それとですね、コメントで頂いたご指摘のなかに、普通の棲艦の攻撃でアーガマがダメージを受けるのはおかしい。とあったので、今ここで正確な物を出しましょう。
駆逐~軽巡→無傷
重巡~雷巡(空母、潜水艦も含む)→1~10程度
戦艦~姫級→20~40程度
鬼級→ヤバい。互角もしくはそれ以上。
宇宙世紀艦→原作通り。
MS→こちらも原作通り。一発でかなりの体力持ってかれます。
コロニーレーザー→言わずもがな。当たったら蒸発します。
コロニーレーザーは一応です。もしかしたら出すかもです。
では、本編へどうぞ。
~鎮守府港~
朝日が水平線から顔を出し、空を赤く染め上げていく、明け方。
砂浜に一人の艦娘が座っている。
「はぁ...ドジってどうやったら治せるんだろう...」
座っていたのは五月雨だった。
ドジっ娘脱却について考えている真っ最中だ。
「転んでお茶こぼしちゃうし...ケーキも落としちゃったり...演習でもぶつかってばっかれで...うぅ...」
頭を抱えて呻いていると、背後に気配がした。
後ろを振り向こうとしても、遅く、うなじに強烈な痛みが走る。
「うっ...あ...」
その場に倒れる五月雨を担ぎ、海へ出ていく。
五月雨が失われていく意識の中、自分を担ぐ人を見た。
その姿は、赤い服を着た金髪の少女だった。
「だ....れ......?」
そこで五月雨の意識は途切れた。
―――――――――――――――
~執務室~
「司令官...五月雨さんがいません!」
「へ?五月雨が?五月雨なら外にいったけど?」
「外も探しました!いないんです、どこにも!」
五月雨失踪の情報はすぐに提督へ伝わった。
今すぐにでも探しにいきたいが、夕立は寝ている。
「夕立は寝てるし...どうすれば~!」
「あの、司令官...一応私も...」
艦娘です。と言おうとしたら
「あ~、そうだった~。アーガマも艦娘だったね。捜索はアーガマに任せよう(棒)」
――忘れてたのかなぁ?出撃したの昨日なんだけど...
「五月雨がどこにいるか、分かるの?」
「分かるというか...砂浜を見に行ったら海に足跡が続いてたので、海に出たんじゃないかと」
「ほうほう...じゃあ、海に行くしかないのかな?ホント艦娘って海と縁があるんだね」
「私の場合海じゃなくて...宇宙ですけどね...」
「そうと決まればアーガマ、れっつごー!五月雨を探してきて!」
「その間司令官は何を?」
「こいつら片付ける」
と言って指差したのは机の横。
そこには大量の書類が積み重なっていた。
「こいつら片付けなきゃ...提督人生終わる気がして怖いんだ...」
「頑張ってください。私も五月雨さんの捜索頑張りますから!」
アーガマはそう言って執務室を後にした。
「頑張る...ねぇ...よし、私も頑張りますか!」
――――――――――――――――
「と...砂浜に来たのは良いけど...早速問題発生...かな?」
その問題とは。そう、アーガマの目の前に緑色の着物を着た少女が倒れているのだ。
仰向けになって。
近づいてみると、息をしている。どうやら眠っているだけの様だった。
と、その少女が急に目を開けた。
「ん...あれ?ここどこ...?」
「ここは鎮守府にある砂浜だけど...どうしたの...?」
その少女は少し黙って、此方を見てきた。
「ねぇ貴女...名前は?」
「え?ネェル・アーガマ...だけど...」
その名を口にした瞬間、少女の顔が一気に明るくなった。
「アーガマ?アーガマ!?やったぁぁぁあ!!」
ぎゅうっと抱きついてくる。
アーガマの思考が一瞬停止する。
初対面であろう少女に名前を教えただけで抱きつかれた。
「あ...あの...苦し...」
「あぁ、ごめんごめん!嬉しくてつい...」
「それで...あの...貴女は?」
「ん~...偽装貨物船って言えば分かるかな?」
――偽装貨物船...。あ...!
「ガランシェール...?」
「そう、正解!」
まさかガランシェールまで艦娘になってるとは思っていたなっか様で、アーガマはポカーンとしている。
――こんなにテンション高いんだ...ガランシェールって....
「それで、どこ行くの?」
「あ、えっと...五月雨さんの捜索...。さっきいなくなっちゃって...」
「ねぇ、それ...私も着いていって良いかな?」
ガランシェールからの級な提案。
一緒に五月雨を探したいとのこと。
「え...でも...ガランシェールって...その...武装が...」
「ん?」
「ア、イエ、ナンデモナイデス...」
「で!五月雨って娘の捜索でしょ?楽しそうだから着いてく!」
――一瞬...寒気が...ガランシェールの前で武装の事を話すのはやめよう...
「人手は多い方がいいし...お願いしてもいいかな?」
「うん!」
――――――――――――――――
~鎮守府近海~
「うわっ!?」
「ガランシェール、危ない!」
駆逐イ級がガランシェールにかぶり付こうと大きな口を開けて飛びかかった。
だがガランシェールは、
「ジオン魂、見せてあげるよ!」
すると手を伸ばして、駆逐イ級の上顎と下顎を掴み、力任せに開いた。
バキバキ...ベキャッと音をたてて駆逐イ級が真っ二つになる。
――...う、うわぁ...
「ふぅ...こんな感じかな?」
「物理...ギラ・ズールって使わないの?」
「弾を節約してるの。撃ちすぎると切れて撃てなくなっちゃうから」
「へぇ...」
アーガマは余り弾切れを経験したことがない。
戦闘にはあまり参加せず、後方支援を行っていた。
そこで使うのは、メガ粒子砲やミサイルなど、やはり多用するのはメガ粒子砲。
それのエネルギーは主翼部分のソーラーパネルから供給しているので、太陽があればいくらでも撃てる。
「メガ粒子砲がある艦って良いよねぇ...」
「ガランシェールは偽装貨物船でしょ?貨物船に武器なんて付けられないよ」
など談笑しながら先へ先へと進んでいく。
すると、空気が変わった。肌に刺すようなピリッとした空気。
まるで、何者かに遠くから狙われているような...そんな空気。
「.....これは...」
駆逐イ級の遺骸が浮かんでいる。
その腹には、何かに抉り取られたような後があった。
そして焦げ臭いにおい。
最後に感じたのは、宇宙世紀の艦のみが観測できる...ミノフスキー粒子の濃度。
この濃さは...艦が自分の位置を悟られないようにするために散布する量の粒子。
ということは....
「近くに...宇宙世紀に造られた艦がいる...。ガランシェール!」
...............
「ガランシェール...?」
「ごめん...、アーガマ」
アーガマの頭部に強い衝撃が走る。
「な...なにを...?」
アーガマは意識を手放した。
最後に見たガランシェールの顔は哀しそうだった。
やっぱりこうなる。