強襲揚陸艦ネェル・アーガマ、発進!   作:がさ丸

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別に純粋種のイノベイターがELSと話すわけではないです。

特に話すことも無いので、本編へ。

どうぞ~


第二章 紅い艦隊
思念との対話


アーガマは黒い空間にいた。

どこかも分からない暗黒の空間。

 

全方位を黒で囲まれた、密室のようで、広い空間。

 

――どこ...ここ...?

 

「貴女ノ...負ノ感情...ソノ中ダヨ」

 

――だれ...!?

 

「ダレッテ...貴女自身ダヨ?」

 

――私...自身...?

 

「正確ニ言エバ...五月雨チャンヲ助ケタ時ニ...貴女ノ中ニ侵入シタ残留思念カナ?」

 

――あの時の...!

 

五月雨が洗脳された際、深紅のMAにメガ粒子砲を破壊されたときに聞こえた、無数の声。

目の前にいる黒い霧が、その正体だと言う。アーガマの負の感情らしい。

 

――でも...負の感情って...

 

「忘レタノ?リミッターヲ外シテミロッテ言ワレテサァ...アノ行為自体ハ問題ナカッタンダケド、貴女ノ場合、私トイウ残留思念ヲ宿シテイル。ソレヲ表ニ出シタンダカラ...コウナルデショ?」

 

――負の感情なんて...出してない!

 

「ハァ...貴女、アノ空母ト戦ッタノ覚エテル?アノ時、カナリノ怒リト憎シミトカ出テサ...元々ハ小サイ深海棲艦ノ魂ダッタ私ニ形ヲクレタノ。貴女トイウ形ヲ」

 

――私が形をあげたって...私の体をあげたのと同じじゃ...!

 

「ソウイウコト」

 

――いやだ...返して!私の体を返して!

 

「ンー...ソウダナァ...。契約シテクレレバ返シテアゲテモイイヨ?」

 

――契約...?

 

「毎回ヤルト体ニ負荷ガ掛カッチャウカラ...」

 

――.....?

 

「戦イニ出タトキ...ピンチニナッタラ私ニ体ヲ貸シテ。コレガ条件」

 

――体を貸すって...?

 

「ダーカーラー!リミッターヲ解除スレバ私ガ出ルカラ!分カッタ?」

 

――う...うん...

 

「返事ガ頼リナイケド良イカナ...ホラ...オ友達ガ呼ンデルヨ?」

 

――へ...?

 

――――――――――――――――――

 

「アーガマ、アーガマッ!」

 

アーガマを必死に呼ぶ艦娘が1人。

それに反応し、アーガマはゆっくり瞼を開ける。

 

「ガラン...シェール...?」

 

緑の着物を着ているため、先程の艦娘を思い出すが、すぐに違うと分かった。

先程の艦娘は髪を結んでいるが、ガランシェールは結んでいない。

 

アーガマは上体を起こし、ガランシェールを見るなり少し距離を取った。

前の一件もあるため、ガランシェールを信用できないのだ。

 

「な...なんで離れるのさ...?」

 

「前、殴られたから...」

 

それを聞いてガランシェールは「いやっ、あれはレウルーラの命令で...やらなきゃアーガマが殺されちゃうと思ったから...!」とペラペラと喋り始めた。

少し落ち着いたと思ったら、「あ...言っちゃった...」と顔を青くしてアーガマを見る。

 

アーガマはふるふると震え、怒りを抑えているように見える。

 

「ガランシェール...」

 

「は...はいっ...!」

 

「お返し...」

 

そう言ってガランシェールの額をコツンと叩く。

ガランシェールはきょとんとした表情でアーガマを見つめる。

 

「え、これだけ...?」

 

「うん...」

 

「アーガマ...なんか性格変わった...?」

 

「...変わってない!」

 

「怒ってる?」

 

「怒っても...ないかもしれない...」

 

「な...なに、それ...」

 

笑いを堪える為に下を向く。

だが、体が震えているようで、

 

「なんで笑ってるの...?」

 

「いや...ふっ...なんでも...ない...ふふっ...」

 

「話は変わるけど、レウルーラと手は?」

 

「組んでない!」

 

「ガランシェール自身、悪事は...?」

 

「考えてない!」

 

「うん...よろしい!それで提案なんだけど...私が所属してる鎮守府に来ない?」

 

「アーガマと一緒に戦えるのなら、どこへでも着いてく!」

 

アーガマはゆっくり立ち上がり、自分の所属する鎮守府がある方向を指差す。

そして海面を滑るように移動し、鎮守府への帰路についた。

 

その頃、アーガマの機関部であるデータの集計が自動で行われていた。

 

[意識侵食率]――23%――




激戦終わりの平和な一場面。

黒いアーガマさんは今回を境にちょくちょく出てきます。
日常風景を描いている描写でも、アーガマの脳内でよく喋ります。
最後に出てきた意識侵食率は、言葉の通りです。
リミッター外す→侵食率増える→使いすぎる→黒いアーガマに意識乗っ取られる→BAD END

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