前回に引き続き、五月雨(サラブレッド)視点で書かせてもらいます。
武装はホワイトベースの物と同じ...だった気が...。
では、どうぞ。
「ここは...ドック...?」
ぼそりと呟く。
何の反応も無いということは、入っているのは自分だけなんだと理解する。
と、急にドックの扉が開く。
「あ...五月雨...?」
アーガマが入ってきてきょとんとした表情でこちらを見つめる。
「だ...誰ですか?」
――へ?
――――――――――――
~執務室~
「それで~...えっと...だれ?」
提督もアーガマと同じ表情で五月雨を見つめる。
「五月雨です!」
「だって五月雨全体的に青かったじゃん?でも...なんか...髪が青で?服が暗い緑...みたいな...はぁ?」
「夢なのか現実なのかは分からないんですけど...大佐って人が...えーっと、確か...準ホワイトベース級強襲揚陸艦サラブレッドの力を託そう。って言ってた気がします!」
「ホワイトベース級!?」
ガタッとアーガマが立ち上がり、声を上げる。
その反応に驚いた五月雨と提督はアーガマの方を勢いよく見る。
「あ...あの、すみません...」
「良いじゃん、アーガマ。全部話しちゃえば?」
――アーガマ?春雨姉さんじゃないの?
「五月雨...と名乗る者。まぁ、五月雨で良いや。この娘、春雨じゃなくてネェル・アーガマっていう宇宙世紀だっけ?その時に造られた強襲揚陸艦なんだってさ。合ってるよね?」
「合ってますよ...説明した方が良いですか?」
「まぁ、まずは...なんでさっき大声を出したのか、聞こうではないか!」
ビシッとアーガマを指差す。
赤い蝶ネクタイをした名探偵の様に。
「はい。えっと、さっきのは...五月雨さんが“ホワイトベース級”って言いましたよね?実は...」
アーガマはホワイトベースについて説明を始めた。
ホワイトベース。ペガサス級強襲揚陸艦の2番艦。一年戦争の激戦を潜り抜けてきた英雄とも呼べる艦。外見は白を基調としたカラーリング、まるで
全てのガンダムタイプの元となったMS、『RX-78-2 ガンダム』を搭載していた。
『V作戦』の中で生まれたMSと艦。
それに、ネェル・アーガマはホワイトベースの意匠を受け継いでいる。
その為、武装がホワイトベースと似ている。
「と、これが先程驚いた理由です」
――う~...よく分からない...
「うん、まぁ...全然分かんなかった。え~っと、とにかく、アーガマはホワイトベースっいう艦の派生みたいなもの...で良いの?」
「そうなりますね」
「武装は似てるって言ったよね?じゃあ、この...サラブレッドだっけ?これに積まれてる艦載機ってどんなやつなの?」
「私でも流石にそこまでは...実際に出さなきゃ分かりませんよ?」
――艦載機?私に艦載機があるの!?
「あ、あの...!艦載機って...!」
「飛行機じゃないけど...MSっていう人型のロボットが飛ばせます。戦闘能力は個々に違いますけどね...」
「よっし、じゃあ...サラブレッドという名の五月雨改二!演習場へ行くよ~」
「は...はい...っ!」
「五月雨さんで良いんですね...司令官...」
呆れたような顔をするアーガマ。
それもそうだ。五月雨と名乗る者とか、だれ?など言っていたのだから。
それをあっさりと認めるなど、順応性が高いなどの話ではない。
――――――――――――――
~演習場~
「よーっし、じゃあやってみよう!」
五月雨とアーガマは海上に仲良く二人で浮かんでいる。
提督はというと、演習場のベンチに座ってメガホンで呼び掛けている。
「な、何をですか?」
「艦載機~!出してみなよ~!」
――えぇ...どうやって...
「頭の中で念じてみて?こう...MS、出撃準備って」
するとアーガマの手にクロスボウが出現する。
それを空に向けて、引き金を引く。
すると、矢が形を変え、人型のロボットへなっていった。
「あれはRGZ-95リゼルって言うんだ。地球連邦の新型量産MSで...飛行型MAに変形可能!」
その声に合わせる様にリゼルが変形し、飛行機に似た形へと変わる。
「すごい...!」
「やってみてごらん?今教えた通りに...」
――えっと、確か...MS、出撃準備...!
そう念じると、手にビームライフルが握られる。
「あれ...?クロスボウじゃ...ない?」
「え...?」
間違いなく、手に握られているのはビームライフルだ。
だが、それが攻撃用では無いことがすぐに分かった。
アーガマがライフル側面を覗くと、そこには、『RX-78-7』と文字が刻まれていた。
「ガンダムの型式番号...ガンダム7号機...?」
ガンダム7号機。U.C.0081。一年戦争終結から2年後、終戦協定を認めないジオン残党軍が各地でゲリラ戦をしていた。そこで地球連邦がジオン残党軍の殲滅部隊として設立した、『ファントム・スイープ隊』その隊の隊長である、ユーグ・クーロが宇宙へ上がった時に使用したガンダムだった。その前に、オーガスタ基地でテストパイロットとして搭乗していたシェリー・アリスンがジオンのスパイだと分かると、連邦政府はガンダム7号機の機動補正プログラムにロックを掛けた。
だが、そんな不完全な状態で出撃し、無事に帰還したユーグ・クーロは本物の英雄とされた。
「取り敢えず、撃ってみて!」
「う...はいっ!」
五月雨がビームライフルの引き金を引く。
すると、通常のライフルの様にビームが放出された。
だが、そのビームが次第に大きくなっていく。
そしてある程度上昇を続けると、ビームが爆ぜた。
ビームが爆ぜた場所には、V字のアンテナを冠し、地球連邦の印である十字のシールドと、ビームサーベルを携えたガンダムがそこにいた。
『ユーグ・クーロ、ガンダム7号機、索敵を開始する』
「え...頭の中で声が...?」
「通信みたいなものです。答えてあげて?」
――えっと...了解しました。そのまま...索敵を続けて下さい...?
『了解した。敵を見つけ次第、戦闘を開始する』
――視点変更――
◇ネェル・アーガマ
「あれ...?」
先程見本として出撃させていたリゼルからの通信が途絶えた。
通信の不調かと思い、何度も呼び掛けたが反応がない。
五月雨、もといサラブレッドは横で空を見上げている。きっとガンダムに見とれているのだろう。
アーガマはディスプレイを表示し、通信コンソールを開いた。
そこには、『SIGNAL LOST』の文字が浮かんでいた。
――通信可能圏外に出た...?でも...そんな指示は...
すると、サラブレッドが叫ぶ。
「鎮守府近海に敵艦隊を確認!...空母もいるそうです!提督!」
「うぇ!?あぁ...はい。アーガマとサラブレッドの二人は迎撃に向かって!夕立は...きっと寝てるだろうから起こさなくて良いかな。二人でどうにかできる?」
「宇宙世紀の艦ですよ?ご期待に応えます!」
「提督、私...頑張っちゃいますから!」
「あ...五月雨だ」
二人は演習場を抜け、鎮守府正面に向かった。
そこでアーガマは自分と因縁のある敵と出会うことになる...。
深夜テンションで進み続けて書いた結果がこれである。
五月雨に自分の正体をバラし、ガンダム7号機を出撃させ、アーガマは因縁のある敵と出会う。
さて、何なんでしょうね。因縁のある敵って。
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