガランシェールハ、確カニアソコデ沈ンデイタ...。デモ、ナンデ...』
――何かおかしい所でもあったの?
『沈ンダ艦娘ハモウ二度ト浮上デキナイ水底ニ沈ム...何故ガランシェールダケ...』
――........?
『考エヲマトメル...話ハコレデ終ワリ』
――分かった...。
アーガマはベッドに寝転がり、枕に顔を埋める。
「ガランシェール......どうして.......会えたと思ったのに........なんで......!」
アーガマはただ、泣くことしかできなかった。