特に話すことも無いので、本編へ。
どうぞ~
思念との対話
アーガマは黒い空間にいた。
どこかも分からない暗黒の空間。
全方位を黒で囲まれた、密室のようで、広い空間。
――どこ...ここ...?
「貴女ノ...負ノ感情...ソノ中ダヨ」
――だれ...!?
「ダレッテ...貴女自身ダヨ?」
――私...自身...?
「正確ニ言エバ...五月雨チャンヲ助ケタ時ニ...貴女ノ中ニ侵入シタ残留思念カナ?」
――あの時の...!
五月雨が洗脳された際、深紅のMAにメガ粒子砲を破壊されたときに聞こえた、無数の声。
目の前にいる黒い霧が、その正体だと言う。アーガマの負の感情らしい。
――でも...負の感情って...
「忘レタノ?リミッターヲ外シテミロッテ言ワレテサァ...アノ行為自体ハ問題ナカッタンダケド、貴女ノ場合、私トイウ残留思念ヲ宿シテイル。ソレヲ表ニ出シタンダカラ...コウナルデショ?」
――負の感情なんて...出してない!
「ハァ...貴女、アノ空母ト戦ッタノ覚エテル?アノ時、カナリノ怒リト憎シミトカ出テサ...元々ハ小サイ深海棲艦ノ魂ダッタ私ニ形ヲクレタノ。貴女トイウ形ヲ」
――私が形をあげたって...私の体をあげたのと同じじゃ...!
「ソウイウコト」
――いやだ...返して!私の体を返して!
「ンー...ソウダナァ...。契約シテクレレバ返シテアゲテモイイヨ?」
――契約...?
「毎回ヤルト体ニ負荷ガ掛カッチャウカラ...」
――.....?
「戦イニ出タトキ...ピンチニナッタラ私ニ体ヲ貸シテ。コレガ条件」
――体を貸すって...?
「ダーカーラー!リミッターヲ解除スレバ私ガ出ルカラ!分カッタ?」
――う...うん...
「返事ガ頼リナイケド良イカナ...ホラ...オ友達ガ呼ンデルヨ?」
――へ...?
――――――――――――――――――
「アーガマ、アーガマッ!」
アーガマを必死に呼ぶ艦娘が1人。
それに反応し、アーガマはゆっくり瞼を開ける。
「ガラン...シェール...?」
緑の着物を着ているため、先程の艦娘を思い出すが、すぐに違うと分かった。
先程の艦娘は髪を結んでいるが、ガランシェールは結んでいない。
アーガマは上体を起こし、ガランシェールを見るなり少し距離を取った。
前の一件もあるため、ガランシェールを信用できないのだ。
「な...なんで離れるのさ...?」
「前、殴られたから...」
それを聞いてガランシェールは「いやっ、あれはレウルーラの命令で...やらなきゃアーガマが殺されちゃうと思ったから...!」とペラペラと喋り始めた。
少し落ち着いたと思ったら、「あ...言っちゃった...」と顔を青くしてアーガマを見る。
アーガマはふるふると震え、怒りを抑えているように見える。
「ガランシェール...」
「は...はいっ...!」
「お返し...」
そう言ってガランシェールの額をコツンと叩く。
ガランシェールはきょとんとした表情でアーガマを見つめる。
「え、これだけ...?」
「うん...」
「アーガマ...なんか性格変わった...?」
「...変わってない!」
「怒ってる?」
「怒っても...ないかもしれない...」
「な...なに、それ...」
笑いを堪える為に下を向く。
だが、体が震えているようで、
「なんで笑ってるの...?」
「いや...ふっ...なんでも...ない...ふふっ...」
「話は変わるけど、レウルーラと手は?」
「組んでない!」
「ガランシェール自身、悪事は...?」
「考えてない!」
「うん...よろしい!それで提案なんだけど...私が所属してる鎮守府に来ない?」
「アーガマと一緒に戦えるのなら、どこへでも着いてく!」
アーガマはゆっくり立ち上がり、自分の所属する鎮守府がある方向を指差す。
そして海面を滑るように移動し、鎮守府への帰路についた。
その頃、アーガマの機関部であるデータの集計が自動で行われていた。
[意識侵食率]――23%――
激戦終わりの平和な一場面。
黒いアーガマさんは今回を境にちょくちょく出てきます。
日常風景を描いている描写でも、アーガマの脳内でよく喋ります。
最後に出てきた意識侵食率は、言葉の通りです。
リミッター外す→侵食率増える→使いすぎる→黒いアーガマに意識乗っ取られる→BAD END
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