周辺国家最強(笑)の戦士   作:生コーヒー狸

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タイトルだけでオチがわかってしまうネタバレ臭の酷さ


敗北を知りたい

 ジルクニフとの会談が終わってより二日後、ナザリック南東の砦に訪問者があった。スレイン法国からの使節団である。彼らの目的は、復活した神に人類の救済を訴える事であったが、それ以外の思惑を持つ者も混じっていた。スレイン法国の最終兵器、人類最強の存在である漆黒聖典番外席次"絶死絶命 "オメーノ・セキ・ネーカラもその一人である。

 

 彼女の個人的な目的、いや望みは「敗北を知りたい」である。血の掛け合わせと奇跡のような確率で誕生した彼女はハーフ、オッドアイ、ツインテール、ツンデレ(ヤンデレ)、ょぅι゛ょという複数の最強属性を持ち、負けるイメージなど微塵も感じさせない最強の存在だ。

 

 最強ゆえに己を倒せるような存在を求めて、さらに女としての本能からか、その遺伝子を欲しているのである。彼女曰く、自分より強ければ、年収も容姿も性格も不問。同居も介護もバッチ来ーい!人間以外も大歓迎という無節操ぶりだが、相手が女性やアンデッドだったらどうするのだろう?

 

 そんな彼女を温かく見守るのは漆黒聖典第一席次"通報案件"オマワリ・サン・コイツデスである。彼の想いは「彼女は俺が守護らねばならぬ(*´Д`)ハァハァ」という、何度も彼女にフルボッコされている分際で、全く見当違いのストーカー以外の何物でもない。こんなのが人類の護り手ツートップというのだから、法国上層部は悩みが尽きない。ニグン!法国の未来は君にかかっている!!

 

~ナザリック南東の砦~

 

「ですから!スルシャーナと仰られる方はこの砦にはおりませんし、その方の事も存じ上げません。」

 

「私はこの場所で間違いなくスルシャーナ様(人違い)にお言葉を頂いたのです!!そして国へ戻ってスルシャーナ様復活を知らしめよ(そんな事は言ってない)と!」

 

 左遷されたナーベラル・ガンマに代わって、砦への来客の応対を仰せつかったのは、プレアデス長女ユリ・アルファである。自分同様、ナザリックでは数少ない人間に好意的な人物を配したのは、セバスの人員配置の妙だろう。

 

 かつての帝国には、自分以外のチームメンバーをエルフの奴隷で構成した自称天才剣士(ジルクニフのエルフ差別撤廃によりチーム解散、本人は闘技場でロリコン剣士に瞬殺された)や、とある世界では、学校の課題での班作りにおいて、どこの班にも入れて貰えないので、不足した人員の数合わせの為に、購入した奴隷を裏口入学までさせるという荒業を使った学生もいたのだから、いかにセバスの管理能力が優れているかが分かるだろう。

 

「あの眼鏡のメイド、推定難度300…他のメイドも難度180ある…」

 

「あのメイドがドラゴンロード級だと!?他のメイドも俺達より難度が高いとういのか?」

 

 クアイエッセがユリに詰め寄っているのを遠巻きにして、漆黒聖典の隊員で、相手の難度を看破するタレントを持つ第十一席次 "人間透歌"(にんげんすかうた)バカナマサカ・マダ・ジョウショウシテイルが、他の隊員にユリ達の事を伝える。

 

「何事ダ、騒々シイ」

 

 現れたのはナザリック地下大墳墓第五階層守護者コキュートス。武器を使っての戦闘に於いてはナザリック一の遣い手である。元々この砦は用が済めば破棄される予定だったのだが、アインズがわざわざ造った物を破棄するのは勿体無いと、アルベドやデミウルゴスが進言して、アインズとしても特に反対する理由も無く、ナザリックの前線基地として活用される事になり、コキュートスに砦の管理を任せたのだった。

 

「コキュートス様!?」

 

「「「「「げえっ!化け物っ…ジャーン…ジャーン…ジャーン」」」」」

 

 突然の上司の、或いは異形の怪物の出現にそれぞれが驚く。だがコキュートスにしてみれば、主人から守りを任された砦の前で、部下と来訪者が口論しているのを見過ごすわけにはいかない。

 

「ユリ・アルファ、何ヲシテイル。コノ者達ハドウシタノダ?」

 

「お騒がせして申し訳ございません。コキュートス様。「スルシャーナ」という方を訪ねて参られたとの事なのですが…」

 

「おおっ、貴方はスルシャーナ様の従属神!先日スルシャーナ様に拝謁の栄に浴した、スレイン法国の者でございます!命ぜられた通り国へ戻り、スルシャーナ様の御帰還を伝えてまいりました!」

 

「オ前達ノ要件ハ分カッタ。ダガコレダケハ覚エテオケ。我ラナザリックノ偉大ナル支配者ハ、アインズ・ウール・ゴウン様。ソノ御尊名ヲ、シカト心二刻ミツケヨ。」

 

ざわ・・・ざわ・・・

 

「スルシャーナ様ではなかったのか?」

 

「そ、そんな…あ、あの虫の化け物…難度400はある…」

 

 戸惑う法国一行、思い返してみればクアイエッセは「スルシャーナ復ッ活ッ」としか言っておらず、従属神の事など何一つ言っていなかった。そもそも相手が人違いと言っている!ではどうするか?ただ間違いない事は、この場の存在が神と同等の力を持った存在という事だ。人間(に見える)メイド達はともかく、あの虫の化け物は…

 

 そして、その様な存在を前にして黙ってはいられない人物がここにいた!!

 

「私、この闘いが終わったら、コキュートスさんと結婚するの…もう何も怖くない!私、一人ぼっちじゃないもの!!」

 

「ファッ?????」×2

 




次回予告!

人類を守護るスレイン法国の大ピンチ!
凍河の支配者コキュートスが
番外席次"絶死絶命"に襲いかかる!
彼女の運命やいかに!?

次回!
「"絶死絶命"大敗北!希望の未来にレディ・ゴーッ!!」

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