周辺国家最強(笑)の戦士   作:生コーヒー狸

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一体いつから錯覚していた?

「それではデミウルゴス、皆に説明してあげなさい」

 

 社長就任?から1週間経たずにアインズの口癖になった言葉である。もちろんアインズだって最初は色々なアイデアや方策を考えたりしていたのである。

 

 しがないサラリーマンだった頃に、権限や予算の壁に阻まれた事は数えきれない。無能な上司のパワハラにも耐えて来た。それがいきなり最高責任者(対立派閥なし、社内は挙国一致体制)で予算はほぼ無限(無借金経営)、さらに近隣には競合する他社もいない(圧倒的ではないか我が社は)という「ぼくのかんがえたさいきょうの社長」になったのだ。無論、責任に対するプレッシャーも大変なものだが…

 

 あれもしたい、これもしたいと次々に考え付いたアイデアを纏め、役員会?の場で語ったのだが、専務アルベド、常務デミウルゴス、監査役パンドラといった優秀すぎる面々は、一を聞いて十を知るどころか、二十も三十も過大に解釈して、より具体的で効果の見込める内容にしてしまうのだ。

 

 もう黙って座ってたほうがいいんだろうか?そんな思いがよぎらないでもなかったが、アインズは基本方針を示して、それらを実現させる手段は、部下の裁量に委ねるという処世術を身につけていった。

 

 今から説明されるのは、三日後に予定されているバハルス帝国皇帝との会談についてだ。当初の予定を変更して、ナザリック南東に建てられた砦(魔王城)ではなく、第十階層の玉座の間での謁見という形をとる事になった。

「というわけで、アインズ様に於かれましては、悠然と玉座に構えて、絶対的な支配者として振る舞って戴ければ何の問題もございません。後の雑事は全て我らにお任せ下さい。」

 

 都合のいいようにデミウルゴスにおまかせのアインズ、都合の悪い事はレエブン侯に擦り付けるガゼフ、どっちもどっちである。

 

 

~魔王城~

 

「セバス殿、間もなく陛下を載せた馬車が到着いたします。」

 

「畏まりました。到着後、御一行には屋内から<ゲート/異界門>を使ってナザリック地下大墳墓まで直接転移して戴きます。転移先からは、その場に控えているメイドが案内いたしますのでご安心下さい。」

 

 先触れとして魔王城に赴いたガゼフを出迎えたのは、家令のセバス・チャン、人に優しいナザリックの癒し、人類にとっては数少ないボーナスキャラ?である。セバスに付き従うのはプレアデスの三女ナーベラル・ガンマ、開口一番ガゼフ(主人が招待した客の従者)に対して「黙れ下等生物(コメツキバッタ)。身の程を弁えなさい」と宣ったメイドの鑑である。それに加えて一般メイド5名が控えている。

 

 あっれー?ナーべちゃんたら凄い迫力!?たしかナーべちゃんの()()()()()()…だったよね?俺のレベルは67だったから、実力的には互角、ビルドの関係で中途半端なスキルとステータスだとしても、一方的に負けることはないと踏んでいたつもりだったが、彼女と戦っても勝てる気がしない…俺はウルトラスーパーDXガゼフじゃなかったのか??

 

 というより一般メイドの5人もおかしい。あれ絶対にレベル1じゃないよね。多分ブレイン程度じゃ勝てないよ、アレ。「漆黒聖典第八席次"逸凡冥土"」と言われても納得出来る。以前戦ったクレマンティーヌと比べても強すぎる。おそらくクアイエッセ級の強さだ。1対1なら負けないと思うが、2人以上でかかられたら無理だろう…何で?…何で?

 

「どうやら到着したようですな。」

 

 ガゼフが悩んでいるとバハルス帝国御一行様が到着した。ジルクニフに続いて馬車から降りたフールーダが絶叫する。

 

「くぁwせdrftgyふじこlp」

 

 あちゃー…フールーダさんがやっちゃったか~。もしかしたらこうなるんじゃないかとは思ったけど、もう少し公私を弁えてくれないものか…あっジルクニフがキレかかってる!とりあえず落ち着かせないとマズイだろう。

 

「こっ…これは!?間違い無い!この荒れ狂う魔力の奔流はぁぁぁ!?」

 

「はいはい、おじいちゃんご飯は昨日食べたでしょ」

 

「た、大変失礼しました。お見苦しいところをお見せして申し訳ない…で、ですが一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

 ナザミ・エネックに押さえ付けられたフールーダが、恐るおそるナーベラルに話しかける。

 

「黙れ下等生物(スベスベマンジュウガニ)。身の程を…ひゃうっ」

 

「客人に対して申し訳ありません!それで聞きたい事とは?」

 

 おお!セバスさんからツッコミ(教育的指導)がはいったぞ!いいぞ!もっとやれ!

 

「そ、それでは…そ、そちらのお嬢様は……だ、第十位階魔法を使えるのでは?」

 

「…使えますけど、何か?」

「えっ??何??聞こえない(聞きたくない)?」

 




ナーベラル・ガンマの秘密

戦闘メイドプレアデス三女
ドッペルゲンガーの種族レベルを1だけ取得
残りは全て魔法職レベルに注ぎ込んだレベル100のNPC
第十位階までの魔法に加え、超位魔法すら使いこなす。
好きな魔法は第十位階<レイジング・ドラゴン・ライトニング/荒れ狂う龍雷>

一般メイドの秘密

第九階層の維持・管理を行うメイドさんで41人いる。
平均レベルは60強で、戦闘から家事までこなす万能メイド。
その戦闘力はスレイン法国の精鋭「漆黒聖典」に匹敵する。

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